転生とらぶる1   作:青竹(移住)

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0550話

『3時方向、レンジ5に反応あり。 数は1。急速に接近中』

 

 ヒリュウ改のユンから全機へと通信が入る。

 それを聞いた俺達は、いつ戦闘が始まってもいいように戦闘準備を整えて待ち構えていた。ちなみにこれは出撃前に聞いたのだが、俺が修羅のアルコを捕らえている時に行われた戦闘では、やはりGサンダーゲートとエミィが敵として姿を現したらしい。この辺は俺の予想通りだったのだが、バルトールも同様に姿を現したとか。ただし、当然ラミアがこっちにいる以上は向こうとしてもODEシステムのコアとして使う存在がおらず、特に原作で生体コアにされていたラミアが乗っている機体――ヴァルシオン改・タイプCF――が姿を見せる事は無かったらしいが。

 恐らく何らかの手段で別の生体コアか何かを用意しているのだろうが……いや、あるいはデュミナス自身が何らかの形でODEシステムの代替をしているとかいうオチだったりするのか?

 

「アクセルさん」

 

 そんな風に考え込んでいた俺へと通信を入れてきたのは、フィオナだ。

 ニーズヘッグの両隣にはいつものようにレモンのヴァイスセイヴァーとコーネリアのラピエサージュが陣取っており、そんなヴァイスセイヴァーの隣には曲線的でどこか女性的な印象を受ける機体――エクサランスのエターナルフレーム――が浮かんでいる。

 そして当然そのパイロットは、つい数時間前にテスラ研の医務室へと運び込まれたばかりのフィオナだ。

 

「フィオナ、戦場に出て来てもいいのか?」

「はい。ミズホとラージが私やラウルの為に作ってくれたこのエターナルフレームがあれば……それに、アクセルさんだけを戦わせる訳にはいきませんし」

「あらあら。さっきまでは辛そうな顔をしていたのに、アクセルの顔を見ると元気になるのは前と変わらないのね」

 

 レモンのからかうようなその言葉を聞き、フィオナの頬がピクリと引き攣る。

 

「それはそうですよ。何しろ私とアクセルさんは子供の時からの付き合いですし。レモンさんと違って、付き合いは長いんです」

「へぇ、確かにその点は付き合いが長いかもしれないけど、貴方だって知ってるんでしょう? 私とアクセルは貴方が行方不明になっている間にも共にいた事を」

「ぐぎっ、……そ、そんなのは所詮上辺だけの付き合いでしかないです!」

 

 全く。この2人は久しぶりに会っても相変わらずなんだな。

 レモンにしても、何だかんだ言ってフィオナを可愛がっている割には何故か挑発したりするのは変わらないらしい。

 

「……まさか、またライバルが現れるなんて。しかもラウルさんから以前聞いた話が事実なら、彼女は18歳。つまりアクセルさんの射程圏内……こうなったら麻帆良の子達とも協力して……」

 

 そしてオウカはオウカで何やら深刻そうな顔をして呟いているのだった。

 

「取りあえずじゃれ合いはその辺にしておけ。……来るぞ」

 

 呟いた瞬間、テスラ研の近くへと1機の巨大な戦闘機が姿を現す。Gサンダーゲートだ。

 

「ショウコ!?」

 

 コンパチブルカイザーに乗っているコウタがオープンチャンネルで叫ぶ。

 その声を聞いた途端、一瞬だが確実にGサンダーゲートの体勢が空中で崩れる。

 ふむ、予想外にエミィの意識よりもショウコの意識の方が勝っているらしい。これは思ったよりも簡単に救出出来るかもしれないな。恐らく、前回の戦いの時に俺以外のシャドウミラーがいた分戦局を有利に進められて、その影響でショウコの意識が強くなってきている……って感じか。

 

「皆、ショウコについては俺に任せてくれ。兄貴として……妹は絶対に助けてみせる!」

 

 そう宣言するや否や、飛びだしていくコンパチブルカイザー。

 

「……いいのか?」

「構わん。本音を言えば手助けをしたいところだが、本人が望んでいないのではな。特に、これまでの奴等の戦術を考えれば……来たぞ」

 

 キョウスケが呟くと同時に、見覚えのある2機の機体が姿を現す。エレオスとテュガテール、即ちデュミナスの部下であるデスピニスとティスだ。そして……20機近いバルトール。

 

「ちっ、やっぱりな。全機敵機を」

「待て」

 

 キョウスケが攻撃命令を出そうとしたその時、唐突に言葉を遮る。

 

「何のつもりだ?」

「前回の戦いではシャドウミラーの実力を見ただろう。なら今回は俺のニーズヘッグの実力を見せておこうと思ってな。お前達にしても、俺の新型機の実力は知っておいた方が戦力に組み込みやすいだろう?」

「ふざけんな、この野郎! そんな遊び気分で戦われちゃこっちはいい迷惑なんだよ!」

 

 カチーナの叫びがオープンチャンネルに響くが、そのままレモンへと視線を向ける。

 

「レモン。俺が……そして、ニーズヘッグがあの程度の奴等にどうにかされると思うか?」

「まさか。有り得ないわね」

 

 一瞬の躊躇いも無く返すレモン、

 

「そういう訳だ。悪いが、お前達には俺の実力を証明する為の的になってもらうぞ」

「あたいらを何だと思ってんだ! デスピニス、あのチビ助をやっつけるよ!」

「でもティス、私達はエミィを連れ帰る為に……」

「確かにそうだけど、時流エンジンを持って帰ればデュミナス様もきっと喜んでくれるって!」

「……そうかな?」

「そうそう。あたいが言うんだから絶対に間違い無い。ほら、行くよ!」

「う……うん。すいませんが、私達には時流エンジンが必要なんです。その機体を渡して下さい!」

 

 そんな声の後、まずは戦力の消耗を狙おうというのだろう。連れてきたバルトールの内10機程をこちらへと向かわせてくる。

 

「それは悪手だな」

「確かに。ニーズヘッグ相手にあの程度の戦力ではな……」

 

 コーネリアの声を聞きつつ、ニーズヘッグのT-LINKシステムへと念動力を込めていく。

 

「さぁ、ニーズヘッグ。お前の実力を他の奴等に見せてやれ!」

 

 その声と共にツイン・ドライブを全開にし、空中に浮遊している状態から一気にトップスピードまで持っていく。その速度は、機動性や運動性に極限まで特化しているバルトールと比べても、まるで大人と子供の如き速度差だったと言ってもいいだろう。

 殆ど一瞬で先頭のバルトールへと肉薄し、そのまま隙間を縫うように通り抜けていく。もちろん、ただで通り抜けるのではない。ヒュドラの先端に装備されているビームサーベルを3本ずつの合計18本展開しながら、ヒュドラ6基をT-LINKシステムでコントロールしながら、だ。そのまままるで踊るかのようにバルトールの群れの間を通り過ぎ……そして、その後ろへとニーズヘッグが姿を現した次の瞬間には、6機のバルトールが機体の様々な場所を切断されて爆発を引き起こす。

 

「……馬鹿なっ、何だ今の動きは。いくら高性能のテスラ・ドライブを使っているとはいっても、到底パイロットがGに耐えられるような動きではないぞ!?」

「いや、それよりもあの6枚羽。もしかして全部アクセルが自分で個別に動かしているのか?」

「ええ、そうよ。T-LINKシステムでね」

 

 カイの驚愕の叫びと、イルムの疑問。そしてそれに答えるレモンの声。

 それらを聞きつつ、ヒュドラからT.T.キャノンを発射。放たれたビームは念動力に従って大きく弧を描きながら、撃破はされていなかったものの、それでも装甲の薄いバルトール故に散らばった破片で多かれ少なかれダメージを受けていた残り4機のうち2機を纏めて貫き、次の瞬間には2機共爆散する。同時に。

 

「ファントムッ!」

 

 ヒュドラ2基から放たれた16機のファントムがバルトールへと殺到し、ビームソードを展開したまま雨の如く降り注ぎ、その牙を連続して突き立てる。バルトール1機につきファントムが8機。そのビームソードが細い手足や胴体、あるいはセンサーの類が詰まっている頭部へと連続して突き立っていく。

 

「さて。これで残るバルトールは10機に、指揮官機が2機だな」

 

 背後で起こるバルトールの爆発を背に、そう宣言する。

 

「ぐっ、くっ、くそ。こんなに手強い奴だったなんて。前の時はそれなりに戦えてたのに」

 

 恐らくトーチカ1での事を言ってるんだろうが、あの戦いはニーズヘッグの初陣であり俺もまだ慣れていない事もあって機体を使いこなせていなかったからな。だが、今は違う。幾つかの戦闘を潜り抜け、T-LINKフレームに内蔵されているT-LINKシステムに関しても習熟度が増してきたのだ。いつまでもあの時と同じと思って貰っては困る。

 

「さぁ、どうする? このまま投降するのなら痛い目に遭わなくても済むが?」

「ごめんなさい、デュミナス様の為にもそれは出来ません。ティス」

「分かってるよ。こうなったら、何が何でもあいつの時流エンジンを奪い取ってやる。全機、あのチビ助に攻撃だよ! デスピニス、あたいらも!」

「うん。……ごめんなさい、ごめんなさい」

 

 その声と共に、残りのバルトール10機にエレオス、テュガテールがこちらへと向かって来る。前方をバルトールに任せ、中衛をエレオスが。そして後衛をテュガテールが務め、その子機でもあるパテールと共にビームを連続して放ってくる。

 

「さっきも言ったが、それは悪手だ。トーチカ1での事を学習していないのか? ファントムッ!」

 

 ヒュドラから新たに放たれる32機のファントム。先に放たれていた16機のファントムと共に、ニーズヘッグの前方へと攻撃を阻むようにして待機しており……

 

「これもついでに味わえ!」

 

 ファントム目掛けて腹に内蔵されている拡散ビーム砲と、ヒュドラから18門のビームを放つ。

 それぞれ全てがファントムへと着弾し、同時にそれぞれのビームをまるでシャワーの如く周囲へと反射する。そしてそれは、今にもニーズヘッグとの距離を縮めようとしていたバルトール10機へと連続して降り注いだ。尚、バルトールにとって不運だったのは、テュガテールとパテール、エレオスの持っている杖から放たれたビームも反射された事だろう。

 ビームが雨霰と降り注いではバルトールへと小さいが確実にダメージを与えていく。何しろファントムに反射して拡散しているので、1撃1撃の威力はかなり低いのだ。その為に即座に撃破という羽目にはならなかったのだが、それでもダメージは蓄積していき……

 

「仕上げだ!」

 

 前2つのヒュドラに組み込まれているランツェ・カノーネの砲門をバルトールの方へと向けて、トリガーを引く。貫通力の高いビームが連続して放たれ、1発のミスもないままにバルトールへと着弾しては貫通、破壊、爆散と繰り返されていく。

 

『なっ!』

 

 こうまで一方的な展開になるというのは、向こうにとっても計算外だったのだろう。ティスとデスピニスの思わず上げた声がオープンチャンネルで流れる。

 そしてその隙を逃す程に俺は甘くは無い!

 既にバルトール全機が消滅したその一瞬の隙を突き、ツイン・ドライブを使いバルトールとテュガテールの中間にいたエレオスへと急速に接近。同時に……

 

「アダマンハルパー、展開!」

 

 その声と共に巨大な大鎌状態になったアダマンハルパーを振り下ろす。

 キンッ!

 エレオスが咄嗟に構えた錫杖で致命的な一撃は回避するものの、断罪の刃の如く振り下ろされた大鎌は、鋭い金属音を立てながら錫杖の柄を真っ二つに切断する。

 そしてその返す刃で胴体を切り裂き、地上へと落下していくエレオスへと視線を向けてから、最後に唯一この戦場に残っているテュガテールとパテールへと視線を向ける。

 ちなみに、コンパチブルカイザーの方へと一瞬だけ視線を向けると、そこでは既にGサンダーゲートと合体してGコンパチブルカイザーとなっていた。

 

「くそっ、くそぉっ、こんなのありかよ。あたいの作戦全部が全部裏目に出るなんて。エミィッ! あんたも何でそんな簡単にやられているのさ!」

「私はエミィじゃない。……私は、ショウコ。ショウコ・アズマよ!」

 

 本格的に記憶が戻ったのだろう。そう宣言するショウコ。それを聞いて、これ以上ここで戦っても勝ち目はないと判断したのだろう。地上に墜落したエレオスを回収しようとするテュガテールだが……

 

「そう簡単にさせると思うか?」

 

 テュガテールの道を閉ざすかのように、ヒュドラから18門のビーム砲が。同時に腹部から拡散ビーム砲が放たれる。

 

「くっ、くそっ、このままじゃ本当にあたいまで……覚えてろよ! パテール!」

 

 そう叫ぶや否や、ティスの機体とその子機であるパテールは急速に戦場を離脱していくのだった。……地上にエレオスの残骸を残したまま。




アクセル・アルマー
LV:40
PP:520
格闘:270
射撃:290
技量:280
防御:280
回避:310
命中:330
SP:478
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    ギアス(灰色)
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    ???

撃墜数:491

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