転生とらぶる1   作:青竹(移住)

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0689話

 シェリルの歌で観客達が天井知らずのハイテンションになって歓声を上げていた、その瞬間。唐突にコンサートホールに……否、恐らくはアイランド1を含めたフロンティア船団内全てに避難警報が発令され、コンサートホールの舞台とタクシー代わりだとでもいうようにしてコンサートホール内を飛んでいる俺に当たっていたスポットライトの全てが消え、同時にコンサートホール内の全ての照明が点けられる。

 

「ちょっと、一体何があったの!? 折角いいところだったのに!!」

 

 俺の腕の中で眉を吊り上げて叫ぶシェリルだが……

 

「それを俺に聞かれてもな。どうしようもないだろ」

「何言ってるのよ。あたしのライブなのよ! それがこんなところで中断させられるなんて……」

「とにかく一旦舞台の上に戻るぞ。避難警報が出てる以上、何があったのかしれたものじゃないしな。どのみち、今から無理に歌ったとしてもコンサートの再開は無理だろ」

 

 アイランド1の市街にも流れているのか、放送は避難しろとひたすらに告げてた。

 移民船団である以上、避難訓練を行う事が多いとオズマから聞いてはいる。だが、それでも銀河的VIPでもあるシェリルのライブをどうこうしてまで行う筈が無いだろうし。……これで、実は避難訓練でしたとかなったら、ある意味で大統領を尊敬してしまいそうだな。

 そう言えばどうでもいい話だが、フロンティア船団は大統領制だったりする。マクロス7のトップのミリアが市長であった事を考えると、10年強で随分と体制が変わっているんだな。この辺は船団ごとに違うのかもしれないが。

 そんな風に考えながらも、シェリルを抱きつつ舞台の上に戻る。

 ちなみにシェリルを抱いてコンサートホールの上空を飛び回っていたのは何故か俺だけであり、ミハエル達は既にアクロバット飛行を終えて既に引っ込んでいた。

 ……ミハエルの、どこか冷やかすような軽口は妙にイラッときたので、後で近接戦闘の訓練でもつけてやるつもりだ。

 あるいは、奴が得意としている射撃で勝負してやってもいいかもしれないな。

 舞台の上に着地した瞬間、舞台袖から新統合軍の制服を着た1人の女が走って近付いてきた。確か、俺がシェリーとシェリルを同一人物だと理解した時にもマネージャーやSPと一緒にいた女だった筈。

 

「急いで避難して下さい!」

「え? ちょっと、まだ!」

「いいですから、とにかく早く!」

 

 ……この様子から見ると、やはり訓練という訳でも無いらしい。だが、何が起きたんだ?

 

「おい、何が起きたのかの説明くらいはしてもいいんじゃないか?」

 

 シェリルを引っ張っていこうとしている女の肩へとそっと手を伸ばす。

 EX-ギアにはパワードスーツの性能もあるので、なるべく加減してだ。

 そんな俺に向かって鋭い目付きで睨みつけ、叫ぶように口を開く。

 

「これは新統合軍としての行動です。学生は大人しく避難警報に従って避難しなさい」

「残念ながら俺は学生じゃなくてね。S.M.S所属のVFパイロットだ。詳しい話を……ん?」

 

 S.M.S所属であると口にした瞬間、目の前にいる女の顔が驚愕に見開かれる。

 

「そう、オズマの……」

 

 そんな呟きが口から漏れたところを見ると、この女はオズマの知り合いか何かか?

 だが、その顔に浮かんだ表情は次の瞬間には消え去って小さく首を振るう。

 

「S.M.S所属のパイロットなら、何かあった時の為にすぐに準備をしておいた方がいいわ。とにかく、私には彼女の安全を守る義務があるの」

 

 それだけ言い、シェリルを引っ張って舞台から降りていく軍人の女。

 

「アクセル、何があったのか分からないけど気を付けるのよ!」

 

 シェリルはそれだけを告げ、軍人の女と共に去って行く。

 その後ろ姿を見送っていると、突然ミハエルからの通信が入る。

 

『アクセル、聞こえているか? この回線はお前だけに開いている』

 

 何だ? 妙に切羽詰まった様子だが……いや、この避難警報に関係があるのは明らかだろうけど。

 

「どうした?」

『すぐにS.M.Sに帰還しろ。出撃だ』

「出撃?」

 

 この状況で出撃となると、はぐれゼントラーディか……あるいは。

 

「コードビクター、か?」

『ああ、新統合軍のパイロットでは手も足も出ないで一方的にやられているって話だ。新統合軍ご自慢のゴーストに関しても、ECMパルスで一網打尽にされたらしい』

「……なるほど」

 

 マクロスプラスに出て来た、無人機のゴースト。そのゴーストの改良型が新統合軍には配備されている。いや、どちらかと言えばゴーストが主力であると言っても間違いではないだろう。ルカの講義で教えて貰った話によると、ゴーストはVF-171と比べて製造コストも運用コストも3分の1程度に抑えられているんだとか。それでいて無人機であるが故に新統合軍のパイロットが操るVF-171よりも格段に強力な戦力となれば、そうなるのも当然なんだろう。

 オズマの話によれば、純粋にパイロットの技能があればVF-171でゴーストに勝つ事もそう難しくは無いって話だったが……それにしても、肝心の新統合軍にそこまで技量の高いパイロットがいない訳で。

 それに技量の高いパイロットはそこまで育成するにも金が掛かるしな。その辺、シャドウミラーの主戦力でもある量産型Wは高性能だと言ってもいいだろう。オズマが示したゴーストに勝てる腕利きパイロットの技量は十分に超えているし。

 まぁ、ゴーストに関してはともかく……

 

「コードビクターって事は、ようはあの虫だろ? なのにECMパルスを?」

『体内でビームやらミサイルやら弾丸やらを作り出す不思議生物なんだから、それこそ生身でECMパルスを発生させても不思議じゃないだろ』

 

 確かにそう言われればそうか。いわゆる宇宙生物の類だと思われているのに、どんな進化をすれば体内でミサイルとかを生成出来るようになるのやら。

 あるいは、オズマが言っていたように宇宙生物じゃなくてどこぞの未知の勢力が作り出した生物兵器って可能性が高いか。

 

「とにかく分かった。すぐにS.M.Sに戻る。機体の準備は出来ているのか?」

『こっちに入っている情報でだと準備万端整っているらしいぞ。ただ、お前の機体は……』

 

 何故か言い淀むミハエルに、微妙に嫌な予感がして先を促す。

 

「俺の機体がどうしたって?」

『いやまぁ、ここで言ってもしょうがない。格納庫に向かえば分かるさ。俺達はスナイパーパック、ルカはイージスパック改で出撃するから、お前も早く来いよ』

 

 それだけを告げ、ミハエルからの通信が途切れる。

 スナイパーパックにイージスパック改か。狙撃に特化したのと電子戦用のオプションパックだったな。となると、俺が使うオプションパックは機動力重視のスーパーパック辺りか?

 そんな風に考えながら、EX-ギアを使って既に人の少なくなったコンサートホールを後にするのだった。

 

 

 

 

 

 緊急事態と言う事でEX-ギアを使って空を飛びながらショートカットしてS.M.Sへと戻って来たのだが、そこでもまさに蜂の巣を突いたような騒ぎになっていた。

 それでも自分達のやるべき事をしっかりと理解して行動に移している辺り、さすがに精鋭揃いとオズマが自慢するだけはあるな。

 

「ミハエルとルカはどうしたか分かるか?」

 

 更衣室の中で軍用のEX-ギアへと着替えながら近くにいた他のパイロットに尋ねる。

 S.M.Sといっても、別にスカル小隊とピクシー小隊だけではない。生憎俺との関わりは殆ど無いが、他の小隊も存在している。

 それでも同じ会社に所属している社員だけに、自分と同じ小隊のメンバーがどこにいるのかを聞く程度は特に問題は無い。

 そして実際、俺が尋ねた相手もEX-ギアに着替えながら厳しい表情を浮かべつつ口を開く。

 

「あの2人なら一足先に格納庫に向かっているよ。それぞれのオプションパック装備での出撃となっているから、その調整もあるだろうし」

「確かに、本当にコードビクターの宇宙怪獣が姿を現したんならそのくらいは必要だろうが」

「宇宙怪獣、まさに言い得て妙だね。実際にこっちに流れてきた映像を見る限りじゃそんな表現がこれ以上無い程にピッタリだったし。……さて、僕もそろそろ行くよ。お互いにまた生きて会おう」

 

 それだけ告げて、EX-ギアに着替え終わったパイロットは格納庫へと向かっていく。

 そんな同僚の後ろ姿を見送り、10秒程遅れて俺も着替え終え、格納庫へと向かっていく。

 EX-ギアの足下についているローラーと背中のスラスターを起動させながら移動し、そして格納庫の中へと入る。まず目に入ってきたのは、忙しく働いている整備員達。この辺は緊急出撃なのだからある意味当然だろう。そしてスナイパーパックを装備したミハエルとイージスパック改を装備したルカがそれぞれ自分の機体のコックピットの中で忙しく機体状況をチェックしているのが分かる。

 それはいいのだが……

 

「は? 何だこれは?」

 

 思わず俺の機体がある場所へと視線を向けて呟く。

 その視線の先にあるのはVF-25Sだ。それは間違い無いのだが、外見は以前と比べて大きく変わっていた。

 いや、勿論ミハエルのVFV-25GやルカのRVF-25が通常のVF-25やその上位機種に近いVF-25Sと違うのは分かる。だが、俺の目の前にある機体はそれどころではない程に通常のスーパーパックとは違う形状をしていた。

 まず、最も目を引くのは機体上部に装備されている2門の砲身だろう。他にも主翼を完全にカバーで覆われる形になっており、機体の後部にはまるで尻尾のような部分が伸びている。他にも翼の中心部分に追加ブースターのような形で高機動バーニアが設置されており、翼の先端には回転式エンジンポッドが追加されている。

 また、翼にはミサイルポッドが装備されているのも大きな変更点だろう。

 そして機体各所に装備されている装甲……いや、違うな。ただの装甲じゃない。あの形から考えると、翼と同じく高機動バーニアも兼ねているのか。

 

「あ、来たんだねアクセル君!」

 

 俺が目の前の機体を見て呆然としているのを見つけたのだろう。自分の機体のコックピットで調整をしていたルカがEX-ギアを使ってこっちへと飛んでくる。

 

「ルカ、これはお前の所の仕業か?」

「仕業って、そんな悪い事したみたいに言わないで下さいよ。えっと、これはVF-25のオプションパックの1つ、トルネードパックと言ってスーパーパック以上に機動力や運動性能を高めたオプションパックです。まぁ、VF-25S本体の物と併せて6つのエンジンを強引に連動させているから色々とピーキーで扱いが難しい機体になっていますけど、アクセル君なら問題無く操縦出来ると思います」

 

 そう告げ、期待の視線をVF-25Sへと向けるルカ。

 

「もっとも、本来なら使われる筈の無いオプションパックだったんですけどね」

「使われる筈が無い?」

 

 そんなオプションパック、あっても意味が無いだろうに。そんな思いで向けた視線を受け止め、苦笑を浮かべるルカ。

 

「このオプションパックは確かに性能が高い。それこそ、今あるオプションパックの中では総合性能で考えると最も性能の高いオプションパックだと言ってもいいと思います。攻撃力の手数って意味ではオズマ隊長のアーマードパックの方が上ですが。とにかく、それだけ性能が高いので、その分値段も凄く高価なんです」

「なら、何で急にその高価なオプションパックの使用許可が出たんだ? それも、S.M.Sでは初出撃となる俺の機体に」

「勿論色々と理由はありますが、最大の理由としてはアクセル君の反応速度に多少でも付いていけるのが今のところこのトルネードパックだけだからですね。値段に関しては、S.M.Sから提供された戦闘機の解析で得た技術が予想外に高性能だったというのもありましたし。おかげで……」

 

 そこまで言って、言葉を止めるルカ。まぁ、恐らくL.A.I辺りで何らかの機密事項に当たるんだろう。

 

「とにかく、VF-25Sを可能な限りアクセル君の反応に付いていけるようにチューンして、追加のエンジンを4つも使ったトルネードパック。これが今現在S.M.SとL.A.Iに出来る最大限の成果です。……あぁ、それと」

 

 チラリ、と俺へ視線を向けてルカは口を開く。

 

「最大の理由として、アクセル君が腕利きだからってのもあります。アクセル君がどこで何をしてきた人なのかは分かりません。それでも、これまで一緒に行動してきて色々な意味で高い能力を持っているのは分かっています。バジュラの襲撃があった今の状況では、その力に期待させて下さい」

 

 そう告げ、自分の機体の方へと戻って行くルカ。

 その背を見送り、俺もまたトルネードパックを装備したVF-25Sのコックピットブロックに入り、機体の状態をチェックしていく。

 そして……

 

「アクセル・アルマー、スカル5、出撃する!」

 

 俺はこのマクロス世界では初めての実戦を経験する事になる。




アクセル・アルマー
LV:41
PP:255
格闘:274
射撃:294
技量:284
防御:284
回避:314
命中:334
SP:734
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    ???
    ???

撃墜数:560

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