転生とらぶる1   作:青竹(移住)

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0810話

「影のゲート……初めて見たけど、なんかというか微妙な感じだな。……へぇ、ここがアクセルが戦う場所か」

「これだけシャドウミラーの機体が揃っていると壮観だな。ほら、見ろよアウル。イルメヤも何機かいる」

 

 影のゲートで出てきた瞬間、アウルとスティングが周囲を見回しながら感心したように呟く。

 ちなみに、公園にいたステラとシンは連れてきていない。シンは色々と興味深かったようだが、幾ら同盟国の国民でも、さすがにシャドウミラー以外の者に今回の演習を見せる訳にはいかないので遠慮して貰った。

 個人的な事を言わせて貰えばSEED因子を持っているシンはシャドウミラーに引き込みたいという思いもあるが、父親がモルゲンレーテに務めていたりする関係もあってシャドウミラーに引き抜くのは難しいだろう。

 ステラに関して言えば、原作とは違って戦闘を好んでいないという事もあって、当然模擬戦に興味はない。シンと一緒にいたいという要望もあり、結局俺と一緒に来たのはこの2人のみとなった。

 まぁ、この2人は将来的にシャドウミラーに所属……いや、今もシャドウミラーの保護下にあるから、所属というのはおかしいか。実働班で働きたいというのを希望しているから、戦いを見せておくのは悪くない筈だ。

 

「アクセル、その2人も連れてきたのか?」

「ああ。別に構わないだろ? 身内だし」

「私は構わないが……」

「スティング! アウル! お前達が何故ここにいる!?」

 

 こちらに近づいてきたコーネリアが視線を向けている先では、イザークがスティングとアウルに向かって怒鳴りつけていた。

 いや、別に怒ってる訳じゃ無いと思うんだけどな。イザークの場合、叫ぶのがデフォに近いし。

 にしても……なるほど。多少は口うるさいが、立派に兄貴役をやっているらしい。

 そうなると、シンもステラ関係で色々と厄介な事になりそうな気がする。

 妹さんを下さい! とかの流れで。……さすがにちょっと早いか。

 そんな風に将来の事を考えつつも、視線を周囲に見回す。

 集まっているのは、コーネリア、スレイ、ムウ、イザーク、オウカ、ムラタの合計6人。

 

「ギルフォードとエキドナはどうした?」

「ギルフォードはギアス世界の方にちょっとした用事があって出掛けている。エキドナはエザリアの助手としてマクロス世界で交渉中だな」

「……なるほど」

 

 相変わらずエキドナは色々と使い回されている感じがするな。まぁ、そつなく何でもこなすというのがあるからだろう。冷静だし。

 これを器用貧乏とみるか万能と見るかはその人次第だろうな。少なくても俺は万能と見るが。

 

「分かった。じゃあ6人だが……組み合わせはどうするんだ?」

「私とスレイ、ムウとイザーク、オウカとムラタだな」

「まぁ、無難な組み合わせか」

 

 コーネリアとスレイは共に遠近両方を共にこなせる万能型。ムウは射撃が得意でイザークは近接攻撃が得意。オウカとムラタも同様だ。

 ただ、ムラタのみが特機なのを考えると微妙にバランスが悪いような気がしないでも無いが……

 

「納得して貰えたのなら早速始めよう。時間も無限にあるという訳ではないのだから」

「ああ」

 

 もっとも、魔法球の中でなら時間の心配はしなくてもいいんだが……土地の広さがな。

 セイラン家から賠償として受け取った無人島の周囲には元から魔法球の中に入っていた土地があるのだが、それでもその広さはたかが知れている。生身での戦いをやるならともかく、PTやら何やらを使った全力の戦闘を行うには窮屈に過ぎる。

 その辺をどうにか出来れば、かなり便利になるんだが。

 後でエヴァにでも相談してみるか? ……いや、今でさえかなり例外に近い魔法球なんだから、これ以上迂闊に手を出して妙な事になったりされても困るか。

 

「ならまずは俺とムウからいかせて貰うが、構わないな?」

 

 前に出てきたイザークの言葉に、コーネリアが頷く。

 

「ただし、これが演習であるというのは分かっているな? 弾薬に関してはペイント弾、ビーム系の出力は最低限にまで落としての戦いとなる」

「分かっている」

「了解、了解っと」

 

 イザークとムウが頷き、俺もまた小さく手を振って了承の意思を告げる。

 

「どっちが勝つと思う?」

「そうだな……イザークもムウも、普通に見れば十分に腕利きなんだけどな」

 

 ただ……と続けるスティング。

 

「さすがにアクセルとニーズヘッグを相手に2機だけってのは厳しいだろ」

「やっぱりスティングもそう思うか。まぁ、アクセル自身が色々と規格外な存在だし、同時にニーズヘッグは言うまでも無いからな」

「ああ。正直、何度か保存されている戦闘シーンを見た事があるが、ちょっと尋常じゃ無かった」

「……俺達も、いつかあんな風に……」

「ああ」

 

 そんな声が聞こえてくる。今の時点でもゲーム感覚って訳じゃないが、あの2人がストライクダガーやリオンのような、既にシャドウミラーでは一線を退いている機体を使って自主訓練をしているという話はエザリアから聞いている。

 治療によって薬やら暗示やらが無くなったとしても、それでもやっぱりエクステンデッドとして選抜されるだけあって機体を動かす勘のようなものは優れているという話も聞く。……まぁ、それでも今の時点では量産型Wにも遠く及ばないんだが。

 

「では、まず1回戦目はイザーク、ムウのコンビだな。お互い機体の準備をするように」

 

 コーネリアの言葉に頷き、空間倉庫の中に入っているニーズヘッグを出そうと少し離れた場所へと移動しようとした俺の背に、イザークからの声が投げかけられる。

 

「アクセル! 今日こそ俺はお前を超えて見せる!」

 

 決意の籠もった声が背中に投げかけられたので、ニヤリとした笑みを浮かべて言葉を返す。

 

「俺がいない間にどれ程腕を上げたのか……しっかり見てやるよ。ムウとの連携もな」

「俺もかよ?」

「当然だろ。お前は何だかんだ言ってもシャドウミラーの幹部なんだからな。相応の実力は要求されるさ。……下手な真似をしたら、ナタルにある事ない事吹き込んだりする羽目になるかもな?」

「おいこら、それはちょっと汚いぞ!」

 

 叫んでくるムウに軽く手を振り、そのままニーズヘッグを取り出してそのコックピットへと収まる。

 イザークとムウの2人が自分の機体の方へと向かっていくのを映像モニタで確認しながら、武器の調整をしていく。

 演習ということでペイント弾の使用を義務づけられているが、基本的にニーズヘッグの武器は全てがビーム、あるいはレーザーだ。その実弾を使用する武器は一切無い。

 ぶっちゃけ、ラミネート装甲のようなビームに特化した装甲があれば為す術も無い……と思う者は多いだろう。

 だが、ニーズヘッグにはアダマンハルパーやグレイプニルの糸もあるし、なによりも精神コマンドの直撃がある。これがあれば、ラミネート装甲だろうがなんだろうが、全く無意味になる。

 ニーズヘッグが俺専用の機体である理由は、何も常人にはコントロールできない機体性能だけじゃないって事だな。

 

『アクセル、ムウ、イザーク、準備はいいな?』

 

 フォールド通信を使って聞こえてきたコーネリアの声に俺は頷き、こちらに映像は出ていないがムウとイザークも同様なのだろう。

 確認する意味も込めてコーネリアが頷いて口を開く。

 

『お互い、1km程の距離を取るように。今から5分後に合図をするから、それを確認してからが演習の開始だ』

「了解した」

 

 短く告げ、テスラ・ドライブを起動してフワリと空中に浮き上がる。

 マクロス世界の重力制御技術を入手してグラビコン・システムにも多少の改良が加えられてはいるが、性能に明確な違いが出る程でもない。純粋に重力制御技術に関して言えば、ネオ・グランゾンから得たデータやらパーツやらを得た時に比べると誤差の範囲内程度だ。

 指定されたポイントに移動し、ビーム等の出力を演習用の最低限にまで落として準備を完了。コーネリアからの合図を待つ。

 そのまま数分が過ぎ……やがて上空へと1発のビームが合図として放たれて戦闘が開始される。

 

「まずはお手並み拝見といくか」

 

 呟き、意図的に速度を抑えながら前方へと向かっていく。

 そのまま1分もしないうちにこちらへと向かって突っ込んでくるヒュッケバインMk-Ⅲと、その背後を追いかけてきているアシュセイヴァーを確認。

 まずは牽制とばかりにヒュッケバインMk-Ⅲの背部に装備されているマルチコンテナから多数のマルチトレースミサイルが発射される。

 T-LINKシステムによりジャマーを起動させてそれらを無効化すると、ミサイルの全てがあらぬ方向へと逸れていく。

 だが、それはイザークとしても既に織り込み済みだったのだろう。何の動揺もなく……いや、この瞬間を待っていたとでもいうようにスラスターを全開にして、こちらとの距離を詰めてくる。

 そんなイザークをフォローするようにムウのアシュセイヴァーがガン・レイピアを連射して援護。

 連続して放たれるそのビームをヒュドラのスラスターを使って回避していく。

 連携に関しては非常にスムーズだな。SEED世界で最初は敵として、そして最終的には味方として戦い、それ以降は同じ組織で訓練を重ねてきただけに、阿吽の呼吸と呼べる程に息が合っている。

 ……イザークの相棒といえばディアッカという意識があるだけに、この組み合わせはちょっと新鮮だ。

 ともあれヒュドラのスラスターを使ってビームを回避しながらも、こちらに向かって突っ込んでくるヒュッケバインMk-Ⅲから視線は外さない。

 だからこそ、武器ラックからその武器を取り出したのを見逃すことは無かった。

 柄から形成されるのはビーム、ヒュッケバインMk-Ⅲの近接攻撃用の武器でもあるロシュセイバーだ。

 ともあれニーズヘッグ目がけて振るわれたロシュセイバーを、T-LINKシステムを使ってコントロールした右側前方のヒュドラにビームサーベルを展開して防ぐ。

 そのまま前方左側のヒュドラを操作し、ビーム砲を放とうとしたところで危険を察知したのか、テスラ・ドライブを使って後方へと下がっていく。

 ヒュッケバインMk-Ⅲを援護しようというのか、アシュセイヴァーから放たれたソードブレイカーがこちらへと向かってきた。確かにこの手の、ファンネル系とも言える武器は何も知らない相手には絶大な威力を発揮する。

 ……だが、俺にこの手の武器を使うの自殺行為でしかないぞ!

 

「ファントムッ!」

 

 T-LINKシステムによる操作で後方2基のヒュドラから放たれたファントム16機がソードブレイカーへと向かって牙を剥く。

 レーザー弾の中を泳ぐように回避しながら突き進み、ビームソードを展開してソードブレイカーへと突き立てる。

 威力を極限まで低くしているので破壊される事はないが、触れたその時点で演習のシステム的に撃破されたと認識されて地上へと向かって落下していく。

 だが、ソードブレイカーの自爆とすら言える攻撃は決して無駄では無かった。その隙を突いてイザークは完全にこちらと距離を取ったのだから。

 そこからは、お互いに撃ち合いになる。ビーム、弾丸、レーザーといったものがお互いの間を行き交い、回避し、防ぎ、被弾する。

 もっとも、この被弾はムウとイザーク組のみの結果だが。

 ニーズヘッグはその驚異的な運動性能と機動力で縦横無尽に空中を飛び回り、全ての攻撃を回避、あるいはヒュドラのビームサーベルを使って切り捨てる。

 向こうにしてもこちらの攻撃を必死に回避してはいるのだが、何しろこちらの攻撃手段が多すぎる。

 ヒュドラ6基から放たれる18門のビーム砲、左右のランツェ・カノーネ、T.T.キャノン、魔法、メガ・バスターキャノン、腹部拡散ビーム砲、頭部ビームバルカン。48機のファントムに、エナジーウィングの刃状エネルギーを放つ広範囲攻撃。さすがにブラックホール・ランチャーは威力の問題から使っていないが、これだけのフルバースト状態な以上、寧ろまだ撃墜されていないことを褒めるべきだろう。

 実際、攻撃の比重は時間が経つにつれて俺の方へと傾き始める。

 そして一旦その比重が偏ると既にムウとイザークに為す術は無く、回避に専念する事になり……そこから数分と保たずに撃墜判定が出る。

 いや、それでも固定砲台に徹していたとはいっても、ここまでニーズヘッグの攻撃に持ちこたえたのは驚嘆に値する。

 この1年半で予想以上に腕を上げているみたいだな。

 機体から降りて、悔しげに俺を睨み付けているイザークと、それを抑えているムウを見ながら、そう思うのだった。




アクセル・アルマー
LV:42
PP:25
格闘:301
射撃:321
技量:311
防御:311
回避:341
命中:361
SP:1402
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    ???
    ???

撃墜数:1114

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