転生とらぶる1   作:青竹(移住)

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0870話

 マブラヴ世界のオーストラリアにあるシャドウミラーの基地から数km程離れた荒野。以前はこの基地の周辺も農地にするという話を聞いていたが、全くその気配はなく荒野のままだ。

 ……いやまぁ、実際問題シャドウミラーの基地の近くに農地を作る訳にはいかないって理由もあるんだろう。勿論俺達としてもその意見には賛成だ。

 何しろ本当に基地の近くに農場なんかを作れば、どこぞの国がその農場に自分達の手の者を送り込んでいらない騒動を引き起こしそうだし。

 それなら最初から基地の周囲は荒野にしておけば、近づいてくるのは元々基地に用事があってくる者達か、あるいは何か良からぬ事を企んでいる奴かという事になる。

 ちなみに、俺達がこの世界に転移してきた一月以降この近辺にある街の人口が急激に増加しているらしい。……いや、それは幾ら何でもあからさま過ぎるだろうと思うんだが。

 この前アンディーと通信した時、そんな風に愚痴られた記憶がある。

 まぁ、それはともかく……今はその荒野に多くの人が集まっており、周囲もかなり飾り立てられてもいる。もし何も知らない人がこの光景を見ても、とてもではないがここが荒野であるとは分からないだろう程に。

 もっとも、これから鉄原ハイヴ攻略に向かうための出発式典の場なのだから、無理もない。

 ギャンランドがバーナード星系に出発する時も盛大に式典をやったが、今回はそれを上回る人数が集まっている。だからこそ基地に入りきらなくなり、この荒野で式典をやる事になったのだが。

 

『我等の最も新しき友、シャドウミラーはこの世界の現状を見かね、自らの力のみで鉄原ハイヴを落とすと宣言しました。勿論そのような事を口にした者達はこれまでにも多くいます。あるいは、自らの国の軍隊のみでハイヴを……そしてBETAを倒してみせると。だが、それが成された事は1度もありません』

 

 アンディーの口からその言葉が出ると、中国の代表が顔を真っ赤にして不愉快そうな表情を浮かべた。同時に、その近くにいたソ連の代表もまた中国代表程ではないが不愉快そうにしている。

 実際、BETAの着陸ユニットが落下した時に欲に駆られて自分達だけで片を付けようとし、国連軍の派遣を拒否しなければ地球はここまで追い詰められる事は無かっただろう。今までは暗黙の了解でそれを口にする事は無かったのだが……オーストラリアに対する中国やらからの干渉が酷くなってきているのを牽制するという目的があるんだろうな。

 

『しかし、シャドウミラーの戦力はこの場にいる全ての人々……更にはこの放送を見ている全ての人々、それこそ世界中の人々が知っている筈です。彼等がアラビア半島で15万を超えるBETAを相手に、これ以上無い程の勝利をしたと』

 

 その言葉にざわめきが起きる。

 実際にあの戦闘の映像を見た者の数は多い。それを思えば当然だろう。

 にしても、式典ってのは面倒くさいな。せめて機体に乗った状態のまま演説を聞くのなら暇潰しの類も出来るのだろうが、ムウ達とは違って俺はシャドウミラー代表という立場であるが故に、こうして生身で式典に出席していなければならないんだよな。

 

『それに紹介は後になりますが、今回の鉄原ハイヴ攻略にはシャドウミラーだけではなく、他の世界の戦力もまた参加してくれるというのは、皆さんの中でも既に知ってる方は多いでしょう』

 

 アンディーのその言葉に、再び起きるざわめき。

 実際に修羅達の姿を見たのは誰もいない筈だが、それでも自分達とは違う世界の住人、それも俺達シャドウミラー以外の者というのは興味を引くのだろう。

 もっとも、修羅は色々な意味でこんな式典には興味が無いのでシロガネの付近で待機しているのだが……その辺は何とかアルティスを始めとする修羅の幹部達の手により言い聞かせ、大人しくするように命じられているので、この式典をやっている間くらいは騒ぎを起こすような事は無いだろう。

 そんな風に思っていると、アンディーの演説も既に終わりに近づいたのか、俺の方を見ながら口を開く。

 

『では、アクセル・アルマー代表。お願いします』

 

 その声に頷き、演説台の上へと移動する。

 そこから見渡す限りでは、やはりかなりの数の出席者がこちらへと視線を向けていた。

 だが、ここにいるのはあくまでも各国の代表。現在既に日本海付近にはハイヴ攻略戦の様子を見たい各国の戦艦やら空母やらが存在しているし、ここから見える場所にあるシロガネやニヴルヘイムの中には各国の観戦武官達も既に乗り込んでいる。

 尚、この式典に参加している者達にしてもシロガネはともかく、その大きさ故に少し離れた場所で空中に浮かんでいるニヴルヘイムに関してはどうしても注目せざるを得ないらしく、式典参加者達は何度となくニヴルヘイムに視線を向けている。

 ちなみに、観戦武官達にはシロガネとニヴルヘイムのどちらに乗ってもいいとしているが、人数的には6:4くらいでシロガネの方が多い。

 やはり空中要塞よりも空中戦艦の方が理解の範囲内なのだろう。

 もっとも、どちらにせよ決められた部屋から出たりした場合はすぐに拘束してそれ相応の態度を取ると前もって言ってあるし、何より量産型Wが監視として付いている以上無茶は出来ないだろうが。

 

「……さて、俺がこうして各国代表の前で口を開くのは久しぶりだな。生憎と俺はこの類の演説は苦手なので、単刀直入に言わせて貰う。俺達が出る以上、出来たばかりの鉄原ハイヴは確実に陥落するだろう。それは、既に決定事項と言ってもいい。そして、そこから人類のBETAに対する反撃が始まるだろう。俺はそう確信しているし、事実この後もハイヴに対する攻略は計画されている。そして、俺達の力を見たこの世界の者達がBETAに対して奮起をしてくれる事を切に願う。……では、短いがこれで終わらせて貰う」

 

 そこまで告げるとシンと静まりかえる式典会場。だが、やがて並んでいる賓客席の方からパチパチという拍手の音が聞こえてくる。

 そちらへと視線を向けると、そこにいたのは日本から派遣されてきた男が1人、俺から目を離さずに拍手をしていた。そして、釣られるように次第に拍手が周囲へと響いていく。

 最初に拍手をした男は、どこか柔らかな印象を与える笑みを浮かべつつも俺を見据える。

 年齢としては俺と同年代か少し下といったところか。

 受けた印象としては、どことなくギアス世界のシュナイゼルに似た雰囲気を感じる。

 日本から派遣されてきた人物である以上、それなりの人物ではあるだろうが……なるほど、夕呼以外にも日本にはそれなりに有能な人材は多いということか。

 まぁ、このマブラヴ世界での日本は国力的にも上位に位置する国家だ。間抜けばかりではその地位にいる事は不可能だっただろうが。

 

『これにて式典を終了します。これよりシャドウミラーは鉄原ハイヴへと向かって出撃となります』

 

 オーストラリア政府から派遣されてきた人物の声が式典会場に響き、式典に来た者達に見送られるようにして俺は会場から少し離れた位置――それでも視界内ではある――に存在しているハイヴ攻略部隊へと向かっていく。

 そんな中……

 

「アクセル・アルマー代表。少しよろしいかな?」

 

 式典が終わり、参加していた者達が周囲の者と話している時……不意に後ろから声を掛けられる。

 その声の主が誰なのかというのは、容易に想像が出来た。いや、先程の拍手の時からこうなるような気はしていたというべきか。

 

「ああ、構わん。……日本から派遣されてきた者だったな?」

「ええ。斑鳩崇継といいます」

「斑鳩崇継? その名前は聞き覚えがあるな」

 

 確か、飛鳥計画の機体を夕呼が俺に提供する時に協力した人物の名前だ。五摂家とかいう家の当主……だったか? あるいは次期当主か? まぁ、ともあれ今の日本を代表する人物なのは間違い無い。

 

「ええ、貴方達が持っていった機体の開発にも関わっていましたよ。正直、最初に香月博士から話を聞いた時にはどうしたものかと思ったのですが……」

「不満があった、と?」

「当然でしょう。試製98式と呼ばれるだろうあの機体は私だけではない、多くの者が力を尽くして作り上げてきた機体だったのですから。……ですが、今ではもう恨み言はありません。いえ、寧ろアクセル代表には感謝すらしています。あの交渉の関係で香月博士という、馬鹿げた格式の問題で名前だけは聞いていましたが、会う事が出来なかった人物と面識を得る事が出来ましたし……何よりもそちらから引き渡されたストライクダガーという機体。これは現在斯衛軍と帝国軍の共有すべき財産となっていますが、日々多くの発見がありますしね」

 

 小さく笑みを浮かべ、周囲の注目が集まっていないのを確認してから言葉を続ける。

 

「特にバッテリー関係の技術は戦術機にも応用が可能ですし、推進剤関係や機体のCPUやメモリといった場所の技術。地味ですが、イーゲルシュテルンとかいう頭部のバルカン砲は威力が戦術機の使っている武器と比べても格段に上です。そして何よりもあのビーム兵器。まさか光学兵器を実現している機体を貰えるとは思ってもいませんでした。……もっとも、技術的な問題で戦術機に流用するのは難しいというのが残念ですが」

「喜んで貰えたようで何よりだ。何しろ、日本はBETAとの最前線に近い。それを思えば、少しでも戦力があった方がいいだろうからな」

「ふふっ、その割には中国に対しては厳しい態度を取っているように見えますが?」

 

 意味ありげな視線をこちらに向けてくるが、別に俺としては特別に中国に対して厳しい態度を取っている訳では無い。いや、寧ろ優しいとすら言えるだろう。

 

「散々こっちに対してちょっかいを出してきたんだ、そのくらいは当然だろう。日本も大陸に部隊を派遣した時には色々と足を引っ張られたと聞いてるぞ?」

「確かにそうですね。……おや、そろそろ時間切れのようですね。今日はアクセル代表と話が出来て何よりでした。鉄原ハイヴ攻略戦、楽しみにしていますよ」

「ま、そうだろうな。あの位置にあるハイヴはどう見ても日本にとっては邪魔でしかない。喉元に突きつけられた刃の切っ先みたいなものだからな」

 

 日本のすぐ側にハイヴがあり、しかもそれが徐々に成長していくと考えれば、ある程度以上の地位がある者にしてみればたまったものではないだろう。

 だからこそ日本は国連で俺達が鉄原ハイヴ攻略の案が出た時に真っ先に賛成したのだろうし、この機会によりシャドウミラーとの繋がりを太くしたいという思いもある筈だ。

 実際、夕呼の行動のおかげで日本は現在このマブラヴ世界の中では2番目に親しい国であると言ってもいい。一時期は社の件で断交に近い感じになりかかったのを思えば、飛躍していると言ってもいいだろう。

 

「ええ、ですから今回のシャドウミラーの行動に関しては非常に期待しているのですよ。是非、その期待を裏切らないように頑張って下さい」

「ま、その辺に関しては後数時間もあれば判明するだろうから、楽しみに待っているんだな」

「ええ、そうさせて貰います。……では、武運を祈っています」

 

 最後にそれだけを告げ、俺から離れていく斑鳩。

 ……日本にも中々に面白い人材がいるというのを知る事が出来たのは嬉しい誤算だったな。

 そんな風に考えながら、量産型Wを従えて出撃準備を整えて俺を待っているシャドウミラーの軍勢へと向かう。

 

 

 

 

 

「よ、お疲れさん。中々堂に入ってたぜ?」

 

 影のゲートで姿を現した俺に、ムウがそう声を掛けてくる。

 言葉では褒めているが、その口調は完全に面白がっているのを見れば、内心は明らかだろう。

 いつかこいつにも演説させてやろうか。いや、それよりも……

 

「戦術機の女パイロットが着ているパイロットスーツを、じっくりと舐めるような目つきで見ていたってのはナタルに流しておくべきだと思うが……どうだ?」

「おいこらまておいこらおいこらまて」

 

 混乱したように喋りながら近づいてくるムウだが、俺は知っている。少し前に国連軍に配備されたガン・ルゥの様子を見に派遣された時に、国連軍所属の女パイロットを食いつくように眺めていた事を。

 まぁ、戦術機のパイロットスーツはボディラインをそのまま出すのだと考えれば、分からないでもないけどな。

 実際女にそれ程興味の無いイザークも目を奪われていたみたいだし。

 色々な意味で目の毒だろ。

 しかもパイロット候補生になれば、このボディラインがはっきりと出るという他にシースルーにもなって、更に凄い事になっているらしい。

 色々な意味で趣味的なパイロットスーツだよな。

 

「ま、そうだな。今回のハイヴ攻略作戦で十分な活躍をしたら黙っていてやるよ。……俺はな」

 

 最後だけをボソッと付け足すが、ムウは聞こえていないように獰猛な笑みを浮かべる。

 

「よし、その言葉を忘れるなよ。ナタルの奴、怒ると怖いんだからな。いや、本当に、マジで」

 

 ……こいつらの生活って……いや、寧ろ一緒に暮らしているレイに悪影響を及ぼさないといいんだけど。

 そんな風に考えていると、こちらへと向かってくる男が1人。今回派遣された修羅を率いているアリオンだ。

 いつものように飄々とした態度のまま、口を開く。

 

「アクセル、そろそろ出発だろ?」

「ああ、修羅の方は任せるぞ。外に出てきたBETA相手になら思う存分暴れてもいい。けど……」

「分かってるよ、ハイヴとかいう奴の中には入るなってんだろ。任せとけって」

 

 それから数分程話をし、いよいよ時間となりそれぞれの機体へと戻っていく。

 俺もまた同様に空中を飛びながらニーズヘッグのコックピットへと乗り込み、周囲を見回す。

 シャドウミラーの幹部達――オウカを除く――の機体に、シロガネ、ニヴルヘイム、シャドウ、メギロート、イルメヤ。そして修羅神。

 全部合わせて、総勢6万機近い軍勢だ。……まぁ、その殆どがメギロートだったりするが。次点でイルメヤ、シャドウの順番だ。

 今回はアラビア半島防衛戦の時と違い、ゆっくりと数を揃える余裕があったからこそ、ここまで集める事が出来た。

 目標はハイヴの完全攻略。そして、1匹も逃さずにBETAを殲滅する事だ。

 

「全機、聞こえているな。……細かいことは何も言わない。俺達なら出来る。そう信じているが故にな。BETAの全てを殺せ。化け物共に、俺達に逆らう事の愚かさをその身を以て教え込んでやれ。嘲笑する虐殺者、ニーズヘッグの名の下に! システムXN、起動!」

 

 その言葉と共に、シャドウミラーと修羅の連合軍は巨大な光の繭のような転移フィールドに包まれ……次の瞬間にはその場から消え去るのだった。




アクセル・アルマー
LV:42
PP:55
格闘:301
射撃:321
技量:311
防御:311
回避:341
命中:361
SP:1402
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    ???
    ???

撃墜数:1120

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