転生とらぶる1   作:青竹(移住)

756 / 2848
0717話

 早乙女嵐蔵を病院に運んだ翌日。縁を切ったと言っても息子である以上は知らせておいた方がいいだろうと思い、S.M.Sの訓練場でカナリアにいいように放り投げられてダウンしていたアルトへとスポーツドリンクを2本持ちながら近付いていく。

 

「ん? 私に何か用事か? 身体に悪い所でも見つかったのか?」

 

 そんな俺に気が付いたカナリアが声を掛けてくるが、無言で首を横に振る。

 

「ちょっとアルトに用事があってな。格闘訓練が終わるのを待っていたんだよ」

「ふむ、そうか。こっちは丁度終わったところだし、私は構わんぞ」

「ああ、お疲れさん」

 

 その声と共にスポーツドリンクを放り投げ、受け取ったカナリアと入れ違いになるようにアルトへと近付く。

 にしても、何だってカナリアは格闘が強いんだろうな? 勿論軍人、あるいは傭兵なんだから格闘技が強くておかしな事は無い。だが、どちらかと言えばパイロットの動きをトレースしてくれるEX-ギアを使っているVF-25を操縦しているアルトが強くなければ……いや、幾らパイロット養成コースにいるからといっても、美星学園は士官学校とかじゃないんだから、おかしな事じゃないのか。

 

「はぁ、はぁ、はぁ。……どうしたんだ?」

「まずはこれでも飲め」

 

 もう1本のスポーツドリンクをアルトへと渡すと、上半身を起こしながら勢いよく飲み干していく。

 

「……で、どうしたんだ?」

 

 ようやく荒れていた息を整え、改めて尋ねてくるアルトに昨日の件をどう伝えればいいのか迷ったが、単刀直入に告げる事にする。

 

「早乙女嵐蔵。お前の父親だな?」

「……ああ」

 

 途端に不機嫌になるその顔は、父親をどれだけ嫌いなのかを表しているかのようだ。

 

「昨日、ちょっとした偶然で会ってな……」

「おい待てアクセル! お前、もしかして俺がS.M.Sに入隊したって言ったりしてねえだろうな!?」

「一応守秘義務とかもあるからな。俺の口からは言ってないさ。ただ、向こうが気が付いてるかどうかは分からないが」

 

 シェリルの話だと、早乙女嵐蔵というのはかなりの有名人らしい。もっとも、そうでもなければミス・マクロス・フロンティアの審査委員として呼ばれるような事は無かっただろうが。

 そんな人物だけに、1人息子に対する思いは当然あるだろうし、あるいは情報収集をしていてもおかしくはない。……だが、こうして見る限りだとアルトはその事を認めたくないらしいな。

 

「それに、スタントとしてだが鳥の人に出演しただろ? で、鳥の人の撮影にS.M.Sが協力しているのは少し調べれば分かる。ならアルトがS.M.Sに入隊したってのを知るのもそう難しい話じゃないだろ?」

「そ、それは……」

 

 そんな風にアルトが言葉に詰まった時……

 

「アクセル、ここにいたのか。ちょっと話があるから来てくれ」

 

 背後からそう声が掛かる。

 振り向くと、そこにいたのはオズマ。ただいつもと少し様子が違うのは、俺に声を掛けつつも畳の上で上半身を起こしているアルトに鋭い視線を向けている事だろう。

 最近……より具体的には、鳥の人が公開されてからずっとこんな感じなんだよな。

 いやまぁ、ランカのキスシーンがあるってのを考えればしょうがないんだが。

 で、その結果アルト本人はオズマに会う度に強い視線で睨みつけられる事になっている訳だ。……ランカとアルトは怪しいって話だが、兄に認められる道程はまだまだ遠そうだな。

 そんな風に感じつつも、疲れて動けないアルトを訓練場に残して俺とオズマは会議室へと移動する。

 食堂やら何やらで話をしないところを見ると、それなりに真面目な用件か?

 

「……実は現在、ちょっと面倒な依頼が来ていてな」

「面倒な?」

「ああ。ガリア4っていう惑星を知っているか?」

「えっと……確か、以前話に出ていたな。バジュラに襲撃されてお前がランカを引き取る事になったとか何とか」

「ああ。で、現在そのガリア4には新統合軍のゼントラーディの部隊が駐屯している。第33海兵部隊……と言っても、アクセルには分からないか。第1次星間大戦の時、人類と和平を結んだ者と戦後に投降してきた者達の子孫が混在している部隊だ」

「正気か?」

 

 自ら和平を望んだ者と戦後に投降……ようは、嫌々地球人類に従った者達の子孫を1つの部隊に混ぜ込む。これが数100年とか経っているのならまだしも、まだ50年程度しか経っていないのだ。どう考えても、その第33海兵部隊とやらが上手くいかないのは明白だろう。

 

「まぁ、俺にしても何だって当時の新統合軍がそんな部隊を作ったのかは分からん。だが、既にある以上は今更何を言っても無駄だし、現在の新統合軍がそんな部隊を解散させる気が無いのも事実だ。俺達が何と言おうとその辺は変わらない」

「無能ばっかりか?」

 

 いや、マクロス・プラスでも無人機のゴーストを採用してシャロン・アップルに乗っ取られたり、あるいはマクロス7でもプロトデビルンの対策に真面目に取り組まずにマックスに無茶な命令をしていたという実績がある。それを考えれば、ある意味ではこのような事態になってもおかしくないのかもしれないが。

 それとも、表面上では知る事が出来無いような何らかの複雑な事情でもあるのか。

 まぁ、それはともかくとしてだ。

 

「で、そのガリア4にいる第33海兵部隊がどうしたって?」

「シェリル・ノームの慰問を要求している」

「……は?」

 

 正直、俺にはオズマが何を言っているのか分からなかった。色々と複雑な部隊であるというのは理解しているが、何故それがシェリルの慰問に繋がるのか。

 

「文化の力を見せてみろって事らしいな。歌で自分達を従わせられないのなら、反乱を起こすとか言ってるらしい」

「……マジか。それこそ、いっそ反応弾でも撃ち込んでやればいいんじゃないか?」

「さすがにそれは無理だ。それに、ガリア4はさっきお前も言ったように俺やランカにとって多少の思い入れがある。そして、バジュラの研究がされていた地でもある」

「……なるほど」

 

 それでオズマがこの話を持ってきた理由が分かった。ようは、少しでもバジュラの情報について残っていないかというのもあるのだろう。もっとも……

 

「それこそ、散々調べられた後なんじゃないのか? 問題の海兵隊も駐留しているんだし」

「確かにな。だが、万が一という可能性もある。……まぁ、そういう訳でシェリル・ノームから……より正確にはそのマネージャーでもあるグレイス・オコナーから護衛の依頼が来てるんだが。どうする?」

「難しいところだな」

 

 そうは言うものの、実質的に俺には受けるという選択肢しか無いだろう。

 いや、無理を言えば断るのは可能なのだろうが、シェリルがガリア4に行くとなれば当然マネージャーでもあるグレイスも一緒に行くだろう。しかも、グレイスの方でも俺に対して色々と探っている様子がある。そんなグレイスをシェリルと2人きりにするというのは、色々な意味で怖い。

 また、オズマが言った通りにバジュラについての情報を得られる機会でもある。

 そして何よりも……ガリア4というのは惑星であるというのが一番大きい。惑星。つまりは、ゲートを設置出来るのだ。

 惑星であるというだけで、俺が今回の件を引き受けない理由は無いだろう。

 オズマもそれが分かっているからこそ、ある意味でガリア4という惑星を……延いては俺の本拠地であるホワイトスターを人質にとるような感じで向かわせようとしている為に、どこか後ろめたそうな雰囲気を発しているだろうし。

 だが、俺の事でそこまでオズマが気にする必要は無い。それ故に。

 

「分かった、引き受けよう」

 

 あっさりとそう告げるのだった。

 そんな俺の返事が予想外だったのか、小さく驚きの表情を浮かべるオズマ。

 

「……いいのか?」

「ああ。そもそも、俺が行くというのがベストだろう? 安心しろ、ゲートを設置してもすぐに向こうの世界に戻ったりはしない。一旦は向こうに戻るだろうが、俺の機体を持ってすぐにこっちに戻って来る。何、ニーズヘッグがあればバジュラ如き虫けらは速攻で一蹴してやるからな」

「ニーズヘッグ? また、随分と物騒な名前だな」

 

 ああ、そう言えば俺の機体名は初めて教えたんだったか。物々しい名前だと判断するのも無理は無い。だが……

 

「物騒なのは名前だけじゃない。性能も桁違いだよ。何しろ、バジュラよりも多くの敵を俺とそのニーズヘッグだけで片付けるのもそう珍しい話じゃないしな」

「……マジか」

「大マジだ。だから、お前は安心して俺をガリア4に送り出せばいいんだよ」

 

 そう告げるも、それでもまた難しい表情を浮かべるオズマ。

 

「お前の腕は信用しているし、信頼もしている。だがな、今回の慰問公演に護衛として同行するとなると、フォールド断層を越えないといけない。ガリア4までは主観時間で1日、客観時間だと1週間も掛かる事になる。そうなると、お前のような特殊な事情を持った奴だと色々と不味い事態が起きるかもしれんが……それでも引き受けるのか?」

「ああ、問題無い。それとも何か? まさか俺がいない程度でフロンティア船団を守り抜けないとか言ったりするのか?」

「ふざけるな! 元々アクセルがいなくてもこのフロンティア船団は俺が……俺達が守る気だったんだ。ふざけた事を言ってないで、お前はガリア4に行く準備でもしてろ!」

 

 そう言われ、会議室を追い出される。

 ま、これで俺に対して変に気を使うような事も無いだろ。

 ……にしても、ガリア4か。今回の海兵隊の件といい、バジュラの件といい……色々と縁のある場所であるのは間違い無いらしいな。

 

「とにかく準備をするだけ、か」

 

 呟き、まずは機体の状態を万全にしてもらうべく格納庫へと向かう。

 にしても、機体を持っていくとなるとどう移動するんだろうな? マクロス7で使われていたフォールドブースターとかの性能向上バージョンがあるとかか? ああ、いや。そう言えばVF-25のオプションパックにはフォールドパックってのがあったな。けど、そのフォールドパックを使えば、当然トルネードパックは使えなくなる訳だし……悩ましいな。

 そんな風に考えている間に、やがて格納庫へと到着する。

 そして、目当ての人物は……あぁ、いたいた。

 

「ルカ、ちょっといいか」

「はい? 何ですか?」

 

 自分の愛機でもあるゴーストを磨いていたルカが小首を傾げてこちらへと視線を向けて来る。

 

「シェリルからの依頼でガリア4に護衛として行く事になったんだが、機体の調整とかを頼む」

「え? ガリア4ですか? なんでまたあんな遠くにシェリルさんが?」

「何でも、慰問公演があるらしい。その辺の事情は俺よりもお前の方が詳しいんじゃないか?」

 

 その言葉で、海兵隊の件に思い至ったのだろう。複雑な表情でこちらを見てくる。

 

「その、大丈夫なんですか? 色々と悪い噂ばかり聞きますが……」

「だからこそ、なんだろうな。歌で自分達をどうにかしてみせろって言いたいんだろう」

「けど、危険ですよ? 出来ればシェリルさんも行かない方がいいと思いますけど」

「ま、そういう訳にはいかないんだよ。慰問公演の他にも色々とやるべき事があるからな」

「……まぁ、アクセル君がそう言うからには何らかの理由があるのは確かなんでしょうけど……」

 

 溜息を吐くルカに、感謝の印として近くの自販機で買った缶コーヒーを置きつつ、その場を後にするのだった。

 ……にしても、この時代になってもまだ缶は缶のままなのな。




アクセル・アルマー
LV:41
PP:710
格闘:274
射撃:294
技量:284
防御:284
回避:314
命中:334
SP:734
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    ???
    ???

撃墜数:651

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。