転生とらぶる1   作:青竹(移住)

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0597話

「では、私は暫くギルフォードと話をさせてもらう。あちらの世界の情報も知っておきたいしな」

「俺はこのまま魔法区画に向かうから、もし何だったらこのまま一緒に魔法区画の方に来てもいいぞ? それなら時間を気にする必要は無いだろう」

「ふむ、それもそうだな。どうする?」

 

 エアカーで後部座席に乗っているギルフォードへと振り返って尋ねるコーネリア。

 最初はギルフォードもコーネリアが直々に運転するなんてとんでもないと言っていたのだが、なら誰が運転するんだと言われて結局ギルフォードが退く形になっていた。

 まぁ、正直な話量産型Wに運転させればいいとは思うんだけどな。

 

「いえ、その……姫様には申し訳ありませんが、色々と心の中で整理が付くまでこれ以上はちょっと……」

「だ、そうだ。まぁ、ここの常識外の存在を次々に見せられればこうなるのも分かるしな。では、ギルフォードとの話が終わったらそちらに顔を出すかもしれん。レモンとマリューによろしく言っておいてくれ」

「ああ。そっちも久しぶりの主従の再会だし、ゆっくり話してくるといい」

 

 俺の言葉に頷き、エアカーが去って行く。

 それを見送っていた俺へと、技術班のメンバーが声を掛けて来た。

 

「いいんですか、隊長? あのギルフォードって人、凄い色男でしたけど」

「心配はいらないさ。ギルフォードは騎士としての自分に誇りを持っている。それにあいつがコーネリアに求めているのは、女じゃなくて主君だからな」

 

 これで、もしギルフォードがコーネリアに対して主君や上官、あるいは軍人としての好意ではなく、異性としての好意だったらさすがに2人には出来なかったが。

 

「そんなもんなんですか?」

「ああ。……さて、じゃあ俺は魔法区画に向かうからそろそろ行くぞ。ニーズヘッグの改修が終わったんだろう?」

「ええ。……くそう。出来れば俺も一緒に隊長の動かすニーズヘッグを見たかったんですけど……何であそこであんな真似をしたんだ、俺は」

 

 どこか暗い表情になる技術班。

 ……何をしたんだろうな。魔法球の中が妙な事になってないといいんだが。

 そんな風に思いつつ、量産型Wに回して貰ったエアカーを使って魔法区画へと向かう。

 ちなみに影のゲートを使っても良かったんだが……交流区画なんかは数日で目まぐるしく変わるから、それを確認したかったという理由もあってエアカーを使って移動する事にしたのだった。

 

 

 

 

 

 魔法球の中に入った俺を出迎えたのは、当然のようにレモンだった。笑みを浮かべながら近づき、口を開く。

  

「アクセル、早かったわね。もう少し時間が掛かると思ってたけど」

「何しろコーネリアに会いたいギルフォードに急かされていたからな。それで、早速だがニーズヘッグの改修が終わったって?」

 

 そんな俺の質問に、満面の笑みを浮かべて頷くレモン。

 ……この上機嫌さを見る限りだと、予想以上に上手くいったらしい。

 元々の状態でネオ・グランゾンと渡り合える機体だったのに、今度はどんな改造がされたのやら。

 

「レモン、アクセルは……あぁ、来たのね。丁度良かった。向こうの準備も終わったわよ」

 

 レモンを呼びに来たのだろうマリューが、俺を見て笑みを浮かべて頷く。

 こっちもこっちで上機嫌だな。

 

「さ、じゃあ行きましょうか。シャドウミラーの象徴、ニーズヘッグの新生した姿のお披露目よ」

「そうね。シャドウミラーの技術班がここまで解析に時間が掛かっただけに、かなりの自信作よ」

 

 両肘を抱きかかえられるようにし、そのまま隔離地区まで連れて行かれる俺。

 肘に当たる柔らかい存在は嬉しいのだが、この2人がここまで上機嫌だと逆に怖くなってくる気がする。

 そしてそのまま歩き続け、やがて隔離区画の1番ハンガーの前に到着した。

 

「……準備はいい?」

 

 扉に手を掛けながら尋ねてくるレモンに、小さく頷く。

 ここまで来たら逃げる訳にはいかない。というか、この2人の手による改修な以上は俺にとっての害があるとは考えられないしな。

 

「じゃあ、マリュー……1、2の……3!」

「せーのっ!」

 

 レモンの言葉に合わせて、ハンガーの両扉が開かれる。

 そしてハンガーの中の明かりが次々に点灯していき……俺は、その姿を目にする事になる。

 基本的な外見は以前とそれ程変わってはいない。全長が15mあるかどうかという、フェアリオン級の小型機。恐らくスパロボの機体サイズで言えばSだろう。機体が起動していない状態なのでT-LINKフレームの装甲色は深紅と真紅。そしてニーズヘッグ最大の特徴である、肩から生えている6枚のバインダーであるヒュドラ。

 後方のヒュドラに内蔵されているグラビトン・ランチャーの砲身が若干長くなって砲口が大きくなっているような気はするが、それは誤差の範囲内だろう。アレに比べれば。

 ……そう。アレ。それはまるでネオ・グランゾンの背中に装着されていたバリオン創出ヘイロウをそのまま小型化したようなパーツ。ただし、その色が違う。大きさが違う。形も微妙に違う。それでもバリオン創出ヘイロウと何らかの関係があるというのは、一目で分かる意匠。

 まず、色。本来であれば金色の筈が、その色はT-LINKフレームによって作られている装甲と同じ真紅。形も光輪状だったのが、どことなく炎を連想させるような物へと変化している。そして恐らく、これが一番元のバリオン創出ヘイロウとは違うだろう大きさ。本来であれば35mオーバーのネオ・グランゾンと殆ど大差無い程の大きさを持っていた筈だというのに、元々の大きさの半分……いや、3分の1か? その辺まで小さくなっている。そしてネオ・グランゾンの時は頭部よりも大きかったのだが、その大きさが縮んだせいでバリオン創出ヘイロウと思しき物の一番上は、ニーズヘッグの頭部より低い場所に存在していた。

 まるで俺に見せつけるように……いや、実際にそういう意図があるんだろうが、ニーズヘッグが乗せられている台座のような物が回転しているので背後を見る事も出来るのだが、ニーズヘッグの高機動力を支えているツイン・ドライブ――T-LINKフライトシステムを覆うようにして大型のテスラ・ドライブが2基。そしてそこから伸びている小型のテスラ・ドライブ2基の合計4基のドライブ――を囲むような形でバリオン創出ヘイロウと思しき物が組み込まれていた。

 

「……これは……」

 

 俺の呟きと同時に回転していた台座が止まり、機体の正面を俺の方へと向けてくる。

 その機体から発せられる威圧感、あるいはプレッシャーといったものは改修前と比べると明らかに上がっていた。それも多少どころでは無いくらいに。

 そんな俺の状態を見て満足したのだろう。レモンとマリューが笑みを浮かべながら口を開く。

 

「さて、そろそろ機体の説明に移りたいんだけど……いいかしら?」

 

 レモンの問いに、無言で頷く。

 

「まず、基本的な機能は改修前とは変わらないわ。操縦感覚も同じでいい筈よ。けど、見て分かる通り、背中のバリオン創出ヘイロウ。これに関して説明するわね」

 

 レモンの言葉に、改めて炎を象ったようなパーツへと目を向ける。

 

「やっぱりあのパーツはバリオン創出ヘイロウなのか? ネオ・グランゾンがネオ・グランゾンたりえるとまでシュウが言っていた」

「うーん、その答えだと50点といったところね。正確に言えばあのバリオン創出ヘイロウは、ネオ・グランゾンの物とは大分違ってるの」

「……何?」

 

 思わず尋ね返した俺に、レモンは笑みを浮かべながら説明を続ける。

 

「そうね。まずはそこから説明しましょうか。そもそもバリオン創出ヘイロウというのは、ネオ・グランゾンが使う武器のブラックホールクラスターや縮退砲を使う為には絶対的に必要な機構だと考えてちょうだい。細かい説明をしてもアクセルは分からないと思うから簡単に言うと、バリオン創出ヘイロウというのはその名の通り重粒子バリオンを創出、生成させて莫大な出力と質量を発生させているのよ。それを使ってブラックホールクラスターや縮退砲といった極大の質量を操る武器を使用しているの」

 

 レモンの言葉に微かに眉を顰める。

 技術者や科学者でもあるレモンやマリューなら理解出来るのだろうが、そんな専門的な用語を色々と並べられても残念ながら俺には完璧に理解するというのは不可能だ。精々あのバリオン創出ヘイロウというのがないとブラックホールクラスターや縮退砲を使えないんだろう、という程度にしか理解出来ていない。

 それを告げると、2人共が苦笑を浮かべる。

 

「まぁ、アクセルの理解で間違ってないからそれでいいと思うわ。ねぇ、レモン?」

「確かにそうね。とにかく話を戻すわ。バリオン創出ヘイロウを解析していったんだけど、どうしてもネオ・グランゾンのものと同スペックのまま小型化する……というのは無理だったのよ。その為に機能を限定して小型化したバリオン創出ヘイロウを、T-LINKフレームで覆ってニーズヘッグに装備させたわ。性能そのままに小型化するとなると、何らかの技術的なブレイクスルーが必要でしょうね。つまり結果的に言えば、ネオ・グランゾンが使っていたブラックホールクラスターはともかく、縮退砲そのものはニーズヘッグで使うのは不可能よ。ただし、ネオ・グランゾンの胸部パーツに関しては別で、こちらで解析して小型化したものをグラビトン・ランチャーに上手く組み込む事が出来たわ」

 

 余程の自信作なのだろう。悪戯っぽい笑みを浮かべてそう告げるレモン。

 

「つまり、今ニーズヘッグに装備されているのはグラビトン・ランチャーじゃなくて……」

「正解。今のニーズヘッグに装備されているのはバリオン創出ヘイロウ、グランゾンの胸部パーツ、グラビトン・ランチャー、そしてこれまでに私達シャドウミラーの重力系技術の蓄積を融合して作りあげた、グラビトン・ランチャーよりもより濃厚で濃密な重力波を発射するブラックホール・ランチャーとでも呼ぶべき代物よ。それとついでという訳じゃないけど、グランゾンから得たデータとバリオン創出ヘイロウを使って、今までニーズヘッグに使っていたグラビコン・システムがより性能を上げたわ。機体重量は15tから10tまでの減少に成功したし、同時にグラビティ・テリトリーもより強固になっている筈よ。そして、同様にブラックホールエンジンの出力も以前に比べて上がっているわね」

「……つまり、重力系のシステムや武器は軒並み性能向上したと考えてもいいのか?」

 

 さすがにレモンの言葉に驚きを感じつつ、そう尋ねる。

 

「ええ。重力系の技術に関しては、外からだけとはいってもグランゾンのデータを収集できたのが大きかったわね。時間もあったし、シロガネの設備でかなりのデータを得られたわ」

 

 レモンが嬉しそうに笑っている横では、マリューもまた同様に笑みを浮かべている。

 技術班としては思う存分、知識欲や好奇心の赴くままに解析をしたのだろう。

 

「ブラックホール・ランチャーの試験は……してないか」

「と言うよりも、出来ないわね。少なくてもこの魔法球の中じゃどんな被害が出るかちょっと予想出来ないわ。もしやるとするのなら、最後に説明する武器も含めてどこか他の世界でやってちょうだい」

「……最後の武器?」

 

 ブラックホール・ランチャーという、ある種のブラックホールクラスターとグラビトン・ランチャーの融合した武器の他にもまだ何かあるのか?

 

「ええ。言ったでしょう? バリオン創出ヘイロウを解析したと。さっきも言ったように、縮退砲そのものは使えないけどそれを利用した兵器の開発には成功したわ。バリオン創出ヘイロウで縮退砲に使われているよりも小さいブラックホールを作り出して重力崩壊させ、同様にトロニウム・エンジンで作り出された膨大なエネルギーをそこに注ぎ込む。その後、バリオン創出ヘイロウを覆っているT-LINKフレームを媒介にして、ニーズヘッグ全体のT-LINKフレームを活性化。そこで生み出された念動力を使って重力崩壊とトロニウム・エンジンで生み出されたエネルギーの効果範囲を極小規模に限定、濃縮する。同時に念動力で範囲を限定されたその周囲を、更にグレートグランドマスターキーを使った魔力で覆って周囲に与える影響を排除するわ。効果範囲で言えば縮退砲よりは小さいけど、逆に純粋な威力だけでみれば縮退砲を上回る計算よ。……ニーズヘッグの最大最強の武装、それがこの『ラグナロク』」

「ラグナロク……」

 

 北欧神話における、神々の最終戦争。神々の黄昏の名を持つその言葉を呟き、ニーズヘッグへと視線を向けるのだった。




アクセル・アルマー
LV:41
PP:0
格闘:274
射撃:294
技量:284
防御:284
回避:314
命中:334
SP:734
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    ギアス(灰色)
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    ???

撃墜数:509

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