転生とらぶる1   作:青竹(移住)

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0865話

 キリスト教恭順派。宗教という意味では、以前俺が初めてオーストラリアに転移してきた時に俺を救世主に見立てた女の政治家もいたが、そっちよりも質が悪い。

 何しろあの政治家は救世主だろうがなんだろうが、少なくてもBETAに対して戦いを挑もうという気概には満ちていた。

 もっとも、その立ち向かう際の戦力は俺に一任する気満々だったが。

 ……ちなみに、あの女政治家は未だに元気で活動しているらしい。生半可に俺達がアラビア半島防衛戦で実力を見せた為、何気に仲間が増えているとかなんとか。

 だが、今回このプラントに襲撃してきたキリスト教恭順派というのは、そっちとは全く正反対のベクトルを持つ集団だ。

 何しろBETAを神の与えた試練と見なし、それに殉ずるという奴等だ。しかも質が悪いのが、死ぬなら自分達だけで死ねばいいものを、何を血迷っているのか他の者達も一緒に道連れにするって事だ。

 向こうにしてみれば好意からの行動なのかもしれないが、他の者にとっては致命的なまでに迷惑でしかない。

 だが、BETAという脅威がある以上は一定の理解を得やすいのか、このマブラヴ世界では去年辺りから急速に勢力を伸ばしているとかなんとか。

 ……先のオーストラリアの女政治家といい、キリスト教恭順派といい、宗教ってのは俺にとって厄介の種でしかないな。

 ともあれ、BETAが神の試練であると考えているキリスト教恭順派にしてみれば、異世界からやって来てアラビア半島で15万を超えるBETAを文字通りの意味で殲滅した俺達シャドウミラーという存在は、色々な意味で敵でしかないだろう。寧ろ、神敵と見なされている可能性も高い。

 で、どうやってかそのシャドウミラーの代表でもある俺がこの洋上プラントに来るという情報を得て、神敵でもある俺を殺そうとして攻め込んできた……か。

 いや、それだけじゃないな。BETAに殺されるのを望んでいるような奴等だ。この洋上プラントを破壊する事が出来れば、当然その分食料は少なくなり人類は危機に陥る。BETAに対する戦力としても大分落ちる筈だ。一石二鳥を狙った訳か。

 もっとも、この洋上プラントの重要性は当然誰もが理解している。そうなれば当然相応の警備が敷かれている筈なんだが。それに俺がこの洋上プラントに来るというのを知っていた人物は少ない筈。恐らくそれを知る事が出来る上層部にキリスト教恭順派と繋がりのある者がいたんだろうが……この辺は後で国連との交渉の材料に使えそうだな。

 ともあれ、ある意味では丁度いい。ここで奴等の戦力を削いでおけば、暫くは大人しくしているだろう。

 国連職員の言葉を聞いてから素早く考えを纏めると、視線をEX-ギアを装備しているアルトへと向ける。

 この世界の強化外骨格よりも高性能なEX-ギアだ。戦力として考えても不足はない。

 

「アルト、生身の戦いだが大丈夫だな?」

「勿論だ。護衛対象は守ってみせる。……けど、アクセル。バジュラみたいにBETAと分かり合ったりは……」

「出来ないな」

 

 キッパリとその言葉を否定する。

 そもそも、もし分かり合ったとしてもここまで地球に被害が出ている以上はこの世界の住人が納得しないだろう。それにBETAに対する意思疎通が可能なのかどうかはずっとこの世界の住人が試してきたし、オルタネイティヴ3でもESP能力者の命の殆どを失いながら、それでも結局どうする事も出来なかった。それを考えれば、バジュラと違いBETAには意思の類は無い、あるいは俺達とは全く違い、理解出来ないものだと考えた方がいい。

 

「それより今をどうするかだな。正直な話、洋上プラントにいる奴等をどうにかするのならそれ程難しくはないんだが……」

「なら、それをやればいいんじゃないのか?」

「……問題は、俺がそっちに集中している間に他の手を打たれたらどうなるかなんだが」

 

 そう。このマブラヴ世界でテロを起こす以上、生身以外の戦力を用意していると考えてもおかしくはない。例えば戦術機のような。

 普通に考えれば難しいだろうが、アメリカの上層部にも繋がりがあるだろう事を考えるとそれ程おかしな話でもない。それにここまでありふれた兵器になってしまっている以上、可能性としては十分以上にある。

 

「なら、俺がその戦術機の方を相手にする。だからアクセルはプラント内部のテロリスト共を制圧してくれ。正直な話、EX-ギアを装備していても全てのテロリストを把握出来ない以上はどうしようもないしな」

「……それしかない、か」

 

 そう呟いた時、テロリストの持っている通信機が不意に音を鳴らす。

 

『聞こえているか、悪魔の建物を動かしている職員10人程を神の御許へと送ったが、残りには逃げられている。そちらから回り込めないか? アルファ7 ……アルファ7?』

 

 プラントの職員10人を神の御許へと送った。これが何を意味するのかは明らかだ。

 ちっ、取りあえず素早く行動に移さないと、余計に被害が広がるか。

 

『アルファ7? ……やられたか』

 

 通信の声はそう告げ、そのままブツリと通信が切られる。

 恐らくこちらに情報が流れる事を恐れたのだろう。

 

「しょうがない、アルトの案で行くか。……おい、戦術機のような機体を出しても問題無くて、ここから一番近い場所ってのはどこだ?」

「……あ、は、はい。すぐに案内します!」

 

 呼びかけて我に返った国連職員が、その場にいる全員を引き連れながら会議室の外へと出る。

 さすがにここに残して行く訳にもいかないし、キリスト教恭順派と戦う際には色々と足を引っ張ったりもするが……これ程の施設になれば、当然どこかに専用の避難シェルターみたいな場所はあるだろう。

 そんな俺の予想は案の定当たり、機体を出せる場所へと向かう途中で避難用のシェルターに寄り、レモンとマリュー、ルカを始めとした非戦闘員を置いて行く。

 ……ちなみにルカはS.M.Sで戦闘訓練を受けているし、レモンはそれ程高度ではないと言っても魔法が使える。更にマリューに至っては原作でコーディネーターの特殊部隊とまともに渡り合っていたような実力の持ち主で、更にシャドウミラーに所属してから魔法やら何やらで更に生身での戦闘力は高くなっている。

 そんな3人をシェルターの中へと残していったのは乗れる機体が無いというのもあるし、何よりいざという時の護衛を頼みたいというのもあった。

 遅まきながらテロリストの襲撃を受けているというのを洋上プラントの職員も把握したのか、非常警報が施設の中に鳴り響く。

 洋上プラントを護衛している戦力はどうなったんだ? 今頃敵襲を知らせるってのは……いや、それだけここが狙われる可能性が少ないと思い込んでいたのを利用された感じか?

 ともあれ、施設内に非常警報が鳴り響く中、シェルターの中に入っていく技術者達を見ながら空間倉庫の中からサブマシンガンや拳銃といったものを取り出してレモン、マリュー、ルカの3人へと手渡していく。

 

「じゃあ、ここの防衛は頼んだ。何かあっても、お前達なら大丈夫だろ」

 

 そう告げるが、実際俺が頼りにしているのはルカよりもレモンやマリューだったりする。

 やはり生身での戦いでエヴァに鍛えられているというのは大きいだろう。

 それを理解しているのか、レモンとマリューが頷きを返す。

 

「アクセルも気をつけてね。もっとも、この世界のテロリストにアクセルをどうにか出来るとは思えないけど」

「そうね。もしこの世界の技術で物理攻撃を無効化するアクセルをどうにか出来たとしたら、寧ろその人達を調べてみたいわ」

 

 マリューの心配半分の言葉に、レモンもまた小さく笑みを浮かべて同意していた。

 それに小さく肩を竦め、2人を抱き寄せて軽く口付けを交わしてからアルトと国連の職員と共にそこから離れる。

 ……アルトと国連職員がどこかジト目で俺を見ているのは気にしないようにしながら。

 

 

 

 

 

「ここでなら機体を出しても大丈夫だと思います。その……上からは聞かされていたんですが、自由に物を出入り出来るような魔法を持っているというのは……」

「本当だ」

 

 国連職員の指紋、網膜の認証によって開けられた扉から外に出たところで掛けられた言葉に頷く。

 正確には魔法じゃなくて特殊能力なんだが、それを言う訳にもいかないしな。

 ともあれ、俺のその言葉に驚きの目を向けてくる国連職員。まぁ、基本的にはただの一般職員なんだろうし、俺達シャドウミラーの情報については疎いんだろう。

 ……そう思った、その時。俺の視界に入ってきたのは、ちょっと信じられないようなものだった。

 こちらに向かってくる戦術機を捉えたのだ。

 いや、それだけならどうという事は無い。それを予想していたからこそ、こうしてここにいるのだから。だが、その機種と数が問題だった。

 その機体はF-15。いや、正確に言えばそのF-15の改修機でもあるF-15E。2年前に実戦配備されたばかりの筈の機体であり、少なくてもテロリストが運用出来るような機体ではない。

 更に問題なのはその数だ。計12機、1個中隊がフォーメーションを組んでこの洋上プラントへと向かってきている。

 アメリカ軍では最強の第2世代戦術機と呼ばれている新型機が、これだけの数キリスト教恭順派に流れているのか? しかもその機体色は灰色。国連軍の機体であれば青色の筈なのを見れば、この機体の出所がどこなのかは明白だろう。

 本気でアメリカ政府、あるいはアメリカ軍の中でもかなりの大物が裏にいるらしい。

 確かにここにいるのがこの世界の住人であれば手も足も出ずに死んでいただろう。だが……お前達は選択を間違った。

 

「アクセル? どうかしたのか?」

「いや、何でも無い」

 

 アルトの問い掛けに首を横に振り、早速とばかりに空間倉庫の中からVF-25Fを取り出す。その機体に装備されているのは、俺がS.M.Sに所属していた時に使っていたのと同じトルネードパック装備の機体だ。

 そう、ここにいるのは俺達シャドウミラー。そしてマブラヴ世界より遙かに先を行った技術を持っているマクロス世界の住人であり、その中でも精鋭中の精鋭が揃っているS.M.Sの中でもトップクラスの実力を持つ者だけが所属出来る、スカル小隊のメンバーだ。

 ……ちなみに俺がS.M.Sを退社した関係上、アルトのコードネームは1つ上がったらしい。

 ともあれ、EX-ギアを装備したアルトに向かって口を開く。

 

「この世界の機体、戦術機という種類の機体だが相当に脆い。出来れば情報を得る為に、殺さずに捕らえてくれ。……国連やアメリカに対する交渉材料にもなるしな」

「いや、その……」

 

 何かを言い返そうとする国連職員の男だが、何を言っても墓穴を掘る事になると判断したのだろう。言葉を途中で止める。

 アルトもまたそれ以上は何も言わず、小さく頷いてからVF-25Fのコックピットへと入っていく。

 すぐさま機体を起動し、ファイターのままこちらに向かってきている戦術機の方へと向かって発進した。

 それを見送った後、色々な意味で可哀相な状態になっている国連職員の男を引っ張りながら再び洋上プラント施設内へと戻る。

 考えてみれば、この男も俺達の案内を引き受けたばかりにこんな出来事に巻き込まれているんだから悲惨だよな。

 

「ほら、俺達はこっちだ。後は洋上プラント内部にいるテロリスト共を捕らえるぞ」

「と、捕らえるって……一体どうやって? 敵がどのくらいいるかは分かりませんが、少なくてもこの洋上プラントの守備部隊をどうにか出来る数なのは間違いないんですよ!?」

「問題無い。その辺は俺の……そうだな、召喚魔法でどうとでもなる」

 

 ネギま世界でもスライムは召喚魔法に間違われたんだから、ここでスライムを召喚魔法だと言い切っても問題は無いだろう。

 ……正直グリを出してもいいかとも思ったんだが、あの体躯ではこの洋上プラントの中で行動するのは厳しい。かと言って……いや、ありだな。中で移動するのが厳しいようなら外で使えばいい。

 問題はF-15Eがグリに向かって攻撃してきた時だが……36mmならまだしも、120mmの方は風の衝撃で防げるかどうか微妙だろう。

 だが、今のグリはグリフィンドラゴンの名前通りに竜の血が強く現れている。魔力の類は当然俺と契約した時よりも上がっている筈だ。それに、いざとなったらネギま世界に戻せばいい、か。

 通路の中で素早く判断すると、再び国連職員へと向かって声を掛ける。

 

「悪いがもう1度外に出るぞ。召喚魔法で戦力を出す」

 

 正直な話を言えば、この国連職員は足手纏いでしかない。だが、この施設の中を自由に移動するにはこの男の指紋や網膜が必要なのも事実だ。例えばさっきのシェルターや、あるいは今俺達が出てきたばかりの外へと続く通路も同様だ。

 俺達の案内をするという事で、恐らくゲスト権限だろうが……それでもゲスト権限も何も無い俺達よりはマシだった。

 そうである以上、この男には俺に付き合って貰うしかない。

 

「は? はぁ……分かりましたよ」

 

 不承不承ながらそう告げ、再び認証を済ませて扉を開く。

 先程VF-25Fを出した場所へと移動し、呪文を紡ぐ。

 

『我と盟約を結びし者よ、契約に従いその姿を現せ!』

 

 その言葉と共に、上空の空間が歪み……グリが姿を現す。

 

「GYAAAAA!」




アクセル・アルマー
LV:42
PP:55
格闘:301
射撃:321
技量:311
防御:311
回避:341
命中:361
SP:1402
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    ???
    ???

撃墜数:1120

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