転生とらぶる1   作:青竹(移住)

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0628話

「ASRSは?」

「もちろん使っているわ。ギアス響団とか言ったかしら。向こうには気が付かれていない筈よ」

 

 俺の言葉に、マリューが問題無いと頷く。

 それに頷きを返し、視線をシロガネのモニタに映し出されたギアス響団へと向ける。

 

「さて、そろそろ出発するとするが……コーネリア、指揮は任せたぞ」

「うむ。ギアスの効果範囲を考えると、外に出ないでこのままシロガネから指揮を執った方がいいだろう」

 

 俺の言葉にコーネリアが頷く。

 昨日ギアス響団の位置を特定したと星刻から聞いた時とは全く違い、張り詰めてはいるが、それは程良い緊張といってもいいだろう。

 

「マリュー、俺が影のゲートを使って転移した後に合図を入れたら、ASRSを起動させたまま、NジャマーⅡも起動だ」

「ええ。分かったわ。通信を遮断するのね。……けど、1人で大丈夫? 仮にも相手は不死身なんでしょう?」

「相手は不老不死と言っても、それ以外は単なる子供だろう? 俺が捕獲するのに手こずると思っているのか?」

「まさか。私の恋人なんだから、それくらいは信頼してるわよ」

 

 マリューが笑みを浮かべつつ頷くのを聞き、続けてレモンへと視線を向ける。

 

「レモン、実際の突入部隊はお前が指揮を執る事になる。NジャマーⅡがあっても、この距離からなら通信も可能だろう。お前の役割は分かっているな?」

「ええ。なるべく殺さないで、出来るだけ多く捕虜にする事でしょ?」

「そうだ。ただし、V.V.に対して狂信的とも言える忠誠心を抱いている奴等がいる。そんな奴が攻撃をしてきた場合は射殺しても構わん。どうせその類の奴は、ネギま世界に連れて行く前に処分する事になるんだろうしな」

「分かったわ。……私にギアスは効果が無いんだから、任せてちょうだい。それにメギロートの他にもエキドナや量産型Wを連れていくんだから、戦力的には問題無いわよ」

 

 レモンの笑みに頷き、次に残っているメンバーへと目を向ける。

 今回のギアス響団の強襲という作戦だが、別に全員が参加しているわけではない。イザークは面倒臭いと言って参加せずに光明の防衛として残っているし、最後までコーネリアと共に来たいと言っていたギルフォードは、グラストンナイツを連れて陽光内でまだこちらに従わない地方豪族が立て籠もっている軍事基地の攻撃を任されている。ちなみにイザーク同様に面倒臭いとしてこっちに来なかったムラタもこの攻撃に参加中だ。KMFは斬り応えが無いと嘆いてはいたが、それでも陽光で防衛をしているよりはマシだと判断したらしい。

 他にも、意外なところでオウカが今回は参加していない。何でも、ギアス響団がどんな組織かを聞いてスクールを思い出したとか。本人はそれでも問題無いと言っていたが、戦力が足りないならともかく、今回の襲撃は戦力過剰と言ってもいいような状態だ。それならオウカが無理をする必要も無いという事で、こちらもイザーク同様に陽光の防衛に回ってもらっている。

 ムウは陽光にいても暇だという事でこっちに参加だ。……ただ、こっちに参加したとしてもやるべき仕事は無いんだけどな。取りあえずは非常事態に備えて第1種戦闘待機としてある。

 ちなみに、スレイも勿論俺と一緒にこっちの作戦に参加している。理由としては、俺が心配だったのだとか。……いやまぁ、恋人である俺を心配するのはいいんだが、戦力がKGFしか無いような研究所相手に心配されてもな。

 ここに来る前にそう告げたら『恋人なのだから当然だろう』と言われ、さすがにそう言われたら断る事も出来ず、了承の代わりに唇を重ねさせて貰った。

 

「ん? どうしたんだ?」

「いや、スレイも第1種戦闘待機だからそろそろ格納庫へ……」

「勿論行かせて貰うさ。お前が出撃したら、な」

 

 薄らと頬を赤くして告げるスレイを、レモン、コーネリア、マリューの3人が笑みを浮かべて眺めている。もっとも、その笑みの種類は面白そうなものだったり、あるいは慈母の如きものだったりと色々だが。

 

「分かった。なら早速行くか。……じゃあ、後は頼むぞ」

 

 そう言い残すと影のゲートを展開し、そのまま影へと身を沈めていく。

 

 

 

 

 

「……結構広いな」

 

 ギアス響団施設内。その中で、俺はとある建物の影に身を潜めて空間倉庫からスライムを伸ばしていた。既にお馴染みのスライムによる偵察だ。

 目で見えない程に細くなったスライムがギアス響団の中へと張り巡らされていくのだが、それでもなかなかV.V.の姿を発見する事が出来無い。

 と、その時興味深い会話が聞こえて来る。

 

『バトレー将軍。ジェレミアの調整はもう数日程度で終わりますが……』

『う、うむ。だがこのままでは我々は恐らく』

『神殺し。まさかそんな事に、巻き込まれるなんて』

『言うな。今はとにかくここを脱出するチャンスを窺うんだ』

 

 ふむ、バトレーとその仲間達の声か。……どうやらジェレミアはまだ調整中らしい。となると、恐らくR1の時に最後に入っていたバルシェム生成チェンバーみたいな奴の中にいるんだろう。上手くいけばそこから出る前にチェンバーごとジェレミアをこっちで確保する事は可能か? ……いや、無理か。俺達が奴を手に入れても、既にジェレミアはルルーシュがマリアンヌの子供であると知っている。そうである以上、コーネリアやオデュッセウスがいてもシャドウミラーや陽光に所属はしないだろう。となると、いっそここで目覚める前に仕留めてしまうのも手か? そうも思ったが、前回の戦いで中華連邦を相手にして一方的に勝ち過ぎた事を思い出す。

 こっちに入って来た情報によると、あの敗戦の映像が流れて大宦官がかなり焦っているらしい。それで黒の騎士団を引き込もうと必死に説得しているらしいが、あのルルーシュが大宦官共に手に負える筈も無く、ノラリクラリと言質を取られないようにされているらしい。

 ちなみに情報に関しては、朱禁城に潜りこませている星刻の手の者からだ。いわゆるスパイだな。で、その時に断っている内容が戦力不足との事だから、ジェレミアを黒の騎士団に所属させて、それを大宦官に流せば……大宦官共の事だからそれで交渉を纏めるなんて真似は出来ないだろうが、それでもある程度の戦力は引き出せるかもしれない。

 どのみち、俺の手元に置いておいても全く意味の無いカードだし、それなら駄目元で試してみるのも一興だろう。

 まあ、ジェレミアについては取りあえず後回しだ。今回の最大の目的はV.V.だしな。

 そう判断し、改めてスライムをギアス響団内へと向けて伸ばしていく。

 そのまま10分程。この建物のほぼ全てへとスライムが行き渡り、ようやく目的の場所を発見する。

 

『それでC.C.は見つかったのかな?』

『申し訳ありません響主V.V.。未だ発見出来ず……』

『しょうがないなぁ、全く。もう少し頑張ってみて』

『はっ!』

『じゃあ、下がってもいいよ』

『失礼します』

 

 その声と共に誰かが立ち去る足音がスライムを通して聞こえて来る。

 さて、標的は見つけた。後はこの場にいるのがV.V.だけかどうか……温度で見る限りではV.V.だけだな。となると、残る最大の注意事項は黄昏の扉か。Cの世界を通して転移を可能とするだけに、出来ればV.V.と黄昏の扉の前に……いや、そう難しい話じゃないな。マリューにも言ったが、V.V.は所詮不老不死なだけの子供だ。もちろん普通の人間の身体能力と比べれば多少は上かもしれないが、それでも鍛えた大人には及ばない。原作でもコーネリアにあっさりと額にナイフを投擲されてたしな。

 なら、答えは簡単だ。つまり、普通の身体能力を持つ人間程度ではどうにも出来ないようにしてやればいいわけだ。例えば黄昏の扉を俺の空間倉庫に入っているソルプレッサで塞ぐ、とかな。

 そこまで考え、ふと気が付く。そうか、ここで黄昏の扉とCの世界を破壊出来る可能性を考えれば、ここで使うのはニーズヘッグでもいいのか。もっとも、実際にそれをやるとギアス響団の中枢に位置しているこの部屋は崩壊。そしてこの建物自体も崩壊の可能性があるので、実験体や研究者を捕獲してからの事になるが。

 ……さて、やるべき事も決まったし。行くか。

 空間倉庫から伸びているスライムへと触れて収納し、影のゲートを展開。そのまま身を沈めていく。そして姿を現したのは、V.V.のいる響主の間とでも表現すべき場所の一角だった。

 

「……誰だい?」

 

 姿を現した俺の気配に気が付いたのだろう。床に付くかと思う程に長い髪をした子供の姿をしたV.V.が振り向く。

 

「……」

 

 それを無視して、黄昏の扉とV.V.を隔てるような位置を取ってから改めてV.V.へと視線を向ける。

 恐らく自分が不老不死だというのに余程の自信があるのだろう。俺が何をしようとも特に誰か部下を呼ぶでもなく、あるいは逃げ出すでもなく、ただどこか面白そうに俺へと視線を向けている。

 

「君は、確か……アクセル・アルマーとか言ったかな?」

「ほう、俺の名前を知っているか。こんな砂漠に住んでいても世情については詳しいらしいな」

「勿論だよ。何しろ異世界から来たなんて言ってるんだから、僕にとっても興味は尽きないからね。……まぁ、異世界云々についてはあまり信じてはいないけど、それでも僕の知らない技術を持っているみたいだし」

「俺がお前の知らない技術……魔法を持っているというのに、よく平然としていられるな? 幾らギアス響団の響主だからといっても、多少は慌てた方がいいんじゃないのか?」

 

 ギアス響団、響主。その言葉が俺の口から出た瞬間、初めて面白そうな表情だけを浮かべていたV.V.の顔がピクリと動く。

 

「へぇ。どうやら、何かの間違いでここに乗り込んできた……なんて事じゃないようだね。だとすると、この土地を陽光とやらに組み込んだのも、僕達が目当てだったのかな?」

「そうだな、ここまで来た以上隠す必要は無いか。その通りだよ。俺が星刻を引き込んでこの土地を取り込んだのは、まさにV.V.。お前が言っていたのが最大の理由だ」

「僕の名前も知っている、と。……まあ、いいけどね。それで僕をどうにか出来ると思っているのかい?」

 

 不老不死という言葉は出していないが、それでも自分をどうにか出来ると思っているのならやってみろと。そう自信満々に告げるV.V.に向かい、俺も笑みを浮かべて口を開く。

 

「お前こそ、ただの不老不死風情でこの場で俺を相手にしてどうにかできると思っているのか?」

 

 さすがに不老不死について俺が知っているというのは予想外だったのだろう。先程よりも大きく顔の表情を動かし、鋭い視線を向けてくる。

 

「ギアス響団を知っているのはともかく、僕の身体の秘密も知っているとは驚いたね。けど、知っての通り僕は殺せない。なのにどうするつもりなのかな?」

「そうだな、まずはこうさせてもらおうか」

 

 呟き、空間倉庫のリストを脳裏に展開。ニーズヘッグを選択し、黄昏の扉の前へと取り出す。

 

「……今、何をしたのかな? どこからともなくその機体を取り出したように見えたけど。それに、何故わざわざそこに?」

 

 以前、フェイトにも同じような事を聞かれたな、と思いつつも笑みを浮かべながら口を開く。

 

「機体を取り出した方法については秘密だ。まさか、そう簡単に自分の手札を晒すとは思っていないだろう? そしてここにニーズヘッグを置いた理由は簡単だよ。お前をここから逃がさないようにする為だ。Cの世界経由でブリタニア本国に逃げられたりしたら、こっちの計画が台無しだからな」

「君、本当に何者だい? 黄昏の扉やCの世界まで知ってるなんて……」

「俺か? 俺はアクセル・アルマーだ」

「そんな事を聞いてる訳じゃないんだけど……ねっ!」

 

 その言葉と共に、マントの内側に隠し持っていたのだろう。マシンガンらしき物を取り出し、銃口を俺へと向けてくる。

 

「さぁ、これでチェックメイトだよ。いくら君が常識外れの存在だとはいっても、さすがに銃弾をどうにか出来る程のものじゃないだろう?」

 

 この台詞は、恐らく自分の運動能力を基準にしているのだろう。

 だが、それは甘い。甘すぎる。

 銃口を俺へと向けているV.V.へと向かい、嘲笑を浮かべながら指をクイクイと動かして挑発してやる。

 

「撃ってみろよ。かつてマリアンヌを騙し討ちにしたみたいにな」

「っ!?」

 

 あるいはそれは、V.V.における禁句だったのかもしれない。その一言と同時にマシンガンのトリガーが引かれ、無数の弾丸が俺へと殺到し……次の瞬間には、身体を貫通して背後にある壁へと銃痕を無数に穿つ。同時に俺の身体が白き炎となって散らばり、次の瞬間には再びその白き炎が集まって俺の身体を形成する。

 

「……え?」

 

 唖然としているV.V.をそのままに、パチンッと指を鳴らして全身を白炎へと変え、もう1つの姿へと全身を変化させる。腰から伸びるのは紛れも無い竜尾。背からは悪魔の羽が、額と側頭部からは合計3本の角が天を突くように伸び、後頭部から伸びた角は側頭部の角の下を通って前方へと伸びる。

 ほんの一瞬。それだけで俺の姿は先程までとは大きく違うものへと姿を変えていた。

 

「本来はここまで見せる必要も無いんだけどな。……さて、改めて自己紹介といこう。シャドウミラーを統べる者、混沌精霊のアクセル・アルマーだ。これから永遠の苦しみを味わうことになると思うお前への、最後の手向けって奴だ」




アクセル・アルマー
LV:41
PP:55
格闘:274
射撃:294
技量:284
防御:284
回避:314
命中:334
SP:734
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    ギアス(灰色)
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    ???

撃墜数:520

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