転生とらぶる1   作:青竹(移住)

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0727話

 映像に映し出されたのは、フロンティア船団後方へとデフォールドしてくるバジュラ艦の群れ。そして、その中には当然と言うべきか女王級が乗っていると思われる要塞の如き巨大なバジュラ艦の姿も存在していた。

 そして、バジュラ艦の群れが姿を現すのと同時に……

 轟っ!

 バトル・フロンティアから放たれたマクロスキャノンがバジュラ艦を数隻纏めて吹き飛ばす。

 あれは……マクロスキャノンを強行型に変形しなくても使えるのか?

 だが、その空母型のままでマクロスキャノンを撃った弊害と言うべきなのか、マクロス・クォーターが撃ったように射角を広く取る事は出来ず、威力はクォーターのものより高いものの、バジュラ艦数隻の撃破で終了してしまった。

 

『S.M.S各機、スカル小隊から順番に一度マクロス・クォーターへと帰還して下さい』

『何っ!? 今この状況でか!?』

 

 ラムからの通信に、思わずといったようにオズマが言葉を返す。

 実際、後方にデフォールドしてきたバジュラ艦は厄介な相手であるのは間違い無いが、それでも前方から迫ってきているバジュラが厄介なのも事実なのだ。

 現在は新統合軍とS.M.Sの戦力で押し留める事には成功しているが、幾ら以前と比べて新統合軍のVFパイロットの腕が上がってきているとは言っても、ぶっちゃけ現在前方のバジュラを押し留めている功績の7割方は俺達S.M.Sによるものだ。そんな状況で俺達が抜けたとしたら、どうなるのかは明白だろう。

 オズマも、それが分かっているからこそ強い口調で言い返したのだ。

 

『いいから戻って来て! 政府から反応弾使用の許可が出たわ! 大統領から直接のオーダーよ。これからS.M.Sは後方に現れた敵主力部隊と思われるバジュラ艦に総攻撃を行う事になったの!』

 

 そんなオズマに言葉を被せるかのように、キャサリンが告げる。

 にしても、反応弾? 後方にデフォールドしてきた途端にバトル・フロンティアからマクロスキャノンが撃たれた事も考えると……

 

『政府は、何もアクセル少尉の言葉を最初から信じていなかった訳じゃ無いわ。けど、今までのバジュラの行動から戦術行動を取るという証拠が無かったから、その真贋を見極める必要があったのよ。……勿論、アクセル少尉の証言が真実の場合はすぐにでも対応出来る準備は整えて、ね』

 

 なるほど。この選択をしたのが誰なのかは分からない。俺が能力的には平凡だとしたグラス大統領の意外な決断力か、あるいはその補佐であるキノコか。はたまた、新統合軍のお偉いさんか。

 とにかく、何らかの確証が出来るまでは準備を整えておいて、いつでも行動に移せるようしにていたのか。

 ……これがもしハワード大統領の決断だとすると、案外俺はあの男の能力を見間違っていたのかもしれないな。

 とにかく、フロンティア政府がきちんと対応する準備をしていたのは分かった。反応弾の使用許可も出してくれるというのならありがたい。

 もっとも、反応弾の大きさやその威力の大きさも考えると、使いどころが難しいのは事実なんだけどな。

 そんな風に考えながら、マクロス・クォーターへと帰還する。

 俺の他にも既にオズマとルカの機体は既に戻って来ているが……

 

「ミハエルとアルトがいないな?」

『あの2人なら少し遅れるみたいです。アルト先輩がちょっと敵陣に突っ込み過ぎたらしくて、ミシェル先輩はそのフォローを』

 

 ミサイルの補給やVFの機体程もある反応弾の取り付け作業を整備員にやって貰いながら呟くと、ルカからの通信が入ってくる。

 

「……まぁ、アルトならそれもしょうがないか」

『そうなんですよね。ミシェル先輩もアルト先輩のフォローで色々と忙しかったみたいですし。もっとも、その分かなりバジュラを撃墜したみたいですけど』

『お前等、さっきのクォーターからの命令を聞いていたな? 俺達は反応弾を装備したら、背後に転移してきたバジュラ達に向かう事になった』

「……だろうな」

 

 反応弾を使う以上、フロンティア船団の前方で行われているような混戦では使いにくい。バジュラとぶつかる前に先制攻撃的に反応弾を撃つのがベストなのだ。

 

「了解した。もっとも、反応弾なんかを装備していたら重くて機体の機動性が色々と不味いからな。とっととぶっ放せるのは助かるよ」

 

 そんな風に呟いたその時、丁度アルトのVF-25FとミハエルのVF-25Gが格納庫へと入ってくる。

 

『遅いぞお前等! とっとと補給と反応弾の装備を済ませろ!』

『はい!』

 

 アルトとミハエルの返事が重なり、早速とばかりに反応弾の装備とミサイルの補給が開始される。

 こうして見る限りだと、アルトの機体はアーマードパック装備なんだな。トルネードパック程じゃないにしても、アーマードパックもかなり高価だってのに。この辺もL.A.Iが以前よりも金持ちになってきている影響か? 

 まぁ、トルネードパックよりも高価なフォールドパックをS.M.S限定とは言っても量産出来るんだから、ある意味では当然なのか。

 

『守る……あいつの歌の為にも、フロンティア船団は絶対に守ってみせる!』

『おーおー、熱く燃えてるねぇ。アルトの熱でバジュラが燃え尽きないといいけど』

『おいこら、ミシェル。お前な!』

 

 そんな風に言い争いをしているアルトだが……あいつの歌ってのは恐らくランカの事なんだろう。

 会話をしている間にもミサイルの補充や反応弾の搭載は完了する。

 それを確認したオズマが、その場にいるスカル小隊へと通信を入れてきた。

 

『よし、全機準備はいいな? 敵は俺達の背後を取ったと思った瞬間にバトル・フロンティアのマクロスキャノンを不意打ちで食らってかなりのダメージを受けている。俺達がやるべき事は、後方に現れたバジュラ艦を撃破してフロンティア船団に1欠片の被害すらも出させない事だ。俺達の家族、友人、恋人、そのどれもがフロンティア船団にいる。それを忘れるな! では、出撃する!』

「スカル4、アクセル・アルマー少尉、出撃する!」

 

 オズマの檄を聞き、機体を発進させるが……ちっ、やっぱり反応弾は重いな。

 両翼の先端を上下に挟むようにして装備された反応弾。この4発だけでも威力的に相当なものなのは分かるが、それに比例して機体の重量も増し、運動性や機動性も落ちていくのだ。

 だが、それはフロンティア船団に所属している全てのVFが同じであり、S.M.S所属の全VFが装備しているのだから、泣き言を言う訳にもいかない。

 

「出て来たな……」

 

 映像モニタに映し出されている敵の数、数、数。

 幾つものバジュラ艦から無数に現れてくるバジュラの数に、思わず笑みを浮かべる。

 本来であれば恐怖の類を感じるべきなのだろう。だが、スパロボOGs世界で言うMAP兵器である反応弾の威力を考えれば、あのバジュラは群れている餌でしかない。

 ……もっとも、俺が狙うべきは機動兵隊バジュラや重兵隊バジュラではないが。

 

「スカル1、オズマ、聞こえるか?」

『どうした?』

「このままバジュラが湧き出し続けていては、いずれこっちの手に負えなくなる。その前に根本から駆除すべきだと思うが……どうだ?」

『根本? それはつまり、お前が言ってた女王級とやらが乗っているバジュラ艦か?』

「ああ。それにどう考えてもバジュラに戦術行動を取らせているのはあの女王バジュラだ。なら、その女王級を駆除してしまえば……」

 

 これで、実はバジュラの指揮を執っているのが女王バジュラじゃなくて、他の新種のバジュラだったりすれば……更にこっちから見えない場所に隠れていたりしたらお手上げだが、さすがにそこまでの事は無い……と思いたい。

 

「だから、全機が反応弾を発射する時に、俺はまだ撃たないでお前達が撃った反応弾で敵の数が減った所に突入して、女王級の乗っているバジュラ艦に反応弾を撃ち込む。……どうだ?」

『確かに戦術行動を執っているのが女王バジュラとかいう新種ならお前の言いたい事は分かるが……1機で大丈夫か? 反応弾を積んでいる以上、幾らトルネードパックだって言ってもかなり運動性や機動性は鈍っている筈だぞ?』

 

 そう心配そうな声を掛けてくるオズマだが、こいつ、ここまで心配性だったか?

 

「大丈夫だろ。俺が突入する時は反応弾の一斉発射で殆どのバジュラが消滅しているんだし、後続が出て来るにしても多少の猶予はある筈だ」

 

 重ねて要請するその言葉に、数秒程考え込み……

 

『分かった。お前の案を採用しよう。ただし、さすがにお前1機だけで敵の懐に飛び込ませる訳にはいかない。護衛を付けさせて貰う。護衛は……』

 

 アルト、だろうな。オズマは指揮があるし、ルカの機体は電子戦用、ミハエルは狙撃機だ。それを考えれば、残っているのはアルトしかいないだろう。そう思っていたのだが……

 

『クラン、頼めるか?』

 

 オズマの口から出たのは、完全に俺の予想外の名前だった。

 クラン自身も自分の名前が出るのは予想外だったのだろう。驚きの表情を浮かべながら口を開く。

 

『何故私が? 私にはピクシー小隊の指揮があるぞ?』

『そっちはスカル小隊と一緒に俺が指揮する。バジュラの中に突っ込む以上、アクセルの護衛には腕利きが必要だ。本来なら俺が行きたいところだが、指揮があってそれは出来ない。だからこそ俺の次に腕の立つお前に頼むのさ』

『……ふんっ、いいだろう。確かにこの中でオズマの次に腕が立つのは私だからな』

 

 煽てられたのが良かったのか、得意そうに笑うクラン。

 だが、通信画面にはミハエルが溜息を吐いている光景がきっちりと映し出されていた。

 

『よし、ではそろそろ時間だ。……アクセル、ドジを踏むなよ』

「任せろ」

 

 オズマにそう返すのと同時に、S.M.S所属の機体や新統合軍所属の機体から反応弾が放たれる。

 一直線にバジュラへと向かって行った巨大な弾頭は……

 轟っ!

 バジュラ艦から飛び立ち、こちらへと向かって来ていたバジュラを全て飲み込み、中にはバジュラ艦そのものも飲み込むような位置で起爆している反応弾もあった。

 

「……凄いな」

 

 実際に反応弾の威力をこの目で確認するのは初めてだが、まさに光の大輪。全てを燃やし尽くす終末の炎。そんな印象を受ける。

 クランのクァドラン・レアも反応弾を放ち、身軽になった後ですぐ俺の真横へと移動してくる。

 

『アクセル、用意はいいな? 敵に突っ込むぞ』

「ああ、そっちこそ……遅れるなよ!」

 

 その言葉と共に、トルネードパックの推力を全開にする。

 確かに反応弾を装備している為に小回りは利かないし、あるいは最高速に達するのも通常より時間が掛かるだろう。だが、それでもトルネードパックを装備している以上、通常のVF-25よりも高い運動性と機動性を持っているのだ。

 まだ反応弾の爆発が完全に消えていない中、後方で新統合軍とS.M.S所属の部隊が足を止めているのを尻目に、俺とクランはバジュラの姿が一切見えない戦場を突き進んでいく。

 そうして、バジュラ艦との距離を急速に縮めていき……

 

『来るぞっ!』

 

 クランのその言葉が聞こえた瞬間、機体を上方向に移動させてバジュラ艦から放たれたビームを回避する。

 ちっ、迎撃を出すよりも艦砲射撃を選んだか。

 ……いや、違うな。きちんと迎撃も出している。

 映像モニタに映し出されたのは、まだこれ程残っていたのかと思える程のバジュラの群れ。

 反応弾で数を減らしている以上当然限界はあるのだろうが。

 ともかく、バジュラ艦から出て来る機動兵隊バジュラと重兵隊バジュラの隙間を縫うようにして俺とクランは突き進む。

 本能的にか、あるいは女王級の命令か、それを阻止しようとするバジュラもいるが、その殆どは背後からの援護により撃ち抜かれる。

 

『ふんっ、ミシェルめ。味な真似を……』

「惚気はいいから、進むぞ」

『だ、誰が惚気などっ!』

 

 そんな風に会話をしつつも、クランの操るクァドラン・レアは俺達が通るのに邪魔なバジュラだけを的確に撃破していく。

 この辺、さすがにピクシー小隊の隊長をしているだけの事はあるな。

 俺もそろそろ、少しでも機体を軽くさせて貰おうか。

 

「クラン、射線を開けろ!」

『何!?』

 

 俺の声に反射的に射線を開けたクランをそのままに、反応弾の取り付けと共に補充されたミサイルを発射する。

 翼の下に装備している大型ミサイルポッド、左右の翼戦端に装備しているマイクロミサイルポッド。その全てミサイルで狙いをつけ……

 

「愛、直撃」

 

 精神コマンドの愛と直撃を使用し、発射する。

 放たれたミサイルは、目標へと向かって飛び……女王級が乗っているバジュラ艦の装甲に、1m程度の狙いのズレもなく全弾が命中する。

 愛の効果で攻撃力の増したミサイルは、一点に収集されたことにより威力が飽和状態に達し……相当に分厚いはずのバジュラ艦の装甲をあっさりと砕いて艦内へと爆発による破壊を撒き散らしていく。

 

「ここだ!」

 

 愛の中で残っていた加速の効果を使い、スラスターを全開にして一気に女王級の乗っているバジュラ艦へと接敵……した、瞬間。

 

「うおっ!?」

 

 ミサイルによって空いた穴から、見覚えのある角のようなものが突き出される。

 そう、重兵隊バジュラの重量子ビームの砲身だ。

 

「くそっ!」

 

 愛の中の、ひらめきの効果を使って咄嗟に回避しようとするが……それよりも前に異変は起こった。

 

「……?」

 

 本来であれば俺目掛けて重量子ビームを撃つだけとなっていた筈のバジュラの動きが止まったのだ。それも、俺の前にいる個体だけではない。戦場全体に存在している全てのバジュラが何か混乱したかのように戦闘行動を止めていた。

 そして重兵隊バジュラへとクァドラン・レアからの無数の弾丸が突き刺さり、爆散する。

 

『アクセル、今だ!』

 

 何があったのかは分からない。分からないが……

 

「確かに今のうちってのは事実だな。……愛、直撃」

 

 再びの精神コマンド。同時に、反応弾4発全てをバジュラ艦の装甲に空いた穴へと発射し……

 

「クラン、退くぞ!」

 

 ただでさえ威力の高い反応弾が、4発。それも愛の効果によって攻撃力が倍になった反応弾の攻撃に巻き込まれないように、クァドラン・レアを引きずるようにして強制的に距離を取る。

 加速の効果もあって、十分に距離を取ったその時……バジュラ艦に一瞬ヒビが入ったように見え、次の瞬間には内部からの爆発に飲み込まれるのだった。

 同時に、女王級という指揮艦を失ったバジュラは四散し、新統合軍による追撃戦が始まる事になる。




アクセル・アルマー
LV:41
PP:905
格闘:274
射撃:294
技量:284
防御:284
回避:314
命中:334
SP:734
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    ???
    ???

撃墜数:690

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