転生とらぶる1   作:青竹(移住)

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0835話

「では、改めて。私がオーストラリアの首相を務めているアンディー・クックといいます」

 

 禿げた頭の50代程の男、アンディーがそう言いながら握手を求めて差し出してくる。

 一応挨拶に関しては飛行場でしているのだが、ここで改めてといったところか。

 

「シャドウミラー代表のアクセル・アルマーだ」

 

 そう告げ、軽く握手を交わしてからそれぞれ小さなテーブルを中心にして向かい合わせになった席に座る。

 首脳会談をするという事だったので、てっきり会議室のような場所に通されるのかと思っていたが、通されたのはホテルの最上階にあるスイートルームだった。

 まぁ、確かに非公式の首脳会談である以上は会議室のような場所にする必要も無いんだよな。

 向こうの気遣いなんだろうが、意外に細かいところに気が回っているようで好印象だ。

 そんな風に思っていると、次にアンディーはチラリと自分の横に立っている30代程の男へと視線を向けてから口を開く。

 

「彼はミエド・プドル。私の第一秘書を務めて貰っています」

 

 先程から思っていたが、気の回し方や柔らかい話し方は……俺達からの協力をどうしても引き出したいといったところか。

 ミエドと紹介された男は、小さく頭を下げて挨拶してからアンディーの後ろへと立つ。

 それを確認したコーネリアが、次は自分の番だとばかりに1歩前に出て口を開く。

 

「コーネリア・リ・ブリタニアという。シャドウミラーの実働班を率いている。こちらでいう、軍の総司令官という認識で構わない」

「ほう、これ程に美しい戦女神が率いる軍とは、シャドウミラーというのはさぞかし高い士気の軍隊なのでしょうな」

 

 いきなりおべっかを使うのはコーネリアが軍の総司令官だと認識したからか、あるいは単純にアンディーが女好きなのか。

 ……まぁ、女好き云々で俺がどうこう言える訳がないから口にしないけどな。

 

「ふふっ、口が上手いな。誰かさんにもお主程の口の上手さを持って欲しいものだ」

 

 アンディーの言葉に俺の方へと視線を向けながら小さく笑みを浮かべたコーネリアが、当然といった様子で俺の隣の席へと座る。

 この国の首相の秘書が1歩後ろに下がったのだから、儀礼的な意味であれば本来ならコーネリアもそうするべきなのだろう。だが、お互いの国家間の力の差という意味で意図的にコーネリアは俺の隣に座ったのだ。

 国交を求めるにしても、そこには明確な上下関係というものが必要になる。例え、それが名目上は対等の同盟であったとしても、だ。

 それを厭うようであればいっそ別の国と国交を持っても構わないし、俺個人としてはまだどことも正式に国交を結んでいない以上、このままこの世界から撤退しても構わないとすら思っている。

 ……まぁ、シャドウミラーで国交を結んだ方がいいと結論が出た以上、それを口にするつもりはないが。

 向こうとしてもお互いの国としての力の差は、俺の言動や演習、あるいはゲート周辺で起きた戦いにより理解しているのだろう。特に何を言うでも無く、笑みを浮かべてコーネリアと会話を続けている。

 この程度は全く気にしないか。さすがに人類が詰み掛けているこのマブラヴ世界で世界第2位の国の首相を務めているだけの事はあるな。

 それに関してはミエドと名乗った秘書も同様らしく、コーネリアの態度を見ても特に表情を動かすような事はしていない。

 

「ほう、コーネリアさんはアクセル代表とは別の世界の人なのですか?」

 

 数分程コーネリアと話をしていたアンディーが、その言葉と共に俺の方へと視線を向けてくる。

 

「そうだ。ギアス世界と呼ばれている世界の、ブリタニア……このマブラヴ世界で言えばアメリカの位置にある大国の皇女だったんだが、色々とあってな」

「その……こうして聞くのもなんですが、他の世界からシャドウミラーへと所属した人は結構いるんですか?」

 

 軽い様子で尋ねてくるが、この辺はオーストラリア政府としても是非知っておきたいところだろう。何しろ、BETAに攻められているのだから、いざという時にはホワイトスターに逃げ込みたい。……そんな風に考えていてもそれ程おかしい話ではない。

 

「そうだな、10人ちょっとくらいだな」

 

 まぁ、SEED世界で保護したスティング達のようなエクステンデッドを入れればもっと増えるかもしれないが。

 

「10人……そうですか、10人ですか」

 

 予想以上に少ない人数だったのだろう。アンディーが多少気落ちしたように呟く。

 シャドウミラーの人数を考えれば決して少なくない割合なんだが、その辺に関してはわざわざ口にする必要も無いだろう。

 

「基本的には一芸に秀でている者をシャドウミラーがスカウトするという形になっているな。例えばコーネリアは、軍の指揮官として有能であるという理由もある」

 

 より正確にはおれの恋人でもあるというのが最大の理由なのだが、それをここで言えばそれを狙った女が大勢押しかけてくる可能性もあるので、その辺は口にしない。

 

「……ちなみに、他にはどのような?」

「技術者や科学者が多いな。シャドウミラーの国是に未知の技術の収集というものがあって、その関係でシャドウミラーに所属した者達だ。……こう言ってはなんだが、この世界に対する協力関係を築くのに前向きなのも、そっちの技術者達だ」

 

 その言葉にアンディーの表情が輝き、口を開く。

 

「では、私達の世界に対して国交を開いて貰えると考えてもよろしいので?」

「そうだな。まだ完全にそうと決まった訳では無いが、その方向でシャドウミラー内部では話が進みつつある」

「では!」

「ただし!」

 

 勢い込んで尋ねてくるのを遮るようにして言葉を紡ぐ。

 

「その為に色々と条件のすり合わせが必要になるのは理解して貰えると思う。こちらにとって利益の無い話であれば、その結論を覆すようなことにもなりかねない」

「……具体的には、どのような条件をお望みで?」

 

 一瞬の沈黙の後、そっと口を開いてくるアンディーに対し、恐らく最もこの世界の住人としては受け入れがたいだろう条件を口にする。

 

「まず、先程も言ったが俺達シャドウミラーの国是として未知の技術の収集というものがある。だがこのマブラヴ世界の場合は、残念ながら技術的に見るべきものは殆どない。それは理解して貰えるな?」

 

 その問いに、アンディーは無言で頷く。

 一国の首相として、技術的、文化的な後進国と言われたにも等しいのだが、それでも言い返してくるようなところがない辺り、さすがと言うべきだろう。その後ろに立っているミエドは一瞬だが、確かに頬をピクリと動かしたのだから。

 

「それをそちらの軍部にも話したんだが、その時に提示されたのがG元素だ。だが、このG元素は基本的にフェイズ4以降のハイヴにしか存在していない。そして、こう表現するのもなんだが、そのハイヴの所有権はその国にある訳だ。つまり、俺達がG元素を欲しいからといって、勝手に攻略する事が出来ない訳だ。そもそも、オーストラリアの国土にはハイヴが無いしな。だが……」

 

 まぁ、最悪ASRSとかミラージュコロイドを使って秘密裏にハイヴ攻略をやるというのも可能かもしれないが、それは本当に他に手段が無い場合だ。

 わざわざ国交を開こうとしている世界の国との関係をこっちから望んで悪くしたいとは思わないし、何より他にG元素を得る手段があるのだから。

 そこまで告げた時点で、半ば俺の言葉を予想出来たのだろう。アンディーの目が大きく見開かれる。

 だが、それに構わず、決定的な言葉を口に出す。

 

「G元素を満載……かどうかまでは分からないが、ある程度は持ったまま地球に向かって撃ち出されているBETAの着陸ユニット。これの迎撃はSHADOWと呼ばれている迎撃システムを使って国連がやっているようだが、こちらでも参加できるように取り計らって欲しい」

「そっ、それは……」

 

 さすがに即答出来ないのか、言葉に詰まる。

 ここまではやり手の政治家らしい態度だったが、今の要請については色々と厳しいらしい。

 それでもすぐに言葉を続けられる辺りはさすがと言うべきだろう。

 

「……そう言われても、事は我が国だけでは判断出来ません。すぐには……」

「分かっている。勿論そちらにそれなりのリスクを冒させる以上、相応のリターンを用意するつもりだ。それらを考えた上で結論を出して貰えばいい」

「リターン、ですか?」

「そうだ。まずこの世界では食糧が絶対的に不足しているな? その食糧をシャドウミラー経由で他の世界から輸出しよう」

 

 そう告げた瞬間、アンディーの目の色が目に見えて変わる。

 国土の多くを農地へと変えているオーストラリアでも……いや、そんなオーストラリアだからこそ、食料について敏感になっているのだろう。

 正直な話、これだけでも向こうとしては驚愕の提案ではある筈だ。だが、それだけでは終わらない。

 

「この世界ではユーラシア大陸がBETAに占領されている以上、資源的にも色々と厳しい事になっているな?」

「……ええ、それは確かに」

「そして、同時にBETAの死体の処分についても困っている筈だ」

「……ええ」

 

 再び俺の言葉に頷くアンディーに対して、爆弾を投下する。

 

「こちらとしては、BETAの死体を産業廃棄物的な感じで金を払って貰えば引き取る用意がある。そして、BETAの死体を運んできた国に対しては、一般的な資源を割安で販売する事を約束しよう」

「何ですと!?」

 

 穏やかに会話を続けていたアンディーの口から上がる叫び声。

 それだけ向こうにしてみれば破格の提案なのだから無理もない。

 もっとも、ぶっちゃけこの件に関してはこっちの丸儲けに近いのだが。

 

「合成食に関しても、技術的に協力可能だろう。現在は味よりも量を重視して作っている筈だが、それを改良してより味を向上させる事も出来るかもしれない」

「……他にも何か?」

 

 どこか疑り深いとすら言えるような、こちらを探る視線。

 そんな視線を受けつつ頷いて口を開く。

 

「勿論だ。ある意味ここからが本番ではあるが、俺達シャドウミラーがいわゆる傭兵的な存在として協力しようと思う。俺達の機体の戦力がどれだけ高性能かは、既に説明するまでもないだろう?」

 

 オーストラリアの首脳である以上、俺がサラマンダーを使った演習の映像は見ているだろう。そして機体に関してはこちらで接収したが、ゲート周辺での戦闘に関しても破壊された指揮車辺りからデータの復旧くらいは出来ていると思ってもいい。

 演習に出したサラマンダーは俺の使っている1機しか無いが、後者のメギロートとイルメヤに関しては半ば無尽蔵に出す事が出来る。

 それに量産型Wの使うシャドウや、シャドウミラーの幹部達の機体性能を考えれば、その戦力に疑問を抱くような事は一切無い。

 そして、俺達からの提供できる案件は当然これ以外にもある。

 

「また、幾らシャドウミラーが強くても俺達の戦力に頼り切りというのも色々と不味いだろうから、こちらの技術に関しても輸出する事を考えている。特に戦術機に関して言えば、こちらが所持しているバッテリーを使えば稼働時間が飛躍的に伸びるだろうし、CPUやメモリといったパーツに関しても当然俺達の方が圧倒的に進んでいる」

 

 もっとも、それらのパーツはあくまでも俺達の独自規格だから、戦術機に使用するにしても色々と工夫が必要になってくるだろう。

 その辺に関しても、恐らく俺達からの協力が必要になる筈だ。

 既にアンディーの表情は、驚くのではなく強張っている。

 向こうにしてみれば、それ程の衝撃なのだろう。

 こっちにしては、既に時代遅れになったパーツの処分セール的な意味合いでもあるんだが。

 そして、最後にこれまでの中でも最大級の爆弾を1つ。

 

「最後に、他の世界の兵器をこちらの世界に売る事を考えている。勿論、その際にはシャドウミラーとの条約を締結してからになるだろうが、殆どが戦術機よりも高い性能を持っているのは間違いない。それに、戦術機よりも性能が低い兵器もあるが、その代わりに基本的には誰でも乗れる利便性を持っている。戦術機のように、厳しい基準や能力で選ばれたパイロットでなければ操れないというものでもない。……ただ、当然そんな機体だけに、前線で戦うというよりは後方からの援護射撃がメインになるだろうがな」

 

 当然、この機体というのはガン・ルゥだ。

 陽光で処分に困って余っている以上、こちらが格安で買い取ってそれなりに高値で売ってやるのもいいだろう。

 ……KMFはエナジーフィラーで動く以上、ガン・ルゥを使えば当然そっちでも儲ける事は出来るだろうしな。

 

「ああ、これで最後だと言ったがちょっと間違いだな。こっちが本当の最後だが、俺達シャドウミラーと交流を持とうとする場合、オーストラリア政府には窓口になって貰いたい。有象無象が大量に交渉を求めてきても迷惑だからな。ただし、特定国家に対して贔屓をしたりしたら……恐らくそれが俺達シャドウミラーがこのマブラヴ世界を見捨てる契機になるかもしれないとだけは覚えておいた方がいい」

 

 窓口であるという特権を私利私欲に使った場合、俺達シャドウミラーはこの世界から引き上げる。そう言外に滲ませ、告げるのだった。

 ……さて、エザリアやレオン達の方はどうなっているのやら。




アクセル・アルマー
LV:42
PP:25
格闘:301
射撃:321
技量:311
防御:311
回避:341
命中:361
SP:1402
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    ???
    ???

撃墜数:1114

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