転生とらぶる1   作:青竹(移住)

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0596話

 星刻とのやり取りから数日。俺の姿は太平洋へと向かうソルプレッサの中にあった。昨夜、レモンからの連絡がありようやくニーズヘッグの改修が完了したと連絡があった為だ。それを受け取りに行くので1日程こっちを留守にするとギルフォードに連絡したのだが……

 

「なるほど、このソルプレッサという機体はあまり乗り心地が良くないな」

 

 複座に改造されたソルプレッサの後部座席でギルフォードの呟く声が聞こえる。

 

「しょうがないだろう。そもそも移動用に使ってはいるが、この機体は戦闘機だ。乗り心地を求められても困る」

 

 そう、何故かそのギルフォードが俺と共にホワイトスターへと出向く事になったのだった。

 いやまぁ、ギルフォードにしてみれば仕えているコーネリアの様子を確認出来るという意味で一緒に行きたいという気持ちは分かるんだが……だからと言って、クラウディオ達グラストンナイツに仕事を半ば押しつけるってのは騎士としてどうなんだろう。

 

「ん? どうした?」

 

 俺が気にしているのが分かったのか、そう尋ねてくるギルフォード。その様子に小さく首を振り、視線をソルプレッサの進行方向へと戻す。

 

「それにしても、人目に付かないというのを最大限に気を使ってあの無人島へとゲートとやらを設置したのだが……もう少しエリア11に近い位置に設置した方が良かったかもしれないな」

「いや、そうでもないさ。今は無いがこれから受け取りに行く俺の機体は転移システムが内蔵されている。それを使えば基本的に移動時間は気にしなくても済むようになるしな」

「だが、それもアクセルだけだろう? 他の者達は相変わらず移動に時間が掛かる事になる。まさか、毎回アクセルがその転移装置とやらで皆の足になる訳にもいかないしな」

「その辺は輸送機とかで何とかするしかない」

 

 そんな風に会話をしているうちに、やがて見覚えのある無人島がモニタに映し出される。

 

「よし、到着だ。エリア11から片道30分。遠いのか近いのか微妙な位置だが……」

「いや、この飛行機があってこそだからな。ブリタニア軍で使っている輸送機の類では数時間程度は掛かる」

 

 溜息と共に漏らされるギルフォードの声を聞きながら、ASRSを解除しつつ無人島へとソルプレッサを着地させていく。

 

 

 

 

 

「隊長」

 

 ソルプレッサが無人島に着地するや否や、量産型Wが姿を現す。

 

「っ!?」

 

 そして鋭く息を呑むギルフォード。……息を呑む?

 

「おい、お前はこいつらに会った事がないのか?」

「ああ。何しろエキドナに条件を言われて土地を探しただけだからな。その後に訪れた事は1度もない。そもそもこの無人島は特にこれといった特産物がある訳でもない、本当に何の特徴もない無人島だ。おまけに、海流の関係で遭難した誰かが流れ着く事もないからな。もっとも、そんな場所だからこそエキドナに出された条件にマッチしていたんだが」

 

 なるほど。まぁ、確かにそれならしょうがないか。

 

「一応紹介しておく。こいつらは量産型Wという、一種の人造人間……正確に言えば人型の機械だと思ってくれて構わん。俺達シャドウミラーの無人機以外の主戦力だな。ちなみに人造人間だけに、能力はかなり高いぞ。コーネリア曰く純粋な戦闘力だけならグラストンナイツよりも上、だそうだ」

 

 もっとも、グラストンナイツに求められているのは戦闘力以外にもコーネリアの親衛隊に近いものがある。つまり、礼儀やらその辺も重要視されている訳だ。そっち方面で競うとなると、恐らく勝ち目はないだろう。

 いや、レモンの事だから疑似記憶や疑似体験辺りでどうにかするか?

 

「……なんと。さすがにこれは予想外だった」

 

 量産型Wの被っているヘルメットを目にしながら、思わずといった感じで呟くギルフォード。

 その様子を見ながら、量産型Wへと声を掛ける。

 

「こいつは俺達の仲間だ。次からこいつが1人で来ても攻撃をする必要は無い」

「了解しました」

「また、随分と物騒だな」

 

 どこか呆れた様に呟くギルフォードだが、もしこのゲートシステムが破壊されたりしたら色々な意味で拙い事になる。特にリンク装置やマーカーの機能がどうにかなったら、ニーズヘッグの無い今、俺達は2度とこのギアス世界に来る事が出来なくなるのだから。

 その後、ギルフォードを連れて無人島の山の中へと入っていく。出来ればこの辺にも道路とかを作ればゲートを使う時、便利になるんだが……折角カモフラージュとしてこんな無人島にゲートを設置したのに、その無人島の中に道路があったりすれば目立つ事この上ないか。

 

「……少し待ってくれ。木の枝が邪魔をだな」

 

 獣道同然の中を歩きつつ、伸びている枝を折って後を付いてくるギルフォード。

 ……そうだな。コンクリートとかを作った道路とかは目立つかもしれないが、土を踏み固めて作った個人用の道なら見つかる可能性は少ないか。

 ギルフォードが追いつくのを待ちつつ、そう考える。

 とは言っても、いつまでもこんな無人島にゲートシステムを置いておくというのも色々と拙い。建国が完了したらそっちに移す……いや、待て。ゲートシステムを移すとか出来るのか? その場合は一時的にリンク装置が途切れる事になる。そうなると時差が生じるだろう。

 あるいは、こっちはそのままにしてもう1つゲートシステムを……設置は……出来る、のか? 1つの世界に2つのゲートシステム。これが出来るかどうかは後でレモンに聞いておいた方がいいだろう。

 そんな風に考えながら道無き道を進んでくと、やがて植物によってカモフラージュされた洞窟へと辿り着く。

 

「到着したぞ」

「ふぅ、ようやくか」

 

 別に息が切れたりしている訳では無いのだが、それでもやはりギルフォードにとってジャングルに近い場所を通り抜けてくるのは慣れていないだけに面倒臭かったのだろう。

 洞窟の入り口付近に身を伏せている量産型Wへと声を掛け、ギルフォードと共に洞窟の中へと入っていく。

 そして目の前に現れたのは、自然の洞窟の中にあるのは不自然な程の機械。ホワイトスターへの入り口、異世界へと渡る為の鍵、ゲートだった。

 

「これが、ゲート」

「ああ。ちょっと待ってろ」

 

 唖然として目を見開くギルフォードをそのままに、通信システムを起動する。

 

『あれ? 隊長。どうしたんですか?』

 

 通信モニタに表示されたのは、技術班の1人だった。

 

「レモンからニーズヘッグの改修が完了したと聞いてな。その受け取りと、こっちの世界でコーネリアの部下をしていた奴を連れて行く事になった。コーネリアはいるか?」

『ええっと、確か実働班は……この時間だと実機で模擬戦を行っていると思います。呼び出しましょうか?』

「ああ。そうしてくれ。ギルフォー……」

「アクセル、姫様を呼び出すなど……私が出向けばいいだけの話だろう」

 

 俺の言葉にギルフォードが口を挟んでくる。

 確かにコーネリアの騎士として過ごして来た記憶がある以上は、ギルフォードからその言葉が出て来るのはしょうがないだろう。だが。

 

「ギルフォード、今のコーネリアはブリタニアの皇族であるコーネリアじゃない。シャドウミラーの実働班で前線指揮を任されているコーネリアだ。コーネリア本人としても、皇女としての扱いよりもシャドウミラーの一員として在る事を望んでいる」

「しかし……」

「まぁ、俺にそう言われてすぐに納得出来るとは思っていないさ。その辺はお前自身がコーネリアに聞いてみるといい。……それと、レモンは?」

 

 ギルフォードとの会話をそこで切り、映像モニタに映し出されている技術班にレモンがどこにいるのかを尋ねる。

 

『レモン様なら、いつも通りに魔法球の中ですね。ニーズヘッグの最終調整をしています』

 

 そう言い、ニヤリとした笑みを浮かべる技術班の男。どうやら余程ニーズヘッグの改修に自信を持っているらしい。いやまぁ、確かにバリオン創出ヘイロウを使った改修ともなれば、そしてそれが成功しているのならこの自信も理解出来るが。

 

「分かった、魔法球ならしょうがないか。俺が直接出向く。そっちではコーネリアの呼び出しだけやっておいてくれ」

『了解しました』

 

 その返事を最後に、通信が途切れる。

 

「……魔法球、とは何なのか聞いてもいいか? ニーズヘッグというのは、どうやらアクセルの機体名らしいが」

 

 ギルフォードの言葉に頷き、指を鳴らして炎を作り出す。

 

「魔法があるというのはこの前見せただろう? この炎のように。魔法があれば、当然その魔法を使った特殊なアイテムの開発も進む。それがマジックアイテムだ。その中の1つにダイオラマ魔法球というのがあってだな。その中では外の1時間が2日になる。もちろん普通にそこを使えば異様に早く歳を取る事になるが、それは別のマジックアイテムで対処してあって魔法球の中にいる限りは歳を取らないようになっている。ニーズヘッグは想像通りに俺の専用機だな」

「そうなると、シャドウミラーのメンバーは基本的に1日で1ヶ月半近くを過ごしているのか?」

 

 俺の言葉に驚愕の表情を浮かべるギルフォード。

 無理も無い。1日全てを魔法球の中で過ごしていればたった1日でそれだけの時間を過ごせる計算になるのだから。しかも魔法球の中にいれば年齢が加算されないというおまけ付きなので、限定的ではあるが不老に近くなったりもするしな。

 もっとも……

 

「計算上ではそうなるが、そこまで魔法球に入り浸っているというのは殆どいないな。普通は1日のうち数時間程度といったところか」

 

 技術班の中でも数人程は魔法球に籠もっているが……それはあくまでも少数でしかない。一番多い利用法としては、やっぱり魔法球の2日間を休日として使うエザリアのような使い方だろう。

 

「お前が望むのなら、魔法球に関しては実際に向こうに行ってから体験させてやるよ。まずは俺達シャドウミラーの本拠地……ホワイトスターへと行こうか」

 

 呟き、ゲートシステムの転移システムを起動させる。

 同時に、光の繭のような転移フィールドが生成され……

 

「お、おいアクセル。これは本当に大丈夫なんだろうな!?」

 

 転移フィールド初体験のギルフォードが思わずそんな声を上げるが、こればっかりは慣れて貰うしかないとばかりに無視して……次の瞬間には転移が実行され、俺達の視界に見える景色は洞窟から人工物へと変わっていた。

 

「これは……ここが、ホワイトスター?」

 

 何も無い広大な空間を見回しながらギルフォードが呟く。

 まぁ、確かにこの転移区画だけを見ればそう思うのも無理は無いが……

 

「ここは転移区画。各世界にあるゲートと繋がっている場所だな。で、あれがリュケイオス。ホワイトスターと各世界を繋ぐ為の扉だ」

 

 転移区画の中心にある装置へと視線を向けながら説明を続ける。

 

「この転移区画が広いのは、宇宙戦艦とかを他の世界に転移する必要があるからだな」

「……宇宙、戦艦……」

「ああ。もっとも、お前達の世界だと宇宙開発は殆ど行われていないから想像出来ないかもしれないが。あぁ、ほら見てみろ。丁度他の世界から転移してきた奴がいる」

 

 俺の視線を追ったギルフォードは、光の繭のような転移フィールドが生成されて数人が姿を現したのを見て思わず唸る。

 

「私達もああやってここに転移してきたのか」

「ああ。どうやら今転移してきたのはネギま世界の者達らしいな。魔法使いだ」

「……それを平然と口にしているのを見て、ここが次元の狭間にあるというのを理解したよ」

「そうか? ……あぁ、ほら。次はあっちだ。お前が最も会いたい人物がやって来たぞ」

 

 ふと転移区画に入って来たエアカーへと視線を向け、そこにコーネリアの姿があるのを見つけてギルフォードへとそう告げる。

 

「っ!?」

 

 俺の声を聞いたその瞬間、殆ど反射的な動きで視線を追い、ギルフォードも近付いてくるエアカーを発見する。

 

「姫様っ!」

 

 転移区画に響く声。

 ネギ世界から来た数人の魔法使いと思しき者達がギルフォードの声を聞き目を見開いていたが、俺の姿を見ると何故か納得したように頷いて量産型Wからエアカーを受け取り交流区画へと向かって行く。

 その様子を見ながら、止まったエアカーから降りてくるコーネリアへと向かって走っていくギルフォードの後ろ姿を見送り、ゆっくりと俺もコーネリアへと近付いていく。




アクセル・アルマー
LV:41
PP:0
格闘:274
射撃:294
技量:284
防御:284
回避:314
命中:334
SP:734
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    ギアス(灰色)
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    ???

撃墜数:509

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