転生とらぶる1   作:青竹(移住)

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0650話

「コーネリア殿下、お元気そうで何よりです。それと久しぶりだな、アクセル・アルマー」

 

 光明にあるシャドウミラーの基地で、そう挨拶をするジェレミア。5日程前に行われた黒の騎士団との約束通り、こちらへと派遣されてきたのだ。

 ちなみに乗って来た機体は、当然の如くサザーランドに飛翔滑走翼を付けた物だった。……どこからサザーランドを手に入れたんだろうな? 一時的にとはいってもブリタニアと手を結んだんだから、その時か?

 

「ここに呼んだ理由を聞いているか?」

「ああ。何でもギアスに関しての犠牲者を治療したいとルルーシュ様から聞いている。ようは私のギアスキャンセラーが必要なのだろう?」

「そうだ。残念ながら色々と訳ありの相手だから、どんな人物かをお前に見せたり教えたりする訳にはいかないが、ギアスキャンセラーに関しては扉越し、壁越しでも効果があるんだろう?」

「勿論問題無い」

 

 俺の言葉に頷くジェレミアの様子に、密かに安堵の息を吐く。

 原作ではその辺を問題無くやっていたが、何しろジェレミアの最終調整中にギアス響団に攻め込んでしまったからな。何か悪影響が出ていないかと、ちょっと心配だった。

 そんな風に思っていると、黙って俺とジェレミアの話を聞いていたレモンが口を開く。

 

「ねえ、貴方。ジェレミアって言ったわよね。ギアス響団から接収した資料で貴方の身体の事を見させて貰ったわ。正直、今の貴方の身体は酷く不安定な状態よ。もし良かったら、私達の技術で多少はマシに出来るけど……どう?」

 

 レモンの口から出た言葉は、予想外にジェレミアを心配するものだった。部屋の中にいるスレイやコーネリアも驚きの表情を浮かべている。唯一マリューだけが、苦笑を浮かべているのが気になるが。

 

「気持ちはありがたいが、遠慮させて貰おう。今、私がルルーシュ様の下を離れる訳にはいかないのでな」

「そう? ……じゃあ、この世界の揉め事が一段落したらいらっしゃい。こっちで調整してあげるから」

「そうか、そこまで言うのならお言葉に甘えさせて貰おう。この世界が落ち着いたら世話になる」

「ええ、待ってるわ」

 

 そう言い、笑みを浮かべるレモン。

 ……だが、俺はそのレモンの笑みを見て大体の考えを理解してしまった。伊達にこの中で一番レモンと長く一緒にいる訳じゃないんだが、それがこんなところで発揮されるとはな。

 恐らくレモンの興味はサクラダイトを使ったサイボーグともいえるジェレミアの身体に興味があるのだろう。レモンの永遠の研究テーマと言ってもいいWシリーズ。その中でもWナンバーズの研究はもう止めているので、恐らくは量産型Wの性能を向上させる為のヒントか何かを求めてといったところか。

 技術的に遅れているこの世界の技術が参考になるのか? とも思ったが、ようは自分と違うスタンスの技術を見てみたいという事なのだろう。

 と言うか、ジェレミアを改造した件についてならネギま世界にいるバトレーの方が詳しいんじゃないんだろうか。まぁ、その辺に関してはレモンに任せるとして。

 

「じゃあ、付いてきてくれ」

「うむ」

 

 量産型Wの話は取りあえずそれで終わり、ジェレミアを連れて基地の中を進むのだった。

 基地の中の一画。それも、周辺を厳重に警備されている場所がある。警備は量産型Wがしており、部屋の扉を開く為のチェックシステムも二重、三重になっている場所だ。この部屋の中に、ナイトオブシックスのアーニャ……より正確に言えばその身にマリアンヌを宿しているアーニャが軟禁されているのだ。外と連絡出来るような物の持ち込みは不許可だが、それ以外の物はある程度の物の持ち込みを許可している。例えばTVとか、本とか、それと捕らえた時に約束した日記とか。

 だが、それも今日で終わりだ。この件が済んだ後でアーニャ本人がどうするのかは分からないが、それでもブリタニアの戦力になられるのは困るから、この世界の騒動が一段落付くまでは暫く捕虜という扱いにはなるだろう。まぁ、今よりはずっと待遇が改善されるだろうが。

 

「ジェレミア、ここからこの部屋の中にもギアスキャンセラーの効果はあるんだよな?」

 

 部屋のすぐ外でジェレミアに尋ねると、当然とばかりに頷く。

 

「私を中心として半径数10m程は射程範囲となる」

「そうか。なら……」

 

 指先を白炎と化し、猫の炎獣を作り出す。

 

「この炎獣をここに置いていくから、炎獣が消滅したらギアスキャンセラーを使ってくれ」

「……あ、ああ」

 

 さすがに炎獣を直接その目で見るのが初めてだった為か、唖然としながらも俺の言葉に頷くジェレミア。

 そんな様子を見ながら、猫の炎獣にジェレミアの見える場所にいるように命令し、アーニャの部屋の中へと入っていく。

 

「アクセル・アルマー?」

 

 部屋の中でTVを見ていたのだろう。ソファに座りながらどこか眠そうな目で俺へと視線を向けてくる。

 

「何か不都合は無いか?」

「特に無い。強いて言えば、退屈」

 

 そう呟くアーニャだが、ソファの周囲には色々な本が散らばっている。ファッション雑誌、写真集、小説、旅行雑誌等々。本来であれば漫画とかもあってもおかしくないんだが、日本がエリア11と化したこの世界では漫画はそれ程発達していないらしい。

 一応、この部屋は快適とまでは言わないが、それでも不便を感じないように十分配慮されている。普通、捕虜がTVとかを自由に見たりは出来ないだろう。

 

「そうか。残念だがもう暫くこの部屋で我慢していてくれ。そうだな、今度はゲームか何かでも差し入れさせよう」

 

 この世界にゲームがあるのかどうかは分からないが、麻帆良なりオーブなりから取り寄せる事は可能だ。この部屋のTVに接続できるかどうかは……まぁ、技術班辺りに頑張って貰うとして。いや、それこそ漫画を取り寄せてもいいのか。

 

「で、今日は何か用?」

「ちょっと聞いておきたい事があってな。TVで見ていたと思うが、ブリタニアにはギアス響団という組織があった」

「うん」

「その組織を俺が潰した訳だが……ナイトオブラウンズとしてはどう思う?」

「別に……」

 

 素っ気なく呟くアーニャ。まだマリアンヌが出て来る気配は無い、か。ならもう少し踏み込んだ発言に移らせて貰おう。

 

「ブリタニア皇帝のシャルルも、ギアス響団なんて組織を作って何を企んでいたのかは分からないが、馬鹿な真似をしたな。そうは思わないか? どの程度の労力を掛けていたのかは分からないが、それでも他国の……それも、超大国の1つと言われた中華連邦の領土内にあれだけの研究施設を作りあげたんだから、並大抵の労力じゃなかっただろう。だがその労力も俺達の行動で一気に消滅した」

「……何を言いたいの?」

 

 これはアーニャの言葉か? それともマリアンヌが表に出て来たのか?

 もう少し揺さぶってみるべきだな。

 

「世界の3分の1を支配している国の皇帝と言っても、所詮はその程度でしかないと思ってな。ギアスなんて馬鹿な能力に手を出すからこんな事になる。大人しく国を治めていれば良かったものを」

「でも、この世界の人達の事を思ってやっていたかもしれないじゃない」

 

 ……マリアンヌ、か? 確かにそうは見えるが、まだ確実とは言えない。なら駄目押しをするか。

 

「世界の人達? 生憎と、他人の馬鹿な思い込みで巻き込まれる方は堪ったものじゃないしな。それに……ギアス響団は潰れて、更にはそのギアス響団を率いていた子供も殺された」

 

 ピクリ。ギアス響団を率いていた子供が殺されたという言葉に一瞬、ほんの一瞬だが反応した様子を見て確信する。既に表に出て来ているのはマリアンヌだと。

 なら、仕上げと行こうか。

 

「ギアス響団とかいうのを率いていたのは子供だったの? TVでは全く流れてなかったけど」

「そりゃあそうだろう。まさかギアス響団を率いているのが子供だなんて言っても、普通は信じられないからな」

「でも、貴方はそんな子供を殺したんでしょう? けど、ギアス響団なんて組織を率いていた子供が普通の子供な筈無いと思うんだけど。どうやって殺したの?」

 

 そう尋ね、視線が鋭く俺を見据えるのを感じる。

 こちらの餌に引っ掛かってくれたらしい。

 

「こうやってだよ」

 

 呟き、空間倉庫から石像と化したV.V.を取り出してみせる。

 

「これは……」

「ギアス響団を率いていた者、V.V.が石化した姿だよ。……お気に召したか? マリアンヌ・ヴィ・ブリタニア」

「っ!?」

 

 マリアンヌ・ヴィ・ブリタニア。その名を呟いたその瞬間、アーニャの首がグルリと俺の方へと向けられ、視線が合う。その瞬間、指を鳴らして廊下の外の炎獣を消し……次の瞬間、ナニカが俺の身体を通り抜け……

 ドクンッ!

 身体の中で脈動が発生する。そして次の瞬間にはまるで何事も無かったかのようにその脈動が消え、部屋の中ではアーニャがソファの上へと崩れ落ちているのが見える。

 

「……今、一体何があった?」

 

 アーニャが気を失っているのはいい。マリアンヌが表に出ていた状態でギアスキャンセラーを使われ、その結果マリアンヌが消滅した影響で何らかのショックを受けたのだと予想出来る。だが、何故ギアスキャンセラーが俺に影響を与える? 俺にはギアスなんて……

 

「いや、待て」

 

 ギアス。確かに俺にギアスは使われていないし、そもそもギアスが使われたとしても効果は発揮しないだろう。だが、たった1つだけ俺にもギアスに関係するものがあった筈だ。それはつまり……

 

「やっぱり、な」

 

 脳裏に展開された俺のステータス。本来であればスキル覧の空きは1つしか存在していなかった筈なのだが、今は2つの空きがある。そして、スキル一覧の中には以前からあった『ギアス(灰色)』 の文字はどこにもない。つまり、今のギアスキャンセラーで影響を受けたのは俺のスキル覧だった事になる。

 だが、何故だ? ギアスキャンセラーはギアスの効果を消すという効果を持つ能力だ。だが、俺のギアスというのはスライムを使ってマオを吸収した事により習得したものでしかない。つまり、ギアスの効果という訳では無いのだ。というか、ギアスキャンセラーでギアスを消せるのなら、原作でもルルーシュやロロといった者達のギアスは消え失せていた筈だ。だが、そうはなっていない。何故か?

 その理由に、当然俺は心当たりがあった。俺のスキルにあったのは『ギアス(灰色)』の文字。つまり、この灰色というのがギアスキャンセラーで消えた理由なのではないか、と。

 消えたのがギアスだけだったのを考えると、吸収したスキルが消えるという訳でも無いだろう。念動力や各種の魔法が消えていないんだから。

 

「予想外の展開だな」

 

 そう呟くものの、完全にマイナスなだけではない。いや、寧ろ無意味にスキル覧を圧迫していたギアスが消えたのは幸運と言えるだろう。

 ただし……そう、ただし。ギアスに関係して変化した能力がどうなっているかを確認しなければならない。具体的に言えば精神コマンドの直撃だ。

 ギアスを習得したことにより直撃の効果が微妙に変わったのを考えると、至急確認するべきだろう。正直、何故俺がスキル覧にあるギアスを使えないにも関わらず他のスキルで上書きしなかったのかと言えば、それは直撃の問題があったからに他ならないのだから。

 

「アクセル・アルマー、どうだ? あの猫が消えたからギアスキャンセラーを使ったが」

 

 ドアをノックしながらジェレミアが声を掛けてくる。

 っと、そうだな。スキルの件ですっかりジェレミアを忘れてた。

 

「問題無い、タイミングも丁度良かったと思う。後は、暫く様子を見ないといけないな」

 

 ギアスキャンセラーで本当にマリアンヌが消滅したのかどうか、それを確認しないといけない。消滅した振りをして、アーニャを解放したらまた表に出て来る……なんて風になったら最悪だしな。

 そう考えていると、ドアが開いてジェレミアが顔を出す。そしてソファへと倒れて気を失っているアーニャへと目を向け……

 

「この少女がギアスの犠牲者、か。……ん?」

「どうした?」

 

 アーニャを見て、どこか首を傾げているジェレミアへと尋ねる。

 

「いや、この少女どこかで見た覚えが……」

「ナイトオブラウンズだから、それでじゃないか?」

「いや、もっと昔……」

 

 ……あぁ、そう言えばアーニャはアリエス宮で行儀見習いをしていたんだから、アリエス宮の護衛をしていたジェレミアと顔見知りでもおかしくないのか。

 その事を教えると、ジェレミアは酷く驚いた顔をしてアーニャを眺めていた。

 色々と思うところがあるのだろうが、やっぱりマリアンヌに関しては教えないでおいた方が良さそうだ。

 

 

 

 

 

 尚、この後、ホワイトスターに戻ってから魔法球で修行をする為に来ていたネギチームと遭遇。久しぶりにネギが麻帆良に顔を出したので1時間で2日、しかも歳を取らないシャドウミラーの魔法球を使いに来たらしい。

 そこでネギに風の魔法障壁を使って貰って直撃の実験をしたんだが、幸い直撃の効果は今までと変わらず、ギアスキャンセラーの影響を受けていなかったらしい。

 ……ギアスの影響で変化したのに、何故?




アクセル・アルマー
LV:41
PP:250
格闘:274
射撃:294
技量:284
防御:284
回避:314
命中:334
SP:734
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    ???
    ???

撃墜数:559

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