転生とらぶる1   作:青竹(移住)

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0066話

 テスラ研を占領した翌日、ラミアが俺の所へと報告に来た。

 

「アクセル隊長。エクサランスの件ですが、既にこのテスラ研へと向かっているようです」

 

 やはり、か。

 ラミアの報告に、やはりという思いとようやくという思いが混ざる。

 俺がエクサランスチーム、いやフェル博士へと接触したのはあちらの世界への転移するこの時にラウル達エクサランスチームをこちらへと引き入れる為だった筈だ。だがあの4人と深く関わってしまった今、このままシャドウミラーへと引き込む事が良いのかどうか分からなくなっている。

 理性ではこのままシャドウミラーへと引き込めと言っている。だが感情はあの4人をシャドウミラーという修羅の道へ引きずり込むのをやめろと言っている。

 

「だが、俺の生存の為には……生存の、為?」

 

 俺の究極的な目的は、死亡フラグ満載のこの世界で生き残る事。それには力がいる。だからこそ永久機関ともいえる時流エンジンを手に入れるべくフェル博士に接触した。そしてその時流エンジンは旧式とは言え、レモンにカスタム化されて既にグロウセイヴァーへと搭載されている。つまり最低限の結果は既に出ている訳だ。

 

「なら必ずしもあいつらを引き入れる必要はない、のか?」

 

 と言うか、エクサランスチームを引き入れない方があちらの世界でアインストやインスペクターに対する戦力として期待出来る分俺にとっては有用じゃないか?

 

 ……あぁ、分かってる。分かってるさ。これはあくまでも俺の偽善だという事に。だが、それもあいつ等とここまで深く関わってしまった俺の行動の結果だ。

 あいつ等の保護者とも言える俺が裏切る。それがどれだけの心の傷を残すのかは分からないが、このままシャドウミラーへと所属した場合に受ける精神的ダメージよりはマシだと思いたい。

 

「W16、確かテスラ研でこちらに協力したいと言ってきたテストパイロットが何人かいたな?」

「はい、嘘か本当かは分かりませんが、レモン様と親しくしていたと自称する者が4人程」

 

 レモンと親しくしていたという部分に多少気に掛かる所があるが、エキドナの様子を見るに恐らく嘘なのだろう。この研究所に所属している者はレモンの顔を知っている者も多い。そしてそうなると、そのレモンと親しい関係にあった俺の事を知ってる者もそれなりにいるだろう。そして、そんな奴等がレモンの事を理由に俺に取り入ろうとしている、か。なら捨て駒には丁度いい。

 

「では、そいつ等にピーターソン基地所属のPTという事にしてエクサランスチームをテスラ研へと誘導するように伝えろ。機体はアークランドにある予備機体の量産型ゲシュペンストMk-Ⅱを4機使っても構わん。それと、以降の周辺の警戒はバリソンに任せてお前は転移の為の準備を進めろ」

「了解しました」

 

 敬礼をして出て行くエキドナ。

 これで後はラウルとフィオナがエクサランスであの4人を倒せば、原作通りの流れの筈だ。

 

 

 

 

 

「隊長、リュケイオスの起動コードを入手しました」

 

 量産型Wの1人が俺にそう報告してくる。

 ジョナサンは昨日の約束通り、1日と掛からずにアギュイエウスとリュケイオスの封印を解除した。だが、起動コードの入手に関してはこちらでやって欲しいと言ってきたのだ。理由としては、封印の解除はともかく起動コードに関する事まで自分達が手を貸してしまっては連邦軍に言い訳出来ないとの事だった。

 だが、恐らくその言葉はブラフだったのだろう。俺達が起動コードを入手出来無ければそれで良し。もし入手出来たとしてもある程度は時間が掛かる為、テスラ研を奪還する為の部隊を待つ時間稼ぎといった所か。リュケイオスとアギュイエウスの封印はきちんと解除しているので、俺が約束を守る限りは所員に手荒な事をしないと読んでの行動だと思われる。

 この辺は地球でも最大規模の研究所であるテスラ研の所長をやってるだけあり、さすがの強かさといった所か。

 だが、そんな行動もレモン自慢の量産型Wにかかれば本当に多少の時間稼ぎにしかならなかった。

 

「すぐにリュケイオスの起動準備を。そろそろ連邦軍の奪還部隊がここに来てもおかしくはない。それにヴィンデル達ももうすぐ到着予定だ」

「はっ」

 

 量産型Wが敬礼をして部屋を出て行く。

 

「本隊はやはり破れた、か。敵は恐らくベーオウルブズ」

 

 以前バラバラにしてやったというのに、その場で修復完了しそうになっていたアインストの馬鹿げた再生能力を思い出す。

 原作を知っている俺だが、その原作よりもベーオウルフの能力が強化されているように感じるのは気のせいだろうか。あるいは、俺が原作に干渉した結果ベーオウルフの能力が強化されたのかもしれない。

 

「失礼します、隊長」

 

 内心考え込んでいた俺に、部屋へと入ってきたエキドナが声を掛ける。

 

「W16か。どうした?」

「ナンバーズの0番から10番までの準備が整いました」

「W10までという事は、初期型のみを集めた先発隊か。……ん? ちょっと待て。0番からという事は、W00も含まれているのか?」

「はい、レモン様からそのように言われています」

 

 レモンから話だけは聞いていた初期型Wナンバーズ。俺の原作知識には全く無い存在だ。少なくても、OGsには初期型Wナンバーズは出てこないのでこのグループの転移は失敗するのだろう。

 そう言えば、無限のフロンティアとかいうゲームにWナンバーズが出ているとかなんとか見たか聞いた記憶があるのだが、そっちは未プレイなのでなんとも言えない。

 ただ、W00に関して言えばレモンが最初に設計したナンバーズらしく、成長するのに時間が掛かる為に計画を凍結してW00も冷凍睡眠させているらしい。

 

「アクセル隊長、すぐに転移させますか?」

「いや、まだだ。レモンが先発隊をネバーランドに乗せると言ってきた」

 

 リュケイオスの起動コードを発見する数分前にレモンから送られたメールにはそう書かれていた。ヴィンデルの了解も貰っているらしいので、俺としては納得するしかない。

 あちらの世界への転移に失敗するのだから、せめてネバーランドではなくアークランドで我慢して欲しかったのだが。

 貴重なトライロバイト級を、しかも武装が殆ど無くなりステルス機能つきの輸送機としてしか使えないアークランドではなく、きちんと戦艦として使えるフルスペックのネバーランドをW00の揺りかごにするのはレモンの母性故、なのだろうか?

 

「では、先発隊の転移はレモン様達が到着してからと言う事で?」

「そうなる。レモンとヴィンデルが到着次第すぐに積み込めるようにしておけ」

「了解です。それともう一つ報告が。テスラ研のテストパイロット部隊ですが、エクサランスの奪取に失敗しました」

 

 その発言を聞き、思わず眉を顰める。

 

「エクサランスの奪取だと? 俺は確かエクサランスチームをテスラ研へ誘導しろと命じた筈だが?」

「どうやら、連邦軍所属の機体と鉢合わせしてしまいボロを出した事でエクサランスチームと戦闘になったようです。尚、その戦闘でエクサランスが実戦投入されたという報告も入っています」

 

 反乱前にラージ達と通信で話した時には、既に地上戦闘用のフレームであるストライカーフレームは完成したと言っていたな。実戦投入されたというのは恐らくそれだろう。

 

「となると、俺が出るしかないか」

「隊長自らですか? しかし……」

「お前とW17は転移の準備で忙しい。バリソンはテスラ研の警戒に当たっている。他は量産型Wだ。となると、この状況で動けるのは俺しかいないだろう? 機数はあまり割けない、だがエクサランスは入手すべきだ。……となると少数精鋭でいくしかないか。量産型アシュセイヴァーを4機連れていく。バリソンに連絡して、エルアインスに搭乗している量産型Wと交代させろ。それとアークランドにソルプレッサが余っていたな? あれを4機偵察用に使う」

「……了解です。隊長がそう仰るならば」

「何、そんなに時間は掛からない。ここの守りはお前達に任せるが構わないな?」

「はっ、お任せ下さい」

 

 エキドナは早速俺の命令に従い、バリソンへと連絡を取る為に部屋を出て行く。

 その後ろ姿を見送った俺も、出撃の準備をする為にアークランドの格納庫へと向かった。

 

 

 

 

 

「隊長、目標発見しました」

「よくやった。そちらの位置を知らせろ」

 

 ソルプレッサに乗った量産型Wからエクサランスチーム発見の報告を受け、量産型アシュセイヴァー4機を引き連れ目標地点へと向かう。

 幸い場所はそれ程離れていない為に、輸送機等を使う必要はなく編隊を組んで空を飛ぶ。

 

「隊長、ソルプレッサの反応をロストしました」

 

 俺の隣を飛んでいた量産型アシュセイヴァーから通信が入る。

 あくまで偵察を優先して戦闘は行わないように命令していたのだが、撃墜?

 命令違反という概念すらない量産型Wなのだから、こちらの命令を無視して功を焦って仕掛けて返り討ち、なんて事はまずない。

 となると、なんらかのアクシデントが起こって戦闘状態に入らざるを得なかったと考えるべきか。

 

「全機、もう少し速度を上げるぞ」

 

 4機の量産型アシュセイヴァーへと通信を送り、飛行速度を上げる。

 

 

 

 

 

 速度を上げてから数分後、レイディバードと見覚えのある機体2機を確認できた。

 赤い機体色をメインに、所々黄色い塗装がアクセントとなっている。右手にハサミとも爪とも思えるような巨大な武装。エクサランスの地上用フレームを使用したエクサランス・ストライカーだ。

 

「全機、ここで待機だ。敵機に気が付かれないようにしろよ。それとW1、相手の機体の通信周波数を探れ」

「了解」

 

 クロノスからリニアレールガンの砲身を伸ばし、2機いるうちの片方へと狙いをつける。原作ではフィオナが攻撃を受けていたが、俺からはどちらの機体に誰が乗っているのかは分からない為、どちらかを狙うのは完全に運だ。

 

「ふぅ」

 

 狙いをつけて、深呼吸をする。

 今まで何度となく射撃をしてきたが、ここまで緊張する射撃は初めてだ。

 狙うのはエクサランスの胴体……ではなく、コックピットのある頭の部分だ。もちろん直撃をさせる気は毛頭無い。掠める衝撃でラウルかフィオナを気絶させるのが目的なのだから。

 ここでどちらかが気絶して、それを庇うもう片方。そしてそれを察知したデュミナスが現れ、エクサランスチームがあちらの世界に転移する。少なくても、原作ではそういう流れになっていたので、その流れに乗せてもらおう。

 

「集中、T-LINKシステム、フルコンタクト」

 

 精神コマンドの集中を使用し、感覚を増す。次にT-LINKシステムを利用して万が一にもエクサランスの頭部を撃ち抜かないように慎重に狙いをつける。

 本来ならT-LINKシステムで誘導可能なファントムを使えればいいのだが、あれは複数を同時運用する事を前提としている武装だ。1発の威力が小さすぎてコックピットに直撃でもしなければパイロットの気絶なんて出来ないだろう。だが、コックピットへ直撃となると下手をするとパイロットごと撃ち抜くという可能性もある。故に、長距離からの狙撃に適したリニアレールガンの出番となる訳だ。

 

「そこだっ!」

 

 集中を使い鋭くなった感覚と、T-LINKシステムによる機体制御。それらが一致したその瞬間、リニアレールガンのトリガーを引く。

 レールガン故の静かな発射音が聞こえたのと同時に、エクサランスの顔の左の部分が弾け飛ぶのがグロウセイヴァーのモニタでも確認出来た。




名前:アクセル・アルマー
LV:24
PP:60
格闘:202
射撃:220
技量:212
防御:209
回避:237
命中:259
SP:334
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:B
宇:A
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP20
   ???
   ???

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    ???
    ???
    ???
    ???
    ???
    ???
    ???

撃墜数:87

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