転生とらぶる1   作:青竹(移住)

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0638話

「着いたぞ、ここが陽光だ」

「……うぷっ、あ、ありがとうございます」

 

 口を押さえながら、陽光に付属しているシャドウミラーの軍事基地へと着地したソルプレッサから降りるニーナ。

 いやまぁ、運動に関しては全く適性の無いニーナなんだから、ソルプレッサに乗ればこうなるのは分かっていたんだけどな。けど、フレイヤを使ってダラス研究所を消滅させた自分を責めるよりは乗り物酔いになっていた方がいいだろうし。

 

「隊長、お疲れ様です」

「ひっ!」

 

 ソルプレッサから降りてきた俺とニーナを出迎えた量産型W。機械のヘルメットを被っているその姿に、乗り物酔いの気持ち悪さも忘れてニーナが脅える。

 

「安心しろ。こいつらは人造人間で、特にお前がおかしな行動をしない限りは何もしない」

「……」

 

 そうは言っても、やはり臆病な質、あるいは人見知りな質は変えられないのか、まだしも顔見知りである俺の後ろへと隠れるニーナ。

 その様子に軽く溜息を吐き、量産型Wへと指示を出す。

 

「第2会議室にレモン達を呼んでくれ」

「呼ぶのはいつもの4人で構わないでしょうか」

「いや、今回の件にスレイはあまり関係無いからな。……だが、このまま声を掛けないというのもちょっと薄情か。一応声だけは掛けておいてくれ。他のメンバーに関しては、この時間だと自由時間を楽しんでいるだろ。なら別にわざわざ呼び出す必要は無い。それと星刻に仕事は完了したと連絡を入れておいてくれ」

「はい。両方とも了解しました」

 

 敬礼をして去って行く量産型Wを見送り、後ろにいるニーナへと視線を向ける。

 

「ほら、行くぞ。今からコーネリア達を呼んでくる。そこでお前の想いの丈を吐き出せばいい」

「……うん」

 

 小さく頷き、そのまま基地の中の第2会議室へと向かう。

 第1会議室はシャドウミラー全体でのブリーフィングをする時に使う広い部屋だ。それに対して、これから向かう第2会議室は小規模なブリーフィングを行う為の部屋となっている。

 まぁ、小規模なブリーフィングというか、今回みたいな場合だけどな。

 そのままニーナと共に基地の中に入り、会議室へ。

 部屋の中は12畳程の大きさと、この類の会議室にしてみればそれ程広くはないのだが、今回のような時にはこの程度の大きさが丁度いい。

 通路の途中で量産型Wに会う度にビクつくニーナだったが、毎回それに付き合っていられる程に俺も暇じゃない。動きの止まったニーナをその場に残しながら通路を進み、やがて置いて行かれては堪らないとニーナもまた俺の後を必死で追いかけて来る。

 そして通路を進む事10分程。やがて目的地が見えてきた。

 

「あそこが第2会議室だ。それ程大きくない、呼んだのもコーネリア含めて4人だしな。まぁ、1人は来るかどうか分からないが」

「へぇ、誰が来るかどうか分からないと?」

 

 そう言いつつ、扉を開けた途端そんな風に中から声を掛けられる。

 そこにいたのは、青い髪をして気の強そうな鋭い美貌を持っている俺の恋人の1人だった。

 

「スレイ、こんな時間だし別に無理に来なくても良かったんだが」

「恋人がこんな時間に帰ってきたんだから、出迎えるくらいの事は当然だろう?」

 

 唇を微かに歪ませて笑みを浮かべるスレイ。傍目からは冷たい表情に見えるのかもしれないが、俺が無事に戻って来たのを十分以上に喜んでいるのは恋人の俺にしてみれば見間違えようもなかった。

 

「そうは言っても、この時間だからな。無理をしないようにさせようと思っただけだ。……で、他の3人は?」

「レモンとマリューは戦場から拾ってきた軽アヴァロン級の分析を他の技術班と一緒にやっていたな。コーネリアはムラタと模擬戦をやっていたから、シャワーを浴びてから来るらしい」

 

 ムラタと模擬戦……また、無茶な真似を。

 最近では少しずつだが気を使えるようになってきているムラタだ。幾ら多少の魔法は使えるようになったと言っても、コーネリアでムラタの相手をするのはきついだろう。

 

「コーネリア様?」

 

 俺の背後で話を聞いていたニーナが呟き、そこで初めてスレイは視線を俺からニーナへと移す。

 

「その少女は? まさかまた拾ってきたとか言わないだろうな?」

 

 拾ってきた。その表現に微かに眉を顰めるニーナだったが、実はそれ程間違った表現という訳では無い。

 

「ニーナ・アインシュタイン。例のフレイヤの開発者だ」

「ニ、ニーナ・アインシュタインです」

 

 ペコリと頭を下げ、怖ず怖ずとスレイへと視線を向けるニーナ。

 どこか小動物を思わせるその仕草だが、そこに愛らしさを見るか、あるいはウジウジしていると見るかは人それぞれだろう。……正直、俺はどちらかと言えば後者寄りだが。

 

「ほう、なるほど。お前が……」

 

 フレイヤに関してはMAPWに近い兵器だとだけ教えてあった為、大体どんな兵器かは理解しているのだろう。感心したような口調で呟く。

 そしてスレイが1歩踏み出したその時、タイミング良くコーネリアが姿を現す。

 

「アクセル、呼んでいると聞いていたが……なるほど。その少女が?」

「ああ。ユーフェ……」

「コーネリア殿下!」

 

 俺に最後まで言葉を発せさせずに、第2会議室に入ってきたコーネリアへと向かって一目散に駆け寄っていくニーナ。

 一瞬、手を懐に伸ばし掛けたコーネリアだったが――恐らく杖を隠しているんだろう――すぐに危険は無いと判断したのか、そのまま待ち受ける。

 

「コーネリア殿下、私、私……まさかブリタニアがユーフェミア様の件に関わっているとは思わなくて……それで、ユーフェミア様の仇に力を貸すような真似を……お許し下さい」

 

 涙を流しつつコーネリアに許しを請うニーナ。

 その様子に一瞬唖然とした表情を浮かべたコーネリアだったが、すぐに納得したのだろう。どこかぎこちなく、そっとニーナの髪を撫でる。

 

「そうか、お前もユフィの為に頑張っていたのだな。あの子の姉として、礼を言わせてくれ」

「そんなっ、私、私は……」

 

 ……ふぅ。ここにいるのは野暮だな。

 視線をスレイに向けると、スレイもまた同様の気持ちだったのだろう。小さく頷き、コーネリアに目で合図をして第2会議室の外へと出る。そして扉を閉め、数秒後ニーナの嗚咽が廊下まで響き渡る。

 

「ユーフェミアというのは、あの少女にとって随分と大事な存在だったらしいな」

「だろうな。けど上手くない事態でもある」

「……上手くない?」

 

 俺の言葉に小首を傾げて尋ねてくるスレイへと頷く。

 

「元々憧れが強かったのが、死んだことによって神格化すらされているように見えるからな。よく言うだろう? 英雄は死んでから使い物になるって。正確な意味は違うだろうが、大体そんな感じだな」

「なるほど。確かにあまり良くない傾向ではあるか」

「それに人見知りというのもあるが、どうしてもブリタニア人以外に対して脅えてしまう傾向がある。これが男だと尚更な」

「アクセルは平気だったのか?」

「最初は脅えられたが、幸い俺は建国宣言の時を含めてそれなりにメディアに露出しているからな。それに、コーネリアと知り合いなのも大きかった」

 

 そんな風にスレイと話していると、こちらへと近付いてくる2人の気配に気が付く。とはいっても、特に警戒する必要は無い。

 

「レモン、マリュー。丁度良かった。ちょっと場所を移そうか。今は中で取り込み中だし、フレイヤの実物も見たいだろう」

 

 会議室の中で起きている事を説明すると、2人共コーネリアの邪魔をするつもりは無いらしく了承してくれたので、ここにいてもやる事は無いというスレイ共々場所を移す。壁に第2格納庫に向かうと書いたメモを貼り付けて。

 第1格納庫でないのは、そこで軽アヴァロン級の解析を行っているからだ。

 

「で、フレイヤは手に入れられたのよね?」

「ああ。第一次製造分の50発程をな。それとフレイヤのデータに関してもニーナのコンピュータそのものを持ってきたから、それを参考にすればこっちで製造可能だろう」

 

 レモンの言葉に頷き、マリューの方へと視線を向ける。

 

「ここで聞くのも何だが、シロガネの状態はどうだ? 最終調整をしたままこっちですぐに戦闘だろう? 何か不具合の類が起きていないか?」

「大丈夫よ。建国宣言の時の戦いでは細かい問題が幾つか起きたけど、その辺は既に解決済みだし」

「そうか。なら次に起こるだろう大きな戦いには問題は無さそうだな」

「大きな戦い? 今の状況でそんなものが起きるのか?」

 

 マリューとの話を聞いていたスレイの問いに頷く。

 

「確実にな。中華連邦は建国後の戦いを連敗したせいで戦力をかなり消耗しているし、ブリタニアにしても自慢のナイトオブラウンズを含めて惨敗するような映像を世界中に流されたんだ。それぞれの国だけで対抗出来ないと知れば、当然次は前回とは違って本格的に手を組んで仕掛けて来るだろう。で、お互いに戦力が減っているのは理解しているし、並大抵の事では俺達に勝てないというのも理解している。となると、その2国だけではなく新しい戦力を引っ張り込む必要がある訳だ。そして引き込んで意味のある戦力となると……」

「黒の騎士団か」

「そうだな。それとEUも完全な味方とは言えないだろう」

 

 その言葉に微かに眉を顰めるスレイ。逆にレモンとマリューは異論が無いらしく特に表情を変えていない。

 

「EUは今のところ私達に対して友好的だろう? それが裏切ると?」

「可能性はある。今のEUは基本的に衆愚政治だ。つまり政治家は国民の顔色を窺う必要がある。そして中華連邦はともかく、シュナイゼルやゼロはその手の情報工作が非常に得意だ。あっという間に友好ムードから敵対ムードに変えられるだろうな。さしずめ、異世界からの侵略者に対して一致団結しようとでも盛り上げるか?」

「……そこまで分かってるのなら、こっちも対抗したらどうだ? 政治家が民衆の顔色を窺わなければならないのなら、こっちにだって手の打ちようがあるだろう?」

 

 そんな当然の疑問を口にするスレイに頷く。

 

「確かに本気で対抗するつもりがあるのなら、対抗は出来るだろう。人材の数という面で言えば俺達は圧倒的に負けているが、その辺はネットなり何なりで対抗出来るしな。だが……それでもしEUがこっちの味方のままで戦いが始まると、獅子身中の虫どころじゃないからな。俺達と敵対するというのなら、この際きちんと敵対して貰って正々堂々と叩き潰すのがいいだろう」

 

 そこまで聞くと、ようやく理解出来たのだろう。俺達シャドウミラーが狙っているものを。

 

「なるほど。不穏分子を一気に集めて叩く訳か。……考えたのはコーネリアか?」

「ああ。この手の作戦はブリタニア軍にいた時によくやっていたらしくてな。そこからだ」

 

 そんな風に話をしながら進んで行くと、やがて第2格納庫へと到着する。

 格納庫の中ではニーズヘッグ以外の機体が駐機しており、量産型Wが警備を行っていた。

 何しろ、俺自身が今まで色々な施設に忍び込んで機体やら武器やら各種データを盗んできただけに、その辺の対応は念入りに行っている。ただでさえ、この世界で俺達の機体はオーバーテクノロジーだしな。

 実際、これまでブリタニア軍や中華連邦軍のスパイを幾人も捕まえており、中にはEUの者と思わるスパイも存在していた。唯一しっかりと確認出来ていないのは黒の騎士団のスパイだが、あそこはギアスがあるのを考えれば大体何をしているのかの理解は出来る。

 ああ、そういえばジェレミアは無事黒の騎士団に所属する事に成功したらしい。この辺、ゼロの面目躍如というべきか。

 そして、格納庫の広い場所で早速とばかりにフレイヤの収められている巨大なケースを10個程に、ニーナの部屋から持ってきたコンピュータを取り出す。

 

「取りあえず、フレイヤの実物はもう40個程あるが場所を取るからな。色々と調べるにしろ10個程あれば安全だろう? それとフレイヤの各種データが入っているコンピュータだ」

 

 出されたフレイヤへと視線を向け、数秒程観察した後に量産型Wを呼ぶレモン。

 そのまま電源を用意させ、コンピュータを起動させて早速とばかりに中のデータを確認していく。

 ……一応パスワードの類があったんだが、ハッキングツールであっさりと解除している辺り、さすがと言うべきなんだろう。

 マリューもそんなレモンの隣でフレイヤのデータやレポートの類を読み耽っていた。

 そんな2人の横で待機している量産型W。

 

「フレイヤをどこか邪魔にならない場所に寄せておけ」

「了解しました」

「2人共熱中の度合が凄いな」

 

 スレイがコンピュータに熱中している2人を眺めながら唖然としている。

 ああ、そう言えばスレイが熱中しているマリューやレモンをその目で実際に見るのは初めてだったか。なら驚くのもしょうがない。

 

「ああなると少し長いからな。俺はお茶でも飲んでるが、スレイはどうする?」

「付き合おう」

 

 こうして、俺とスレイはようやく落ち着いたニーナやコーネリアがやってくるまで2人でお茶を飲んで過ごしていたのだった。

 ……空間倉庫から出した、ペットボトル入りの紅茶を格納庫の壁に寄り掛かりながらだが。




アクセル・アルマー
LV:41
PP:120
格闘:274
射撃:294
技量:284
防御:284
回避:314
命中:334
SP:734
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    ギアス(灰色)
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    ???

撃墜数:533

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