転生とらぶる1   作:青竹(移住)

589 / 2848
0552話

「アルフィミィ、急にいなくなったと思ったら、こんな所で何をしているんだ」

「そうよ、全く。迷子になっちゃったんじゃないかってお姉さん心配しちゃったわよ」

 

 暢気な会話をしつつも、アルトアイゼン・リーゼのリボルビング・バンカーがイェッツトクノッヘンの顔面を貫通し、同時にライン・ヴァイスリッターの3連ビームキャノンがイェッツトグリードの蔦を消滅させる。

 

「あら? あらあら? キョウスケにエクセレンですの?」

 

 そう言いつつも、ペルゼイン・リヒカイトの持つ刀はイェッツトレジセイアが伸ばしてきている大量の触手を斬り裂いていく。

 

「全く、アクセルから話は聞いていたが、本当に1人で追っていたとはな。お前ももう俺達の仲間なんだ。少しは頼れ」

「ごめんなさい、お父さん、お母さん、ですの」

「ちょっと、誰がお母さんよ! 全く、こんな若い私にお母さんだなんて。失礼しちゃうわ」

「ふぅ。お前達もふざけてないで、戦闘に集中しろ」

 

 呆れたように呟くキョウスケだったが、そこに襲い掛かって行くのは大量のイェッツト共だ。骨に植物の2種類しかいないが、その代わりなのか数は多かった。

 

「アルフィミィが危険だと知った途端飛び出した割には暢気な台詞だな」

 

 そんな3機へと襲い掛かろうとしていたイェッツトレジセイアの触手を、前方のヒュドラに内蔵されているランツェ・カノーネを使い消滅させていく。

 そしてその隙を突くかのように、五大剣を右手に。シシオウブレードを左手に構えたトリニティゲインが突っ込み、特機特有の膂力を発揮して触手を纏めて根本から切断する。

 

「ムラタ、下がれ!」

 

 その言葉と同時に放たれたのは、イザークが乗るヒュッケバインMK-Ⅲのグラビトン・ライフル。再生しつつあった触手を、その腕諸共に圧縮された重力波砲が貫通していく。

 

「へぇ、ヒュッケバインMK-Ⅲ程の高性能機を随分と使いこなすとは、腕に関しては一級品だな。ブースト・ナックル!」

 

 感心した声と共に放たれたブースト・ナックルが骨で構成されているイェッツトクノッヘンをその場で砕く。

 

「アクセルさん! 私もフォローを!」

 

 フィオナのエクサランス・エターナルがその声と共に2つのコネクターから放たれた時流エネルギーが、イェッツトクノッヘンとイェッツトグリードを纏めて消滅させていく。

 

「ふふんっ、どうですか? レモンさん。ミズホとラージが作ってくれたエターナルフレームの力は」

「確かにその機体の性能は高いし、ミズホの才能はさすがと言うべきね。けど……」

 

 その言葉と共に、O.O.ランチャーから放たれた実弾が、時流エネルギーの掃射を免れたイェッツト達を貫通していく。

 

「機体の性能に頼ってばかりじゃ、まだまだ私には及ばないわよ?」

「ぐっ……」

 

 レモンの言葉に思わず言葉を詰まらせるフィオナ。この辺はやはり貫禄というものなのだろう。そもそもフィオナは、戦闘経験自体が殆ど無いのだから甘いのはしょうがないんだが。何しろ、元々の世界でテスラ研に向かう途中に2回程実戦を行って、すぐにデュミナスにこちらに転移させられたのだ。そしてこちらの世界に転移を完了したのが昨日の事。インスペクター事件の最終盤付近とは言っても、それ以降実戦を潜り抜けて来たラウルと比べるとどうしてもワンランク落ちるのはしょうがない。

 

「フィオナ、お前はまだ戦闘にあまり慣れてないんだから無理はするな」

 

 ライトニングフレームの両肩から先程のエターナル同様に時流エネルギーを放射して有象無象の如く湧いて出て来るイェッツト達を消滅させていくラウル。

 

「ラウル、でも!」

 

 そんなラウルに向かって何かを言い募ろうとするフィオナだったが、ヒュドラのビーム砲18門を使いながら再びこちらへと触手を伸ばしてきたイェッツトレジセイアの触手を纏めて消滅させながら声を掛ける。

 

「ラウルは妹のお前が心配なんだから、たまには兄貴の言う事も聞いてやれ」

「アクセルさん……うん、分かった」

「全く、フィオナったらアクセルの言葉はきちんと聞くんだから」

「むーっ!」

 

 レモンの言葉に頬を膨らませるフィオナ。

 

「おい、戦闘中にほのぼのとやってないで、真面目に戦え!」

 

 スレイの乗っているエルアインスが、ツイン・ビームカノンを放ちながらも注意しながら俺達の近くへと降り立つ。

 

「む。もしかして貴方もアクセルさんを……」

「は? い、いきなり何を言ってる。私は別にアクセルの事なんか……」

 

 何やら言い合いを始めつつも、それでもイェッツトの群れへと攻撃を止めないのはさすがと言ってもいいだろう。

 

「いや、本当にお前の立ち位置は美味しすぎるな。ちょっと俺と変わらないか?」

 

 胸からファイナルビームを放ちつつ、イルムがどこかからかうように言ってくる。

 俺だけでもイェッツトレジセイアそのものとそれなりにやり合えていたというのに、今ここにはヒリュウ改やハガネ、そして俺以外のシャドウミラーの部隊もいるのだ。再生能力と無限に近い感じで湧きだしてくる数に若干苦戦はしているものの、殆ど圧倒的と言ってもいいような戦力差になっている。イルムの軽口に関してもそれ故なのだろう。

 ……後は、一応俺達の監視目的って感じか。

 

「お前にも恋人はいた筈だが? ファントムッ!」

 

 ヒュドラから放たれた16機のファントムがビームを放ちながら雨霰と降り注ぐ攻撃から抜け出そうとしているイェッツトグリードの植物の部分を焼き払う。

 

「……まぁな。にしても、その機体は反則だな。何だその圧倒的な殲滅力は」

「何しろ俺の為だけに作られた、シャドウミラーの技術全てが詰まっているフラッグシップだからな。この程度の性能は当然だ」

「……その為に犠牲になったのは主にマオ社なんだが」

「さて、その件については取りあえずスルーしておくって話になった筈だが?」

「まぁ、そうだけどよ。さて、俺は取り合えず前線に出るとするかね。こんな距離が離れた場所で戦闘しているようじゃ超闘士の名が泣くし」

「いいのか? 俺達の監視も一応お前の役目なんだろう?」

「はっ、代わりが来たからいいのさ。じゃあなっ!」

 

 そう叫び、瞬時にウィングガストへと変形するとそのまま前線へと突っ込み、スパイラル・アタックでイェッツトグリードの蔦を千切って行く。

 そしてグルンガストと入れ替わるようにしてニーズヘッグの隣へと降り立ったのは、赤を基調としたどこか戦闘機染みた機体。R-3パワードだった。

 

「へぇ、今度はお前がこっちに来たか」

「……ええ。元々私の機体は遠距離戦闘や指揮管制用の機体だから。……貴方ともゆっくりと話をしてみたいと思っていたしね」

「話、ねぇ。お前達が知りたがっていた、俺が念動力を使える理由についてはもう話したと思うが?」

「……そうね。私が脳みその標本に近い状態になっていたというのは、嬉しく無いけど……」

 

 さすがに平行世界とは言っても、自分自身の脳みそが標本にされていると言われればそれなりにショックだったのだろう。どこか落ち込んだ様子で呟くアヤ。

 ……原作でのイングラムとの絡みでも感じたが、やっぱり基本的には打たれ弱いんだよな。だが、このままショックを受けた状態でSRXチームがいざという時に使いものにならなくなったりしたら困る。一応フォローしておくか。

 

「確かに平行世界での出来事とは言っても、自分の行く末を聞いてショックを受けるのは分かる。だが、最終的にはその枷から解き放たれて、俺に吸収。つまりは俺とお前は1つになったようなものだ。確かに幸福な最期とはいかないが、救いも何も無い状態よりはマシだったとは思わないか?」

「……え? 貴方と一緒になった?」

「ああ。向こうの世界のお前は今も尚、俺の中で生き続けている。正真正銘に俺と1つになったんだ。いつ、いかなる時も俺が共にいる。それこそ、死ぬまで……いや、死んでも俺とお前は永遠に1つになっているんだからな」

「ちょっ、いきなり何を!?」

 

 何故かいきなり顔を赤く染めるアヤ。そのまま顔を小さく振り、緑のショートカットの髪が揺れている。

 

「ん? どうしたんだ? ……もしかして何か念動力で感じ取ったのか!?」

「え? ちょっ、別に私は……」

 

 俺の言葉に何かを言い掛けるアヤ。

 だが、それに構わずに俺もまたT-LINKシステムを通して周囲の様子を探り……違和感を見つける。こちらへと近付いてきている、1つの違和感。それは間違い無く確実に距離を縮めてきており……

 

「ここに近付いてくる未確認機を確認! 恐らく敵機だと思われる。各機気を付けろ!」

 

 俺が忠告の言葉をオープンチャンネルで叫ぶと同時に、その機体は戦場へと姿を現す。

 どこか中国の武人風の外見を持ち、薙刀のような武器を持っている。その大きさは特機クラスであり、全長15m程度のニーズヘッグと比べると優に3倍はあるだろう。

 鋳人。OG外伝ではそのバックボーンの殆どが見えてこない、全くのアンノウン。分かっているのは、あの薙刀のような武器の方が本体であり、機体自体は操り人形でしかないという事か。

 

「あの機体は、確か以前テスラ研で現れた……」

 

 ブリットの声がオープンチャンネルで響く。

 だがそんな声を発しつつも、龍虎王はどこからともなく取り出した呪符のような物を媒介に、雷の雨を降らせまくっていた。クスハがメインで操る龍虎王なだけに、ブリットにも多少の余裕があったのだろう。

 そんな風に広範囲攻撃を行いつつも、それでも尚イェッツトレジセイアはグリードやクノッヘンを生み出し続ける。戦力的に見れば全く問題は無いんだが、かと言ってここで横槍を入れられるのもつまらない、か。

 

「全機に次ぐ。新しく出て来た敵の援軍らしい存在は俺に任せて、他の機体はレジセイアに集中しろ」

「なっ! お前1人に任せろってのかよ!?」

 

 ガン・レイピアで敵を狙いつつ、ムウの声がこちらへと聞こえて来る。

 

「安心しろ。俺はアクセル。アクセル・アルマー。シャドウミラーの武力の象徴だぞ? その俺があんな奴に……何でお前もこっちに来る?」

 

 鋳人の方へとニーズヘッグを向かわせていると、俺の隣にまるで寄り添うようにしてR-3パワードが並ぶ。

 

「言ったでしょう? 私は貴方の監視も兼ねてるのよ。それなのに、貴方だけを行かせる訳にはいかないのよ」

「物好きな奴だな、アヤ・コバヤシ」

「……アヤ、でいいわよ。貴方の中にはもう1人の私がいるんでしょう?」

「ああ、なら俺の事もアクセルでいい。……行くぞ、アヤ!」

「ええ」

 

 アヤが頷くと、R-3パワードのT-LINKフライトシステムと、ニーズヘッグのツイン・ドライブが共に念動力の共振を引き起こしながら鋳人との距離を急速に縮めていく。

 

「また犠牲者が1人、ね」

『……アクセルさん』

 

 何やらレモンの苦笑と共に呟かれた声と、オウカ、フィオナの声が聞こえたような気がするが、特に何かを言ってくる訳でもないのを見ると、大した内容でもなかったのだろう。

 そして自分に近付いてくる俺達に気が付いたのか、鋳人は薙刀の先端をこちらへと向け……

 

「避けろ、アヤ!」

 

 叫びながら、ニーズヘッグを傾かせる。それと同時に、俺の言葉に従ったR-3パワードもまた機体を傾かせていた。そして一瞬前まで俺達の機体があった場所を通り抜けていくビーム……いや、違うな。水、か。

 

「何、あれ。水?」

 

 R-3パワードの方でも今の攻撃を解析したのだろう。思わずといった様子で呟く。

 

「らしいな。さて、あの武器から考えて射撃戦で完封できると思っていたんだが……まぁ、しょうがない。アヤ、俺が前に出るからお前は後ろから援護を」

「ちょっと待って。そのニーズヘッグ? のような小型機であの敵と近接戦闘を行うつもり? 確かに私の機体は近接戦闘向きじゃないけど、それでもまだ私が前衛に出た方が……」

 

 本来相容れぬ存在である俺へと向け、心配そうな声を掛けてくるアヤ。やっぱり基本的には優しい性格をしているんだよな。あるいは、俺の中にアヤの念動力が存在しているというのも関係あるのかもしれないが。

 

「任せろ。さっきもムウに言ったが、俺はアクセル・アルマー。シャドウミラーの武力の象徴だぞ? あの程度の相手にどうにかなる程弱くはない」

「けど……」

「あー、そうだな。じゃあ、こうするか。もし俺が奴を相手に近接戦闘でダメージを負わずにこの戦闘を勝ち残ったら、俺と一晩共にするとか」

「ちょっ! いきなり何を!?」

 

 からかうように告げると、顔を真っ赤にするアヤ。

 

「ほら、アインスト空間での約束もあっただろう? それを踏まえてだな」

「ばっ、馬鹿を言ってないで、やるならさっさと行きなさい! 全く……」

「その調子だ。援護は任せたぞ」

 

 アヤへとそう告げ、ツイン・ドライブに念動力を流し込むのだった。




アクセル・アルマー
LV:40
PP:520
格闘:270
射撃:290
技量:280
防御:280
回避:310
命中:330
SP:478
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    ギアス(灰色)
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    ???

撃墜数:491

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。