転生とらぶる1   作:青竹(移住)

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0686話

「こいつがアクセルか?」

 

 ルカにアルトと呼ばれた男が、俺を見てどこか拍子抜けしたように呟く。

 いや、したようなではなく、あからさまにがっかりとした表情を浮かべて俺を見ていた。

 ……まぁ、面白くは無いが、今の俺の容姿は15歳程度でミハエルとかよりも小さい。ルカよりは大きいが。それだけに、そんな感想が出て来るのもしょうがないと言えばしょうがないか。

 

「はっ、アルト姫には分からないかもしれないが、アクセルはその辺の奴とはモノが違うんだよ。……って、何で俺がわざわざこいつのフォローなんてしなくちゃいけないんだか」

 

 いや、俺もそうは思う。まさかミハエルが俺のフォローをするような真似をするとは思ってなかった。ミハエルはまだ完全に俺に対しての警戒を解いた訳じゃ無いのは、普段の行動を見ていれば明らかだしな。

 ……それはルカも変わらないんだが。

 

「俺は呼ばれたからここに来たんだけどな。必要無いなら戻るぞ? 別に俺がこのバイトをやらせて下さいって頼み込んで来た訳じゃ無い。頼んできたのはそっちだってのを忘れるなよ」

「あ、ちょっ、アクセル君! アルト先輩、アクセル君は本当に腕利きなんですって。少なくても身体を動かす事に掛けては、僕が今まで見てきた中では1番なんですから」

「ちっ、分かったよ。ルカの言う事だし、信じてやってもいい」

 

 アルトが一見すると女のようにも見える程に整った顔を俺の方へと向ける。

 ……へぇ。顔はともかくその目には獰猛……いや、これは渇望か? そんな色が浮かんでいる。どうやらミハエルに次ぐ技術を持つって話も嘘じゃ無さそうだな。

 

「信じてもいいが、まずは実際にその腕を見せて貰おうか。本当に俺達と一緒に飛べるだけの技量を持っているのか。ここにいるのは、パイロット養成コースの中でも上位の成績を持つ奴等だ。その中で飛べるか?」

「別に構わんが」

 

 どこかもったいつけたように言ってくるアルトに短く返し、そのまま周囲へと視線を向ける。EX-ギアで飛ぶ時に助走を付けるランチャーカタパルトを発見し、そこへとEX-ギアの足下に付いているローラーを使いながら移動する。

 その様子を見てその場にいた何人かが驚いていたようだが……まさか、この程度の事で俺の技量を認めたんじゃないよな?

 そもそも、俺がS.M.S所属だってのはミハエルが説明してあるってルカが言っていたしな。

 

「さて、こっちの準備はいいが……そっちも問題無いな?」

 

 俺の方を見ている奴等へと尋ねると、アルトを始めとした他の数人も無言で頷く。……ミハエルは面白そうに、ルカはどこか心配そうにこっちを見つめていた。

 そんな様子を見ながら、屋上に設置されたランチャーカタパルトの取っ手部分を掴み、体勢を整え……次の瞬間には猛スピード――とは言っても当然VFとは比べるべくも無い――で空中へと射出される。

 まずは軽く空中で体勢を整え、民間用EX-ギアの調子を見る。もっとも、もしここで調子が悪かったとしても俺は自分で飛べるんだから、特に問題は無いが。

 空中で左右に揺れつつ、まずは最初の1つという事で垂直に上昇していく。そのままある程度の高さまで登ったところで、空中に寝転がるようにして真横に体勢を変え、そのまま動きを停止。重力に従って真下へと落ちていく。

 アクロバット飛行の技術の1つであるハンマーヘッドだ。技術的にはそれ程高難度という訳では無いが、それでも空中で飛行ユニットの動力を切るのだからかなりの度胸が必要になる。

 屋上にいたミハエルとルカ以外の生徒達が驚愕の表情を浮かべているのを確認しつつ、再びホバーユニットで空中へと浮かんでいき、テールスライド、キューバンエイト、ナイフエッジと続け、最後にハートループを決めてから校舎の屋上へと戻っていく。

 唖然として俺を見上げている視線を感じつつ、ホバーユニットを噴射しながら屋上へと着地。

 

「で、この程度なら出来るが。何かクレームがあるなら聞くぞ?」

 

 その問いに、黙って首を横に振るミハエル、ルカ以外の生徒達。……ただし、アルトは負けん気の強い視線で俺をじっと見ている。否、これは睨みつけているといった方が正しいのか?

 

「……文句は無いさ。ああ、確かにお前はルカやミハエルがわざわざ連れてくるだけの腕利きであるのは認めてやるよ」

 

 ん? アルトもミハエルの事をミハエルと呼んでるんだな。確か付き合いの長い相手にはミシェルって愛称で呼ばせているとか言ってたと思うが。そう考えると、この2人はあまり仲が良くないのか?

 そんな風に考えていると、ミハエルが手を叩きながらこっちへと近寄ってくる。

 

「今の動きを見れば分かると思うが、こいつは腕だけは1流と言ってもいい。性格がちょっと問題あるが、後数日先まで迫ったシェリルのライブに俺達に合わせられるのはこいつしかいない。あの銀河の妖精シェリル・ノームのライブで行われるアクロバット飛行だ。下手な真似が出来ないってのは分かるな。こいつを俺達のチームに臨時とはいえ入れる事に文句のある奴はいるか?」

 

 その言葉に文句を言う者はいなかった。最初に俺の腕を怪しんだアルトですらも、特に口出しをせずにミハエルの言葉を黙って聞いている。

 いや、寧ろその瞳には悔しさが浮かんでいるようにも見えるな。

 この辺、負けず嫌いなのはVFのパイロットとしては才能の1つとも言えるだろう。

 その後は、俺を入れての連携というか、集団でのアクロバット飛行のプランの説明が行われ、それぞれの意思疎通が図られる事になった。

 この際に予想外だったのは、俺がメイン的な扱いになってしまった事か。

 もっとも、アクロバット飛行という意味で新人の俺が、ミハエルとルカ以外の他のメンバーとは初対面でお互いの呼吸を分からないから、その辺の呼吸が必要な2番手、3番手が難しいと言われては納得するしかないんだが。他のメンバーとの阿吽の呼吸での意思疎通が難しく、その割にはアクロバット飛行の技術は十分にあるという事で俺がメイン――5機編成で飛ぶ時の真ん中――になってしまったらしい。

 もっとも、俺がメインなのはあくまでもそう見せているだけだ。実際にアクロバット飛行の指揮を執るのはパイロット養成コースの主席でもあるミハエルなので、俺としては特に問題無い。

 ……まぁ、折角ライブチケットを譲ってくれたシェリーには悪いと思うけどな。

 その日はそれ以降もずっと練習をし――主に俺との連携を重視し――解散する事になるのだった。

 

 

 

 

 

「よう、アクセル。飯食って行かないか? 無茶を言ったからには奢らせて貰うぜ?」

 

 EX-ギアから普段着へと着替え終わったミハエルがそう声を掛けてくる。

 その隣ではルカが苦笑を浮かべ、アルトが微妙に不機嫌そうに横を向いている。

 それでも残っているのを考えれば、見かけ程に不機嫌ではないんだろう。

 

「俺は構わないが、他の面子はどうした?」

「一応誘ったんだけど、この後用事があるんだってよ。ったく、この俺が男を誘うなんて滅多に無いってのに。その点アルト姫は素直にエスコートを受けてくれて男を立てる事を知ってるよな」

「おいこら、ミハエル。誰が姫だ。その呼び方はいい加減にやめろ!」

 

 ……なるほど。アルトが不機嫌だったのは姫呼ばわりされていたからってのも理由の1つか? にしても、アルト姫ねぇ。確かに外見に関しては女顔といっても通じるかもしれないが。

 

「ね、アクセル君。折角ミシェル先輩が奢ってくれるって言うんだから、どうですか? これから会社に戻って食事ってのも1人だとつまらないでしょ?」

 

 ルカの言葉に考える。

 別に1人で食事をするのは寂しいとかそういうのは無いんだが、純粋に奢りというのは嬉しい。マクロス世界の金はS.M.Sでの給料しか無い以上、いつも満腹になるまで食える訳でもないしな。

 一応空間倉庫の中には金塊やら宝石やらも入ってはいるんだが、いつまでこのマクロス世界に滞在するか分からない以上はあまり消費したくはないし。

 

「そうだな、なら今日は腹一杯食わせて貰おうか」

「……いつもあれだけ食ってて、よく太らないよな」

 

 普段の俺の食事量を知っているミハエルが呆れた様に呟き、ルカが苦笑を浮かべる。アルトの方は何か俺に言いたそうな視線を向けてくるが、特に何を言うでもない。

 

「ふん、いつもはかなりセーブしてるんだが、今日はミハエルの奢りだからな。正真正銘好きなだけ食わせて貰おう」

「は!? あれでセーブしてるって……マジかよ」

 

 実は基本的に魔力で構成されている俺の身体は、どれ程食べても胃の中に入った時点ですぐに消化吸収されてしまう。それ故に、本当にそのつもりなら幾らでも食べ続ける事が可能な訳だが……

 

「ま、破産はさせないから安心しろ」

「出来るか! どこかの定食屋にでも行こうと思ったけど方針変更だ。確か渋谷エリアで食べ放題の店があった筈だから、そこに行くぞ」

 

 そう言い、俺達を率いるようにして進んで行くミハエルの後を追っていくのだった。

 食べ放題ね。まぁ、確かにそれなら好きなだけ食べられるんだろうが……

 そんな風に思いつつ道を歩いていると、不意に後ろを歩いていたアルトから声を掛けられる。

 

「なぁ、おい」

「ん? どうしたんだ?」

「お前、EX-ギアを身につけてから本当にそんなに経っていないのか?」

「そうだな。S.M.Sに就職した時に初めて使ったのは事実だ」

「それがつい最近?」

「ああ。まだ2月と経っていないな。正確に言えば1月強ってところか」

「……何でだ? 何でそんなに短時間でEX-ギアを自由自在に扱えるようになったんだ?」

「何でと言われてもな。元々この手の物には慣れというか、適性があるからとしか言えないな」

「才能が全てだって事か?」

 

 微かに眉を顰めるアルト。才能、才能か。まぁ、確かにそれもあるだろうが……

 

「そういうお前だって才能はあるんだろう? ルカやミハエルから聞いてるぞ? 高校進学時に転科してきたんだろう? それであっという間にトップクラスの成績を叩き出しているんだから、十分才能があると思うが」

「……それでも1番じゃない」

 

 ボソリ、と口の中だけで呟いたつもりなのかもしれないが、生憎とその言葉はしっかりと俺の耳に聞こえていた。

 

「何だ、ミハエルに負けているのが悔しいのか?」

「べっ、別にそんなんじゃねえよ! ただ俺は自由に空を飛びたいってだけだ!」

「なら別に1番じゃなくてもいいだろうに」

「主席だからこそ、今回のアクロバット飛行の演技内容をミハエルが決めたんだろ。俺が主席なら、もっと派手な奴にした……いやまぁ、結局お前が入った時点で派手なのは出来なくなったけどな」

 

 溜息を吐きながら俺へと視線を向けてくるアルト。

 実際、このチームと連携の取れない俺を入れた状態で派手なマニューバを使ったりしたら、下手をしたら接触事故とかを起こすかもしれないのは事実だ。アルトが言っている派手なのってのは俺が入った時点で無しになっただろう。

 

「それに、才能って意味じゃ俺よりもお前の方が圧倒的に上だろ。悔しいけどな」

「なら、俺を越えればいい」

「……は?」

「別に俺が世界で1番なんて言うつもりは無いが、それでもお前より腕は上だってのは理解しているんだろ? なら俺を越えれば、少なくても飛行技術が上昇しているという意味では……」

 

 そこまで呟き、言葉を止める。

 ふとこのやり取りに既視感を覚えた為だ。しっかりと言葉を交わした訳ではないが、ネギま世界でもネギが俺を壁としていた。それを思えば……

 もしかしてアルトがこのマクロスの主人公だったりするのか?

 ふと、そう感じた。

 

「アクセル? どうしたんだ?」

 

 黙り込んだ俺へと尋ねてくるアルト。

 そんなアルトに、小さく肩を竦めて答える。

 

「いや、何でも無い。とにかくお前だってその辺の奴等よりは才能があるんだから、後は努力を重ねるんだな。そうすればそのうち嫌でも腕は上がるだろうさ」

 

 特に、お前が俺の知らないこのマクロスの主人公だったりするのなら。

 そう答える俺の言葉に何か感じるものがあったのか、小さく頷くアルト。

 

「ふんっ、いずれお前に追いついて見せるさ。空を飛ぶという夢を諦めるつもりはないし」

 

 ミハエルとは違って随分と素直だな。

 そんな風に思いながら食い放題の店へと向かうのだった。

 ……にしても資源的に色々と厳しいと聞いているが、よく食べ放題の店とか営業の許可が出たな。

 

 

 

 

 

 この日、食べ放題の店で俺が食ったその量は、ある意味で伝説になったらしい。




アクセル・アルマー
LV:41
PP:255
格闘:274
射撃:294
技量:284
防御:284
回避:314
命中:334
SP:734
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    ???
    ???

撃墜数:560

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