転生とらぶる1   作:青竹(移住)

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0631話

「……何?」

 

 俺は目の前にいる人物の言葉に、思わず問い返す。

 

「だから、儂をシャドウミラーに入れて欲しいと言っておるのだ」

「どんな心変わりだ? お前達は火星に行くのに同意していた筈だが?」

「確かに儂も最初はそのつもりだった。だが、お主等シャドウミラーにはコーネリア殿下が所属しておられる。更には、オデュッセウス殿下までもがいる」

「いや、オデュッセウスはシャドウミラーに所属しているんじゃなくて、あくまでも陽光の代表という形なんだがな」

「それでも構わん! 儂は、クロヴィス殿下をお守り出来なかった。ならばコーネリア殿下だけでも……」

 

 その言葉を聞き、俺の隣で一緒に目の前の人物の話を聞いていたコーネリアが首を振る。

 

「バトレー、私はもうブリタニア皇族ではないのだ。そんな私に忠義を尽くす必要は無い」

「ですが殿下!」

 

 コーネリアの言葉に何かを言おうとしたバトレーだったが、それを遮るようにしてコーネリアは言葉を続ける。

 

「それにだ。お前達を異世界の火星へと向かわせるのは色々な意味がある。例えばギアスの研究をしていた研究者としての罪。例えば父……いや、ブリタニア皇帝シャルルの手の者からお前達を守る為。例えば、異世界の火星で行われているテラフォーミングにお前達の技術力を活かす為。その他諸々だ」

「で、殿下……」

「矛盾しているようだが、お前達には罪はあれども情状酌量の余地もある。だが……そうだな、もしも火星のテラフォーミングを完了して、それでもまだ私に対して忠義を尽くすというのなら、ありがたく受けとろう」

「イエス・ユア・ハイネス!」

 

 その言葉と共に一礼する。

 

「……まぁ、話が決まったようで何よりだ。なら他の研究者達の纏め役は頼んでいいな?」

「うむ。コーネリア殿下の為にも、全身全霊を掛けて協力しよう」

 

 バトレーは頷き、ここまで連れてきた量産型Wに案内されるようにして出て行く。

 その背を見送り、扉が閉まったのを確認したコーネリアは苦笑を浮かべる。

 

「悪い奴では無いのだがな」

「奴もギアスに翻弄されたという意味では被害者だろうな」

 

 だがまぁ、原作と違ってギアス響団で殺されるような事は無かったんだから、少しはマシな結果だと言えるだろう。

 他の研究者達も、バトレーを代表として大人しく火星に向かう事を了承している。その中で唯一の心配事といえば、ギアスの実験体だった子供達だ。

 人間相手にギアスを使われる可能性もあるので、世話は量産型Wに任せている。最初にレモンが様子を見に行きたいと言われた時には一緒にいったのだが、やはりというか、当然というか、レモンに対してギアスを使おうとしたが効果が無かったので、それ以降は俺も特に何か手出しをしていないし、レモンは時々ギアスの子供達の様子を見に行っているらしい。あぁ、それとエキドナも時々レモンと一緒に行っている。

 当初は鵬法璽を使おうと思ったのだが、ギアスを使う様子も無くなったので取りあえず様子見の状態だ。

 で、現在の問題はゲートをどうするかという事なのだが……それも今日解決する。

 

「コーネリア、そろそろ俺はゲートの再設置に向かうがどうする?」

「ふむ、そうだな。なら私も行こうか。設置そのものはすぐに済むのだろう?」

「ああ。この世界に来る時に使った無人島にあるゲートを閉じて、こっちのゲートを展開すればいいだけだしな。通信でタイミングを合わせれば、時差も殆ど無い筈だ」

「無人島で止めたゲートは?」

「もちろんそのままにはしておかないさ。量産型WをASRS装備の輸送機か何かで派遣して回収してくる」

 

 その言葉で問題無いと理解したのだろう。小さく頷き、そのまま俺と共に陽光に割り当てられている政庁内の部屋を出ていく。

 

 

 

 

 

「ほう、さすがと言うべきか。メギロートも随分と器用になったものだ」

 

 感心したように呟くコーネリア。その視線の先では、複数のメギロートや量産型Wが多数動き回っている。そして工事を始めてまだ数日だというのに、既に大まかな外側は完成間近と言ってもいい。

 もちろん、基地施設内部の調整やら何やらで実際にここが機能するようになるにはまだ暫く掛かるのだろうが、それでも基地を作りあげていく速度は常識外れと言ってもいいだろう。

 

「まあ、陽光側からの協力もあるしな」

 

 苦笑を浮かべて陽光の方へと視線を向けると、そこには人足として雇われているのだろう陽光の者達の姿もかなりいる。

 ある意味、これも働き口の斡旋なんだよな。

 

「アクセル、こっちよ」

 

 そんな基地の中から姿を現したレモンに連れられるようにして、ゲートの設置予定場所へと連れて行かれる。

 そこは基地施設の中央部分であり、シロガネすらも余裕で入るような巨大なドームで覆われている場所だ。しかもご丁寧に、そのドームの天井部分は展開するように出来ているらしいのが、ここからでも分かる。

 

「随分と頑張ったな」

「ええ。とは言っても、頑張ったのは主に量産型Wとメギロートなんだけど」

「それでも十分だ。……さて、話はともかくそろそろ始めてもいいか?」

「ちょっと待ってちょうだい。折角だからある程度のデータは取らせて貰うわ」

 

 俺の言葉に通信機を取り出して作動させるレモン。

 

「私よ、レモンよ。これから今まで使っていたゲートを一旦停止して、新しくゲートを設置するわ。折角だからこの際に取れるデータは取っておいて欲しいのよ」

『それは構わないけど……本当に大丈夫なんでしょうね?』

「ええ、検査機器を作動させれば自動的にデータ収集をするようになっているから、エザリアはスイッチを入れるだけで構わないわ」

『……分かったわ。けど、出来ればこんな真似はこれきりにして欲しいわね。多かれ少なかれ時差が起きると判明している以上、無駄な危険は冒したくないのよ』

「そうは言っても、このギアス世界で活動を行うには絶対に必要なんだからしょうがないでしょ。……さあ、いい? 今からこの通信を切るから、そうしたらこの前教えておいたようにそこにあるスイッチを押してね」

 

 そう言い、通信機のスイッチを切ってすぐにまた別の場所へと通信を繋げるレモン。

 その様子を見ていたコーネリアは、俺と同様に苦笑を浮かべてその様子を眺めていた。

 

「いつになく研究熱心な事だな」

「全くだ。まぁ、シャドウミラーにとって他の世界との間に広がる時差は重要な案件だからな。無理に時差を起こす必要は無いが、起きるのならデータを取っておこうといったところだろう」

「この指輪が無ければもっと必死になっていたんだろうが」

 

 苦笑を浮かべて、自分の左手薬指へと嵌められている時の指輪へと視線を向けるコーネリア。

 実際問題、時差の影響を考えるとコーネリアの言葉は少しも大袈裟なものではなかった。いや、むしろ当然と言えば当然なのだろう。

 

「そっちの準備は? ……分かったわ。ならちょっと待ってちょうだい。アクセル!」

「さて、お姫様がお呼びだ。行ってくる」

 

 コーネリアへと軽く声を掛け、レモンの下へと向かう。

 

「ゲートを出せばいいんだな?」

 

 尋ねる前から用件は分かっているとばかりに声を掛け、レモンが頷くのを見てからドームの中心部分へと向かい、空間倉庫からゲートを取り出す。

 相変わらずのコンテナにしか見えないそのゲートを前に、レモンは通信機の向こう側へと声を掛ける。

 

「準備はいいわね? ……ええ、その流れでいいわ。じゃあ、時間を合わせて。5、4、3、2、1……今!」

 

 そうやって向こうへと声を掛け、数秒後にレモンが目の前のゲートを展開させる為のスイッチを押す。この数秒は、恐らく向こうのゲートシステムが停止する時間に余裕を持たせた為なのだろう。1つの世界に2つ以上のゲートシステムを展開すると、干渉して使えなくなるのだから、その判断は間違いではない。

 そんな風に思っている間にもレモンの前にあるゲートシステムは展開していき、やがてサイコロ状の部分が全て開ききり、自動的にリンク装置が起動する。そしてリンク装置同様に各種のシステムも自動的に起動していき、それを確認したレモンは再び通信機のスイッチを入れる。

 

「エザリア、どう?」

『ゲートのリンクを確認した。こちらのリュケイオスも全く何の問題も無く動いている』

「時差はどう? こっちではゲートシステムを通じてから数秒だけ間を開けたんだけど」

『こちらもそのようなものだな。数日とか数時間とか、数十分とかの時差は感じていない』

「なるほど、なら今回は時差が殆ど無かったんでしょうね。……この辺はまだまだ研究が必要、か。上手く時差の発生を自由に調整出来るようになればいいんだけど……」

 

 レモンの呟きを聞きつつ、ゲートについている映像もやり取りできる通信装置を起動する。

 

「エザリア、ネギま世界のフェイトに連絡を取ってくれ。火星に派遣する奴等の話をしておきたい」

『ええ、ちょっと待って』

 

 そして数秒後、ゲートに備え付けられている通信システムからフェイトの声が聞こえて来る。

 とは言っても、フェイト側は俺の渡した通信機で通信をしている為に映像の出ない音声のみなのだが。

 

『何だい? 君からの通信となると、また厄介事のような気がするんだけど』

「厄介事と取るかどうかはそっち次第だな。テラフォーミング作業の人材派遣だ。殆どが技術者だから、そっちとしては助かるんじゃないか? 修羅達は技術的な意味ではかなり遅れているしな」

『確かにそれは助かるけど……それだけじゃないんだろう?』

「そうだな。後は特殊な能力を持った子供10人ちょっとってところだ」

『特殊な能力?』

「ああ。ただし、生粋の人間にしか効果はない。魔法界の亜人だったり、修羅だったり、フェイトみたいなのにも影響は無いだろう」

『まあ、それなら大して影響は無いか。ただ、言っておくけどその能力を使って何かやらかしたりした場合、こちらで手を打つ事になるけど?』

「ああ、構わない。ただその子供達はこっちの世界で違法な実験の被験体として扱われていた奴等でな。その辺を考えて接してくれ。そういうのは得意だろ?」

『……さて、何の話かな?』

「お前の従者は戦災孤児とかが主なんだろう? 以前そんな風に聞いた覚えがあってな」

『ふぅ。……分かったよ。取りあえずはその子供達の面倒はこちらでみる。それでいつ連れてくるんだい?』

「明日の昼くらいにでもホワイトスターに迎えに来てくれ。その時に技術者連中と一緒に引き渡す」

『分かった。じゃあ、また明日』

 

 それだけ言って、通信が途切れる。

 よし、これでギアス響団についての問題は大方解決したな。残るは……ジェレミア、か。

 星刻に頼んではみたんだが、結局断られたんだよな。今はそれどころではないって。まぁ、確かに陽光の運営やら他国との折衝やら何やらで色々と忙しいのは分かる。

 実際、忙しくて麗華と話す暇も殆ど無いらしいからな。

 となると俺がやるしか無い訳で……

 

「コーネリア、ジェレミアはどうなっている?」

「まだチャンバーの中にいると思うが」

「ならバトレーに言って出してくれ。もう最終調整とやらは終わっているんだろう?」

「それは構わないが……説得はどうする?」

「星刻に断られたからな、俺がやる。それとコーネリアも頼む」

 

 数秒程考え込んだコーネリアだったが、やがて頷く。

 コーネリアにしても、ジェレミアのオレンジ疑惑がギアスが原因であると知ってしまった為、同情すべきところがあるのだろう。

 

「分かった。なら、早速バトレーに言ってジェレミアをチェンバーから解放しよう」

「そうしてくれ。……コーネリアの立てた計画通りに事態が進んでしまえば、ジェレミアにとっても色々と思うところはあるだろうが」

「そうだろうな。……だが、奴が自分で望んでルルーシュの下に行くというのなら、私が止めるべき筋合いでは無い」

 

 苦笑を浮かべたコーネリアと共に、少し前に別れたばかりのバトレーと会う為に光明へと戻るのだった。




アクセル・アルマー
LV:41
PP:120
格闘:274
射撃:294
技量:284
防御:284
回避:314
命中:334
SP:734
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    ギアス(灰色)
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    ???

撃墜数:533

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