転生とらぶる1   作:青竹(移住)

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0595話

「これは……」

 

 双眼鏡で見える光景に、ただ唖然とした呟きを漏らすしかない星刻。

 もっとも、それはこの世界の住人にしてみれば当然と言えるかもしれない。何しろ、このギアスの世界ではKMFというのは最強の兵器という扱いなのだ。日本を占領した時にはその圧倒的な機動力を存分に発揮して、戦車や戦闘ヘリといった存在を駆逐していったのだから。なのに今俺と星刻の視線の先では、巨大な虫型の機体が1機で数十機のKMFを圧倒していた。

 あるいはその様は、日本がKMFを相手にした時の焼き直しのような物だったのかもしれない。そんな風に思いつつ、メギロートの体当たりにより3機のパンツァー・フンメルが一撃でその四肢を砕かれ、胴体をひしゃげさせ、そのうちの2機が何とかコックピットブロックを射出するのを目にする。

 突然の奇襲。それも今まで見たことも聞いたことも無い機体。それらの影響で混乱していたのが、この被害の大きさの原因だろう。

 

「満足して貰えたか? 俺達に協力するというのなら、このメギロートを100機、あるいは1000機単位で派遣する事も出来るだろう。この世界とは違う文明を築いているSEED世界という場所でも、このメギロートは俺達と同盟を結んでいる国に派遣されて、その世界で起こった世界大戦を勝ち抜き、戦勝国となっている。この国で言えばエリア11……いや、日本と比べてもかなり小さい島国が、な」

「……」

 

 俺の言葉を考えているのか、あるいはメギロートの性能を目の当たりにして唖然としているのか。ともかく、そろそろいいだろう。

 星刻に見えないようにして持っていた装置を軽く操作して信号を送り、メギロートの戦闘行動を終了させる。そしてそのまま戦場を後にしてこの丘へと戻ってくるメギロート。

 戦場に残ったのは、数十機のKMFの残骸のみだった。この戦いは恐らく世界中に広がるだろう。いや、中華連邦は星刻が抑えるか? 有能な下の者は大抵取り込んでいるだろうし、上にいる大宦官は無能な生ゴミだし。

 だが、間違い無くEUやブリタニアには広まるだろう。そして調べる筈だ。あの虫型の機体、メギロートは何なのかと。あるいは、この場に存在していない勢力である中華連邦が疑われる可能性もあるだろう。それはある意味では間違っていない。俺達が新国家を作り出すのは、その中華連邦の地なのだから。

 俺の目論見通りに黒の騎士団が復活し、蓬莱島へとやってきた時。……それこそが、新国家樹立の時。

 そして、その時に最も働いて貰うのが、俺の視線の先にいる星刻だ。

 そんな風に考えている間に、メギロートが丘へと到着して俺の隣へと降下してくる。

 

「さて、メギロートが去った方角に向けて偵察を出すくらいは当然やるだろう」

 

 星刻へと声を掛けながら、メギロートの脚へと触れて空間倉庫へと格納する。

 

「星刻、一旦ここを離れる。ここでEUやブリタニアに見つかったら色々と面白くないからな。影のゲートを使うから俺の近くに来い」

「……分かった。これは助かった」

 

 そう言い、返された双眼鏡をメギロート同様に空間倉庫へと格納して影のゲートを展開。そのまま10km程離れた場所まで移動する。

 姿を現したのは、フランスにあるとある港町の路地裏の影。そこから俺と星刻は影から生えるようにして現実世界へと姿を現す。

 

「……さて、俺達の戦力は見せた。さっきも言ったように、こちらはメギロートを相当数派遣が可能だ。こっちの計画に乗る気になったか?」

 

 俺の言葉を聞き、数秒程目を閉じて何かを考えた後で目を見開き俺へとこれまでにない程に強烈な視線を向けてくる。

 

「答える前に1つ確認させて貰おう。お前が作るという新国家。その国では天子様、そして国民達は本当に自由に過ごせるのか?」

「そうだな。俺自身としてはそうしたいと思っている。幾ら貴種の血を引いているとしても、今の天子はまだ10代前半の少女でしかない。国の舵取りをするというのは無理だし、そもそもそんな人物に任せられるとも思っていない。俺としては国の象徴として、普通に暮らして貰えばいいと思っている。国民達についても同様だ。きちんと普通に生活をする分には全く問題が無い。いや、むしろ中華連邦と比べると圧倒的に上の生活が出来るようになる筈だ」

 

 確か12歳か13歳。その辺だったと思う。年齢で言えばあやか達とそう大差無いが、これまで蝶よ花よと過保護に育てられてきただけに、人間としての成熟度合は圧倒的に劣っていると言ってもいい。もしそんな人物に本当に国の舵取りを任せたりしたら、それは亡国へと歩みを始めたと言えるだろう。国民にしても、現在の中華連邦のように搾取しすぎるという事はなく、程々の税率でやっていける筈だ。何しろ、現在のこの国の状況は一部の上の者達が原因なのだから。そいつ等のいない国を作れば自然と生活レベルも向上すると思われる。

 

「分かった。お前の申し出を受けてもいい。ただし、もしお前が今言った事を反故にするとしたら、私はどんな手段を使ってでもお前を……いや、貴様を排除する。例え、攻撃の一切が効果が無いとしてもだ。それでも尚、私を引き込む気はあるか?」

 

 差し出される手。その手を握れば星刻を含む者達の協力を得られるという事だろう。そして、その条件はただ天子の自由と国民の生活だ。

 俺は躊躇無くその手を握る。

 そもそも、俺は別にこの世界に拘っている訳では無い。確かにサクラダイトのように魅力的な要素があるのは事実だ。だが、それは絶対に必要な物ではない。あるのなら確かに欲しいが……という程度だ。

 

「ああ。これから忙しくなるぞ。俺に出来るのは、あくまでも戦力を出す事だ。政治的な問題はお前達に……あるいは、他に引き込んだ奴に任せる事になる」

「この世界の住人ではないというのなら、それもしょうがないのだろうな。これからよろしく頼む、アクセル・アルマー」

 

 ……何?

 思わず一瞬固まる。その口から、名乗っていない筈の俺の名前が出て来たからだ。

 何故だ、何故俺の名前を知っている?

 一瞬混乱するが、すぐに星刻が口元に浮かべている笑みに気が付く。

 

「フッ、これまで散々驚かされ続きではあったが、ようやく一矢報いたといったところか」

「……別に当てずっぽうで言っている訳では無い、か」

 

 呟き、握手していた手を離し、顔を隠していたバイザーを外す。

 

「どこで俺の正体が分かった?」

「何、それ程難しい話じゃない。アクセル、お前の言葉に色々とヒントがあったのだ。例えば、お前達の戦力の兵器は殆どが20m程度と口にしていたな。だが、少なくてもこの世界でそれ程の大きさの兵器を使用している組織は無い。敢えて言えばエリア18が試験的に作り出したバミデスとかいうのがあるが、これにしても動きは鈍重でとてもあのメギロートとかいう機体に繋がる機種だとは思えなかった。そしてそんな中で唯一と言ってもいいのが、エリア11の前総督に雇われていた傭兵だ。その傭兵はバミデスと同じような大きさの機体を操ったそうだが、その機体はバミデスと比べものにならない程の性能を誇っていたらしい。こちらの試算ではブリタニア軍のグロースターと同程度か、あるいは少し下なのではないかと分析されている。そして、他にも空を飛ぶというこれ以上ない特徴の機体。空を飛ぶだけならブリタニア軍でも実用化していたらしいが、それよりも前に確認されている20m近い空飛ぶ機体だな。その機体を使っていたのもコーネリアに雇われていた傭兵だったと聞いている。そして、その傭兵の名前がアクセル・アルマー。……何か付け加える事はあるか?」

「いや、無いな」

 

 なる程。俺自身が口を滑らせていた訳か。

 そう言えば、メギロートの話をした時になにやら考え込んでいたが……

 

「だが、よく傭兵1人の名前まで知っていたな」

「もちろん普通の傭兵なら覚えている事は無かっただろう。だが、その傭兵は大宦官の仕掛けた策謀を幾つも潰し、最終的にはブラックリベリオン時に派遣された我が国の艦隊すらも撃破している。中華連邦にとって危険人物としかいえないような存在の名前を覚えておくのはむしろ当然だと思うが?」

 

 確かにコーネリア直属の部下として動いていた時は、キュウシュウ戦役や、あるいはリフレインを使って操ったと思われるレジスタンス達、そしてブラックリベリオン時にこちらの隙を突くようにして出撃してきた中華連邦の艦隊を撃破している。こう考えると、確かに俺は大宦官の邪魔ばかりしているんだな。

 

「それに確信まではいかなかったが、新国家の御輿としてブリタニア皇族のオデュッセウスを据えるという発言も普通の者なら考えられる訳がない。例えば、そのオデュッセウスを身近に知っている人物から話を聞いていたりでもしない限りではな……な」

 

 ふむ、この辺は星刻の深読みしすぎだな。確かに俺はオデュッセウスを国の御輿に据えようと考えているが、それは原作知識故だ。能力的にはシュナイゼルやルルーシュと比べるべくも無い程に低く、凡才と言ってもいいだろう。だが、本人の性格の良さやその穏やかな気性は他人に好かれる。原作でも中華連邦で行われた結婚式では天子を気遣っていたしな。実際に国を任せるというのは怖くて出来ないが、御輿的な意味ではこれ以上ない程に優秀な人物なのだ。

 

「アクセル、お前がコーネリアと繋がっているのだとしたら色々と納得出来る事があるのも事実だ。それにコーネリアはブリタニアでも有名な軍人。その戦力を頼りに出来るというのは正直ありがたい。例え、あのメギロートという機体があったとしてもな」

「……そうか」

 

 俺の言動からここまでを推理するのは、さすがに星刻というべきなんだろうな。

 まぁ、手を組むと決めた以上は俺の正体を知られてもそれ程問題は無い。最大の問題だったのは、俺という存在をブリタニアに対する交渉のカードとして使われる事だったからな。そうすれば当然俺の天敵とも言えるシュナイゼルが出て来るだろうから。

 

「さて。このままここにいてもしょうがない。そろそろエリア11に戻るとするか。まず無いとは思うが、さっきの戦闘で俺達があの丘にいたというのがブリタニアやEUに知られていないとも限らないしな」

「分かった。詳しい話については、総領事館で聞こう。お前の計画に関する事も、な」

 

 星刻が頷き、その場から再び影のゲートで転移してからソルプレッサを使ってエリア11へと戻っていくのだった。

 

 

 

 

 

「ふぅ、影のゲートとかいったか。何とも便利な代物だな」

 

 総領事館にある星刻の部屋で、感心したように呟く声が聞こえて来る。

 

「色々と不便なところもあるが、基本的には便利だな」

 

 何しろ、転移魔法なだけに魔力の続く限りの距離を転移出来る。……まぁ、ネギま世界以外だと魔力の消費が激しいからそれ程使いたい放題という訳でも無いんだが。

 だがそれでも、この世界やスパロボOG世界のように魔法が知られていない世界ではこれ以上ない程のアドバンテージを得る事が出来る。

 

「それで尋ねるが、具体的に行動を起こすのはいつになる?」

 

 応接用のソファへと腰を下ろしながら尋ねてくる星刻の言葉に、空間倉庫から取り出したペットボトルの紅茶を放り投げつつ口を開く。

 

「いつ、とは正確には言えないが……そう遠くないとだけ言っておこう。1つの目安として、黒の騎士団の復活だな」

「……何?」

 

 ピクリと反応する様子を見ながら、ペットボトルへと口を付ける。

 

「黒の騎士団が、復活すると?」

「ああ、それは間違い無い。そして、その時には恐らく中華連邦も無関係ではいられないだろう。あくまでも目安ではあるが、黒の騎士団が復活したら時が近いと思ってくれ。コーネリアやその部下達との顔合わせはもう暫く待って貰う事になるが」

「……アクセル、お前の手はどこまで長い?」

 

 ん? あぁ、そうか。今の言葉で俺が黒の騎士団復活を画策しているとでも思ったのか? まぁ、俺に都合のいいように勘違いしてくれるのなら別に構わないが。

 

「さて、どうだろうな。俺にしても色々と伝手はあるとだけ言っておく。それよりも、新国家樹立の為の根回しを始めてくれ。有能な者は欲しいが、大宦官に尻尾を振るような奴はいらないからな」

「任せろ。元々私達の行動にも関係あるから、その辺は前もって調べてある。失望させるような事は無いだろう」

 

 その言葉に頷き、連絡用の通信機を手渡してから俺は影のゲートで星刻の部屋から出て行くのだった。




アクセル・アルマー
LV:41
PP:0
格闘:274
射撃:294
技量:284
防御:284
回避:314
命中:334
SP:734
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    ギアス(灰色)
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    ???

撃墜数:509

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