転生とらぶる1   作:青竹(移住)

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0843話

「うっ、うわああぁぁぁぁあああっぁあっ」

「な、何だ。一体何が!」

「くそう、異世界の者だと!? やっぱり俺達を騙しやがったのか!」

「BETAだ! 間違いなくBETAだ!」

「くそっ、俺はこんなところで死ぬ訳にはいかないんだ! この戦いから帰ったら、エリンと結婚をするんだ!」

「父さん、母さん。帰ったら一緒にピクニックに……」

「ちくしょう、生きて戻ったらとっておきの野菜サラダを……」

 

 シロガネの中にあるブリーフィングルームへと影のゲートを通して現れたのだが、さすがに何も説明しないでというのは色々とやばかったらしく、殆どの軍人が混乱して騒いでいる。

 ……というか、後半死亡フラグが立ちまくってるんだが。縁起が悪いのでやめて欲しい。

 ともあれ、手を叩いて全員の注意を集める。

 

「説明しなかったのは悪かったが、さっきのは影のゲートという、一種の転移魔法だ」

 

 その言葉に、ようやく周囲の様子が変わっている事に気が付いたのだろう。軍人達が慌てて周りを見回している。

 

「現在お前達がいるここは、シャドウミラーの旗艦でもあるシロガネの中だ。今からこの艦で一旦シャドウミラーの本拠地でもあるホワイトスターに帰り、そこで戦力を整えてからアラビア半島に出撃する。お前達にもそこで乗り換えてもらう」

「待って下さい! 俺達は戦場でのシャドウミラーの活躍をその目で見るために同行したのであって、ホワイトスターとかいう場所に行きたい訳じゃありません!」

 

 軍人の中の1人がそう告げ、他の軍人達にしても同様なのだろう。言葉には出さずとも、その目には不満の色しかない。

 

「安心しろ。別にお前達を戦場に連れて行かないとは言っていない。お前達が乗り込むのはシャドウミラーの旗艦であるこのシロガネではなく、より安全な場所。シャドウミラーの象徴の1つでもある、機動要塞ニヴルヘイムだ」

「……機動要塞?」

 

 数秒前に声を上げた軍人が再び呟く。

 

「まぁ、ニヴルヘイムがどのような存在なのかは、自分の目で直接確認するといい。ただし、言っておくがニヴルヘイムは非常に機密度の高い存在だ。こちらが用意した部屋を迂闊に出るような真似をした場合は、国連総会の場でも言ったが、文字通りの意味で命で償って貰うことになる。また、その軍人が所属していた国に対しては、何らかの取引をする場合でも相応の扱いとせざるを得ないので、それを理解した上で行動してくれ。戦闘の様子は映像モニタで見れるから、心配はしなくてもいい」

『……』

 

 さすがに自分の行動が原因で自国に被害が及ぶのは避けたいのだろう。軍人全員が沈黙を返してくる。

 

「よし、悪いがここからは時間との勝負だ。……エザリア、量産型Wを」

「もう呼んだわ」

 

 部屋の通信機を手に、エザリアがそう返す。

 この辺はさすがだな。

 

「なら、こいつらをここから出さないように指示してくれ。もし無理矢理に部屋を出ようとするのなら、殺しても構わない。そういう約束で同行させているんだからな」

「了解」

 

 エザリアが頷いたのを確認し、次にブリーフィングルームの通信機でブリッジへと通信を取る。

 

『アクセル、随分と大盤振る舞いするのね』

 

 全て分かっているといった風に頷くマリュー。まぁ、今回は半ば非公開の国連総会だったが、その映像はシロガネの方にも流すように前もって言ってあったから、当然見ていたのだろう。

 

「見ていたのなら話は早い。全員にいつでも出撃できるように言っておいてくれ。その後ホワイトスターに戻って戦力を補充してからシロガネで先発する」

『……シロガネで先発? それってつまり……』

「ああ。ニヴルヘイムを出す。ニヴルヘイムの指揮は取りあえずエザリアに任せるが、基本的には防御に専念させる予定だ。必要なのは、最前線にある絶対的な安全圏という場所だからな。それと、メギロートやイルメヤ、シャドウも動かせる最大数を出すから、連絡を先に入れておいてくれ」

『本気で大盤振る舞いね。ここでシャドウミラーの機密でもあるニヴルヘイムをわざわざお披露目するなんて』

「嫌か?」

『まさか。折角作ったんだから、その性能を存分に発揮させてやりたいと思うのは当然でしょう』

 

 何か、マリューがレモンの影響を受けているような気がする。

 まぁ、ずっと行動を共にしているんだから当然か。

 

「俺は格納庫でシステムXNを使う。転移区画に出たらすぐにニヴルヘイムを持ってくるから、エザリアと観戦武官達を移動させてくれ。それと同時に、ニヴルヘイム程じゃなくても、シロガネに積み込めるだけ機体を積み込んでくれ。イルメヤを重視してくれると助かる」

『イルメヤを? シャドウじゃなくていいの?』

「ああ。まずBETAの動きを止めてしまえば背後のBETA達も動きが鈍くならざるを得ないからな。その後ニヴルヘイムが転移してきたところで、一気に攻撃に移る。……まぁ、その前に片付けられるのなら、それでも構わないんだけどな」

『ふふっ、そうね。じゃあホワイトスターに連絡を入れるから、アクセルも急いでちょうだい』

 

 その言葉を最後に通信を切り、丁度3人の量産型Wがやって来たのを確認してから再び影のゲートを展開。周囲から向けられる軍人達から驚愕の視線を向けられながらも、俺の姿は影に沈み込み……次の瞬間にはシロガネの格納庫の中へと姿を現していた。

 

「さて……」

 

 視線を巡らせると、格納庫に搭載されている幾つもの機体が確認出来る。本来であれば国連総会が終わった後にこの世界の代表達の度肝を抜くべく用意していた、シャドウミラーのオールスターズだ。

 だが幸か不幸か、BETAがそれ以上に最高の活躍の場所を与えてくれた以上はそれに乗じさせて貰うとしよう。

 脳裏のリストからニーズヘッグを選択し、俺の隣に現れたその機体のコックピットへと乗り込み、念動力のチェックを含めた個人認証を済ませて機体を起動。

 

「ブリッジ、聞こえているな? こちらアクセル・アルマーだ。これからシステムXNを起動する」

『ええ、了解したわ。こっちはいつでもいいわよ』

 

 そう答えたのは、マリュー……ではなく、レモン。

 小さく目を見開いた俺の様子に悪戯っぽい笑みを浮かべて口を開く。

 

『マリューはホワイトスターの方に連絡をしているから、手が離せないのよ。だから私が通信を受けた訳。それで、こっちはいつでもいいわよ。既にホワイトスターの方でも着々と準備が整えられているわ』

 

 レモンの言葉に一度頷き通信を切り、システムXNを起動する。

 

「システムXN、起動。リュケイオスとのリンク……接続確立。座標固定完了、転移フィールド生成開始」

 

 その言葉と共に、ニーズヘッグから光の繭のような物が産み出されて、急激にその大きさを増していく。

 シロガネ全体を覆い隠す位置まで繭の大きさが広がったのをT-LINKシステムによって確認する。

 

「転移フィールド生成完了。……転移」

 

 その言葉と共に、次の瞬間にはマブラヴ世界のニューヨークにいた筈のシロガネは、ホワイトスターの転移区画へとその姿を現していた。

 一応シロガネの周囲の様子を確認し、ブリッジへと通信を入れる。

 

「マリュー、これからニヴルヘイムを持ってくるから、機体の搬入を可能な限り頼む。それと、ニヴルヘイムの転移が完了するまではリュケイオスの使用を一時制限すると各世界に連絡を回してくれ」

『各世界への連絡は既に終わっているわ。後は今メギロート、イルメヤ、量産型Wの操縦しているシャドウが続々とこちらに集まってきてるから、アクセルは早いところニヴルヘイムの方をお願い』

「分かった。転移区画にニヴルヘイムの受け入れ準備を頼む。ああ、それとシロガネのブリーフィングルームにいる観戦武官一同をニヴルヘイムに移す準備も頼む。それ以降に関してはエザリアに任せる」

 

 それだけ告げ、ニーズヘッグから降りてニヴルヘイム専用の格納庫へと影のゲートを開く。

 一応転移区画はニヴルヘイムが移動出来るだけの高さはあるが、それでもまさかこの転移区画にシャドウミラーの中でもトップシークレットに近い軍事機密のニヴルヘイムを置いておくわけにもいかないので、専用の格納庫を用意したのだ。

 何しろ高さ5kmで、最下降部はフレイヤ発射口がついているのだから、停止させておくにも専用の施設が必要になる。具体的に言えば、ブラックホールエンジンによる重力制御で無重力状態を作り、尚且つ専用の乗り込む為の装置も用意されている。こちらに関しては、先程マリューに頼んだように転移区画にもあるのだが。

 その格納庫に影のゲートを使って姿を現すと、ここの担当の量産型Wが早速近寄って来た。

 

「隊長、何かご用でしょうか」

「ニヴルヘイムを出す。ニヴルヘイムを動かす要員はここに揃っているな?」

「はい、全部で837人。いつでも出撃は可能です」

「そうか、ならすぐにでもここに集めろ。影のゲートで一気に転移区画に向かう」

「了解しました」

 

 量産型Wが素早く敬礼して去って行くのを見ながら、俺も遊んではいられないとばかりにニヴルヘイムを係留している専用の装置の下へと向かう。

 そのまま空中に浮かんでブラックホールエンジンで作り出した無重力帯の中へと突入してその装甲へと触れると、次の瞬間には全高5kmを超えるニヴルヘイムは一瞬にしてその姿を消していた。

 あるいはもし誰かがここにいたのなら、驚愕で目を見開いたであろう光景。

 もっとも、ホワイトスターを収納した時に比べればどうという事もないんだけどな。

 そんな風に思いながら先程の場所へと戻ると、そこには既に量産型Wが続々と集まってきている。

 さすがにこの短時間で全員が集まるというのは無理だったが、それでも半数以上は既に集まっていた。

 

「後どれくらいで全員集まる?」

「5分程かと」

「……そうか」

 

 多少不満はあるが、この広大な格納庫の中に800人以上が散らばっているのを考えれば、寧ろ時間は掛からない方だろう。

 にしても、自分で言っておいてなんだが、こうも早くBETAと戦う事になるとはな。いや、勿論望むところではあるんだが、それでも予想外の早さと言ってもいい。

 バジュラに続いて多くの経験値やPPを入手出来ると考えれば、それ程悪い事じゃない。それに、このままアラビア半島が陥落すれば色々な意味で不味いしな。

 そんな風に考えていると、量産型Wが声を掛けてくる。

 

「アクセル隊長、全員集まりました」

 

 その言葉に周囲を見回すと、量産型Wは全員が既に整列しており準備万端といった様子だ。

 

「分かった。ならこれから転移区画に移動する。向こうに到着したら、すぐにニヴルヘイムの準備に取り掛かれ」

「了解しました」

 

 命令に量産型Wが頷くのを確認し、そのまま再び影のゲートを展開する。

 さすがに800人を超える程の人数を影のゲートで送り込むとなると魔力が急激に消耗していき、SPの数値はかなりの早さで減っていく。

 だが、それでも800人以上がホワイトスターの通路を移動するとなると、ちょっと洒落にならない時間が掛かる。それを思えば、多少の負担はあれども俺が転移させた方が効率的だろう。

 SPに関しては、SPブーストで時間が経てば回復するんだし。

 そんな風に考えている間に、影のゲートは転移区画へと到着して量産型Wを次々に出していく。

 シロガネから降りていた各国の観戦武官達がその様子を見て唖然としているが、それは無視してそのままマリューが用意しておいたニヴルヘイムの駐機用の機械へと向かう。

 

「アクセル、こっちはいつでもいいわ。ニヴルヘイムをお願い」

 

 軍人達の近くにいたエザリアの言葉に頷き、そのまま空中を飛んで駐機用の機械へと到着、脳裏のリストの中からニヴルヘイムを選択する。 

 すると次の瞬間、軍人達は影のゲートから現れた800人以上の量産型Wを見た時と比べても圧倒的と言える程の驚きの声を上げる。

 ……まぁ、突然目の前に高さ5kmを超える建築物が現れたら無理も無いか。

 だが、今は少しの時間も惜しい時だ。そんな軍人達を無視し、エザリアへと声を掛ける。

 

「じゃあ、俺達は先に行くからニヴルヘイムは頼んだぞ」

「ええ。けど、なるべく早く本職を見つけてちょうだいね」

 

 そんな声を聞きつつ、周囲に待機しているメギロートやイルメヤ、シャドウの様子を確認してから再びシロガネのブリッジへと影のゲートで移動。

 既に慣れたといった感じで、驚いた様子も無いマリューが俺を出迎える。

 他の面子は一切いないのを見ると、既に全員格納庫で戦闘準備を整えているんだろう。

 

「戦力はどれくらい集まった?」

「ちょっと時間が足りなかったから、メギロートが1000機程度、イルメヤが500機、シャドウが300機といったところよ。シロガネに乗せきれない分は一緒に転移フィールドで運ぶ予定ね」

「なるほど。なら早速頼む」

「ええ」

 

 必要最小限のやり取りで意思の疎通を完了し、マリューはシロガネと転移区画にいる人員へと指示を出していく。

 そしてリュケイオスによって転移フィールドが生成され……次の瞬間にはシロガネとそこに乗り切れなかったメギロート、イルメヤ、シャドウはマブラヴ世界のオーストラリアへと転移を完了していた。




アクセル・アルマー
LV:42
PP:25
格闘:301
射撃:321
技量:311
防御:311
回避:341
命中:361
SP:1402
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    ???
    ???

撃墜数:1114

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