転生とらぶる1   作:青竹(移住)

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0593話

 指を鳴らして炎獣を消滅させる。そして未だに驚愕の表情を浮かべたままの星刻を眺め、部屋にあるソファへと腰を下ろす。

 さすがに総領事館にあるソファと言うべきか、俺の体重をそのまま受け止めて沈み込む感触は安物のとはかなりの差があった。

 

「さて、俺が人間という種族ではないのは理解したな?」

「……ああ。だが、だからと言って私がお前に協力をする謂われは無いと思うが」

 

 俺の言葉で我に返ったのだろう。すぐにそう返してくる星刻。その態度の切り替えの早さに、思わず苦笑を浮かべながらも口を開く。

 

「いいのか? 俺に協力をすれば、天子の自由は手に入るぞ? それを断って、成功するか失敗するかどうかも分からない革命に賭けるのか?」

「確かにお前のその力は凄い。だが、それはあくまでもお前個人のものであり、この世界の主力兵器であるKMFに対して特に効果があるとは思えん」

「さて、どうだろうな」

 

 正直SPを大量に込めた『燃える天空』辺りを使えば、KMFくらいなら一網打尽に出来そうな気もするが。まぁ、今はそれは関係無いか。

 

「だが、俺の力がさっきのような能力。いわゆる魔法のみだと言った覚えは無いぞ? そうだな。お前に分かりやすく言うとしたら、平行世界を自由に行き来出来るような俺が科学技術を使った兵器を持っていないとでも思うのか? それなら黎星刻という人物を俺が買いかぶりすぎていたのかもな」

「……KMFに対抗出来る戦力があると?」

「ある」

 

 星刻の言葉に、躊躇無く頷く。

 

「それも、とびきりの戦力が大量にな。恐らく、俺の組織とこの世界そのものが戦ったとしても、俺達が勝つだろう戦力を持っている」

 

 何しろKMFは運動性や機動性はともかく、防御力が極めて低い。ブレイズルミナスを使った盾や、輻射波動を使った防御能力といったものもあるが、それにしたって万全という訳では無い。

 

「追加で言えば、俺の話に乗った場合にこちらから提供出来る物は他にもある」

「……話だけでも聞かせて貰おう」

 

 ほう、どうやら興味が出て来たようだな。

 

「まず第1に、中華連邦の主力KMFであるガン・ルゥの性能を上げる為の設計図と技術を提供しよう」

「ふむ、確かにガン・ルゥは生産性は高いが、性能は世界で最も低いKMFと言われているからな。それはありがたいだろうな」

 

 だが、それだけでは無いのだろう? そんな風に送ってくる視線に、笑みを浮かべながら続けて口を開く。

 

「第2に、資源の提供についてはある程度任せて貰ってもいい。ただし、この世界特有の物質であるサクラダイトは無理だがな。だがそれ以外のレアアースやレアメタル、あるいはその他の物質に関して言えば暫くの間は無尽蔵に提供出来るだろう。あぁ、それと産業廃棄物やら何やらがあった場合はこっちが引き取ってもいい」

「……ほう」

 

 さすがに資源についてはありがたいのだろう。一瞬だけだが、目の中に興味深そうな色が浮かべられていた。いくらレアアースやレアメタルの宝庫と言ってもいい中華連邦でもその埋蔵量には限度があるし、何よりも技術的な面で需要と供給のバランスが崩れているのかもしれない。

 

「第3に、純粋な戦力。これに関しては後で実際にその目で見て貰うしかないが、KMFの世代で言えば現在この世界でもナイトオブラウンズが使っている第8世代相当の性能を持つ無人機。これがさっき言ったとびきりの戦力だな。大体500から1000機程度は用意出来る」

「第8世代と同等だというのなら確かに凄い能力だ。……本当にそれ程の能力があるのなら、だがな」

「それは後日見て貰うさ。実際にその目で見て確認すれば嫌でも理解出来るだろうしな」

 

 確かこの時期はEUとブリタニアが戦っている筈だ。原作開始後にナイトオブラウンズのスザクが派遣されて一気に決着が付くんだが、その前にメギロートを出して性能試験の場として使ってもいいだろう。……まぁ、どのみちメギロートの性能確認である以上戦場に放り込むのは1度。そうなると、最終的にはブリタニア側の勝利で終わりそうな気もするが。

 

「第4に、もし国家の建国を為したとしたら異世界間貿易に参加させる事も可能だ。現在貿易を行っているのはSEED世界とネギま世界という2つの世界だけだが、そこにこの世界も加わるようになる形だな。基本的には俺達シャドウミラーの同盟国という事で、その異世界間貿易に参加するのは新国家のみとなる予定だ。あるいは、EU、ブリタニア、中華連邦辺りが異世界間貿易に参加するにしても新国家を通しての事になるだろう。そして、恐らくは莫大な利益をもたらすこの貿易に参加するとなると、どの国家も俺が作る予定の新国家に一定以上の配慮をしなければいけなくなる。それがある意味では安全保障になるかもな」

 

 もっとも、新国家の主要戦力は暫くメギロートになる予定だ。あるいは、ガン・ルゥを改造したKMFとかな。その辺を考えると、恐らくは純粋な戦力だけでも十分以上の安全保障だと思うが。

 

「第5に……俺達の組織は医療技術が著しく発達している」

 

 ピクリ、と身体を緊張させる星刻。

 さすがにこの件になると反応を見せるか。

 

「つまり、お前の病気を治療する事も不可能では無い。詳細については、きちんと検査してみなければ分からないが、これまでにも不治の病と言われて来た者達を何名も治療してきた経験がある」

「っ!?」

 

 自分の病気の件を知られているとは思わなかったのだろう。一瞬驚愕の表情を浮かべ、次には奥歯を噛み締めて強い視線を送ってくる。

 

「俺達の案に乗るにしても、あるいはお前が用意していたように革命を起こすにしても、その病は邪魔だろう? 下手をすればお前の志を最後まで見届ける事無くこの世から去ってしまう可能性も高い。だが、俺達に協力をすると言うのならその病の治療を行おう。もちろん病気によっては完治出来ない可能性もあるが、それでも現状よりはマシになるのは間違い無い筈だ」

「……」

 

 無言のままの星刻を前に、俺達に協力する事の最後にして最大の利点を告げる。

 

「そして第6の利点は、俺達に協力をすれば少なくても天子の自由と安全は保証される。今のような、大宦官の操り人形ではなく1人の少女として暮らせる。お前と共にな」

「確かに話を聞く限りでは協力した方が利益は多い。……いや。多すぎると言ってもいいだろうな。そこまでこちらに譲歩する理由は何だ? 何を以てその対価とする?」

 

 チラリ、とベッドの上に投げ出された剣へと視線を向ける星刻。

 俺に効果は無いと知っていながら、それでも殆ど無意識の行動だったのだろう。

 何しろ、俺は星刻の秘密や革命、あるいはクーデターを企んでいる事を知っている。それを大宦官辺りにでも密告されればさすがに誤魔化しが利かないといったところか。

 だが、もちろん俺にそんなつもりはない。新しく国を作るにしても、無能なゴミは必要無いのだから。

 

「当然、これだけの援助をする以上はこっちにも相応の利益が必要になる。……とは言っても、それ程厳しいものではないがな。まず第1に、ある程度以上のサクラダイトを定期的にこちらに譲渡する事。これに関しては前もって量を決めておき、それ以上の場合は別途買い取る形にしようと思っている。一種の安全保障費みたいなものだと考えてもらえばいい」

「……他には?」

「第2に、俺が考えている構想で進めるとすれば、天子は国の象徴として政治には関わらず、ブリタニア皇族のオデュッセウス・ウ・ブリタニアを国の代表として御輿に。そして黎星刻、お前が実質的に国を運営していくことになる」

「何だと?」

 

 さすがに俺のその言葉は予想外だったのだろう。ピクリと目元を振るわせる星刻。

 

「どうした? 何か不満があるのか?」

「当然だ。天子様をいらない事で煩わせず、国の象徴とするのはいいだろう。自由にのびのびと暮らせるのならば、これ以上は無い環境だ。だが、何故わざわざブリタニア皇族のオデュッセウスを引っ張ってくる? 例え御輿と言えども……いや、だからこそそのような人物が国の頂点に立つというのは危険だ。特に今のブリタニアには、シュナイゼル・エル・ブリタニアという人物もいる。もし、仮にだがお前の言っている新国家とやらを建国できたとしても、そこに手を伸ばしてくるのは明らかだぞ」

 

 へぇ、なるほど。星刻の目にもやはりシュナイゼルは危険人物として映っている訳か。俺は原作知識があるからこそ危険人物と知っていたんだが。

 さて、どうするか。シュナイゼルが手を出してくると言うのなら、既にコーネリアがいる時点でその方法を取るのは確実だろう。だがここでコーネリアの名前を出すのは色々と拙い。何しろ、現在コーネリアは公式では行方不明であり、同時にブラックリベリオン時に傭兵として雇われていた俺の事も知る人ぞ知るという形になっている。そして星刻程の能力を持っているのなら、間違い無くその辺の情報は手に入れている筈。そうすると、その線から俺というこの世界の異端を割り出すのはそう難しくは無い、か。

 

「その辺は問題無い。こちらでも一応監視は付けておくからな。それに、それだけのリスクを飲み込んでもオデュッセウスという人物は取り込むだけの利益がある。政治家や軍人としての能力は低いが、その人格から多くの者に慕われているからな。逆に、能力が低い故に妙な事を企む心配が無いという意味では御輿としてこれ以上に最適な人物はいない」

「……まぁ、いい。今聞いているのは所詮は言葉遊びでしかないからな。他にはどんな要求がある?」

「そうだな。新国家の樹立と言っているが、具体的には中華連邦の領域を切り取って成立させる予定だ。その際に、とある地区を必ず入れて貰いたい」

 

 そう。それこそが新国家を作るという行為の大きな目的の1つでもあるのだから。ギアス響団の所在地をこちらの手の内に治める事が。

 

「……とある地区、か。どうやらそれがお前にとっては大きな理由のようだな」

「ああ、そうだな。それと、出来ればインド軍区はこちらに引き込みたいと思っている。主に技術力の面でな」

 

 紅蓮弐式を開発したラクシャータは黒の騎士団に取り込まれているだろうが、それでもある程度の技術的な蓄積を持った人物はいるだろう。インド軍区はラクシャータを始めとする独立派と、中華連邦に従う恭順派がいるという話だが、当然引き入れようと狙っているのは独立派だ。

 

「確かにインド軍区の技術力は高いな。だが、それ故に独立心も高い。そうそう簡単に協力するとは思えないが?」

「その辺は実際に建国の根回しをする時に動く者の力量次第だろう。未知の技術を習得出来る可能性や、異世界との貿易といったメリットもあるしな。それにうちの組織の技術班は桁外れに優秀だ。そこと交流できる利益を理解出来ないのなら、そんな無能共は共に在るに値しない存在だろう」

 

 この件に関しては、純粋に政治なので俺に出来る事は多くない。インド軍区に関しては、出来れば取り込みたいというレベルでしかないしな。

 

「それと最初に言ったと思うが、新国家に関してはシャドウミラーの意志をこの世界で表す代弁者としての役割を持っている。その辺をきちんと理解して、相応の態度を望む」

「……それは、その新国家はお前達の組織の傀儡になれと言っているのか?」

 

 若干鋭くなった星刻の視線を受け止めながら、小さく首を振る。

 

「そこまでは言ってないさ。どちらかと言えば同盟国だな、まぁ、俺達は国というよりは組織だが……」

「……」

 

 俺の言葉を聞き、数秒程何かを考えるようにして目を閉じていた星刻だったが、やがて小さく頷いて目を開く。

 

「なるほど。お前達の目的は分かった。だが、それを承知するかどうかというのは、また別の話だがな」

「構わないさ。だが、返事はなるべく早くしてくれると助かる。早ければ早い程に新国家樹立……つまりは、独立戦争の被害が少なくなる。つまりは、それだけ中華連邦の国民が受ける被害が少なくなるのは事実だからな」

「……お前の言っている事が全て真実だとしたら、特にお前達の持っている戦力が本当にお前の言葉通りなら一考の価値はあるだろう」

 

 ほう。もっと引き延ばして俺達から好条件を引き出すかとばかり思っていたが、意外に即断即決の気質があるんだな。まぁ、現時点で俺の出している条件がそれだけ好条件だというのもあるかもしれないが。

 

「なら……確か、現在EUとブリタニア軍はフランスの海岸で争っていたな?」

「ああ。その情報は入っているが……おい、待て。もしかして」

「実際にどの程度の能力を持っているのか、自分の目で確認したいだろう? 半日……いや、5時間程度でいいから休みを取れるか? その目で確認させてやる」

「……」

 

 俺の提案に眉を顰める星刻。迷っているのか、あるいは混乱しているのか。それでもどのみち出せる返事は1つのみだった。本人も言っているように俺の提案が全て事実であったのなら、それは星刻最大の目的でもある大宦官の籠の鳥となっている天子の救出に繋がるのだから。

 ……その分、新国家として切り取り予定地域外の国民は圧政からの解放が伸びるかもしれないが。

 最終的に星刻は俺の言葉に頷き、善は急げとばかりに明日の午後から時間を取ることになるのだった。




アクセル・アルマー
LV:41
PP:0
格闘:274
射撃:294
技量:284
防御:284
回避:314
命中:334
SP:734
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    ギアス(灰色)
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    ???

撃墜数:509

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