転生とらぶる1   作:青竹(移住)

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0648話

「随分と派手な登場をしてくれたものだな」

 

 会談の場へと通された俺とコーネリアに、最初に放たれたのがその言葉だった。

 この場所にいるのは今の言葉を放ったゼロに、軍事部門の総責任者でもある藤堂、情報部門からディートハルト、技術部門からラクシャータの合計4人。それに対して、こちらは2人だ。

 

「随分とそっちは人数が多いな? お互いの力の差を理解しているなら、もう少し謙虚な行動に出たらどうだ?」

 

 挑発目的の言葉だったが、その場にいた者達は特にこれと言った行動に移す者はいない。この辺、中華連邦とは人材が違うというところか。

 

「この人数差については、それこそ力の差を感じているからこそのものだと思ってもらいたい。特にアクセル・アルマー、君は魔法を使えるのだろう? 実際にグリフィンドラゴンとか言ったか? あのような幻想生物をも従えているのだから」

 

 ルルーシュの言葉に、最初に目を輝かせたのはディートハルトだ。これはちょっと予想外だったが、情報部門という事を考えれば未知の情報というのには興味があるのだろう。

 

「まぁ、確かに今の俺ならここにいる者達全員を殺すのに数秒も掛からないけどな。……グリも呼べばすぐに来るし」

 

 現在、グリは蓬莱島の一画で寝そべりながら俺の命令を待っている。黒の騎士団の面々はそのグリを遠巻きに眺めているだけだが、恐らくグリが暴れるようなら暁が出て来るのだろう。今それをしないのは、それこそ自分達と俺達との力の差を思い知っているからだ。

 ……特にルルーシュには、俺の混沌精霊としての力も見せているしな。

 数秒で殺せるという言葉で藤堂の視線が鋭くなったが、今は特に気にする必要も無い。幾ら奇跡の藤堂だとは言っても、素手で俺に敵う筈が無いのだから。

 

「さて、戯れ言はともかくとしてだ。今回は俺を直接指名しての会談となった訳だが、狙いは何だ?」

「それは前もって知らせておいた筈だが? これからの私達と君達の関係についてだ」

「……関係、ねぇ」

 

 チラリ、と俺の隣で表情を動かさずに座っているコーネリアへと視線を向ける。

 それだけで俺の言いたい意味が分かったのだろう。以前この蓬莱島へと来た時に黒の騎士団と手を結ぶのは難しいと言っていたのを。

 

「勿論ブリタニアの魔女と言われるコーネリア殿下が私達黒の騎士団と因縁が深いのは知っている。……更に言えば、アクセル・アルマー。君も私達とは因縁が深いらしいしな」

「それは否定しない。だが、それを前提としている以上は手を組むのが難しいというのは分かっている筈だが?」

「もちろん難しいというのは分かっている。だが、だからと言ってそれを改善する努力をしないのでは、お互いにとって不幸な出来事になるだろう」

 

 仮面越しなのでルルーシュがどのような顔をしているのかは分からない。藤堂は微動だにせず、ラクシャータは気怠げに、唯一ディートハルトだけが興味深そうな視線を俺へと向けていた。まぁ、ディートハルトには信念も何も無い。いや、正確に言えば自分の納得出来るような映像を撮る事こそが信念なのだから、そういう意味では俺達に対して興味深いのだろう。

 

「確かに現在の状況で黒の騎士団が生き残るには、俺達と手を組んだ方がいいのは分かるが」

 

 何しろ、前回の戦いでこの世界の総力を結集したと言っても過言では無い連合軍が敗れたのだ。もちろんEUが派遣してきたのは全軍では無かったし、ブリタニアも戦力の全てを派遣してきた訳でも無い。だが、それでもEU、中華連邦、ブリタニア。更には黒の騎士団が連合軍を結成し、陽光とシャドウミラーの連合軍に負けたというのはどうしようも無い事実なのだ。現在中華連邦は滅んで陽光へと生まれかわっている途中であり、EUは圧倒的な惨敗の責任を政治家同士で擦りつけあい、あるいは民衆からの突き上げに手を焼いている。この中でブリタニアのみがまだ多少の余裕があるが、それでもダモクレスやナイトオブラウンズを始めとした強力な戦力を失ってしまっている以上、すぐに行動に出る事は出来ない。

 その中で、一般兵はともかく幹部達には被害が出ないままに連合軍から抜けた黒の騎士団が手を組む相手としては、消去法で考えて俺達だけしかいないんだろう。いや……

 

「手を組む相手は陽光という手段もある筈だが?」

「確かに現在の陽光はかつての中華連邦の領土の殆どを飲み込み、国力を飛躍的に高めた。だが、その飲み込んだのが中華連邦の領土であった事を考えると、色々と問題が多いのも事実だ。現に大宦官派とでも言うべき者達が陽光に従わずに反乱を起こしているのだろう? 勿論陽光の戦力があれば問題は無いだろうが、それでも暫く時間は掛かる筈」

 

 ……なるほど。実際陽光が占領した地で幾つもの反乱が起こっている以上、ルルーシュの言葉には頷くしかない。だが……

 

「だからと言って、俺達シャドウミラーがお前達黒の騎士団と手を組む必要があるとでも? 戦力や資源、資金。その他あらゆる面において黒の騎士団を上回っている俺達が」

「ふむ、そうだな。確かにそれらの面で黒の騎士団がシャドウミラーに劣っているのは認めよう。だが、人材……という面ではどうかな?」

「人材?」

「そうだ。これから陽光はこの世界を統べていくことになるだろう。だが、この世界は広い。陽光の……そして、シャドウミラーの者達だけで治められない程にはな」

「それを黒の騎士団が担うと? だが、シャドウミラーにも人手はいるし、陽光にしても人材不足という訳では無い。それに、間接統治という手段もある」

「シャドウミラーの人材はその殆どが普通の人間では無く、人造人間だと聞いているが?」

 

 ルルーシュのその言葉に、思わず驚きの表情を浮かべる。

 もちろん量産型Wの件については隠し通せるものではないと思っているし、何より星刻を始めとした陽光首脳陣や幹部達は知っていることだ。だが、だからといって黒の騎士団がその情報を入手しているというのはさすがに驚いた。

 まぁ、陽光に関しても全員が全員潔癖な人物という訳でも無い。いや、寧ろ大宦官のおかげで芽が出なかったとは言っても、相応に欲のある人物もいるのだろう。恐らくそのような者から対価を払って情報を引き出したのだろうが。

 少なくても、ギアスを使ってということがないのは鵬法璽の契約ではっきりしている。

 

「へぇ。良く俺達の事を研究しているな。だが、それだと黒の騎士団と手を組む理由にはならないが? さっきも言った、間接統治を行えば十分なのだから」

 

 正直、シャドウミラーとしてはサクラダイトのみが目的である以上、間接統治で十分と言うよりは、それが望ましい統治方法なのだ。

 星刻にしても、別に世界の全てを自分達で支配する……なんて馬鹿げた考えを持っている訳では無いし。

 

「サクラダイト」

 

 そんな風に考えていただけに、ゼロの口から漏れたその一言に反応してしまったのはしょうがないだろう。

 

「サクラダイトがどうした?」

「恐らく、私達の文明の基盤ともなっているサクラダイトは、この世界特有の物質なのではないか? あるいは他の世界にあったとしても、それは極少数であると考えられる。……どうかな?」

「……そう思った根拠を聞かせて貰えるか?」

「何、そう難しい話じゃない。シャドウミラーの兵器は、基本的にエナジーフィラーが尽きるという事はない。それ程の長時間運用、サクラダイトでは無理だと意見があってね」

 

 チラリ、とラクシャータの方へと視線を向けるゼロ。

 その意見を出したのがラクシャータなのだろう。そしてラクシャータ本人もつい先程までの気怠そうな表情は消え、興味深そうな視線を俺へと向けている。

 

「そうだな。別に隠していたわけじゃないが、確かにサクラダイトはこの世界特有の物だ。俺達はその世界特有の代物をこれまでも多く集めてきた。最近で最も大きいものと言えば魔法になる。で、それがどうかしたのか?」

 

 魔法、と言葉にした瞬間のラクシャータは興奮のあまりか目が潤んですらいた。正直色っぽいとは思うが、こんな場所でする顔じゃないだろ。

 

「サクラダイトというのは、日本にある富士山に世界の半分以上の埋蔵量があると言われている。そして、その日本は現在エリア11としてブリタニアに占領されている。更に言わせて貰えば、ブリタニアと陽光、シャドウミラーはコーネリア殿下が告発したギアスの関係で既に戦争状態になったと言ってもいいだろう」

 

 チラリ、とコーネリアに視線を向けるルルーシュ。コーネリアのギアスに拘っていた最大の理由がユーフェミアであり、そのユーフェミアにギアスを使ったのがルルーシュだ。だというのに、ここでそれを持ち出すとはな。

 コーネリアが暴発しないか多少不安になったが、視線を向けた限りでは落ち着き、ただ黙ってルルーシュ……否、ゼロの話を聞いている。

 

「つまり、何が言いたいんだ?」

「そうだな、単刀直入に言わせて貰おう。私達黒の騎士団が日本を解放するのに手を貸して欲しい。そうすればそちらはサクラダイトを手にすることが出来、私達は日本を取り戻せる」

「……何?」

 

 正直、今のルルーシュが何を言っているのかが分からなかった。

 いや、勿論話している内容は分かる。だが、そもそも黒の騎士団がエリア11を脱出して蓬莱島に来たのは、総督であるナナリーを不穏分子のテロから守る為だった筈だ。なのに、何故今更それを覆すような事を言う?

 

「それは、ナナリー総督を倒すのに協力しろと言っているのか?」

「違う!」

 

 予想外に強い言葉が返ってくる。この様子を見る限りだと何らかのイレギュラーが発生しているのだろう。

 

「……俺の情報が正しければ、エリア11は現在もナナリー総督が治めている筈だが?」

「その情報は少し古い。確かに昨日まではその通りだったが、つい先程日本の総督が替わったのだ」

「何だと?」

 

 この歴史が色々と本来とは違う流れになっているのは、俺が介入した以上は当然と言えるだろう。だが、まさかナナリーが総督を交代させられるような事態になるとは思ってもいなかった。

 ……ちっ、もし間接統治をするにしても、ナナリーが相手なら向こうもそれ程強硬姿勢を取ってこないと思っていたんだが。そもそも俺は、日本人を弾圧する気は毛頭無い。サクラダイトさえ提出してくれるのなら、日本の管理は日本人に任せてもいいと思っている程だ。その辺はナナリー辺りとも同意見で進められると思っていたんだが。

 相手の手に触れれば嘘が分かるというナナリーの能力を思えば、俺が嘘を吐いていないという証明にもなるし。

 いや、混沌精霊の俺の手に触れて嘘が分かるかどうかは微妙だが。

 

「ナナリーが……?」

 

 この会談が始まって以来、始めてコーネリアが言葉を発する。

 その呟きの中に含まれているのは、疑念。

 黒の騎士団をエリア11から追い出す事に成功し、不穏分子の数が著しく減ったのだから、わざわざナナリーを総督の座から降ろす必要も……いや、違うな。そもそもナナリーを総督にしたのは、C.C.を誘き寄せる為だった筈。だが、既にギアス響団は物理的に消滅し、Cの世界も同様に消滅し、V.V.すらもいなくなった。マリアンヌをその身に宿しているアーニャも俺達が捕虜にしている。そこまですれば、さすがにシャルルも計画の遂行を諦めたのだろう。つまり、C.C.の所在云々もどうでも良くなった訳で、餌であるナナリーを自由にしておく必要も無くなった訳か。

 

「で、ナナリー総督がいなくなり、代わりの総督は誰になったんだ?」

「決まっていない。現在はナナリー総督の部下だったアリシア・ローマイヤという人物が総督代行として働いているらしい」

 

 ……アリシア・ローマイヤ?

 一瞬誰の事か分からなかったが、すぐに思い出す。確かナナリーの監視役を兼ねていた人物だ。フレイヤでナナリーの代わりに消滅した。

 

「つまり、その隙を突く形ではあるが今のうちにエリア11を解放したいと?」

「そうなる。その為に、是非シャドウミラーの戦力を貸して欲しい」

「……その言葉の意味を分かった上で言っているのか? 俺達に力を貸して貰うということは、必然的にその支配下に入るということになるぞ」

 

 支配下。その言葉が出た瞬間、一瞬だが藤堂の身体から殺気が溢れ出る。

 ブリタニアに占領された経験があるだけに、やはりその辺については敏感にならざるを得ないのだろう。

 

「支配下、か。だが、陽光の様子を見る限りでは特にこれと言って何かをしているようには見えないが? どちらかと言えば君臨すれども統治せずという形になるのではないかな?」

 

 全てを理解している。そう言いたげなゼロの言葉が会談の場に響き渡るのだった。




アクセル・アルマー
LV:41
PP:250
格闘:274
射撃:294
技量:284
防御:284
回避:314
命中:334
SP:734
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    ギアス(灰色)
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    ???

撃墜数:559

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