転生とらぶる1   作:青竹(移住)

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0622話

 新国家陽光の建国を宣言してから2日。世界はこれ以上無い程の動揺に包まれていた。もっとも、その驚きの原因は陽光という新国家ではない。何しろ、純粋な国力で言えば弱小国としか言えないのだから。

 ブリタニアの国力が10とした場合、EUが7。……ただし、シュナイゼルによって国土の半分を奪われた今は3~4といったところか。そして中華連邦は5。この5のうち、2を陽光が切り取っている為に現在は3となっている。つまり現在の国力はブリタニアが13~14、EUが3~4、中華連邦が3、陽光が2といったところか。黒の騎士団? 戦闘力はともかく、国力という意味だと蓬莱島しかないし、インド軍区も協力してはいるが派遣されているのがラクシャータ達のみなので0.2~0.3といったところだろう。

 ただし、これはあくまでもこのギアス世界だけで考えた場合でしかない。同盟国である俺達シャドウミラーを入れると、この数値は一気に逆転する。

 そんな俺達異世界の住人にこの世界の者達が興味を持つのは当然で、外交筋を通して色々な接触を図られている。とは言っても、その殆どがEUとブリタニアなんだが。それも圧倒的にEUの方が多い。

 中華連邦に関しては現在戦力を集めているところなのか、まだ陽光に対して攻撃を仕掛けてきてはいない。これに関してはちょっと予想外だった。あれだけ挑発したんだから、翌日には攻めてくるかと思ったんだが。……意外に大宦官も我慢という言葉を知っているのか?

 あ、ちなみに一応中華連邦の一員でもあるインド軍区からは非公式に接触してきている。ただしこっちに接触してきているのは、インド軍区の中でも独立派であるラクシャータ達とは違う、いわゆる保守派のグループの1つだが。

 この保守派に関しては星刻としてもあっさり切り捨てる事が出来無いらしく、そこそこにいい関係を築いていた。

 で、そんな風に情勢が動いている中で俺が何をしているのかと言えば……

 

「おい、中華連邦からまた連絡があったって!? ゼロはどうする気なんだよ? 中華連邦の要請に応えて陽光とかいう奴等と一戦交えるのか!?」

「ちょっと、馬鹿言わないでよね。この蓬莱島に到着したばかりで、まだ何も分かっていないのよ!? それなのにいきなり戦闘だなんて無理に決まってるでしょ」

「でもよ、ラクシャータが新型KMFをインド軍区から持ってきてくれたんだろ? なら戦力的な問題は無い筈だ」

「そのインド軍区も今幾つかに分裂してるのよ。ラクシャータのように黒の騎士団に協力する派閥に、中華連邦の派閥、そして陽光に接近している派閥っていう風にね。つまり、これまでのように潤沢な補給を受けられなくなる可能性が高いの。なのに、無駄に戦力を消費するのは自殺行為よ」

「けど俺達の為にここまでしてくれた中華連邦を相手に、何も協力しませんでしたって訳にもいかないだろ? それこそ黒の騎士団の面目丸潰れだぞ」

 

 黒の騎士団のメンバーの会話が聞こえて来る。

 どうやら俺達の登場でこれでもかとばかりに混乱しているらしい。まあ、それを狙ってのタイミングで実行した建国宣言なのだから、そうなって貰わないと困るのだが。

 そんな風に会話を聞きつつ、影から数mm程度まで細くしたスライムを出してゼロの居場所を探って行く。その時、スライムがとある1室での会話を感知した。黒の騎士団の幹部である藤堂、ラクシャータ、ディートハルトの3人だ。

 

「だからさぁ。これ以上の補給は今のままだとちょっと難しいのよ。マハラジャの爺共の中にも陽光とかいうのに日和っているのがいてさ」

「……異世界の国、か。しかしそれは本当なのか?」

「何よ、奇跡の藤堂ともあろう者がその目で見たのを信じられないの?」

「そうは言わんが……しかし、グリフォン? ドラゴン? どちらにしろ、直接この目で見た訳では無いのだ。映像でなら幾らでも編集が可能なのではないか? ディートハルト、どう思う?」

「そうですね。確かに映像を加工すればあのような真似は出来るでしょう。ですが、星刻というのはゼロが目を付けていた程の男です。そんな男が、すぐにバレるようなトリックを使うでしょうか?」

「そうよねぇ。それに、あのグリフィンドラゴン? とかいうのが偽物だったとしても、メギロートとかいう無人機は実在しているんでしょう?」

「ええ。こちらの情報員からの連絡で、以前フランスの海岸部でブリタニアとEUの戦いに乱入したとの報告があります。それに……」

「それに? なぁに?」

「私が用意したラインに割り込むような技術力。とてもではありませんが、中華連邦の者達にそう易々と出来るものとは思えません」

「そうよねぇ。私としてはメギロートとかいう機体以外にも幾つも人型の機体が確認されているから、そっちの方が気になるんだけど」

「……紅月君の話、どう思う?」

「以前のブラックリベリオンでコーネリアの下にいた人物、ですか。確かに全長20m程の機体を操っていたとありましたが、もしその時からブリタニアとその人物に繋がりがあったのだとしたら、オデュッセウスを国の代表に迎え入れたのは理解出来ます。しかし……」

「あはははは。もしそうなら、戦場に乱入してブリタニア軍にも攻撃を仕掛けるような真似はしないんじゃないの?」

「ええ。そこがネックになってるんですよね。そうなると、むしろ以前はこの世界の事情を探る為に敢えてブリタニア軍に雇われていたのだと考えられます」

「……コーネリアは行方不明だったな?」

「はい。ブラックリベリオン後は消息不明となっております」

「となると、陽光なりシャドウミラーなりにコーネリアがいれば、ディートハルトの考えが正しいのかもしれないが……」

「出来れば1度向こうと接触を持てればいいんですが」

「そうねぇ。私としても向こうの技術者と話し合いはしたいところよ」

「ゼロがどう判断するか……だな」

 

 藤堂、ラクシャータ、ディートハルトの会話を聞き終え、そこからスライムを移動させていく。

 にしても、ディートハルトはさすがに鋭いな。的外れなところもあるが、結構当たっている場所も……あ、いた。

 

「全く、シャドウミラーだと? 俺の計画を根底から覆してくれる」

「ふふっ、これだから童貞は早すぎて困ると言うんだ」

「黙れ魔女!」

「何だ? 私に相手をして欲しいのか?」

「ちょっと、C.C.、今はそれどころじゃないでしょ? あの陽光って集団にどう対処するか決めなきゃいけないのに」

「ん? 何だカレン。嫉妬か?」

「だ、誰がよ!」

 

 斑鳩まで伸ばしたスライムが感じ取った会話。それは間違い無くルルーシュ、C.C.、カレンの3人のものだった。

 蓬莱島の施設の方にいるものだとばかり思っていたのだが、まさか斑鳩の中にいるとはな。だがまぁ、丁度いいと言えば丁度いい。斑鳩の中ならその場の3人以外には見つかる可能性は少ないし。

 影の中で思わず笑みを浮かべ、SPにまだ若干の余裕があるのを確認して影のゲートを斑鳩のブリッジへと繋げる。

 このゲート生成でSPは残り30を切ったが、どうせルルーシュと会話をしているうちにSP回復の効果で回復するんだし、問題無いだろう。それにもし何かあったとしても、この世界の武器で俺がどうこう出来る訳でも無い。最悪、このまま直接歩いて行けば脱出するのは全く問題無い。

 ……さて、行くか。ゼロの……いや、ルルーシュとの会談の時間だ。

 笑みを浮かべ、斑鳩のブリッジへと繋げたゲートから姿を現す。

 

「邪魔するぞ」

「なっ!?」

「え? 何?」

「馬鹿な!?」

 

 C.C.、カレン、ルルーシュの順に驚愕の声を上げる。そう、斑鳩のブリッジの影から姿を現した俺の姿を見て。

 更にルルーシュはマスクを被っておらず、その顔を晒したままだ。

 

「くっ! 俺に従え!」

 

 俺へと向けて咄嗟に発動したルルーシュのギアス。だが、それは……

 

「無駄だよ」

 

 人外の存在である俺に効果がある筈も無く、斑鳩のブリッジがシン、と静まり返る。

 

「馬鹿な!? ギアスが効かないだと!?」

「それは当然だ。ギアスというのは元々相手の脳へと影響を与える力だ。それはお前がギアスを得た時に確認済みだろう?」

「っ!? 貴様……何者だ!?」

「ルルーシュッ!」

 

 ギアスの効果が無いと悟ったのだろう。カレンがどこからともなく取り出したナイフを構え、ルルーシュを庇うように前に出る。C.C.もまたいざという時にはルルーシュを庇おうというのか、手に持っていたピザを皿に戻して座っていた椅子から微かに腰を上げていた。

 そんな様子を見ながら、小さく肩を竦める。

 

「俺が誰か知らないのか? ついさっきまで俺の……俺達の話をしていたのに?」

「アクセル・アルマー……」

 

 苦虫を噛み潰したような顔で言葉を紡ぐルルーシュ。

 

「正解だ。ルルーシュ・ランペルージ」

「貴様、俺の名前を!?」

「当然だろう? 俺とお前の関係は深いのだからな。それこそお前が黒の騎士団を作った時からの付き合いだ」

「……何?」

 

 その言葉に思わず眉を顰めるルルーシュ。

 

「例えば日本解放戦線との戦い。あの時はお前達からコーネリアを助ける為に苦労したな」

「っ!?」

 

 その言葉に息を呑んだのは、ルルーシュだけではなくカレンもだ。

 

「そして埠頭での戦い。あの時もお前達黒の騎士団と戦う事になったな。特に黒の騎士団のエースでもある紅月カレン。お前とはそれなりに激しい戦いだった」

「……あの時の、空を飛ぶ巨大KMFのパイロット……」

「50点だ。確かにあの時にお前と戦ったのは俺だ。それは間違い無い。だが、あの機体はKMFじゃない。KMFとは全く違う設計思想の機体だ。俺達の世界で作り出された、な」

「では、やはりお前は……」

 

 C.C.の言葉に無言で頷く。

 

「そうだ。陽光の建国宣言でも言っていたように、俺はこの世界ではない異世界の出だ」

「……だからギアスの効果が無い、と?」

「0点だ。違うな、間違っているぞ」

 

 まさかルルーシュに対してこの台詞を言える時がくるとは思わなかったな。

 

「何が違うと?」

 

 自分が言うのはともかく、人に言われるのは嫌だったのだろう。不愉快そうに眉を顰めつつ話を促してくる。

 

「先に言ったように、ギアスという能力は対象の脳に影響を与える力だ。つまり、相手が人間であれば世界の違いは全く関係無く効果を発揮する」

「何だと?」

「そう、俺のような存在では無く人間であれば……な」

「待て。今のお前の言葉が正しいとするのなら」

「そうだな。俺は人じゃない。……いや、かつては人だった。そういう意味ではそこにいるC.C.と似たような存在かもしれない」

「……私の事も良く知っている、か。随分と情報通なようだな?」

「ああ、知ってるさ。緑の魔女。かつて嘘の無い……いや、これは今言うべき内容じゃないか」

 

 俺の意味ありげな言葉に動きを止めるC.C.。シャルルとマリアンヌの協力者だったと俺が知っているとはさすがに思わなかったのだろう。

 

「C.C.?」

 

 カレンの問いかけにもC.C.は何も言わない。さて、これで取りあえずうるさいのは黙らせる事が出来たな。

 俺がC.C.へと視線を向けている間に取り出したのか、銃口をこちらへと向けているルルーシュへと視線を向ける。

 そんなルルーシュに笑みを浮かべて再び口を開く。

 

「違うな、間違っているぞ。つい先程も俺はC.C.と同じような存在だと言った筈だな? では聞こうか。C.C.が銃で死ぬか? お前はこれまでに幾度となくC.C.の不死身振りを見て来た筈だがな。そんなC.C.と似たような存在である俺を銃如きで殺せると思っているのか?」

 

 まぁ、俺の場合は不老ではあっても不死身ではない。しかし、同時に物理的な攻撃に限定すれば不死身と言っても過言では無いのだ。

 

「だが、そうだな。実際にその目で確認してみなければ理解出来ないか。……なら面白いものを見せてやろう」

 

 呟き、右手を上に上げ……

 

「動くな!」

「心配するな。ちょっとした演出だよ」

 

 頭脳はともかく、身体的な能力は極めて低いルルーシュだ。今から何が起きるのかはその頭脳で予測出来ても、対応は出来ないのだろう。一瞬、その視線がカレンへと向いたのを確認したその瞬間。右手の指をパチンッと鳴らす。

 同時に俺の全身が白炎へと変化し、背からは悪魔の羽が。腰からは竜尾が伸び、額と側頭部から天を突くかのように角が、そして後頭部からは側頭部の角の下を通るようにして前方へと角が伸びる。

 

『なっ!』

 

 白炎が消えた瞬間、ネギま世界で大魔王と呼ばれていた時の姿になった俺に、ルルーシュとカレン、そしてC.C.までもが驚愕の叫びを上げる。

 

「改めて自己紹介といこうか。次元の狭間に存在する国家、シャドウミラーの代表にして混沌精霊。アクセル・アルマーだ」




アクセル・アルマー
LV:41
PP:0
格闘:274
射撃:294
技量:284
防御:284
回避:314
命中:334
SP:734
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    ギアス(灰色)
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    ???

撃墜数:509

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