転生とらぶる1   作:青竹(移住)

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0772話

 バジュラ本星から生えている、と表現してもいいような巨大なランカの映像。その映像はバトル・フロンティアやマクロス・クォーターと通信した時に聴こえてきたようにフォールド通信を通じて聴こえてくる歌に合わせて動いており、同時にその歌はフォールド波を伴ってバジュラに対して力を与えているのだろう。

 そんな風に考えつつ、ランカに向かっている俺達をこれ以上進ませまいと30匹程の機動兵隊バジュラと重兵隊バジュラの集団がデフォールドしてこちらへと攻撃を仕掛けてくる。

 放たれたビームやミサイル、重量子ビームをニーズヘッグ特有の高い運動性で回避していく。機体の至る場所に備え付けられている無数のスラスターや、100Gを超える俺で無ければ耐えられないツイン・ドライブ、機能が限定されていてもヒュドラ6基全てに内蔵されているテスラ・ドライブ。そしてギアス世界の最新技術でもあるエナジーウィング。これら全ての効果と、ネオ・グランゾンのデータを解析して以前よりも強化されたグラビコン・システムによる重量軽減。これら全ての能力をフルに発揮した俺とニーズヘッグは、雨霰と降り注いでくる全ての攻撃を完全に回避しながら前に進んでいく。

 

『おい待てこら! お前だけが先行しすぎるな!』

「っと、悪い。ちょっと飛ばしすぎたな」

 

 ほんの数秒で、驚く程に差がついたオズマとアルトのVF-25。その両機と速度を合わせつつ、バジュラの攻撃を回避しながらヒュドラに内蔵されているT.T.キャノンを放つ。

 映像モニタに映し出されたアルトは、バジュラどころか何も無い方向へといきなり攻撃した俺に大して間の抜けた顔で視線を向けていたが……放たれたビームが宇宙空間で大きく弧を描きながら、こちらを待ち構えているバジュラ達の真横から突き刺さったのを見て目を剝く。

 

『おい、アクセル。さっきから思ってたんだが、お前のその機体……どんな性能なんだ? 機動力にしても、運動性にしても、火力にしても、装甲にしても……どれをとっても化け物級じゃないか』

「そりゃそうだろ。これは俺達シャドウミラーの武力の象徴、フラグシップ機だ。それこそ本気になればバジュラ共全てを殺し尽くせる程度は楽に出来る性能を持っているからな」

『何っ!? じゃあなんで……いや、ランカか』

「そういう事だ。そもそも、あのバジュラ本星のどこにランカがいるか分からなかった以上、こっちとしても迂闊な真似は出来なかった。ま、その結果がこれな訳だが」

 

 バジュラの集団に近づきつつ、前方のヒュドラに内蔵されているランツェ・カノーネを乱射。同時に再びT.T.キャノンを放ちつつ、ヒュドラ先端に内蔵されているビーム砲を連射していく。

 先程向こうから食らった雨霰の攻撃に対する仕返しとばかりに、バジュラ30匹以上の攻撃をニーズヘッグ1機だけで放つ。

 しかも1撃1撃の威力が違う。放たれた攻撃の殆どは、バジュラが持つVFと同等……いや、それ以上の堅さを持つエネルギー転換装甲を貫通し、一瞬にしてこちらを待ち構えていたバジュラの肉片を宇宙空間へとぶち撒けていく。

 こういう時は『汚い花火だぜ』とでも言えばいいのか?

 そんな風に考えながら、ランカの歌とフォールド波について考える。

 勿論その間にもオズマとアルトを引き連れてランカの映像に向かわせんとするバジュラを撃破し、回避していく。

 それでもフォールド波で連絡を取り合っているのだろう。その群れの数が止むという事は無い。

 にしても、フォールド波か。ランカの歌がフォールド波でバジュラに力を与えている以上、ランカを説得出来ればそのフォールド波を……待て。

 そこまで考え、マクロス・クォーターから出撃する時にシェリルに渡したフォールドクォーツのイヤリングを思い出す。そして、2つセットになっているうちの1つを俺が貸して貰っている事も。

 ……ランカを正気に戻すにはこれを使って何とかフォールド波を……いや、シェリルの歌か。よくもまぁ、ここまで都合良く物事が運んでいるものだ。

 そう判断すると、即座にオズマとアルトへと向かって通信を入れる。

 

「聞け。見ての通り、ランカは洗脳か何かをされていると思われる。そして洗脳を解くには、お前達の力が必要だ」

『具体的には』

 

 間髪入れずに問い返えしてきたのはオズマ……ではなく、アルト。この辺の行動の早さはさすがと言うべきだろう。……ただ、その辺を全く考えず取りあえずランカに向かっていたというのもまた、アルトらしいと言えばらしいのか。

 いや、取りあえずアルトやオズマを引き連れてランカに向かっていた俺が言う事では無いと思うんだけどな。

 そんな風に考えながら、進行方向から少しずれた場所にある幾つもの岩塊を確認し、そちらへと向かう。

 

「ランカがバジュラに力を与えているのはフォールド波を通してだ。つまり、フォールド波を通してならランカを説得して元に戻らせる事が出来るかもしれない」

『だが、どうやってだ?』

 

 オズマの不審そうな声。それを見ながら、空間倉庫から取り出すシェリルのイヤリング。

 

『それは確か、シェリルが身につけていた……』

「ああ。オズマの言うとおりこれはシェリルのイヤリングだ。それもただのイヤリングじゃ無くて、フォールドクォーツで出来た……な」

『フォールドクォーツ……っ!? じゃあ、それを使えばランカと意思疎通が出来るのか!』

 

 俺の言葉にアルトが大声でそう尋ねてくる。オズマもアルト同様に驚き、目を見開いてこちらへと視線を送っている。

 

「そうだ。ただし、俺達だけじゃ全くの無意味だ。何しろ、フォールド波を発する事が出来ないんだからな」

 

 その言葉を聞き反射的に口を開こうとするオズマとアルトだが、それを封じるかのように言葉を被せる。

 

「ただし俺達にはシェリルがいて、今のシェリルは歌にフォールド波を乗せる事が出来る。それはお前達もよく知っているだろ?」

 

 そのシェリルの歌によってバジュラは混乱し、ランカが出てくるまでは圧倒的有利に戦闘を進められたのだから。……V型感染症という、まさに自らの命を削るという行為によって得られたその力で。

 アルトやオズマもそれは理解しているのだろう。厳しい表情で頷きを返す。

 

「とにかくだ、シェリルの歌がフォールド波を発している以上はランカと繋がる事も可能な筈だ。シェリルが持っているフォールドクォーツがフォールド波を増幅しているらしいしな。つまり……」

『アクセルが持っているイヤリングを使えば、直接ランカと意思疎通が出来るということか?』

 

 アルトの言葉に頷き、手に持っているイヤリングを揺らす。

 

「ただし、あくまでも可能性だ。あるいは失敗するかもしれない。いや、寧ろそっちの可能性の方が高いだろう。……で、だ。当然呼びかける人物がランカと親しいに越した事は無いんだが……お前達のうち、どっちがやる?」

『アルトだ』

 

 一瞬の逡巡すら無く口を開くオズマ。

 

『隊長?』

 

 アルトもそんなオズマに対して疑問に思ったのだろう。思わずと言った様子で尋ねる。

 

『ランカは既に俺の下から巣立って、十分に独り立ちしている。なら、この時に出るべきは兄ではなく……恋人だろう』

『隊長……』

 

 再び呟くアルト。……だが、そうか。いつの間にかアルトとランカはくっついていたんだな。ランカがアルトを好きだというのは色々な相手――主にミハエルやシェリル――から聞いて知っていたが。

 

「なら話は決まりだな。……アルト、ちょっと機体をこっちに寄せろ」

『何? どうするんだ?』

 

 そう言いつつも、岩塊の影に隠れるようにしてファイターのままニーズヘッグへと近寄ってくるアルトのVF-25F。

 殆ど接触している状況から、ニーズヘッグのコックピットで影のゲートを展開。そちらへと手を伸ばし、影のゲートを経由してアルト機のコックピットへとゲート越しにシェリルのイヤリングを渡す。

 

『おわぁっ!?』

 

 いきなりコックピットの床から俺の腕が生えたのを見て驚いたのか、通信越しに聞こえてくるアルトの声。

 

『何だ?』

「何でも無い。ただ影のゲートを使ってアルトの機体にフォールドクォーツのイヤリングを渡しただけだよ」

 

 オズマへとそう返し、改めてアルトへと声を掛ける。

 

「フォールドクォーツは持ったな?」

『あ、ああ。……けど、いきなりこういう真似はやめろよな! 驚くだろ!?』

「そうは言っても、この状況でコックピットを展開する訳にはいかないだろ」

 

 俺は平気だが、アルトの方が色々な意味で危険だ。特にバジュラに見つかった場合は、まず間違いなく致命傷になる。それを考えれば、これが1番手っ取り早くて確実な方法だったのは間違い無い。

 

『いや、分かってはいるけど……』

『スカル5、今はごちゃごちゃ言わずにランカを助け出す事だけを考えろ。いいか? もしもランカに傷1つでもつけてみろ。お前のケツにディメンション・カッターを撃ち込んでやるからな!』

 

 そんな声が聞こえてくるが……ディメンション・カッターって何だ? いや、その字面からディメンション・イーターの類だとは思うんだが。話を聞いている限りでは、恐らくはVFが発射可能になった武器か? ようは、通常のミサイルや弾丸がMDE弾頭になったのに対して、反応弾がディメンション・カッターになったのか?

 まぁ、それはいい。それがどれだけ危険な兵器なのかは、引きつっているアルトの顔を見れば明らかだ。今はそんな2人に構っているよりもやるべき事がある。

 オズマとアルトのやり取りをそのままに、マクロス・クォーターへと通信を繋げる。

 

「こちらスカル4、マクロス・クォーター聞こえるか?」

『はい、何でしょうか?』

 

 通信に出たのはラム。他のメンバーは戦闘で忙しいのか、忙しく指示を出しているジェフリーの声が聞こえてくる。

 

「シェリルに繋いでくれ。ランカを助け出すのにシェリルの協力が必要だ」

『ですが、今は……』

「ああ、分かっている。歌っているんだろう? 別に歌を止める必要は無い。そのままシェリルのいる場所に繋いでくれればいい」

『艦長? ……はい、分かりました。すぐに繋ぎます』

 

 恐らくはジェフリーが何か口添えをしたのだろう。そのまま数秒程経つと、ニーズヘッグの映像モニタには歌い続けているシェリルの姿が映し出される。

 いつもより……いや、それ以上に魅力的に歌い続けているシェリル。その軍服風の派手なステージ衣装と、マクロス・クォーターの対比が微妙に意味ありげな気がする。

 っと、歌い続けているシェリルに見惚れている場合じゃ無いな。まずは話を通さないと。

 歌いながらも、こちらが気になるのだろう。こちらへと視線を向けてきているシェリルへと向かって声を掛ける。幸い、俺の声はシェリルにのみ聞こえるようになっており、マイクを通して周囲に広がったりとかはしない筈だ。

 

「シェリル、これからランカを助けに行こうと思う。そこでお前の協力が必要なんだが、頼めるか?」

 

 その言葉に一瞬の逡巡すらも無く、無言で頷きを返す。

 やはりシェリルにとってもランカは妹分のようなものなのだからこその反応なのだろう。視線で自分が何をすればいいのかを尋ねてくるシェリルに、先程オズマとアルトへ語ったのと同じ事を口にする。

 俺がシェリルから預かったイヤリングをアルトに渡したというところで、歌いながらも若干目つきが鋭くなったが……それでもその行為が必要だというのは理解しているのだろう。しょうがない、とでも言うように歌の途中で小さく肩を竦めていた。

 取りあえず肝心のシェリルの了解は取れたという事で――実はもうイヤリングを渡してしまっているのだが――頼むと小さく手を上げてから通信を切る。

 ……さて、準備は整った。後はフォールドクォーツの効果をより強まらせる為にも、あのランカの巨大映像に突っ込んでいかなきゃな。

 いや、フォールド波の性質を考えれば距離とかは関係ないかもしれないのだが、それでもやはり気持ち的には近づいた方が効果がある気がする。そして何よりも、いざ何かあった時にすぐに反応できるというのは大きいだろう。

 

「……さて、そろそろいいな? あのランカの映像に突っ込むぞ!」

『ああ、俺は問題無い! 必ずランカを取り戻してみせる!』

『グレイス・オコナー、レオン・三島……奴等は絶対に許す事は出来ん!』

 

 アルトとオズマが自分に言い聞かせるように返事をし……

 

「じゃあ、行くぞ!」

 

 その言葉と共に、俺達は岩塊から姿を現してランカの映像へと突っ込んで行く。




アクセル・アルマー
LV:41
PP:1235
格闘:274
射撃:294
技量:284
防御:284
回避:314
命中:334
SP:1394
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    ???
    ???

撃墜数:1082

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