転生とらぶる1   作:青竹(移住)

778 / 3408
0739話

「何から告げるべきか。まずはそうだな、これからか。俺はこの世界の人間じゃない」

「……え? どういう事? フロンティア船団で生まれた訳じゃ無いってのは以前聞いて知っているけど」

 

 俺の言葉に首を傾げて尋ねてくるシェリルに、首を左右に振って説明を続ける。

 

「違う。このフロンティア船団の生まれじゃないという意味じゃなくて、正真正銘俺はこの世界の人間じゃない。そうだな……異世界、並行世界、パラレルワールドといった世界からこの世界にやって来た」

「あのね、アクセル。今はそんな冗談を……」

 

 言葉を続けようとしたシェリルの目の前で空間倉庫を展開し、紙パックに入った果汁100%のリンゴジュースを取り出す。

 空間に空いた穴とでも言うべき場所からリンゴジュースを取り出した俺に、シェリルの目が驚愕に見開かれる。

 

「ア、アクセル……今、そのリンゴジュース……どこから取り出したの?」

「俺の持っている力の1つで、空間倉庫という能力だ。この世界、マクロス世界では考えられない能力だろ? ほら、かなり汗を掻いていたからな。少し水分補給でもしろ」

 

 そう告げ、リンゴジュースをシェリルに手渡す。

 本来なら冷たいのではなく常温のリンゴジュースがシェリルの体調的にはいいんだろうが。

 そんな風に思っていると、恐る恐る紙パックにストローを刺して口へと含み……

 

「お、美味しい……これ、ギャラクシー船団は元より、フロンティア船団でも初めて飲む味よ? 果汁100%なんて、紙パックに入れて気軽に売れるような代物じゃないのに」

 

 まぁ、このフロンティア船団は一応農業とかもやっているけど、基本的には天然物はそれだけ高価だ。以前シェリルが持ってきてくれた果物の詰め合わせだって値段的に考えればかなりのものなのだから。

 

「ちなみに、こんなのもあるけど……飲むか?」

 

 次に空間倉庫から取り出したのは、綾瀬お勧めの紙パックジュース『マグロの生クリームエキス』とかいう代物だ。……貰ったのはいいけど、とても飲みたくなるような名前のジュースじゃないよな。……ジュース? いや、この場合は呪いの巣的な意味で『呪ー巣』と表現した方がいいのかもしれない。

 案の定、シェリルも紙パックに書かれている名前を見て盛大に眉を顰める。

 

「嫌よ、そんなの。見るからに不味そうじゃない。って言うか、毒よ毒」

「いや、その毒を好んで飲むようなマニアックな奴もいるんだけどな」

 

 苦笑を浮かべつつ、手に持っていた危険物は空間倉庫の中へと戻す。

 シェリルの調子も大分戻っているようで何よりだ。

 

「で、アクセルが異世界人だって話だけど……なら、なんでここに、えっと、マクロス世界って言ってたわね。このマクロス世界にいるの?」

「次元転移装置の……そうだな、操作ミスで俺だけがこの世界に転移してきたんだよ。で、転移してきたのがS.M.Sの一室でオズマとジェフリーが話しているところだったから、そのままその2人に保護して貰った訳だ。俺がこの世界の住人じゃないってのはその2人しか知らないな」

 

 さすがにどんな姿で転移してきたのかを話す訳にもいかず、その辺は適当に誤魔化す。

 

「……異世界、あるいは並行世界、か。ね、アクセルがいる世界ってどんなところなの?」

「どの世界も戦いとかはあるな。俺の国、シャドウミラーって名前だが、そのシャドウミラーが接触を持っている世界で世界規模の戦争が無いところなんてネギま世界って場所しかない」

「俺の国?」

「ああ、これも言ってなかったな。一応こう見えても、俺はシャドウミラーという国の代表をやらせて貰ってる」

 

 その言葉はさすがに信じられなかったのだろう。ポカンとした表情を浮かべて俺へ視線を向けるシェリル。いやまぁ、無理も無いけどな。

 

「まぁ、シャドウミラーが普通の国じゃないってのもあるけど……そうだな、少し話の順番を間違ったか。まずはこれを言うべきだったな。俺は人間じゃない」

「は? ゾラ人とかそう言う風な意味?」

「ちょっと違う。正確に言えば、元人間と言うべきだな。この姿も、この世界に転移してきてオズマ達に見つかった時にこの外見だったからそのまま使ってるだけで……色々と年齢については自由に変えられる。例えば……」

 

 パチンッと指を鳴らして全身が白炎に包まれて10程の子供の姿に。そしてシェリルの目が見開いているのを見ながら再度指を鳴らして再び全身が白炎に包まれて20代の、俺本来の姿へと変わる。

 指を鳴らす度に容姿が変わる俺に、シェリルがじっと視線を向けて来る。

 

「この姿では初めましてだな。改めて、シャドウミラー代表、混沌精霊のアクセル・アルマーだ」

「……あー、もう。何から言えばいいのかちょっと分からなくなってきたわ。そもそも、混沌精霊? 何それ?」

「人間じゃないって言っただろ? さっきも言った、ネギま世界って世界は魔法とかがある世界でな。そこでまぁ、色々あって人間から人間以上の生物に進化したんだよ」

「……こうして見る限りだと、人間にしか見えないけど? まぁ、外見年齢はコロコロ変わってるけど」

「まぁ、見たいなら見せてもいいけど、驚くなよ?」

 

 呟き、再び指を鳴らして全身が白炎で覆われ……次の瞬間には腰から竜尾が、背からは羽が、頭部からは額と側頭部から天を突くかのような角が3本、同時に後頭部から側頭部の角の下を通って前方へと伸びる角が左右で2本。

 

「ちょっ、アクセル!?」

 

 驚くなとは言ったが、やはり当然この姿を見て驚かないというのは無理だったのだろう。口に手を当てたまま目を見開いて俺の方へと視線を向けている。

 それでも俺にとって救いなのは、シェリルの目に恐怖の類が無い事か。

 

「これが混沌精霊としての俺の姿だ」

「その、羽とか尻尾とか角とか……本物なの?」

「ああ、見ての通り俺の意志で自由に動かせる。……角を動かすのはさすがに無理だが」

 

 竜尾を伸ばし、先端をシェリルの近くまで移動させると、指で突いて竜尾が偽物ではない事を確認する。

 

「他にもこんな事が出来るぞ」

 

 指を白炎に変化させ、そこから炎獣を作り出す。

 リスや小鳥、あるいは子犬や子猫といった姿を与えられた炎獣が、部屋の中を所狭しと走り回る。

 

「きゃっ、こ、このっ!」

 

 リスの炎獣がシェリルの身体を駆け上がり、小鳥の炎獣がシェリルの肩へと降り立つ。

 炎獣は作り出す時に炎の温度を30℃程度にしてあるので、触れても問題は無い。

 そんな炎獣とじゃれているシェリルを見ているのも楽しかったが、このままでは話が進まないと指を鳴らして炎獣を消滅させる。

 

「見ての通りだ。他にも魔法が使えるが……まぁ、それは今回はいいか?」

「え? 魔法は見てみたいわ」

「話が全部終わってからな」

 

 全く……まぁ、炎獣のおかげで元気が出て来たのは良かったと言うべきだろう。

 

「とにかく、まだ色々と話してない内容はあるが……俺が元人間で、現在は人間じゃないってのは理解したか?」

 

 再び指を鳴らして全身を白炎で包み、15歳の外見へと戻る。

 俺本来の姿は20代の方なんだが、もし何かあって誰かがこの部屋に来た時とか困るし。

 

「そうね。さすがにこんなのを見せられたら信じざるをえないわ。けど、それがどうかしたの?」

 

 この辺、さすがにシェリルといったところか。俺が人間じゃないと言われても全く驚いた様子や、忌避するようなところがないのは好感が持てる。

 

「俺の種族、混沌精霊っていうんだがな。この混沌精霊には1つの特徴がある」

「特徴? 魔法が使えるとか?」

「いや、魔法は俺が混沌精霊になった世界じゃ珍しいものじゃない。才能の大小はあれど、誰にでも習得出来る。特徴って言うのは……気や魔力といったものを使った攻撃じゃないと、俺にダメージは与えられないんだよ。物理的な攻撃に関しては、ミサイルだろうが弾丸だろうが、それこそ試してはいないが恐らく反応弾ですらも効果がないだろう。……これが何を意味しているか分かるか?」

 

 俺のその言葉で、半ば言いたい事を理解したのだろう。シェリルは目を大きく見開きながら視線を向けて来る。

 そのシェリルに近付いていき、そっとストロベリーブロンドの髪を撫でながら、顔を近づけて唇を重ねる。

 先程とは違い、軽く接触するだけのキス。そのまま唇を離し、何かを言おうとしたシェリルの唇を再び塞ぐ。

 そんな事を数回繰り返し、ようやくキスを止めてその耳元でそっと囁く。

 

「つまり、V型感染症だろうが、風邪だろうが、魔力や気に関係した病気じゃない限りは一切俺に感染する事は無い。そして、バジュラは当然魔力や気といったものを備えている訳じゃ無い。だから、俺がお前と何をしようがV型感染症に俺が感染する事は無いんだよ」

「アクセル……いいの? もしそうだとしても、あたしがV型感染症に感染しているというのは変わらないのよ? そして、この病気は……んっ!」

 

 再びシェリルの唇を塞ぎ、1分程のキスの後に唇を離す。

 その華奢でありながらも女としては十分な魅力を備えているその肢体を抱きしめ、耳元で囁く。

 

「俺がお前を欲しいんだ。銀河の妖精シェリル・ノームじゃなく、今俺の前にいるシェリル・ノームを」

「アクセル……全く、本当に馬鹿なんだから。あたしはいずれこの病気で死ぬのよ? なのに、なんで……」

「それに関してだが、一応の対策は考えられる」

 

 ベッドの上に座り、シェリルの身体を抱きしめ髪を撫でながら、俺の言葉に身体を硬直させたシェリルの耳元で言葉を続ける。

 

「俺の組織は次元転移装置を保有している事でも分かるように、高い技術力を持っている。それに本拠地のホワイトスターという場所なら、もしかしたらシェリルの病気を治せる……かもしれない」

「……本当なの?」

「ああ。実際シェリルの罹っている病気はともかく、これまでに不治の病だと言われていた病人を何人も治療しているからな。……ただ、V型感染症は色々と特殊な病気らしいからはっきりとは言えない。それでも治療が出来る可能性がある」

「……馬鹿よ、アクセルは本当に馬鹿。グレイスに切り捨てられたこんなあたしの為に、自分の正体まで明かして。もしあたしがアクセルを信じられなくて、その正体を公表したりしたらどうしてたのよ?」

 

 俺に抱き付きながら、自分の生きている証拠を残すんだとでもいうように力一杯抱き付き、耳元で呟くシェリル。

 そんなシェリルの身体を抱きしめつつ、俺はゆっくりとベッドへと押し倒す。そして近付いてくる俺の顔を見て、そっと目を閉じたシェリルと俺の唇は再び重なるのだった。

 

 

 

 

 

「……まさか俺がシェリルに手を出すとは思わなかったな」

 

 事後、ベッドの中で抱き合いながらシェリルの滑らかな肌をそっと撫でつつ耳元で囁く。

 そんな俺の言葉を聞いたシェリルは、俺の首へと軽く噛みつきつついじけた様に口を開く。

 

「あんなにあたしを愛したくせに、今更何を言ってるのよ」

 

 そう告げてくるシェリルは、既にグリフィスパークの丘や、俺の部屋に来た時に見せたような弱々しい表情は一切浮かべていない。いつもの……いや、いつもよりも尚自信に満ちあふれたシェリル・ノームとして笑みを浮かべている。

 ついでに俺の身体に抱き付いたまま噛みついてきたので、年齢不相応に巨大な双丘がグニュリと俺の胸板でひしゃげているのが見えるし、感じられた。

 そんなシェリルの肢体を楽しみつつも、そうじゃないと首を振る。

 

「基本的に俺の本当の姿ってのは、20代の方なんだよ。勿論この姿も偽物じゃないのは事実だが……」

「何が言いたいの?」

「つまり、だ。ぶっちゃけ俺は18歳以下の相手に手を出すつもりはなかった」

「あら? ならあたしに手を出してもいいでしょ?」

「……何でだ? 確かお前は17歳だろ? あやかや千鶴、円や美砂達にも俺の恋人になるつもりがあるなら18歳まで待てって言って手を出していないのに」

「17歳? ……ああ、あたしが公表している年齢ね。あれは正直に言って殆ど適当なのよ。きちんと調査をしたら20歳くらいだって結果が出てるらしいし」

「何でまた年齢を誤魔化してたんだ?」

「ちょっと色々あって、あたしの正確な年齢は分からないのよ。で、その辺はグレイスの提案でね。……ところで」

 

 呟きつつ、一糸纏わぬ身体を俺に押しつけつつ再び首へと噛みつくシェリル。ただし、今度のはさっきと違ってちょっと痛い。

 まさかこんなところで混沌精霊の力を使う訳にはいかないしな。

 

「何だ? ちょっと痛いぞ」

「黙りなさい。あやか? 千鶴? 円? 美砂? ……さらりと名前を出したけど、この4人ってどうみても女の名前よね?」

 

 ペロリと首筋を舐めながら追究してくるシェリルに、思わず苦笑を浮かべる。

 

「そもそも、こういう寝物語であたし以外の女の名前を出すのはマナー違反だけど……色々と他にも聞いておかないといけない事があるみたいね」

 

 そう告げ、まるでマーキングをするかのように首筋を舐めながらそう告げるシェリル。身体を動かす度に俺の身体の上でシェリルの柔らかな肢体がこちらを刺激してくる。

 

「あー、その、だな。実はこう見えて恋人がいたり……だな」

「へぇ、それがその4人……って訳じゃないわよね? 18歳以下には手を出さないって言ってたもの。じゃあ、その4人の他にも誰かいるんでしょ? ほら、あたしが優しく聞いてあげているうちに白状しなさい」

 

 再びカプリと首筋に噛みつき、傷口を舐めるシェリル。

 

「うん、まぁ、その……ちょっとだけな?」

「ちょっと? そういう言い方をするって事は1人じゃないわね。何人?」

「……4人」

「……ふぅん。予想外に多かったわね。で、恋人が4人もいる状態であたしに手を出した女誑しさん? 何か弁明、言い訳、釈明、その他諸々何かあるかしら?」

 

 シェリルの言葉に何か言おうとした、その時。

 ドンドンドン、と部屋の扉が強引に叩かれる。

 

『おい、アクセル! 携帯も通信装置も電源を切って何してるんだ!』

 

 その苛立ちを含んだ声は、間違い無くオズマのものだ。

 だが、ある意味ではありがたいとばかりにシェリルに毛布を掛け、上着を羽織りながら扉へと声を掛ける。

 

「どうした、何かあったのか?」

『何かあったのかじゃねえっ! バジュラ共が攻めて来たんだよ! 迎撃に出るぞ!』

「了解!」

 

 ちぃっ、また厄介な時に攻めてくるな。もう少しタイミングってものを考えろよな。

 下着やら上着やらを急いで着て、シャワーに入る時間が無い為に空間倉庫から取り出した消臭剤を使っていると、一糸纏わぬ姿のシェリルがベッドから俺の方へと近付いてくる。

 

「いい、アクセル。あたしを傷物にしたんだから、絶対に責任を取って貰うからね。生きて帰ってきなさい!」

 

 その言葉と共に重ねられる唇。30秒程経ち、唇が離れたときには再びの銀糸が俺とシェリルの間を繋いでいた。

 

「そ、それに、アクセルの恋人達の事も後できちんと聞かせて貰うからね!」

 

 シェリルの言葉に小さく笑みを浮かべ、再び重ねるだけのキスをしてから部屋を出るのだった。




アクセル・アルマー
LV:41
PP:1055
格闘:274
射撃:294
技量:284
防御:284
回避:314
命中:334
SP:734
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    ???
    ???

撃墜数:720

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。