転生とらぶる1   作:青竹(移住)

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0692話

「ミハエル、ルカ、アルトの援護だ。特にあいつは学校の成績はともかくVF、しかも最新鋭のVF-25は初めての筈だ」

 

 筈だとか言っておきながら、実はアルトがVF-25の操縦経験があるんじゃないか? と思う程に上手い具合にバジュラの攻撃を右に左にと回避しながらガウォーク形態で道路を疾走している。

 初めて乗った筈のVF-25でここまで動けるんだから、確かにVF乗りとしての才能は間違い無くあるんだよな。

 

『了解した。フォーメーションはさっきまでと同じでいいな?』

 

 VF-25Sをファイター形態にしてアルト達の後を追いかけながら、ミハエルの言葉に小さく頷く。

 

「ああ、ミハエルは狙撃で援護を。ただし、ルカはアルトのフォローを頼む。俺はバジュラの数を減らしていく」

『了解しました!』

 

 ルカのRVF-25は電子戦機であって、バジュラと直接やり合うのには向いていないが、それでも今の状況では働いて貰うしかないだろう。

 機体のスラスターを全開にして、アルトを追っているバジュラ達の後ろへと付き……

 

「くたばれ!」

 

 そんな叫びと共にガンポッドのトリガーを引く。

 さすがに先程の赤い大型バジュラとは違い、そこまで装甲は強固ではないのだろう。背後からの攻撃に次々と撃ち抜かれては脱落し、地上へと落下してビルや建物を破壊している。

 

『アルト先輩、そっちは駄目です! 大きなビルが!』

 

 そんな中、突然聞こえてきたルカの悲鳴。その声を聞きながら視線をガウォークで地上を疾走しているアルト機へと向けると、確かに進行方向の先には巨大なビルが建っていた。前方に巨大なビル、そして後方にはバジュラがまだ10匹近く。この状況はある意味で詰みに近い。……そう思った瞬間、アルト機は少しも速度を落とす事無くビルへと突っ込んで行き、衝突する寸前に機体を上向かせてビルの壁をなぞるようにして真上へと向かっていく。

 ……凄いな。まさか初めての機体であそこまでやるとは。いやまぁ、VF-25はEX-ギアのおかげでVF-19とかよりも操縦に関しての難易度は低くなってるって話だが、それでもアルトの才能はかなりのものと言えるだろう。

 実際、アルトの背後から追っていたバジュラ達はその動きに付いていけずにビルの中へと突っ込んでいく。だが……

 

「この程度で終わるようなら、バジュラも戦いやすいんだがな」

 

 その言葉を証明するかのように、突っ込んでいったビルの中を突っ切っていったバジュラが屋上を突き破って姿を現す。

 

「ミハエル!」

 

 どんっ、どんっ、どんっ。

 俺が呼び掛けると共に、3発の銃声が聞こえ、同時に2匹のバジュラが息絶えて落下する。1発は外したらしいが、十分な成果だ。

 

「ルカ!」

 

 そして次発した俺の声と共に、ルカの機体がガンポッドをバジュラの背後から撃ちまくり、俺もまた同様にガンポッドのトリガーを引く。だが……

 

「何だってそこまでアルトに拘る!?」

 

 俺とルカの機体から放たれた無数の弾丸により、1匹、また1匹と撃墜していくバジュラだが、背後から攻撃を仕掛けている俺達には全く構う事無くアルトの機体へと弾丸やビームを放っていく。そして……

 

『アルト先輩!』

 

 下から迫って来るバジュラの放つビームがアルトの機体を通り越してアイランド1の天井を破壊、空気の流出が始まる。更に致命的だったのは、バジュラの放った弾丸がガウォーク状態で逃げているアルト機の両腕を破壊した所か。そして響く悲鳴。

 

「きゃあああああああああああっ!」

 

 何しろ、アルトの乗っていたガウォークはその手にランカを掴んでいたのだ。当然その腕が破壊されれば、ランカも吹き飛ばされる訳で……

 

『ランカさんっ!』

「行けっ、ルカ! こいつらは俺に任せろ!」

 

 ガンポッドの弾丸をバジュラへと叩きつけながら咄嗟に叫ぶ。あのランカがオズマの妹だとか何とか、そういうのは関係無い。今はとにかくアルトとランカを助けるのが最優先事項だろう。

 

『はいっ!』

 

 ルカもそれは分かっているのか、短く返事をするとバジュラを追い抜く勢いで上へと向かっていく。

 アルトが何やら色々と動いているのが見えたが、それに関してはルカに任せておけば大丈夫だろう。俺の役目は……

 

「お前達をこれ以上向こうに行かせない事だよ、この虫けら共が!」

 

 ミハエルの狙撃もあり、既にバジュラの数は2匹にまで減っている。その2匹もまた、俺を無視して横をすり抜けてアルトの方へと向かおうとしている。

 ……正直、何でここまでバジュラがアルトを襲おうとしているのかは分からない。アルトが何かしら特別な存在だって事か? そうなると、このマクロスフロンティア(仮)の主人公がアルトだという俺の予想が正しかったんだろうが……

 

「今はそれどころじゃないってな!」

 

 その場で強引に機体を半回転し、ファイター状態のままガンポッドを連射しながらバジュラの後を追い、後方から弾丸を食らった1匹がそのまま力尽きて地面へと落下していく。

 

「残り1匹! 加速」

 

 精神コマンドの加速を使用し、更にはトルネードパック特有の機動力の高さを最大限に活かして一瞬でバジュラの前方へと回り込む。再び強引に半回転してからバトロイドへと変形、アサルトナイフを構えたままスラスターを全開にしてバジュラへと突っ込み、さすがに邪魔だと思ったのだろう。俺に向かって弾丸とビームを絶え間なく放ってくる。

 スラスターを使いながらそれらの攻撃を回避しつつ、擦れ違い様にピンポイントバリアを展開したアサルトナイフで縦に切り裂いていく。それが致命傷になったのだろう。地面へと落下していくバジュラを見ながら上空へと視線を向けると、そこではルカとアルトの機体が協力し合いながらオズマの妹の救助に成功しているところだった。

 ……良し、取りあえず今は問題無しか。となると、俺がやるべき事は1つだな。

 

「ミハエル、周辺の警戒を頼む」

『は? お前はどうするんだよ?』

「ちょっと確認したい事があってな。それよりも、オズマと連絡を取ってこれからどうすればいいのか聞いておいてくれ」

『あ、おいアクセル!」

「ちょっとバジュラの死体を近くで見ておきたくてな。これから戦うかもしれない相手だ。その程度はいいだろ」

『だからって俺に隊長との連絡を任せるとか、何考えてるんだよ』

 

 そんな声を聞き流しながら、VF-25Sをガウォーク状態にしながら地上へと降りていく。

 周辺にあるのはバジュラの死体、死体、死体。赤い奴と比べると随分小さいが……そこまで考え、握りつぶされたギリアムの事を思い出す。

 

「せめて安らかに眠れ」

 

 確か結婚しているとか言っていたが、S.M.Sなら死亡保障としてそれなりの金が渡る筈だ。ただし、その死因は明らかにされずに事故死と知らされるのだが。

 金が全てを解決するとは思っていない。それでも、何も無いよりは余程マシだろう。

 ギリアムとはそれ程に親しいという訳でも無かったが、それでも別に嫌っていた訳でも無い。少なくても、バジュラに玩具の如く握りつぶされて死ぬような性格じゃなかった筈だ。

 それでもこの年齢になるまで幾多もの戦い繰り広げてきた身としては、微かに胸が痛むだけでギリアムの死を受け入れてしまう。

 数秒の瞑目で取りあえずギリアムへと別れを告げ、意識を切り替えるようにしてバジュラの死体へと目を移す。

 ハンマーヘッドシャークのような頭部をしたバジュラ。こうして見る限りでは血や体液もあるようだし、機械の身体に皮を被せたロボット……って線は無いな。となるとやっぱり意図的に作られた生物兵器か、あるいは宇宙怪獣の類か。マクロスの世界だけに、普通にどちらの可能性もありそうなんだよな。

 

「ま、取りあえず……」

 

 周囲を見回し、建物の影に倒れ込んでいるバジュラを選んではその身体に触れて空間倉庫へと死体を収納していく。

 どんな由来のある存在かは知らないが、それでも間違い無く未知の生物だ。それだけに俺としては……シャドウミラーの代表でもあるアクセル・アルマーとして入手しておくのに越した事は無いだろう。出来ればあの赤い奴も欲しかったんだが、あれは目立ちすぎて既に新統合軍やら何やらがチェック済みだろうし。

 

「それに、この戦いの後でもまだ入手出来る可能性は残っているしな」

 

 呟き、5匹分程のバジュラを収納し終わった場所へと視線を向ける。

 ……ちなみに、俺がバジュラの死体を入手しているのは決してレモン達のご機嫌取りをする為では無い。

 と言うか、この程度のご機嫌取りで機嫌を直してくれる筈も無いだろうな。何しろあの状態のままホワイトスターの中をふらついて、恐らくは量産型Wを無視して転移したんだから。あっちに戻ったら大目玉を食らうのは確実だろう。

 そんな風に思っていた時だった。

 

『アクセル、外のバジュラ達が引き上げていったぞ。オズマ隊長からはS.M.Sに帰還しろとの事だ』

「そうか、了解した。アルト達の方はどうなっている?」

『そっちはルカが無事保護している。……色々と怒っているらしいがな』

「怒っている? 助けられたのにか?」

 

 ミハエルの言葉を疑問に思い尋ねるが、戻って来たのは苦笑だった。

 

『そりゃそうだろ、俺達はアルトにS.M.Sの件を隠してたんだからな。その辺が我慢出来なかったんだろうさ』

「なるほど」

 

 アルトの直情径行気味の性格を考えれば、それはある意味で間違っていないだろう。

 っと、それよりも。

 

「オズマから連絡があったという話だが、向こうの被害は?」

『スカル小隊もピクシー小隊も、その他の奴等も全員纏めて命に別状は無いらしい。機体に若干損傷を負った奴等はいるらしいけどな』

「さすが精鋭揃いのS.M.Sってところか」

『そんなところだ。それよりも、バジュラを間近で見てみてどうだ?』

「間違い無く生き物だろうな。VFのような機体にしても、破壊されればオイルやら何やらが流れるが、バジュラから流れているのは間違い無く血や体液だ」

『となると、何だってそんな奴がフロンティア船団に襲い掛かってきたかだが……』

 

 何かを考え込んでいるミハエルだったが、戦闘中から気になっていた事を口に出す。

 

「その件だが、アルトを狙ったバジュラの行動はおかしいと思わなかったか? 俺達が攻撃をしても全く気にした様子も無く無視して横を通り過ぎてアルトに向かっていた」

『おいおい、まさかバジュラはアルトを求めているとか言わないだろうな?』

「……可能性としては十分だと思うがな」

『本気か?』

「まぁ、あくまでも可能性だ。可能性。何も手掛かりが無いよりはいいだろ? その辺、オズマ辺りに言っておいてくれ」

『いや、話を聞くのならお前から直接聞かせて貰いたいな』

 

 俺とミハエルの通信に、オズマの声が割り込んでくる。その口調が不機嫌そうなのは、やはり妹が今回の騒動に巻き込まれ、さらにその原因がアルトの可能性が高いからか。

 

「まぁ、これに関してはあくまでも状況証拠でしかない。アルト本人に聞いてみればいいだろうさ。S.M.Sで試験運用中のVF-25に無断で乗ったんだ。事情聴取はされるんだろう? 身柄についてもルカが確保している筈だし」

『……ああ。そうさせてもらうよ。それよりも迂闊にバジュラの死体に触れるなよ。どんな病気があるか知れたものじゃないからな』

 

 既に空間倉庫で回収してしまった以上、その辺の忠告は遅いんだが……そもそも魔法だったり気だったりの超常的な現象ではない以上俺には効果が無いし。だが、それを言う訳にもいかないので……

 

「了解。すぐにそっちに戻る」

 

 素直にそう返事をするのだった。続けて、話を変える意味でも話題を逸らす。

 

「それよりもこれからどうするんだ? ギリアムの死体も回収しないといけないと思うが」

『それに関してはこっちでも手を打っている。S.M.Sの別部署がきちんと遺体を引き取りに行ってるよ。……馬鹿が。こんなところで死ぬなんて、嫁さんと子供に何て言えばいいんだ』

 

 ギリアムの事を思い出しながら呟いているのだろう。しみじみとしたその声を聞きつつ、俺は機体に戻ってミハエルと共にS.M.Sへと戻るのだった。

 尚、アルトとランカについてはルカがS.M.Sに連れていく事になったらしい。




アクセル・アルマー
LV:41
PP:425
格闘:274
射撃:294
技量:284
防御:284
回避:314
命中:334
SP:734
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    ???
    ???

撃墜数:594

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