転生とらぶる1   作:青竹(移住)

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0778話

 グレイス・オコナーと融合していたクイーンの頭部が消滅し、操られていた状態から解除されたクイーンは即座に指示を出した……のだろう、多分。

 何しろ俺にはバジュラの考えている事が分からない以上、白いバジュラが元の体色に戻ったのを見て予想するしか無い。

 にしても、幾らバジュラの中心が腹、正確には腸だからと言っても、頭部が無い状況で普通に行動しているのを見るとさすがに違和感がある。

 そして何よりも驚くのは……

 

「この歌は、確か……」

『ああ、ランカの歌だ』

 

 俺の呟きにアルトが言葉を返してくる。

 アルト、オズマ、ブレラ。VF-27の相手を自分達で引き受け、グレイスとの戦いを俺に任せた3人だが、10機を相手にして戦っても殆ど無傷で済んだらしい。

 唯一、アルトの乗っているVF-25Fのオプションパックでもあるトルネードパックの旋回式連装ビーム砲が片方破壊されているが、被害らしい被害と言えばその程度でしか無い。……ただ、トルネードパックはYF-29の技術立証試験として開発されたオプションパックで、かなり高価だと聞いているんだが……いやまぁ、戦闘中に受けたダメージなんだし、特にアルトに請求がいくような事は無いと思うが。

 そしてYF-29と言えば、現在俺の空間倉庫に入っている機体の方もどうにかしないといけないだろうな。一応所有権はS.M.S……いや、L.A.Iにあるのか? とにかく、最新鋭試作機である以上は向こうにしてもこのまま済し崩し的に俺に所有権を譲るのは難しいだろう。

 ただまぁ、所有権を持っているのがL.A.Iだというのがシャドウミラーにとっては突破口となりそうだ。俺達が持っている技術を取引材料にすれば何とかなる可能性はあるかもしれない。

 そんな風に考えている間にもランカの歌、より正確には鳥の人の映画を撮影した時に歌っていたアイモが周辺宙域へと流されている。

 

『ランカの歌。……そしてバジュラの歌か。けど、フォールドネットワークで意思疎通をしているバジュラが、なんだってこんな歌を?』

 

 不思議そうに呟くオズマだったが、それに答えたのはこの歌を歌っていた当の本人でもあるランカだった。

 

『この歌はね、お兄ちゃん。恋の歌なんだ』

『恋の歌?』

『そう。こことは違う銀河にいるバジュラの群れに対する求愛の歌なの。だから恋の歌』

『……随分とロマンチックだな』

 

 呟くオズマの……そして俺達の前で、周辺宙域に広がっていたバジュラ全てがクイーンの周辺へと集まり……次の瞬間にはクイーンもまたバジュラ本星から飛び立ち始める。

 

「あれは」

『この星を私達に譲ってくれるらしいわよ』

 

 そんな俺の呟きに答えのは、ランカ……ではなく、シェリル。

 ランカと同じくらいに……否、フォールドクォーツの効果もあってランカ以上にフォールド波によってバジュラと意思疎通出来るようになったシェリルの言う事だ。間違ってはいないのだろう。

 ただ、アイモが恋の歌だというのなら、あるいはこの惑星をフロンティア船団にただ譲るのではなく、単純に他の銀河にいるとかいうバジュラの群れに対して会いに行ったのかもしれないな。

 そんな風に思っていると、不意にシロガネからの通信が入ってくる。

 

『アクセル、量産型Wからの連絡が入ったわ。惑星上でも生きているバジュラは既に1匹もいないらしいわ。さっきのクイーンと一緒に飛び立っていったみたい』

「……なるほど」

 

 呟きながら、映像モニタに映し出されているランカやシェリルの方を見る。より正確には、ランカの近くで嬉しそうに飛び回っている1匹のバジュラだ。他のバジュラは全てクイーンについていったのに、何だってこのバジュラだけはここに残っているんだ? いやまぁ、フォールドクォーツ的に考えれば悪い話じゃないんだが。何しろフォールドクォーツを生成出来るバジュラが既に存在していない。これまでの戦いや、この惑星周辺、あるいは惑星上で戦ったバジュラの死体からある程度のフォールドクォーツは確保出来るだろうが、それにしたって入手できる量は決められてしまうだろう。

 少なくてもMDE弾頭やらディメンジョンイーターやらのように、使う度に消費する武器を開発したりするのは非常に難しい。

 ああ、そうだ。その辺はグラス大統領とも交渉しないとな。惑星上にあるバジュラの死体に関しては全てシャドウミラーが倒したものなのだから、所有権はこちらにある筈だ。だが宇宙で戦ったバジュラの死体は扱いが難しいだろう。

 そんな風に考えながら、マリューへと指示を出す。

 

「取りあえず、惑星上にあるバジュラの死体をメギロートや量産型Wに集めさせてくれ」

『……なんでわざわざ死体を?』

 

 微かに眉を顰めるマリュー。ああ、そう言えば確かにその辺をまだ言ってなかったな。

 

「バジュラの死体にはフォールドクォーツという、この世界でのみ入手出来る稀少鉱石が存在している。それを確保するためだよ。トロニウムやサクラダイトと同じようなものだと思ってくれればいい。マリューやレモンにとっては興味深い素材の筈だ」

『へぇ』

 

 俺の言葉に、そう相づちを打ったのは通信で話していたマリュー……ではなく、同時に通信を繋いでいたシェリルの方だった。

 その口元には綺麗な笑み。……ただし銀河の妖精としての笑みでは無く、どことなく面白がっている笑みだ。

 

『ねぇ、貴方。何て言う名前か聞いてもいい? あぁ、この場合はあたしの方から名乗るのが礼儀かしら。あたしはシェリル。シェリル・ノームよ。そこにいるアクセルの恋人なんだけど』

 

 その言葉で、マリューも俺が戦闘前に言っていたこの世界で作った新しい恋人だと理解したのだろう。笑みを浮かべつつ頷く。

 

『あら、ご親切にどうも。私はマリュー・ラミアス。シャドウミラー旗艦でもあるシロガネの艦長にして……既に予想しているでしょうけど、アクセルの恋人の1人よ』

 

 マリューがその言葉を発した途端、映像モニタに映し出されていたアルトが驚愕の視線を俺へと向け、同時にオズマは納得したといった表情を浮かべる。ブレラは特に興味が無いらしく表情を変えていない。

 そして、何故か興味津々に俺の方へと視線を向けてきているミハエル。お前は呼んでないから、クランと仲良くやっていろ。

 

『やっぱりね。……ねぇ、あたし達のこれからに関して、お互いに色々と話す必要があると思うんだけど、どうかしら? 勿論貴方だけじゃ無くて、他の人達も一緒にね』

『そうでしょうね。確かにその辺はきちんと話しておいた方がいいでしょう。シェリルさん、と言ったかしら。貴方が私達とアクセルの家に来てくれるのを歓迎するわ』

『ああら? 折角この世界に来たんですもの。どうせなら、あたしとアクセルが同棲しているマンションに来るのもいいんじゃない?』

 

 静かに、にこやかに笑みを浮かべながら言葉を交わすマリューとシェリルだが……通信越しだというのに、かなり強い緊張感が伝わってくる。と言うか、ニーズヘッグを中継点にして通信をしているのでどうしようもないというか……

 とにかくこの場は一旦納めなければ。そんな風に思って口を開こうとした、その時。

 

『……え? 何?』

 

 シェリルと微笑を浮かべて話していたマリューが、我に返ったように視線を逸らす。俺の方からでは分からないが、恐らくは何か報告を受けたのだろう。

 けど、この状況で何か起きる可能性があるか? もしかしてフロンティア船団からの使者が派遣されてきたとか? あるいは新統合軍辺りから?

 そんな風に思っていたのだが、その答えはまるきり違うものだったらしい。

 報告を聞き終えたマリューが、俺の方へと向けて困惑したような視線を向けてくる。

 

『アクセル、量産型Wが不審なシャトルを発見したって報告が来たんだけど』

「不審なシャトル? 新統合軍の機体じゃないのか?」

『新統合軍って、アクセルと一緒に戦ってた軍隊でしょ? けど、報告を聞く限りだとスペースデブリの岩塊に隠れるようにしていたらしいわ』

 

 ……本気で新統合軍やフロンティア船団からの俺達に対する使者か? いや、だがそれにしても少し気が早すぎる。となると、それ以外の何かだろうが……

 

「向こうの言い分は?」

『それが、最初にそのシャトルを発見したのがメギロートだったからか、かなり混乱しているのよ。バジュラの仲間か何かだと思ってるんじゃないかしら。で、量産型Wも判断出来ないって事でこっちに回ってきたんだけど……』

 

 さて、どうしたものか。いや、どのみちシャドウミラーとして活動するのなら遅かれ早かれやらなきゃいけない事ではあるな。しょうがない。

 

「悪いな、こっちは一旦切るぞ。どうやらシャドウミラーとしての話し合いになりそうだ」

『了解した。取りあえず、そっちの件が済んだら一旦マクロス・クォーター方まで戻ってきてくれ。あの惑星に関しても色々と話して決めないといけないだろうしな』

 

 そう告げ、オズマからの通信が途切れる。

 他の面子も同様に通信を切っていくが、その中でもシェリルだけは俺へとジト目を向けていた。

 

「シェリル」

『分かってるわよ。けど、そこの彼女との話とか、他の人との話についても忘れないでよね。きちんと話をつけるんだから』

「ああ。……それより、身体の方はもういいんだな?」

 

 通信を切る前に確認する意味でもそう尋ねるが、それに戻ってきたのは悪戯っぽく笑った笑みだった。

 

『勿論よ。……ただ、そうね。あたしの事が心配なら、早いところ迎えに来なさい。それまではこの艦にいるから』

 

 小さくウィンクをして、切れる通信。

 そして改めてシロガネと繋がっている方の通信モニタへと視線を向けると、そこでは面白そうな笑みを浮かべているマリューの姿があった。

 取りあえずその辺は流すとして。

 

「じゃあ、そのシャトルとやらと通信を繋げてくれ。向こうと交渉するにしろ何にしろ、一応礼儀として俺が顔を出す必要はあるだろう」

『……分かったわ。けど、今夜は楽しみね。色々な意味で』

 

 ……こっちもこっちで色々とあるらしい。いやまぁ、俺がマクロス世界に転移した経緯を考えればそうなってもおかしくはないか。

 いっそ今日のうちにシェリルもこっちに引き込んで、面倒は一気に終わらせた方がいいんじゃないか? いや、下手をしたら沈静化するのが色々な意味で難しくなりそうだけど。

 

『アクセル? 向こうのシャトルに繋ぐわよ。いいわね?』

 

 マリューの声で我に返り、小さく頷く。そしてシロガネ経由で映し出された映像に出てきた人物を見て、思わず笑みを浮かべ、特徴的なキノコ頭をしている人物に声を掛ける。

 

「ほう、まさかこんな場所で会うとはな。てっきりお前はバトル・ギャラクシーと命運を共にしたとばかり思っていたんだが。いや、さすがに悪運だけは強いな」

『……なっ!? ア、アクセル・アルマー!? 何故お前がこの通信に出る!』

 

 俺が顔を出したのが余程に意外だったのだろう。数秒程唖然とした表情でこちらを眺めながら、我に返ると思わず叫ぶ。

 そんなキノコの様子に肩を竦めてから口を開く。

 

「そう言えば、お前が捕まったのは俺がグラス大統領に正体を明かす前だったか。……いや、けどグレイス辺りに俺の事を聞いていないのか?」

『……』

 

 悔しそうに唇を噛みしめるキノコ。

 ……なるほど。こうして見たところ、フロンティア船団から脱出する時の手駒としては便利に使われたが、逆に言えばそれ以降は用無しになってしまったんだろう。

 まぁ、そのおかげかどうかは分からないが、バトル・ギャラクシーに残っていてニーズヘッグのラグナロクを食らって消滅する事が無かったんだと思えば、世の中何が功を奏するのか分からないものだ。

 

「お前が生きていたのなら、ある意味では丁度いい。グラス大統領と交渉する際のいい手土産になるだろう」

『ま、待ちたまえ!』

 

 慌てたようなキノコを無視しつつ、思わず笑みを浮かべる。捕らぬ狸のなんとやらかもしれないが、大統領暗殺未遂、同時多発テロ、アルカトラズの襲撃と、警備兵の殺害。更にはランカの誘拐やフロンティア船団脱走時に新統合軍の戦力に与えたダメージもある。正直な話、1つでも極刑になるだろう罪をこれだけ犯しているのだ。それを思えば、フロンティア船団に引き渡すと言われて頬を引き攣らせるのも分からないでは無い。

 ……まぁ、今俺が挙げた中にはグレイスが糸を引いていたものや、あるいはキノコの部下が勝手にやったものもあるのだろう。だがグレイスは既にいないし、部下の責任は上司の責任。手土産になって貰うとしよう。

 

『だから、待ってくれたまえ! その……そう、良ければ少し交渉を……』

 

 さすがに向こうも死ぬのは嫌なのか、表情を引き攣らせながら必死に言ってくるが……交渉と言われてもな。こいつにどんな使い道が……いや、待てよ?

 ふと、とあるアイディアを思いつき、それがいけるのかどうかを頭の中で組み立てていく。

 そして1分程後。

 

「レオン、お前は生き延びたいか?」

 

 そう尋ねるのだった。




アクセル・アルマー
LV:42
PP:1405
格闘:278
射撃:298
技量:288
防御:288
回避:318
命中:338
SP:1402
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    ???
    ???

撃墜数:1114

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