転生とらぶる1   作:青竹(移住)

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0814話

 その報告を聞いた俺は、目の前に立っているレオンに向けて思わず呆れたように呟く。

 

「その報告は事実か? 何かの間違いじゃなくて?」

「ええ。私の部下からの報告ですから間違いないでしょう」

 

 レオン自身も呆れた、とでもいうように肩を竦めてそう呟く。

 

「だが、何故今なんだ? 示威目的で流したニヴルヘイムの映像に関してはSEED世界でも十分に流れていただろう?」

「確かに。実際、私もあの映像を見た時は肝が冷えましたよ。正直、あの時程シャドウミラーに所属している自分を幸運に思った事はありませんでした。けど、それが理由で恐らくマクロス世界でも色々と騒ぎになっていると思います。新統合軍には、自らの力量を正確に把握出来ない者もいますしね」

「そっちの件はいい。何かが起きたら、きっちりこっちで対応するからな。その為に向こうにはメギロートやイルメヤを置いているんだし、シャドウもそれなりの機数配置している。それに最悪、ゲートを破壊してしまえばいいだけだしな。それよりもお前が報告してきた件だが」

 

 呟き、改めて渡された報告書へと目を通す。

 そこに書かれている内容は変わらず、やはり俺の見間違いではなかったらしい。

 即ち、ロゴスに不穏な動きあり、と。

 

「……今の状況で動き出すとはな。さすがに予想外だった」

「今だからこそ、かもしれませんよ?」

 

 呟いた俺の言葉にそう返してくるレオン。だが、今だからこそだと?

 

「何故だ? 今の俺達はSEED世界で奴等を相手に戦った時と比べても尚強力な戦力を持っている。俺がマクロス世界に行っていた間にも技術発展は続けられていて、ニヴルヘイムという規格外の存在すらも作り出した」

 

 ニヴルヘイムと同様の物を買えないかと新統合軍から密かに打診があったのだが、さすがに断っている。そもそも、俺達ですらまだ得たばかりの最新鋭の兵器を――兵器と呼ぶには些か躊躇する――売ってくれというのにはさすがに呆れたが。

 大体、ニヴルヘイムはコスト的にもの凄い。正直な話、普通に作るとしたらマクロス級数十隻単位のコストが必要なんじゃないだろうか。

 シャドウミラーがニヴルヘイムを完成出来たのは、元素変換装置のキブツがあってこそなのだから。

 

「シャドウミラーがニヴルヘイムを作り出したのが、余計にロゴスの危機感を強く煽ったのでしょう。今の状況でもロゴスとシャドウミラーの戦力差は大きく開いています。ならば、これ以上の時間を掛ければ更に戦力差が開き、どうあっても逆転する事が出来ないと判断し……」

「暴走じみた選択か。……だが、ロゴスの重要メンバーには量産型Wが連絡役や監視役として常に同行している筈だが?」

 

 そう、SEED世界で俺達が勝者となったあの戦いでロゴスの意思決定をしていた幹部達には量産型Wが貼り付けられている。更にオーブからも監視の目的で派遣されている者がいる筈だし、何かひっそりと裏で行動を起こすという真似は出来ないようになっていたのだが……

 だが、俺のそんな疑問にレオンは大袈裟に肩を竦めてから口を開く。

 

「確かにロゴスの主要メンバー自らが動いたのならすぐに量産型Wが動いていた事でしょう。ですが、今回は実質的に動いているのは中堅幹部……いえ、それよりももっと下の位置にいる幹部のようなのです。だからこそ、量産型Wも今の時点では動きを把握出来なかった。……これが、もう少し事態が進行していれば話は別でしたでしょうが」

「……待て。それだとロゴスで動きがあるというのは、幹部じゃなくて下っ端の暴走か?」

「さて、どうでしょう。少なくても主要メンバーの方々はそのように主張するのは間違いないでしょうけど」

 

 レオンの言葉を聞きながら最初の部分だけを読んでいた報告書へと目を通す。

 どうやら幹部の中でも下っ端……悪く言えばロゴスとして切り捨てても痛くない、寧ろ邪魔な強硬派、典型的なコーディネーター差別主義者が北極海にある小さな島でMSを生産しているらしい。

 報告書によると、そのMSはストライクガンダムで採用されたストライカーパックを正式採用している大量生産MSであり、大幅なコストダウンに成功しているらしい。機体性能自体は105ダガーと同等でありながら、生産性は105ダガーを大きく上回る機体。それがこの島で開発されている機体であり、名称はダガーL。

 ……おい、これってDESTINYで連合軍が使用していた量産機だろ。ウィンダムが配備されるに従って取って代わられた機体だが……まさかこの歴史ではこうして出番を迎えるとは。

 だが、今更ダガーLを何機生産したところで、シャドウミラーの機体相手にどうにか出来るとは思えないんだがな。

 まぁ、いい。1度お仕置きをしておいた方がいいか。それに、イルメヤの実戦テストをやるのに丁度いいと言えばこれ程丁度いい相手もいないし。

 

「この機体を作っているのはこの島のみなんだな?」

「はい。さすがに下っ端の幹部数名の暴走という形を取っている以上、ロゴスにしても基地1つを用意するのが精々といったところだったのかと」

「分かった。この案件はこちらで処理をする。今回の件はご苦労だった。これからもエザリアを助けてやってくれ」

「ええ。命を助けて貰ったのですから、その恩は忘れませんよ。それに、このシャドウミラーという組織で腕を振るえるのは中々に面白いですしね」

 

 笑みを浮かべて告げてくるレオン。

 色々と胡散臭い奴だが、その能力だけは確かに一流なんだよな。実際エザリアからも仕事が大分楽になったと報告が来てるし。

 あるいは何か妙な真似を企もうとしても、鵬法璽で部下諸共に魂に楔を打ち込まれているに近い状況である以上は何か出来る訳でもない。

 ともあれ、やるべき事は決まった。イルメヤやニヴルヘイムのテスト運用も兼ねてダガーLを生産している工場に襲撃を掛け、ロゴスに対する牽制とさせて貰う。

 それと……

 

「今回の件で、ロゴスに対する制裁の内容を考えておけ」

「了解しました。具体的にはどの程度に?」

「そうだな……あまりに締め付け過ぎて破れかぶれになって暴発されても困るし、そこそこといったところか。非常に痛いが、この程度ならまだこれからも何とかやっていける。そんなレベルでいいだろう」

 

 その言葉に頭を下げ、部屋を出て行くレオンを見送ってからダガーLを生産している基地へと攻撃を仕掛けるべく実働班の隊長でもあるコーネリアへと連絡をいれるのだった。

 

 

 

 

 

「ASRS、ミラージュコロイド。両方の同時使用に特に問題はありません。ニヴルヘイム全てを完全に覆い尽くしています。現在敵基地の反応は一切無し」

 

 ニヴルヘイムの戦闘司令室に量産型Wの報告が響く。

 勿論ニヴルヘイムが全く問題無く完成しているというのは理解しているのだが、実際にこうして戦場に出てきての実働試験ともなれば色々と思うところはある。

 それは他の者達も同様だったのだろう。シャドウミラーの主要メンバー、実働班と技術班の全員が量産型Wの報告に安堵の息を吐く。

 映像モニタに映し出されているのは北極海に浮かぶ島。当然こちらが見つかっていない以上は警戒している様子は無いし、北極海という場所にある島だけに外に出ている見張りの数は少ない。

 まぁ、SEED世界では基本的に既に戦乱は終わりを迎えているのだから、そこまで警戒が厳しくないのは当然と言えば当然なのか?

 かと言って、俺達シャドウミラーに対する警戒は……主要メンバーに対してつけている量産型Wだけだと思っているのか。

 それでも、さすがに最低限の警戒はしているのだろうが、向こうのレーダーやセンサーではこのニヴルヘイムを発見する事は出来ないのだろう。

 

「よし、イルメヤを出撃させろ」

「アクセル、イルメヤだけでいいのか? 俺達の機体とまでは言わないが、メギロートやシャドウ辺りは……」

 

 ムウの声に、首を横に振る。

 

「ダガーLとかいう機体の性能に関しては把握している。イルメヤだけで十分に対処可能な筈だ」

 

 実際、空を飛べないという点ではメギロートに劣っているが、純粋なスペックで考えればイルメヤはメギロート以上の性能を誇っているのだから。

 

「そうか? ……まぁ、お前がそう言うのなら別にいいけどよ」

 

 ムウにしても一応という意味での忠告だったのだろう。それ以上は特に言い募らずに大人しく引き下がる。

 

「イルメヤ、出撃します」

 

 量産型Wの言葉と共に、ニヴルヘイムの最下層部分、フレイヤを発射する場所の近くから無数のイルメヤが海中へと落下していく。

 このまま海中から敵の島へと上陸するというのは、水中での行動にも対応しているイルメヤだからこそ出来る事だ。

 そして試験的に生産された、先行量産機ともいうべき300機全機が海中へと落下してから数分。島にイルメヤの先陣が上陸したところで基地に動きが見える。

 襲撃を知らせるアラームが周囲に鳴り響き、見覚えのある機体が出撃してくるが……

 

「何だ、ストライクダガーではないか。ダガーLとかいう新型機はまだそれ程数が揃っていないのか?」

「だろうな。一応最新鋭機という扱いになるんだし、幾ら生産性に優れているとは言っても1つの基地にある生産工場だけだと作り出せる数には限りがあるんだろう」

 

 スレイの言葉に、コーネリアが言葉を返す。

 そんな風に会話をしている間にも、イルメヤとストライクダガーの戦いは始まっていた。

 ビームライフルでイルメヤを狙うストライクダガーだが、北極海にあるこの島は当然気温も風も強い。そんな風に煽られて上手く狙いを付けられないストライクダガーに対して、イルメヤは尾の先から放たれるビームガトリング砲を発射して一方的に撃破していく。

 そんな状態に業を煮やしたのか、ビームサーベルで斬りつけようと接近戦を仕掛ける機体もいたのだが、そんな機体には尾からビームガトリングの代わりにスパイダーネットが発射されて身動きを封じ込め、ビームガトリング砲で、あるいは近づいてその鋭い足による攻撃で破壊されていく。

 そんな状態が10分程続いた頃、出撃したストライクダガーは莫大な被害を受けており……

 

「出たぞ」

 

 いよいよ命の瀬戸際と判断したのだろう。虎の子とも言えるダガーLが基地から出撃してくる。

 ストライクダガーに比べればさすがに数は少ないが、それでも生産性の高さを活かして出来るだけ多く生産していたのだろう。50機程の数は揃えていた。

 だが……

 

「所詮その数ではな」

 

 ストライクダガーやダガーLでは純粋に性能でイルメヤには及ばない。だというのに、イルメヤの数は300機。

 今でも海中から島へと上陸を続けているのだ。

 ストライクダガーの持っているビームライフルよりも小さい、取り回しの良さを重視したビームガンとでも呼ぶべき代物でイルメヤへと狙いを付けてビームを放つが……へぇ。

 予想外の事に、放たれたビームは1機のイルメヤの尾へと命中して破壊する。

 いや、考えてみれば当然か。ストライクダガーのビームライフルはその大きさ故に強風の影響を受けて弾道が安定しなかったのだ。だが、ビームガンとも表現すべきダガーLの武器は、その小ささ故に強風の影響は小さい。

 

「所詮は蟷螂の斧だけどな。……レモン、イルメヤの被害は?」

「10機程度ね。大破が3機、中破が5機、小破が2機といったところよ」

「そうか。イルメヤの情報が漏れないように、この戦いが終わったら破片やパーツの類は回収を忘れないようにな」

 

 そんな俺の言葉に、レモンは笑みを浮かべて頷く。

 

「当然でしょう。折角のデータなんだから。被弾したパーツに関しても、あればあっただけいいのよ」

「了解だ。……さて、敵の戦力はどうなっている?」

「ストライクダガーはほぼ全滅、ダガーLと呼ばれている機体も残り20機を切っています」

 

 量産型Wの言葉を聞き、頷く。そろそろ向こうの戦力も限界か。

 出来れば撤退したいところなんだろうが、この島にある基地が奴等唯一の拠点だ。ここから脱出しても行く場所が無い以上、そんな真似も出来ないのだろう。

 いや、寧ろ主要メンバー抜きでここまで態勢を整えた事が驚きだな。レオンから受け取った報告書によると、ロゴスはロゴスでも、ブルーコスモス寄りのメンバーだったらしいが。コーディネーター憎しなのか、あるいは我が世の春を謳歌していた現状を崩した俺達シャドウミラーとオーブに対する恨みなのか。ともかく原動力はそんなところだろう。

 

「ニヴルヘイムの姿を現して降伏勧告をする。通信を開け」

「了解」

 

 その言葉と共に、北極海の空に浮かんでいた全長5kmのニヴルヘイムの姿が露わになり、基地への通信を強制的に繋ぐ。

 この辺の技術も何気に凄いよな。技術班の面目躍如ってところだ。

 

「こちらシャドウミラー代表のアクセル・アルマーだ。そちらの戦力は既に壊滅している筈だ。降伏しろ」

『アクセル・アルマーだと!? ……ふざけるな! 宇宙の化け物共に味方する者に従うのは人間として決して許されん!』

「だが、どうする? 今も言ったように、既にそちらの戦力は碌に残っていない筈だ」

『確かに今回は私達の負けだろう。だが、宇宙の化け物や貴様のような異世界の化け物相手に事を起こすのは決して私だけでは無い筈だ。ここで私が倒れても第2、第3の私が立ち上がる筈だ』

「……降伏はしないと?」

『当然だ。最後の1兵まで戦って、戦って、戦い抜いてみせる!』

 

 30代程の男はそう告げ、銃を取り出して通信モニタへと銃口を向け……そのまま通信が途切れる。

 ブルーコスモスか。分かってはいたが、厄介と言うよりは面倒な相手だな。

 

「アクセル?」

「奴等を残しておいても害にしかならない。殲滅しろ」

「了解」

 

 尋ねてきたコーネリアにそう命じ……それから30分程で基地はイルメヤにより完全に沈黙するのだった。




アクセル・アルマー
LV:42
PP:25
格闘:301
射撃:321
技量:311
防御:311
回避:341
命中:361
SP:1402
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    ???
    ???

撃墜数:1114

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