転生とらぶる1   作:青竹(移住)

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0775話

『な、何が……何が起こった? ……バトル・ギャラクシーは……バトル・ギャラクシーはどこにいったんだ!?』

 

 半ば混乱している様子で叫ぶアルトの声が通信越しに聞こえてくる。同時にマクロス・クォーター、バトル・フロンティアからの通信も同様にこちらへと繋がっている。

 それらの視線を受け止めつつ、バトル・ギャラクシーその物が全て消滅したにも関わらず、それでも戦闘を続けているゴーストV9とVF-27の姿に眉を顰める。

 ちっ、バトル・ギャラクシーを消滅させても行動を止めないとなると、どこか他の場所からコントロールしているのか? となると無人機である以上は降伏なんて真似はあり得ないし、そうなると全てを破壊する必要がある、か。

 小さく溜息を吐き、こちらの通信を待っている面子は横に置いてコーネリアの乗っているラピエサージュへと通信を送る。

 

「コーネリア、敵の旗艦を叩いたのは見ていたな。後残って戦闘を続けているのは全て雑魚の無人機のみだ。残党狩りを量産型Wとメギロートに指示してくれ」

『旗艦? ……ああ、なるほど。うむ、任せろ。無人機というのは、ある程度のパターンが読めると的撃ちにしかならないがな』

 

 一瞬旗艦の意味が分からなくて戸惑ったようだったが、すぐに俺が消滅させたバトル・ギャラクシーの事だと気がついたのだろう。まぁ、強行型だと人型で特機に見えなくもないしな。ともあれ小さく肩を竦めて早速とばかりに指示を出し始めるコーネリアだが、そもそもそのパターンを読むというのが普通は難しいんだが。だからこそ、新統合軍は数機のVF-171EXで1機のゴーストV9に対応をさせていた訳だし。VF-27に関しても……

 そこまで考えて、ふと思い出す。オズマとブレラの戦いはどうなったんだ? バトル・ギャラクシーの件ですっかり忘れていたが。

 慌てて周囲の様子を探ると、数秒でその結果が出た。出たのはいいんだが……

 2機揃ってこっちに向かってきている?

 そう、VF-25SとVF-27がこちらに向かってきているのだ。それも仲良く並んで。

 VF-27は多少の損傷はあるようだが、それもこうして見たところでは戦闘に支障が無い程度のダメージだ。

 不審に思い、通信を送る。

 

「スカル1、オズマ。どういう状況なんだ?」

『それはこっちの台詞だよ。お前が何かをしたと思ったら、バトル・ギャラクシーが消えてるじゃないか。……ああ、奴に関しては大丈夫だ。どうやらギャラクシー船団の上層部に操られていたようでな。お前がバトル・ギャラクシーを消滅させたのを見て動揺したところに一撃を加えたら正気に戻った』

『……アクセル・アルマー、お前のおかげで俺は奴等のコントロール下から抜ける事が出来た。感謝している』

 

 通信画面越しだが、予想外に素直に頭を下げてくるブレラ。

 だが、ブレラは奴等のコントロール下から抜け出したというのに、何故他の機体は未だにコントロールされているんだ?

 いや、今はそれどころじゃないか。とにかくグレイス・オコナーもこれで死んだ以上は、このバジュラに関しての騒動もようやく一区切りついたんだ。後の始末はフロンティア船団に任せて、俺はとにかくシェリルの治療を……そう思った時だった。

 バジュラ本星の一部分――ランカの映像が生えていた部分の根元――を中心にして、螺旋状に光が放たれる。

 ……何が起こっているのかは分からない。だが、間違いなく俺達にとっては不都合な何かが起きているのは間違いが無かった。そして、次の瞬間には螺旋の中心から爆発的にエネルギーがドーム状に広がり、そのエネルギーはバジュラ本星だけでは無く宇宙空間にまで到達。ドーム状のエネルギーに触れたバジュラは体の色が白へと変わっていく。

 やばい、危険だ、このままでは取り返しのつかない事が起きる。俺の中で念動力が必死に危険を知らせてくるのを感じ取りつつ、何が起きてもすぐ対応出来るように待機する。

 

『今までとは桁違いに強烈なフォールド波が、バジュラ本星を中心に展開……きゃあああああっ!』

 

 マクロス・クォーターからの通信でモニカからの悲鳴のような声が聞こえてくる。同時に物理的な衝撃すら伴ってフォールド波が放たれ、その場にいた全ての機体を衝撃で揺らす。

 それはニーズヘッグにしても同様であり……否、10tを切る機体重量しか無い小型機である以上、より大きくその衝撃を受けた。

 だが、ヒュドラを始めとした機体の各所にあるスラスターでバランスを取り、あるいはエナジーウィングを使ってその衝撃波を乗り切る事に成功する。

 だが……次の瞬間、映像モニタに映し出された映像を見て思わず息を呑む。先程のフォールド波の衝撃が何らかの決定的な影響を及ぼしたのだろう。あるいはフォールド波を増幅する効果を持つフォールド・クォーツを身につけていたのが原因なのか。とにかく、マクロス・クォーターのステージでシェリルが倒れ込んでいたのだ。気を失っているのか、倒れ込んだ後はピクリと動く様子も無い。

 

「シェリル!? マクロス・クォーター、シェリ……」

『フォールド・ウェーブ、急速展開! 星系全域にネットワーク構造を構築していきます!』

 

 ラムの悲鳴のような声に、俺の通信が遮られる。そのシェリルにマクロス・クォーターの乗員が駆け寄っていくのを見て、取りあえず安堵の息を吐く。だが、何だ? 星系全域にネットワーク構造を構築?

 

『隊長、アクセル君、バジュラの動きが!』

 

 こちらの考えが纏まるよりも前にルカのRVF-25からの通信が入る。

 くそっ、次は一体何が起こった!?

 視線を白い体色に変わったバジュラへと向けようとした、その時。

 

『聞くがいい、虫けら共! 我々は今、全宇宙を手に入れた。プロトカルチャーですらその力を恐れ、憧れ、ついには神格化してその姿を模した超時空生命体、バジュラの力によって!』

 

 そんな声が周辺宙域全てへと響き渡る。

 同時に、先程の螺旋の光の中心部分から巨大な……そう、他のバジュラとは一線を画すようなプレッシャーを放つ存在が姿を現す。

 恐らく、あれが本物のクイーン。俺が倒した準女王級とは比べものにならない程の力を秘めているのが分かる。

 そして、何よりもその声に俺は聞き覚えがあった。

 

「バトル・ギャラクシー諸共に消滅したと思っていたんだがな。そんなところでコソコソと生き延びていたのか、グレイス・オコナー」

 

 苦笑を浮かべつつ、思わず呟く。そう、グレイス・オコナー。何だかんだありつつ、恐らくは今回の一連の騒動……即ち、最初にバジュラがフロンティア船団を襲った時から全ての物事の裏で糸を引いていただろう存在。それが、ついに表舞台に姿を現したのだ。

 

『貴様が、貴様がランカを!』

 

 オズマが妹を誘拐され、洗脳され、手駒にされ、更にはフロンティア船団を滅ぼすための武器として利用された怒りを爆発させて、ここまでの戦闘でまだ使っていなかったのだろうVF-25Sの両翼先端上下に備え付けられていた4発の反応弾を放つ。

 ……よく考えてみれば、こんな重量物を装備したままブレラのVF-27とやり合ってたんだよな。その辺はさすがと言うべきか。

 だが……

 

「馬鹿がっ、それは悪手だ! ファントムッ!」

 

 思わず吐き捨て、ヒュドラから合計10機のファントムを射出する。

 確かにオズマの怒りは理解できる。シェリルをいいように利用し、用が無くなったら切り捨てたグレイスには俺も怒りはある。だが、反応弾という手段は既にバジュラが適応進化しており、効果がなくなっているのだ。つまりオズマが放った反応弾の攻撃は、グレイスがどうにかして操っているのだろうクイーンには被害を与えぬままバジュラ本星に大きな被害を与える事になる。……そう、ゲートが設置されているバジュラ本星に。

 この状況でゲートを破壊されるのは最悪の事態でしか無い。そう判断し、反応弾をファントムで破壊しようとしたのだが……次の瞬間には、クイーンどころかバジュラ本星に反応弾が届く前に、何らかのバリアのようなものに防がれて宇宙空間で巨大な爆発の花火を4つ作り出す。

 

「……バリア?」

 

 その様子を見て、ファントムをヒュドラへと戻らせる。

 いや、確かにバジュラの真のクイーンだ。バリアくらいは持っていても不思議じゃないが、それでも反応弾4発を完全に遮って毛程のダメージすらも無いとなると、かなり強固なバリアだろう。

 

『これは……次元断層!?』

 

 思わずといった様子で叫んだのはルカ。

 しかし次元断層か。それが事実だとしたらマクロス世界の武器で効果がありそうなのは、空間そのものをどうにかするディメンションイーターくらいしか無いだろう。

 ……あくまでもこの世界の兵器では、だがな。

 

『ふふふ。クイーンとダイレクトに接続した我等に歌など無意味! さぁ、ひれ伏しなさい! 運命すらも支配する、神に等しき我が力に!』

 

 その言葉と共に、クイーンの巨大な翼が羽ばたかれ、同時にナイト級バジュラがその先端を開いてこちらへと攻撃の準備を整える。

 いい加減、あの女をいい気にさせておくのも癪に障るな。

 

「マクロス・クォーター、バトル・フロンティア。聞こえているな。こちらアクセル・アルマーだ。今から奴の自信の源である次元断層を破壊する。同時に、放たれるだろう奴の攻撃もこちらでどうにかする。だが、周囲のナイト級バジュラに関しては手が回らないだろう、よって、そっちの防御に集中してくれ」

 

 意図的にオープンチャンネルで流したその言葉は、やはり自らの力に酔っているグレイスにとっては決して許せるものでは無かったのか、すぐさま反応があった。

 

 

 

 

 

 

 

『神の力を防ぐ? アクセル・アルマー、不遜なる者よ。幾らお前が異世界の存在であろうとも、所詮は人。今の私に……全てのバジュラを支配下に置いたこの私に逆らうなどと、身の程を知れ!』

「ふんっ、神、神か。……だが、生憎と俺の機体名称はニーズヘッグ。神々の最終戦争であるラグナロクすらも生き残った名を持つ機体だ。貴様程度の神モドキ、どうとでもなる」

 

 挑発するような言葉にあっさりと乗ってくるのは、やはり己の力に酔っている証なのだろう。

 

『いいだろう。私がこの世界を支配する真の神となるのに相応しい余興だ。では、ここで己の分も弁えずに神に逆らう愚か者を滅ぼしてからこの宇宙を支配しましょう。我が牙、我が腕、我が力。そう、バジュラの力で! そしてアクセル・アルマー。貴様の世界にも私はバジュラの洗礼を与えよう』

 

 その言葉と共に、俺のいる方へと向かってクイーンの身体に集まったエネルギーが集中していく。

 にしても異世界に俺の世界、か。どんな手段を使ったのかは分からないが、やはりグレイスには……否、ギャラクシー船団には俺がこことは違う世界から来た者だと既に知っているらしいな。もっとも、こちらとしても既にホワイトスターと繋がった以上は隠しておけるとは思ってもいないし、その必要性も薄れたのだが。

 そんな風に考えていると、やがてエネルギーの収束が完了したのだろう。こちらへと向かう強烈な殺意と共にグレイスの声が聞こえてくる。

 

『神に逆らう愚か者よ! 自らの愛する世界が私達に蹂躙される様を、草葉の陰から見ているがいい!』

 

 轟っ!

 

 グレイスの言葉と共に、バトル・フロンティアすらも飲み込む程の重量子ビームが2本放たれ、それが途中で融合して1つになって俺へと一直線に向かってくる。

 本来であれば、俺がこれを受ける必要は全くない。だが、クイーンを乗っ取ったグレイスの士気を挫く為、そして何よりも、そんなグレイスに対して恐れを抱いている新統合軍とS.M.Sの士気を上げる為に、俺は多少の無茶は承知の上でその巨大なビームの前に立ちはだかった。

 

「念動フィールド、出力全開! バリオン創出ヘイロウ、最大稼働! ニーズヘッグよ、嘲笑する虐殺者の名を持つお前の力をこの世界の者達に見せつけてやれ!」

 

 その言葉と共に、まるでニーズヘッグが俺の言葉に応えるかのようにT-LINKフレームの発光が始まる。これまで見てきた中でも、ここまで発光した例は少ないだろうという程の煌めき。

 スパロボOGs世界でも最高レベルの念動力を全開にし、その全てを使いT-LINKフレームを経由して念動フィールドの出力を上げる。同時にフィリオが混沌精霊である俺だけが使えるように……否、耐G性の問題で俺だけしか使えない程高性能に作り上げたツイン・ドライブも最大限に稼働しながらEフィールドを強固に展開し、更にはネオ・グランゾンの技術をも流用してシャドウミラーの技術者によって最早別物の性能と言ってもいい程の能力を得たグラビコン・システムが最大限にその能力を発揮する。

 最後にニーズヘッグの背にあるバリオン創出ヘイロウが深紅の光を発し、その莫大なエネルギーを機体の各所へと送っていく。

 そして……クイーンから放たれたビームがニーズヘッグを飲み込み……機体に掛かる負荷をT-LINKシステムを使ったT-LINKフレームによって強引にねじ伏せ、永劫の時とも、逆にほんの一瞬とも言えるような時間が過ぎ去り……やがてニーズヘッグに向かって放たれたビームの全てが消失する。そしてビームが消失した後でそこに残っていたのは、T-LINKフレームから目も眩むような強烈な深紅の輝きが放たれてはいるものの、装甲にかすり傷の1つすらもついていない無傷のニーズヘッグの姿。

 当然クイーンから放たれた、本来であれば全てに死をもたらす裁きの光の如き重量子ビームはニーズヘッグの背後にあったフロンティア船団には一切のダメージを与えられず、更には念には念をばかりにバジュラの砲撃も俺に集中させたのだろう。その全てを防ぎきった以上、フロンティア船団に与えられた損害は皆無と言っても良かった。

 その様子に小さく安堵の息を吐き、改めてオープンチャンネルで告げてやる。

 

「どうした? 自称神様の一撃はその程度か? バジュラの力を借りても傷1つ付ける事すら出来ないか。言っておくが、この機体は基本的に運動性や機動性を重視している回避型の機体だぞ? にも関わらずこの程度とは……どうやら、この世界の神というのは、余程に非力らしいな」

 

 その言葉が戦場となっている宙域へと流れ……

 

『うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!』

 

 シャドウミラーのメンバーだけではなく、新統合軍、S.M.Sのメンバーまでもが敵の総力を込めた一撃を完全に無効化したニーズヘッグの姿に雄叫びを上げ、士気が天井知らずに上がっていくのだった。




アクセル・アルマー
LV:41
PP:1390
格闘:274
射撃:294
技量:284
防御:284
回避:314
命中:334
SP:1394
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    ???
    ???

撃墜数:1113

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