転生とらぶる1   作:青竹(移住)

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0645話

「これは、また」

 

 連合軍との戦場に戻ってきた俺は、予想外と言えば予想外、そして予想通りと言えば予想通りの光景に思わず呟く。

 まず俺が転移した時との最大の違いは、中華連邦軍がほぼ壊滅状態であるという事だろう。勿論全滅した訳では無いので、ターロンダンが1隻にロンダンが2隻残っており、ガン・ルゥも10機程度残っている。だが、これでは既に戦力として数えるのは無理だろう。最も火力の大きいターロンダンにしても、艦のあちこちから煙をあげておりとても戦闘をこなせるとは……あ、ロンダンの艦橋にジークフリートの巨大スラッシュハーケンが突き刺さった。でもって艦体から火を噴き出した。

 洪古、張り切ってるな。まぁ、敵は憎んでも憎み足りない大宦官なんだし当然なのか。

 そして中華連邦に比べれば、さすがに黒の騎士団はまだ無事な機体が多い。とは言っても、一般兵が乗っているだろう暁は大幅に数を減らしており、斑鳩に関しても戦闘に支障は無いまでもそれなりにダメージは受けている。輻射波動を使った障壁を持っている割にはダメージが結構大きいな。

 恐らく黒の騎士団側で展開していたメギロートの残骸が地上に落ちているのは、斑鳩の艦首に装備されているハドロン砲の影響だろう。

 カレンや藤堂の可能性も考えられるが……

 

「いや、ないな」

 

 視界の隅で、未だにトリニティゲインと戦っているKMF部隊を捉え、そう呟く。既にヴァルキリエ隊は全機撤退するか、あるいは撃破されている。その代わりという訳でも無いだろうが、四聖剣の生き残りである朝比奈と千葉の暁直参仕様が暁部隊を率いて戦いに参加していた。

 黒の騎士団のエースが揃ってムラタのトリニティゲイン1機に抑え込まれているのが、この状況の最大の理由なのだろう。それは同時にブリタニア軍が前線に出てきているという事も意味している。

 ランスロットとアシュセイヴァーが、トリスタンとヒュッケバインMk-Ⅲが、その他にもシャドウミラーの幹部達がナイトオブラウンズと思しき機体を相手にぶつかりあう。

 

「アクセル、戻って来たということは向こうの方は片付いたと思ってもいいのか?」

 

 戦場を見渡していると、星刻のヴィンセントから通信が入ってきた。

 

「ああ。侵攻してきたEU軍はほぼ全滅。ついでに、指揮官が投降したから捕虜にしてエキドナに預けてきた。この戦いが終わったら向こうに捕虜の収容部隊を向かわせてくれ。それよりもこっちは……正直、俺が来る必要は無かった気がするな」

「そうでもない。向こうにはゼロがいるからな。どんな手を打ってくるか」

 

 ……ゼロ? そういえば。

 

「ゼロは戦場に出て来たのか?」

「ん? 斑鳩ではなく、という意味か?」

「ああ。KMFだ」

 

 その言葉に、首を振る星刻。

 

「そもそも、こちらで集めた情報によるとゼロはKMFの操縦技術は低いとあるが?」

「ああ、それは事実だが……」

 

 とは言うものの、実はルルーシュのKMF操縦技術自体はそれ程極端に低い訳じゃなく、一般のパイロット程度の実力はあるのだ。だが、敵対した相手がスザクだったりコーネリアだったりと相手が悪すぎたのだ。

 

「こっちで得た情報によると、黒の騎士団は極端に防御力が高い機体の開発に成功したらしい。ただし、通常のパイロットでは扱いきれない複雑な操縦方法が必要で、恐らくそれがゼロの機体になると予想している」

「……なるほど。防御力が高い機体、か」

 

 呟く星刻だったが、やがて視線をこちらへと向けてくる。

 

「最後の最後でその機体が姿を現して戦局を変えるという事態は遠慮したい。出来れば、そちらでその機体を引きずり出せないか?」

「まぁ、可能かどうかで言えば可能だろうが」

 

 さすがに蜃気楼でもこの状態で戦局を変えるというのは……

 そう、呟いた時だった。

 ゾクリ。背筋に冷たいナニカが走る。

 久しぶりに感じるソレ。念動力によって感じとった危機。

 背筋に走る悪寒という形でその危機を察知した俺は、突然話を止めた為に不審そうにこっちを見ている星刻を意識の外へと追い出し、急いで戦場全体へと視線を向ける。

 今の危機感は何だ? 何が起きる? 中華連邦は既に壊滅状態である以上外してもいいだろう。黒の騎士団はまだ戦力を残しているが、最大戦力のカレン、藤堂、四聖剣をムラタに抑え込まれている以上それ程気にする必要は無い。斑鳩のハドロン砲は脅威だが、先程の危機感はその程度のレベルではない。となると、残るのは……

 ニーズヘッグのモニタにダモクレスを映し出す。

 ブリタニアが最前線で戦闘になっている影響か、ダモクレスもまた戦闘開始時よりも前線へ出て来ている。そのダモクレスを視界に捉えた時、間違い無く悪寒の正体はこれだと理解した。だが、何故だ? フレイヤが無い以上、今のダモクレスに攻撃手段があるとしても、良くてハドロン砲といったところだろう。

 だが、それを理解していながらも、俺は咄嗟に叫んでいた。

 

「シャドウミラー全機、並びに陽光全機、一端引け! 敵から距離を取れ!」

 

 叫びながらニーズヘッグもまた後方へと移動し、周囲の様子を確認する。

 シャドウミラー隊に関しては、幹部達は俺の言葉を聞いた瞬間に素早く後退する。量産型Wも人造人間であるが故にシャドウミラーのトップである俺の言葉に従って後退した。

 もちろんこれまで圧倒的に攻めていた俺達シャドウミラーが一度に後退するのだ。一瞬、何が起きたのか分からなかったようにその場で立ち尽くした黒の騎士団やブリタニア軍だったが、すぐに追撃に移る。

 

「コーネリア!」

「了解した。メギロートに殿をさせる」

 

 一言で俺の意志を理解したのだろう。皆まで言わせず無人機であるメギロートへと指示を与え、こちらに追撃を掛けようとしていた黒の騎士団やブリタニア軍へと攻撃を仕掛ける。

 ここまでは良かった。シャドウミラーのメンバーは俺の念動力による直感を理解しているからだ。だが、陽光は別だった。俺達シャドウミラーと同盟を結んでからそれ程時が経っていない。勿論、建国前から俺達と行動を共にしている者達は俺の能力を理解しているが故にすぐに退いたし、執政官の星刻、巨大なKGFでもあるジークフリートに乗っていた洪古が退いたのだからと、一端退いた者達もいた。

 だが、中には中華連邦に対する恨みを晴らし、あるいは陽光での昇進を目当てに俺の言葉を意図的に無視したり、戦闘に夢中で聞いていない者達もいた。

 そして……まるでその行動を見計らっていたかのように、ダモクレスから1発のミサイルが放たれる。

 瞬間、俺はそれが何であるのかを理解した。何しろ、俺が直接ダラス研究所から盗み出した物なのだから。本来であれば第一次生産分は全てこちらで確保した事もあって、ダモクレスが……シュナイゼルが持っている筈の無い兵器。即ち……

 

「フレイヤ」

 

 その言葉と共に、フレイヤが起爆。周囲に強烈な閃光を発して空間を抉るようにして着弾した周辺一帯諸共に消滅する。同時に中心部分へと空気が流れ込み、空を飛んでいたKMF、あるいはメギロートまでもが吸い込まれるようにして起爆部分へと移動し、他の機体にぶつかって破壊される。

 

「被害は!」

 

 何故シュナイゼルがフレイヤを持っているのかは気になるが、今はそれよりもどれ程の被害を受けたかだ。

 

「陽光軍は9割方無事よ。ただし、反応が戻って来ているだけだから、損傷して動けない機体も多いと思う。だが、中華連邦軍は残っていた機体が纏めて先程の攻撃で消滅している。それこそ、大宦官が乗っていたターロンダン諸共、な」

 

 ロンダンに乗っている香凛からの報告に、安堵の息を吐く。

 その報告は、最低1割はフレイヤで消滅したということだが、それでも9割生き残ったのは事実だからだ。下手をしたら陽光軍の半分近くが消滅する危険性があっただけに、むしろ香凛からの報告は朗報と言えた。フレイヤで消滅したのは、確かに中華連邦軍のいた場所を中心としており、寧ろこの被害は軽いと言ってもいいだろう。

 

「コーネリア」

「シャドウミラーに関しては、量産型Wを合わせて有人機は全て無事。ただし、殿に回した分のメギロートは纏めて消滅した。……兄上……」

 

 シャドウミラーに所属しているとは言っても、やはり兄は兄。コーネリアの口から漏れた呟きは、シュナイゼルがまさか同盟を組んでいる味方を餌にするとは思えなかったからだろう。

 だが、シュナイゼルの本性を知っている俺としては、寧ろ納得出来る行動だった。ただ1つ。完全に想定外だったのは、まさかシュナイゼルがフレイヤを持っていた事か。

 

「アクセル、ブリタニア軍が攻勢に出たぞ!」

 

 ちぃっ、考える暇もくれないか。

 スレイからの報告を聞き映像モニタへと視線を向けると、確かにそこではブリタニア軍のKMFが空を飛びながらこちらへと攻め寄せてきている。だが、同時に俺はもう1つ予想外の光景をも目にする。

 

「黒の騎士団が、退く?」

 

 そう、数が少ないながらも残っていた暁を収容し、トリニティゲインと戦っていたカレンや藤堂、四聖剣の2人も斑鳩へと戻っていくのだ。そして斑鳩はそのまま後退していく。

 

『我々黒の騎士団は、連合軍に参戦を要求してきた中華連邦軍が消滅したことにより、既に義は無い。いや、寧ろ我々の協力者でもある大宦官達を消滅させたブリタニア軍を信用して背を任せる事は出来無い。よって、この場で連合軍からの離脱を宣言する!』

 

 オープンチャンネルに、ゼロが映し出されて一方的にそう宣言して、そのまま俺達シャドウミラーや陽光、あるいはブリタニア軍の両方から離れるように斑鳩は戦場を離脱していく。

 ……確かに自分達を囮として使ったシュナイゼルに対して背を預ける事は出来無いだろう。だからといって、勝手に恩のある中華連邦を無視して連合軍を離脱する事も出来無い。そう考えると、寧ろ今の状況は黒の騎士団にとってはこれ以上ない絶妙の離脱タイミングだったのだろう。

 更に言えば、現在の戦場ではブリタニア軍と俺達シャドウミラーが戦っている状況であり、どちらの勢力にしても黒の騎士団に手を出す余裕が無いと判断したのか。

 もちろん現状でもこちらの戦力には余裕がある。だが、フレイヤという存在が出て来た以上は戦力的に余裕があってもダモクレスに……否、シュナイゼルに隙を見せる事が出来無いというのも事実だ。

 

「ちっ、しょうがない。まずはダモクレスを先に仕留めるか」

 

 呟き、コーネリアへと通信を繋ぐ。

 

「コーネリア、暫くは防御に専念してくれ。今からダモクレスを落とす」

「それは構わないが……あのフレイヤとかいうのはどうするのだ? 兄上の事だ、恐らくチャンスと見れば容赦無く撃ってくるぞ」

「だろうな。だが、別にダモクレスを落とすのは俺じゃない。……忘れたのか? ダモクレスを相手にして渾身の一撃を狙っている存在を」

 

 それにフレイヤに関しても大体の予想はついている。確かにダラス研究所は消滅したが、データのバックアップは研究所の外にも存在したのだろう。……恐らくそのデータのバックアップがあった場所はトロモ機関。そもそも、ダモクレスとフレイヤをセットで運用しようと考えていたシュナイゼルだから、その可能性は高い。

 だが、それは同時にフレイヤの残弾の少なさに関しても直結している。そもそもフレイヤをあれだけの量生産出来たのは、あくまでもダラス研究所でフレイヤを開発していた為だ。つまり、生産設備がある程度整っていたのだろう。だが、ダモクレスの開発をしていたトロモ機関では、どうしても間に合わせの設備になる。それ故、原作のように次々に撃つのは無理と見てもいい筈。

 

「……なるほど。フレイヤの威力ですっかり忘れていたな。確かにマリューなら」

「そういう事だ。……マリュー、聞こえているな? 出番だ。あのデカブツに改修されたシロガネの力を見せてやれ」

『了解。……フレイヤの爆発を見た時は肝を冷やしたけど、皆が無事で良かったわ。アクセルの恋人としては、十分にお礼をしないとね』

 

 俺の言葉に、即座に通信を返してくるマリュー。笑みを浮かべつつも、目が笑っていない。穏やかな相手程怒った時に怖くなると言うが……シュナイゼル、虎の尾を踏んだな。

 そんな風に思っている間にも、通信からはマリューの指示が次々に聞こえて来る。

 

『ブラックホールエンジン、出力最大。艦首モジュールのグラビティ・バスターとのリンクを。形状は第1射は集束砲で。それでも沈まないようなら第2射は近接型のブレードとして展開するわ。エネルギー消費を考えて、時流エンジンの出力も最大まで上げて。いい? グラビティ・バスター……撃てぇっ!』

 

 その言葉と共に空中、それもダモクレスの遥か真上、衛星軌道上から、直径にして50m程にまで集束された重力波砲が放たれ……次の瞬間には、ブレイズ・ルミナスをあっさりと破壊し、ダモクレスの城の部分を貫通し、それでも止まらずに地面へと更に深い穴を作り出す。




アクセル・アルマー
LV:41
PP:250
格闘:274
射撃:294
技量:284
防御:284
回避:314
命中:334
SP:734
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    ギアス(灰色)
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    ???

撃墜数:559

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