転生とらぶる1   作:青竹(移住)

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0045話

「反乱?」

 

 ヴィンデルの執務室に呼び出された俺に下された命令は、連邦軍に反旗を翻した部隊を殲滅せよというものだった。

 

「にしても、反乱なんて穏やかじゃないな」

「穏やかな任務が私達に来る訳が無いだろう」

 

 それもそうか。俺達みたいな荒事専門の特殊部隊に航空ショーに参加しろ、みたいな任務が来たら逆に驚く。

 

「で、そもそもどこで何が原因で反逆なんて真似をやらかしたんだ?」

「場所としては、北米のコロラドのヴェルドにある基地だ。反逆の理由としては基地の責任者に言わせると自分に嫉妬した1部の将校が暗殺を試みたが失敗。逮捕しようとした所、テスト機として配備されていた新型量産機であるエルアインスを含む機体多数を奪取され、基地司令は決死の奮戦やむなく一時避難した、との事だ」

「あー、えっと、どこから突っ込めばいいんだ?」

 

 そもそも、連邦軍に反旗を翻した理由が嫉妬ってなんだ、か? それとも新型量産機をあっさりと奪われるとか有り得ないだろう、か? 駄目だ。突っ込み所が多すぎる。

 そんな風に悩んでいると、俺の顔を見て何を考えているのか大体理解したようでヴィンデルが話を続ける。

 

「まぁ、怪しいのは十分承知の上だ。そもそも以前からあそこの司令には良い評判は聞かなかったからな。何らかの裏があるのは間違い無い」

「で、その裏があるのを知っていながら殲滅してこいと?」

「少なくても、その反逆した部隊を消滅させろとの命令だ」

「ヴィンデル!」

 

 兵士を見捨てろとでもいうような発言に思わず声を荒げる。

 だが、それを制するようにヴィンデルが言葉を重ねる。

 

「上層部の命令はその部隊が消える事、だ。もしアクセルが秘密裏に捕虜にしても表舞台からその部隊が消えれば問題は無い」

「なるほど」

 

 ようするに、敵をなるべく殺さずに倒して捕らえれば、捕虜という名目でヴィンデルが何とかしてくれるという事だろう。

 

「それと、量産型Wはどうだ?」

「最初は色々と問題があったが、今は十分役に立ってくれている」

 

 少し前から、以前ヴィンデルが言っていた通り俺の部隊は俺以外の3人が量産型Wになっている。

 最初は色々と不具合も多かったのだが、レモンが調整を加えるに従って普通の兵士としては十分な実力を示すようになってきた。

 ……いや、普通の兵士じゃないな。1流の兵士と言ってもいいだろう。

 レモンの技術により産み出された量産型Wは疑似記憶や疑似経験等の注入により生まれた時から既に兵士として完成している。

 ただ、問題なのはあくまでも1流でしかないという事だ。

 ヒリュウ改やハガネのような部隊にいる超1流と呼ばれるようなパイロット達に勝つ事は絶対に無理だろう。

 これがWナンバーズならラミアの例もあるしそれらにも対抗出来るのだろうが。

 

「そういえば、Wナンバーズの方はどうなっているんだ?」

「レモンの話によると、W15はまだしばらく時間が掛かるそうだ。W16は経験を積ませる為にも、今回お前に同行させる事になる」

 

 W16、エキドナ・イーサッキか。原作ではアクセルを守って散っていっただけに妙な因縁を感じてしまう。

 ただまぁ、有能なのは間違い無いんだし今回のような手数が必要になる任務では十分役に立ってくれそうだ。

 

「分かった。そのW16は?」

「レモンの研究室にいるそうだ。後で寄って顔合わせしておけ」

「分かった。他に何かあるか?」

「そう、だな。先にも言ったが、今回の反乱はあからさまに怪しい。いや、怪しい所しかないと言っても構わないだろう。その辺を解明する為にも、なるべく多くを捕らえてきてくれ」

「ああ、了解した。エルアインスもついでに欲しいしな」

 

 エルアインス。あちらの世界では未だ設計図すら存在しない機体。R-1直系の機体で高い運動性と長射程、テスラ・ドライブによる飛行機能を持つ優秀な機体だ。いずれシャドウミラーにも配備されるだろうが、この機会に何機か奪っておくのも悪くはないだろう。

 

「その辺はお前の裁量に任せる。実際あれは優秀な機体だ。最近は補給も厳しくなってきただけにあると助かるな」

 

 ヴィンデルが軍上層部に対する諫言や汚職政治家の悪事の証拠等を提出するようになった為か、ここしばらくは補給が滞りがちになっている。言うまでもなく質の悪い報復だろう。

 その癖、任務はいつも通りに命令されるのだから色々と厳しくなって来てるのも確かだ。

 

「了解。機体の他にも使えそうなものは適当に確保してくる」

 

 ヴィンデルへと敬礼し、執務室を出た俺はレモンの研究室へと向かう。

 レモンの研究室へは既に数えるのも面倒なくらい通っているので、軽くノックをしてから扉を開け、いつものようにソファでくつろぎながら紅茶を飲んでいるレモンへと声を掛ける。

 5ヶ月程前にエクサランスチームと時流エンジンについて意見交換をしていたが、現在でも最大の興味はやっぱり俺のスライムとか空間倉庫だったりする。

 

「レモン、W16が今回の作戦に付いてくると聞いたんだが」

「ええ、聞いてるわ。エキドナ、こっちに来て頂戴」

 

 レモンの声に従い、奥で何らかの作業をしていたエキドナがこちらへとやってくる。

 紫色のショートカットが強い印象を与えるその姿は、まさに俺が知っているエキドナ・イーサッキだった。

 

「紹介するわね。彼女がW16。エキドナ・イーサッキよ。エキドナ、彼がアクセル・アルマー。特殊処理班の隊長で、今回の作戦中貴方の上司になるわ」

「了解しました。よろしくお願いします、隊長」

 

 綺麗に敬礼をしてみせるエキドナ。

 だが、その仕草はどうにもロボットのように思える。心がこもってないとでも表現するべきか。

 

「レモン、本当に大丈夫か? 余り自我を感じないんだが」

「それはしょうがないわよ、まだ生まれたばかりですもの。時間が経つにつれて自分という存在を確立していく筈よ」

「なるほど。疑似経験はあくまでも疑似という訳か」

「そうなるわね。でも、戦闘なんかはきちんと出来るから安心して頂戴」

「機体は?」

「そうね、何かお勧めはある?」

 

 レモンの言葉に考える。

 今回の任務で俺はなるべく多くの敵を行動不能にして捕虜としなければならない。そうなると、臨機応変に動くのが苦手な量産型Wを指揮するというのは俺の負担になるだろう。

 戦闘はきちんと出来ると言う話だし、エキドナには後方からの援護と量産型Wの指揮をしてもらうのがベストか。

 

「そうだな、以前レモンに勧めたランドグリーズで出撃してもらおう。やる事は量産型Wの指揮と、後方からの援護射撃だ」

「あら? 指揮をエキドナに任せるの?」

「ああ、ヴィンデルからの要請でなるべく殺さずに捕虜にしろとの事だ。そうなると一番対応しやすいのはファントムを装備しているグロウセイヴァーだろう。だから今回は基本的な指揮はエキドナに任せて、俺は敵機の無力化に専念させてもらう。構わないな?」

「了解しました、隊長」

 

 エキドナは敬礼して了解する。

 

「それと、こちらは可能ならだが新型量産機のテストとして配備されていたエルアインスをなるべく多く入手しておきたい。それ以外にも使える物資があったら忘れずに持ち帰る事になる」

「あら、それじゃまるで私達が山賊みたいじゃない」

 

 面白そうに言ってくるレモンだが、背に腹は替えられない。

 

「レモンも知っての通り、最近は補給が滞りがちだからな」

「それもそうね。でも、今回の反乱が起きるのが後半月程後だったら良かったのだけど」

 

 何やら残念そうなレモンを見て、疑問に思う。

 

「半月?」

「ええ、アクセルに頼まれていた母艦の最初の1隻が後半月程でロールアウト予定だったのよ」

「本当か!?」

 

 その報告には驚いた。

 まさかトライロバイト級がもうロールアウトしてくるとは。

 いや、あちらの世界に転移するまで後約1年程だと考えるとそうでもないのか?

 

「ちなみに、トライロバイト級万能戦闘母艦と名付けたわ」

「了解した。1番艦に乗るのはこの作戦の後の楽しみにさせてもらう」

 

 レモンに出撃前の挨拶をし、エキドナと共に研究所を出る。

 トライロバイト級が間に合わなかったという事で、今回の出撃もいつもの如くレイディバードとなる。

 

「む?」

 

 ふと思い立った。敵を捕虜にするのが今回の目的だ。それはいい。だが、捕虜にした以上、この基地に運び込まなければならないだろう。それにエルアインスやその他の機体も鹵獲する予定な以上、それらもエクアドル基地へと運び込まないといけない。

 それなのに、出撃するのがレイディバード1機というのはどう考えても無理がある。

 レイディバードが積み込める人型兵器は特機以外の普通のPTサイズで計算して5機だ。そして俺の小隊は5人。つまり小隊の機体だけでレイディバードの貨物室は一杯になる。

 格納庫の通信装置でヴィンデルへと通信を送ると、数秒もしないうちにヴィンデルが出た。

 

「アクセルか、どうした?」

「これから出撃するんだが、捕虜や鹵獲機体なんかはどうやって運べばいいんだ?」

「あぁ、それを言うのを忘れていたな。もう少ししたらレイディバードを何機か後を追わせるから、それに収容してくれ」

 

 一緒に出撃して護衛の手間を考えるよりは後から来てもらった方が効率がいいか。

 

「了解した。戦果を期待していてくれ」

「ああ、任せた」

 

 ヴィンデルとの通信を終え、エキドナへと声を掛ける。

 

「エキドナ、待機室にいる俺の小隊所属の量産型Wを連れて俺達の小隊用のレイディバードに機体を積み込め。量産型Wは量産型ゲシュペンストMk-Ⅱで、そのうちの1機は偵察仕様とする。お前は先程レモンの部屋で言ったようにランドグリーズだ」

「はい、了解しました」

 

 敬礼し、量産型Wが待機している部屋へと移動するエキドナ。

 まだ実際の経験が足りないのか、どうしてもロボット染みた感じに見えるな。

 

「さて、俺もグロウセイヴァーを積み込まないとな」

 

 呟き、グロウセイヴァーを積み込む為に歩き出す。




名前:アクセル・アルマー
LV:18
PP:55
格闘:178
射撃:196
技量:188
防御:185
回避:213
命中:235
SP:286
エースボーナス:不明
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:B
宇:A
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP20
   ???
   ???

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.7
    アタッカー
    ガンファイト LV.3
    ???
    ???
    ???
    ???
    ???
    ???

撃墜数:35

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