転生とらぶる1   作:青竹(移住)

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0838話

 戦術機の引き渡しが終わってから数日。予想外の事に、あの後にマイクを送り込んできたアメリカが特に動きを見せる事無く過ぎていったのだが……

 

「こう来たか。ある意味で予想通りではあるが予想外でもあるな」

「アクセル、それ色々と矛盾してるわよ?」

 

 テーブルの上に乗っている手紙を見ながら呟いた俺の言葉に、レモンがどこか呆れたような表情を浮かべてそう告げてくる。

 それはレモン以外のメンバーも同様なのだろう。コーネリア、マリュー、スレイ、シェリルの4人もそれぞれの態度ながらレモンと同じような感じで俺へと視線を向けている。

 

「とは言ってもな。国連総会に呼ばれるってのは半ば予想していたが、まさかこんな古式ゆかしい手紙を送ってくるとはさすがに予想外だった」

 

 手に持った手紙の裏を返すと、何らかの紋様が刻まれた封蝋がされている。

 封蝋、か。そう言えばOGs世界に転移してホワイトスターを空間倉庫に収納した後で、地球に降りて旅行している時にイスルギ重工に見つかった時にも封蝋をされた手紙を貰っていたな。

 ……思えば、随分と遠くへ来たな。失ったものも大きいが、手に入れたものもまたそれに比べられない程に大きい。

 テーブルに座って俺へと視線を向けている愛すべき女達。これを守る為なら、俺は文字通りの意味で大魔王にでもなんでもなるだろう。

 もっとも、レモン達の場合は大人しく守られていたりするような女達ではないが。

 

「どうしたの?」

「いや、何でも無い」

 

 紅茶を飲みながら尋ねてきたマリューに小さく首を横に振ってから、誤魔化すように封蝋のついている手紙へと視線を向ける。

 ちなみに、まだ手紙を見ていないのに何故国連へ呼ばれたのかを知っているかと言えば、単純にこの封筒を持ってきたマイク自身がそう口にしたからだ。

 ともあれ、その封蝋を破って中の手紙を取り出して目を通す。

 そこにはある意味予想通りの事が書かれていた。

 曰く、この世界に現れた異世界の国家でもあるシャドウミラーの代表と、危機的状況にある現在のこの世界をどうにかするべく、話を聞かせて欲しいと。

 その為、10日後にニューヨークにやってきて国連総会に参加して欲しいと。

 その際の移動手段は俺達シャドウミラーに任せるが、希望するのなら国連側で用意する。そんな事が色々と小難しい言い回しで書かれている。

 

「ふぅん……なるほど。当然と言えば当然だけど、向こうにしてみればやっぱり私達がどれだけの戦力を持っているのかを分かってないんでしょうね。だからこそ、私達がニューヨークに出向く際に連れて行く戦力については特に何も触れていない、と」

「だが、レモン。それではもし私達が侵略の意図を持っていた場合、向こうとしては何も対抗できないのでは無いか?」

 

 スレイがクッキーを飲み込んでから告げるが、レモンはその桃色の髪を掻き上げながら口を開く。

 

「さて、その辺の事情まではちょっと分からないわね。オーストラリアからの報告でこっちを全面的に信じた……という事はまず無いと思うけど。考えられる可能性としては、結局こっちは一国家でしかないと判断して、このマブラヴ世界の戦力をニューヨークに集めて私達を威圧するというのはあるかもしれないわ。それだけの戦力を集めておけば、私達が妙な考えを持っていてもどうにでもなる……ってね」

「ふんっ、舐められたものだ。あの戦術機とかいうリオン以下の機体が何機集まったところで、私達がどうこうされる筈が無い」

 

 レモンの言葉にコーネリアが不愉快そうに鼻を鳴らす。

 

「で、結局どうするの? 大人しく向こうの言いなりになる? ……アクセルがそんな殊勝な訳がないか」

 

 シェリルの言葉に、小さく肩を竦めてから口を開く。

 

「確かに向こうの思惑通りになってやるのは色々と面白くは無いが、逆にその通りに行動してやって向こうの度肝を抜いてやるのはありだろうな。……ニヴルヘイムは……いや、ここで奥の手まで見せるのは面白くないか。そもそも、あの大きさだと地上に着地させるのも出来ないし、無意味に向こうの恐怖心を煽るだけだ。となると、シロガネか」

「……なるほど。確かにこの世界にある大きな航空機と言えば輸送機だけだし、再突入型駆逐艦にしても基本的に非武装で移動や輸送用だものね」

 

 シロガネの艦長でもあるマリューが納得したといったように頷く。

 

「そうだ。しかも再突入型駆逐艦のように宇宙から降下するのではなく、空中を移動して進む。そうなれば勿論光線級に狙わる可能性は……普通の光線級は問題無いが、重光線級の場合は射程距離内か」

 

 重光線級の単純射程距離が1000kmを超える以上、ユーラシア大陸からオーストラリアは十分射撃は可能だろう。だが、地球の形を考えると……さて、どうだろうな。

 

「まあ、もし射撃を受けたとしてもBETAの情報を見る限りではEフィールドを突破するのも無理だろうから、気にする必要は無いか」

 

 正直な話、メギロートとイルメヤ以外のバリア関係を装備している機体であれば、光線級や重光線級のレーザーの直撃を受けたところで基本的には全く被害は無い筈だ。

 そしてメギロートやイルメヤにしても、その装甲はシャドウのように厚くないにしろ、装甲材の関係で初期のメギロートやイルメヤよりも大分上昇している。それこそ、シャドウではなく普通のゲシュペンストに比べると多少落ちるといった程度までに。

 ノーマルのメギロートやイルメヤとゲシュペンストの装甲にかなりの差があった事を思えば、どれだけその2機種の性能が上がっているのかがよく分かるだろう。

 ……まぁ、性能向上についてはメギロートをバージョンアップさせてきたのが最大の理由なので、ここでイルメヤを挙げるのは多少違うかもしれないが。

 ともあれ、メギロートにしろイルメヤにしろ、光線級からのレーザーを長時間連続して、それも同一ヶ所に浴び続けない限りはそれ程問題は無いと思われる。

 そして、高性能な戦闘用AIがそんな一ヶ所にただじっとしている筈も無く……

 

「そうでしょうね。少なくてもマブラヴ世界から提供されたデータを見る限りでは、光線級にシャドウミラーの機体が撃墜されるような心配はしなくてもいいと思うわ。それだけの機体に仕上がっているのは技術班の代表として保証しましょう」

「って事で、取りあえずシロガネで移動するのに光線級の心配をする必要は無い」

「……ねぇ、飛んでいくのはシロガネの……より正確にはシャドウミラーの力を見せつけるのが最大の理由なのよね?」

 

 俺やレモンの話を聞いていたシェリルが、ポツリとそう呟く。

 その問い掛けにその場にいる全員が頷くのを見たシェリルは、そのまま紅茶の入ったカップを触りながら言葉を続ける。

 

「なら、システムXNは? 確かに光線級とかいうBETAがいる中を飛んでいくのは色々とマブラヴ世界の人達に対する威嚇にはなるでしょうけど、それを言うのならシステムXNで転移して突然国連本部にシロガネが姿を現すのも、同じくらいに向こうに対する牽制になるんじゃない?」

「……なるほど。確かに転移という手段は間違いなくこの世界には無い技術だ。それを考えれば、シェリルの手段も十分に検討してもいいと思うが。……どうだ?」

 

 コーネリアの言葉は事実だ。確かにこの世界に転移という技術が無い以上は、その手も有効だろう。……いや、有効過ぎると言うべきか?

 そのまま数秒程考え、首を横に振る。

 

「空を飛ぶというのはこの世界でも普通に可能な事だ。それを殆どやっていないのは、あくまでも光線級が理由だ。だが、俺達が敢えてそれを行う事で、こちらの戦力の高さを向こうに印象づける事が出来る。BETA最大の脅威でもある光線級も俺達の敵ではない、とな。だが、転移は向こうにしても完全に理解は不可能だろう。それを見せてしまうと、色々と厄介な事態になりかねない」

「……そういうものかしら?」

 

 俺の言葉に、いまいち理解出来ないといった様子でシェリルが首を傾げる。

 この辺はフォールドを日常的に使っていたマクロス世界の出身故だろう。

 もっとも、フォールドは正確には転移の類ではないんだが。

 

「恐らくだがな。それにこっちが転移を使えると分からなければ、いざという時……それこそ可能性は非常に少ないが、国連総会に出て行った俺達をこの世界の総戦力でもって捕らえようとした時とかに、システムXNでその場を離脱する事も出来る」

 

 まぁ、実際にそんな自体になったら転移で離脱するのではなく、迎撃して逆に向こうの戦力を圧倒するような事にもなりかねないが。

 

「なるほど。……じゃあ、アクセル。具体的にはどのくらいの戦力を持っていくの?」

「ニヴルヘイム以外の幹部戦力はほぼ全機ってところか。シャドウやメギロート、イルメヤに関しては100機ずつ程度いれば十分だろ」

「……幾ら何でも過剰戦力じゃない? 正直な話、この世界そのものをどうにか出来るだろう戦力よ?」

 

 驚きの表情を浮かべながら告げてくるレモンに頷き、口を開く。

 

「ああ。どうせこちらの戦力を見せつけて砲艦外交をするのなら、圧倒的な戦力を見せつけた方がいいだろ。そうすれば、一々向こうから煩わしい干渉をされるような事もないし」

「逆にこの世界から脅威と見なされそうなんだけど……」

 

 俺とレモンの言葉を聞いていたマリューがそう呟くが、もしそれを選択するのなら、それはこの世界の選択なんだろう。

 

「まあ、大きな問題は無いと思っているけどな。この世界の住民達にしても、わざわざ自分達の敵を増やすような真似はしない筈だ」

「だと、いいんだけど……」

 

 不安そうなマリューだが、正直この時点で新たな敵を自分達から生み出すようなら、もう救いようがないと言ってもいい。

 そう考えている中で、エザリアと相談して決めていた方針を思い出した。

 

「そう言えば、俺達シャドウミラーは国連の支配下に入るという形ではなく、オーストラリアの同盟国……即ち、国連の同盟国として動いていく形になるから、その辺は理解しておいてくれ」

「まあ、それはそうでしょうね」

 

 これまでも他の世界に対しては、どこかの支配下に入るのではなく同盟国として――その実情はどうあれ――活動してきたのだ。さすがにこの世界でだけ国連の支配下に入るという形には出来ない。

 そもそも、現在の国連がアメリカの意思を無視できない以上、国連の支配下に入ったりしたら何を要求されるのかは、想像に難くない。まず間違いなくこちらの技術や資源を要求してくるだろう。

 それを探る為に派遣されてきたのがマイクだったのだろうから。

 

「こっちのスタンスと戦力に関しては了解したわ。じゃあ、お披露目に備えて準備を開始した方がいいわね」

「ああ。……さっきも言ったが、一応念の為に俺達がニューヨークに向かった時もゲートの護衛はしっかりと頼む。まぁ、そんな馬鹿な真似をする奴がいるとは思えないが、念の為にな」

 

 もっとも、ゲートを占拠して俺達の帰還手段を奪ったと思い込んでいたとしたらそれは笑い話でしかない。俺がいる以上……そしてニーズヘッグがある以上、いつでもホワイトスターに帰れるのだから。

 そしてホワイトスターに戻れば、マブラヴ世界のゲートを爆破するのは難しくない。

 それが終了したら、後はホワイトスター内に転移した相手を個別に潰していけばいいだけなのだから。

 こうして、いつものように幹部会議とでも呼べるような……あるいは家族団らんの一風景とも言える光景は終わる。

 尚、この翌日、ソ連と韓国に19個目、20個目のハイヴの建設が始まったとエザリアから聞かされる事になる。

 

 

 

 

 

「アクセル、出撃準備完了よ」

 

 シロガネのブリッジ、そこで俺はマリューからの報告を受けていた。

 数日前に入ってきた、新たなハイヴ建設。

 正直な話、BETAの巣とも言えるハイヴが作られたのだから、俺達の国連招致に関しては延期するものだと思っていた。

 だが……いや、あるいはハイヴが作られたからこそか、予定通りに国連総会で俺達とこの世界の国々との初顔合わせは行われることになっていた。

 異世界の国家であるシャドウミラーに弱みを見せたくない。……そんなところなんだろうな。

 ともあれ、向こうがこのまま進めるというのならこちらとしても文句は無い。

 そういう事でこちらも準備を整え、こうしてその準備完了の報告を受け取ったのだ。

 視線を巡らせれば、シロガネのブリッジにはシャドウミラーの主要メンバーが殆ど揃っている。

 普段はギアス世界やら何やらに派遣されているギルフォード、この手の事が嫌いなムラタ、ギルフォード同様色々と便利に使われているエキドナの姿もあるのだから。

 まぁ、エヴァやフェイトといった面子はいないけど。

 

「よし、ではアメリカのニューヨークへ向けて発進してくれ」

「了解、シロガネ、発進します」

 

 艦長であるマリューの声と共に、シロガネはマブラヴ世界の空を飛びながらニューヨークへと向かって進み始めた。




アクセル・アルマー
LV:42
PP:25
格闘:301
射撃:321
技量:311
防御:311
回避:341
命中:361
SP:1402
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    ???
    ???

撃墜数:1114

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