転生とらぶる1   作:青竹(移住)

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0571話

『紫炎の捕らえ手!』

 

 ネオ・グランゾンとの最後の戦いは、俺のそんな言葉から始まった。そう、グレートグランドマスターキーを使った魔法行使。ネオ・グランゾンが縮退砲の封印を解いた以上は、既にこちらの能力を隠しておく必要も無い。その圧倒的な攻撃力を誇る縮退砲を使われる前に仕留めきる!

 そんな意味も込めて動きを封じる目的で放たれた円柱状の炎は、見事に俺の目論見通りにネオ・グランゾンをその炎の中へと封じ込める。同時に、シュウに気が付かれないようにとある作業をしておく。

 

「これは……どうやらまだ奥の手がある、というのは事実のようですね。ですが、この程度の炎で私をどうしようというのですか?」

 

 そう言いながらネオ・グランゾンが閉じ込められた炎の柱から出ようとするが……

 

「む、これは……魔力、ですか? まさかこの世界の住人である貴方が魔力を使えるとは少々意外でした。しかし……」

 

 微かに驚いた表情を浮かべる。

 その隙を突くかのように、俺はとにかく縮退砲を使わせないために間合いを縮めていく。だが……

 

「私とこのネオ・グランゾンを、あまり侮って貰っては困りますね」

 

 シュウのそんな声と共に、円柱状の炎へと伸ばされたネオ・グランゾンの右手。その右手が炎の中へと突き刺さり、同時に次の瞬間にはまるでそこには何も存在していないかのように炎の中に突っ込んだ右手を大きく振るい、あっさりとネオ・グランゾンを捕らえていた円柱状の炎を引き千切るようにして破壊する。

 ちぃっ、それなりに魔力を込めたんだが、あっさりと破るか。さすがにヴォルクルスに支配されているだけはあるな。だが、既に間合いは詰まっている!

 

「アダマンハルパー、展開! はあああぁぁっ!」

 

 雄叫びと共に、大鎌と化したアダマンハルパーをネオ・グランゾンの胸部目掛けて斬りかかる。ブラックホールクラスターにしろ縮退砲にしろ、この胸部装甲を展開して放つ武器だ。なら、肝心要のこの部分を潰せば封印を解いたとしてもその2つの武器は使えなくなる筈!

 そんな思いと共に振るわれた一撃は、しかし当然のようにネオ・グランゾンがワームホールから取り出したグランワームソードで受け止められる。

 

「……やはり。貴方のことですから一撃で急所を狙ってくると思っていましたよ。確かにここを破壊されると色々と拙い事になります。それ故にこちらとしてもそれなりの警戒をしていました」

 

 そう呟いて笑みを浮かべるシュウ。……そう、全ては俺の目論見通りに。

 

「そうだな。確かに今の攻撃でその部分を破壊出来るのが最良の結果だったんだが……」

 

 そんな意味あり気な俺の言葉に何か思う事があったのだろう。映像越しに鋭い視線を俺へと向けてくるシュウ。だが、既に遅い。

 

「ファントムッ!」

 

 T-LINKシステムを通して放たれた俺の命令に、先程魔法を使った時に放っておいた8機のファントムが反応する。ネオ・グランゾンの背後へと移動していたファントムが、だ。

 

「っ!?」

 

 俺の言葉で何が起きているのかを理解したのだろう。グランワームソードを力尽くで振り抜き、ニーズヘッグを吹き飛ばそうとしてくる。その一撃をアダマンハルパーで受け流しつつ、殆どゼロ距離と言ってもいいこの位置からヒュドラの18門のビーム砲と胴体に装備されている拡散ビーム砲、そして頭部のビームバルカンを一斉に放つ。

 

「ぐぅっ!」

 

 この至近距離で、連続して放たれたビームの一斉攻撃。普通のパイロットなら為す術もなく前方からビームの乱射を、そして背後からはファントムによる致命的な一撃を食らっていただろう。だが、俺が戦っている敵は普通のパイロットではない。あの天才、シュウ・シラカワなのだ。

 幾多ものビームを被弾しつつも、ネオ・グランゾンの分厚い装甲と両腕を機体の前へと突き出して受けるダメージを最小限に留める。コックピットブロック、あるいは胸部装甲。そのいずれもが軽いダメージすら受ける事無くニーズヘッグの攻撃をやり過ごしていた。同時に、背後からビームソードを展開して何やらネオ・グランゾンの中でも一際目立つ光輪の部分を破壊するべくその牙を剥き出しにしたファントムだったが、機体に幾度も着弾したビームの勢いを利用して体勢を整え、光輪ではなく背中の装甲へと命中部分をずらされる。

 ちっ、さすがにやるな。

 このまま近距離での力比べは、ニーズヘッグにとって分が悪い。再び腹部の拡散ビーム砲を放ち、目眩まし代わりにしながらネオ・グランゾンとの距離を取る。同時に、向こうの背後へと突き刺さっていたファントムもまたこちらへと戻してヒュドラへと収納した。

 そしてネオ・グランゾンへと目を向けた次の瞬間……

 ゾクリ。

 再び襲ってきた危機感。殆ど反射的に右側のヒュドラのスラスターを噴射させて半回転。その勢いを利用してアダマンハルパーを振るうが……

 

「ぐおっ!」

 

 突如感じた衝撃。機体が激しく揺れる。何だ、何があった? いや、今はそれどころではない。とにかくこの場から退避を……

 

「加速!」

 

 精神コマンドの加速を使用し、衝撃を受けた場所から大きく離れた俺の目にしたものは、大きさはそれ程でもないがワームホールが開いており、そのワームホールからはネオ・グランゾンの右手だけが伸びている光景だった。咄嗟にネオ・グランゾンの本体の方へと視線を向けるが、確かにその右腕のある部分にはワームホールが展開しており、そこから先が消えている。再び数秒前まで俺のいた場所へと視線を向ける。

 そこから伸びているネオ・グランゾンの右腕は、先端に圧縮された重力か何かなのだろう、黒いものが纏わり付いて歪んでいる。そしてその右腕が掴んでいるのは……

 

「ちっ、骨を断たれて肉を切るを地でいってしまったな」

 

 ネオ・グランゾンの掴んでいるのがニーズヘッグの左腕である事に気が付き、思わず吐き捨てる。こちらが与えたダメージはあくまでも表面上のもの。それなりに深い一撃ではあったが、それでも再生能力を持っているネオ・グランゾンにしてみればその傷を癒すのはそう難しくは無いだろう。それに対して、こちらは左腕そのものを持っていかれたのだ。それも、ニーズヘッグには再生能力の類は無い。俺のアインスト嫌いの影響からその類の機能は搭載されていないからだ。

 いや、過ぎ去った事をこれ以上考えてもしょうがない。今はとにかく、奴を倒す事だけを考えるんだ。

 機体の状況をチェックし、黙り込んでいるネオ・グランゾンの様子の一切を見逃さないように考えながら、どんな攻撃を受けたのかを検討する。

 いや、考えるまでもない。今の攻撃は、ネオ・グランゾンの使える攻撃を幾つも組み合わせたような物だろう。具体的にはワームスマッシャーの応用で小さめのワームホールを展開し、グランワームソードの攻撃時に使うワームホールの移動により右手の一部分だけをこちらへと伸ばす。そしてその右手の先にはブラックホールクラスターの時に使っていたように重力波を纏っており、それを使ってニーズヘッグのPS装甲で無効化出来る以上の量のダメージを与え、左腕を一瞬にしてねじ切るか何かした……か。あるいは、咄嗟に精神コマンドの加速を使っていたからこそあの状態で済んだのかもしれない。下手をしたら機体その物を破壊されていた可能性もあるだろう。

 今は既にワームホールから元に戻っているネオ・グランゾンの右腕へと視線を向ける。

 まぁ、俺自身は混沌精霊であくまでも物理攻撃でしかない重力関係で死ぬ事はないが……いや、ヴォルクルスの力を使っていると考えると、俺に致命的なダメージを与えられる可能性もあるのか。

 

「フフフッ、あっという間に先程までと立場が逆転しましたね。さて、これからどうするつもりですか?」

「特に変わりはないさ。お前をこの場で倒すだけだ」

「左腕を失ったその状態で、ですか」

「ああ、確かに若干機体のバランスが崩れはするが、絶望的な訳じゃないからな。俺とお前の腕の差を考えれば、この程度は丁度いいハンデでしかない。……いや、むしろまだ足りないか? なんならもう少しハンデを与えてやってもいいが、どうする?」

 

 意図的に放たれる挑発の言葉。正直、ハンデ云々ではない。確かに純粋なパイロットの技量としてはPPの効果もあって俺の方が上だろう。だが、頭の良さというこの一点で俺はシュウに劣っているのだから。それでも挑発の言葉を放つのは、今のシュウの頭に血を昇らせて少しでも判断を誤るのを期待するか、あるいはヴォルクルスに操られているシュウがプライドを傷つけられて奮起し、少しでも洗脳に抵抗するか、というのを期待しての事だ。

 先程の一連のやり取りで幸いだったのは、ニーズヘッグの攻撃手段に手持ち武器の物が殆ど無いという事だろう。唯一の手持ち武器はアダマンハルパーのみであり、それに関しては右腕があればどうにでもなる。ヒュドラ様々だな。

 

「そうですか。……では、次は残っている右腕を貰いましょうか」

 

 呟くや否や、再びネオ・グランゾンの右腕が再びワームホールの中へと消え去り……

 

「同じ攻撃を何度も食らうと思っているのか!」

 

 その瞬間、右側3基のヒュドラのスラスターを使い、その場で半回転しながら左側のヒュドラ3基の先端にビームサーベルを展開。9本のビームサーベルを振り向き様に一閃する。だが……

 

「誰が同じ攻撃をすると言いましたか?」

 

 本来であればワームホールから伸びてきている筈だった右腕はそこには無く、ワームホールすらも存在していなかった。

 ちっ、せめてワームホールがあれば、こっちからもワームホール越しに攻撃出来たものを。

 

「集中」

 

 精神コマンドの集中を使い、この空間に違和感を覚えた瞬間にヒュドラや機体に設定されているスラスターを使って場所を移動する。

 そして次の瞬間にはそこには重力波に包まれた右腕が。

 その右腕を狙って攻撃しようとした時には、既にワームホール諸共に消えている。そして次に違和感があったのは右側。

 再びスラスターを使い攻撃を回避し……そんな状態のまま1分程同じような行為を繰り返し続けるのだった。

 そして唐突にその攻撃が終わり……不審に思ってネオ・グランゾンの方へと視線を向けたところでその動きが思わず止まる。

 そこでは、機体の要所を光らせているネオ・グランゾンの姿があった。そしてそれを見た瞬間に、これまで経験してきた中でも最大級の危険を念動力が知らせてくる。

 

「さぁ、これでフィナーレです」

 

 その呟きと共にネオ・グランゾンの背中の光輪が眩く、それこそ目を開けていられない程の光を放つ。そして同時にニーズヘッグを中心として、上空に何らかの空間異常を感知する。その時点で俺はシュウが何をしようとしているのかを理解した。そう、これは……これこそが奴が封印を解いたネオ・グランゾン最強の武器。縮退砲。

 重力関係の武装である以上、回避は難しい。かといって、ブラックホールクラスターの時に行ったようにグラビトン・ランチャーでの相打ちというのもまた同様に難しいだろう。システムXNならあるいは可能性もあったかもしれないが、今から転移フィールドの生成をして間に合う筈も無い。となると、俺に出来る回避行動はたった1つ。

 既にネオ・グランゾンの胸部は展開され、そこから3つの重力球が生成。それを両手に纏わせた重力波で押さえ込み、圧縮していっている。そして、極限まで圧縮されたかのような黒い……いや、既に紫とすら表現出来るかのようなソレをこちらへと向けて放たれたその瞬間。

 

「ちぃっ、間に合うか!?」

 

 叫びつつ、グレートグランドマスターキーへと魔力を流して影のゲートを展開していく。幸い、周囲にはコーネリアの指揮の下で撃破されたヴァルシオン改の部品がそれなりに漂っている。影のゲートを展開するのに不足はない。丁度ニーズヘッグの上を通り過ぎようとしていた装甲へと影のゲートが展開され、そこへ向けてニーズヘッグのツイン・ドライブを全開にし、ヒュドラのスラスターも足下へと向けて突っ込んで行き……

 ガンッ!

 その影のゲートへと飛び込む直前、最後の最後に強烈な振動がコックピットを揺らす。

 そして次の瞬間にはニーズヘッグの姿は、俺の狙っていた場所。即ちネオ・グランゾンの背後に浮かんでいる何らかの部品から姿を現していたのだった。




アクセル・アルマー
LV:40
PP:605
格闘:270
射撃:290
技量:280
防御:280
回避:310
命中:330
SP:478
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    ギアス(灰色)
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    ???

撃墜数:508

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