転生とらぶる1   作:青竹(移住)

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0530話

「ちっ、やっぱりこの程度のダメージだとすぐに回復するか」

 

 ほぼゼロ距離でニーズヘッグの拡散ビーム砲とビームバルカン2門の斉射をまともに食らったにも関わらず、イェッツトレジセイアの顔面は既に再生を始めていた。

 

「ならこの距離でグラビトン・ランチャーでも……」

 

 そう言い、T-LINKシステムを通じて左後ろのヒュドラを意識した時、何かがこっちへと突っ込んでくるのをT-LINKシステムが感じ取る。これは……人じゃない。いや、無人機? ガロイカかっ!?

 

「ちぃっ!」

 

 このガロイカが出て来たとなると、それはつまりデュミナスの部下でもあるティスが出て来たんだろう。この状況で、まるで自らを質量弾として自爆同然に突っ込んでくるガロイカをどうこうしながらイェッツトレジセイアの攻撃をしのぐのは難しい。

 いや、これがグロウセイヴァーなら恐らく出来たのだろう。今それが出来ないのはあくまでもまだ俺がニーズヘッグを乗りこなしていないのが原因だ。この戦闘を通して急速に馴染んできているとは言っても、結局この戦闘がニーズヘッグの初戦闘であるのは変わらないのだから。

 

「アクセル・アルマー! 勝手な真似は止めろ!」

 

 アルベロの量産型ゲシュペンストMk-Ⅱ改がHiビームカッターでガロイカを真っ二つにしながら通信を入れてくる。クライ・ウルブズにしても、ツェントル・プロジェクトの責任者であるミタール・ザパトからの命令である以上は従わざるを得ないのだろう。向こうの世界で俺が直接戦った事はないが、入手した情報やスパロボMXを含む俺の原作知識によるとそう言う意味では頑固そのものな男らしいからな。

 

「お前達が鎖で繋がれている以上しょうがないと思うが?」

 

 ヒュドラの先端から18門のビーム砲全てを発射しながら通信を返すが……

 

「俺達が狼じゃなくて、鎖に繋がれた犬だってのかよっ!」

 

 それが気に入らないフォリアがそう怒鳴ってくる。

 父親に反発しつつも、自分の実力を認めて貰いたいフォリアにしては急所を抉られたような発言だったからだろう。それでなくてもこの時期はアルベロに対して不信感を募らせていっている筈だしな。

 

「さて、どうだろうな。狼のままか、ペットの犬になるか。それはお前達のこれから次第だな。それよりも……来るぞっ!」

 

 叫びつつ、ヒュドラのスラスターを使い瞬時に機体を移動。どこからともなく放たれた幾つものビームを回避していく。

 

「くそっ、あたいの攻撃をこうも避けるなんて……」

 

 オープンチャンネルで悔しそうに呟きながら姿を現す機体。それは頭部が翼のようになっている小型の機体だ。大きさ的には、それこそ小型機であるニーズヘッグとそう大差ないだろう。それはバルトール事件の最後、ヘルゲートでの戦いで姿を見せたデュミナスの配下、ティスの機体。そしてその背後には本体であるテュガテールの3倍近い大きさの機体を従えている。

 

「デュミナスの手の者か」

「ああそうさ。あたいはティス。さて、自己紹介も終わった事だし本題に入らせて貰おうか」

 

 そして本題。それが何を指しているのかは言うまでも無い。

 

「時流エンジン、か」

「そうそう。良く知ってるね。……ん? いや、あんたの顔は見覚えが……ああああっ! ヘルゲートで時流エンジン搭載機に乗ってた奴! 今日は違う機体だけど、その機体にも時流エンジンが搭載されてるね! 寄こせ!」

 

 生み出されてからまだ間もないという事もあり、精神年齢は見かけ同様に幼い、か。

 

「寄こせと言われて、やる訳が無いだろう。どうしても欲しいのなら、腕ずくで奪ってみたらどうだ?」

「……言ったなぁっ! やれ! あの小っこい機体を叩き潰せ!」

 

 ティスの命令に従い、ガロイカが大量に俺の方へと向かってくる。だが、それは狙い通り。口元に笑みを浮かべつつ、ガロイカを率いてクライ・ウルブズと戦いを繰り広げているイェッツトレジセイアの方へと近付いていく。

 

「アクセル・アルマー、だから勝手な真似はやめろと!」

「この状況を打破するのなら、敵と敵をぶつけるのがベストだろう。向こうの戦力を減らさないと漁夫の利を奪われるぞ」

「だが! ……ちぃっ!」

 

 舌打ちをしつつ、自分へと近寄ってくるガロイカとイェッツトレジセイアの触手をF2Wキャノンで纏めて消滅させるアルベロ。

 一種の仕事人とも言えるその動きに感心しつつも、ガロイカを引き連れイェッツトレジセイアの触手の群れの中を泳ぐようにして潜り抜けていく。もちろんただ潜り抜けている訳では無い。

 

「ニーズヘッグ。お前の実力を見せつけろ!」

 

 その言葉と共に湧き出た念動力にT-LINKシステムが反応。6枚のヒュドラが全て開き、それぞれの先端からビームサーベルが3本ずつ展開される。合計18本のビームサーベルを展開させたその姿のまま、まるで泳ぐようにして触手の中を通り過ぎる。もちろん通り抜け様にはT-LINKシステムを通してヒュドラを動かし、手当たり次第に触手を切断していく。

 

「馬鹿な、何だあの滅茶苦茶な武器は!」

 

 唖然とするような声がオープンチャンネルを通して聞こえて来る。聞き覚えのない声だ。となると恐らくヒューゴだろう。

 まぁ、現在のニーズヘッグは18本のビームサーベルを展開したまま動き回っているのだから、驚くのも無理はない。T-LINKシステムにより触手とガロイカが衝突してガロイカが破壊され、あるいは触手の動きが鈍っているのを見ながらそのままイェッツトレジセイア本体の近くまで移動し……

 

『紅き焔!』

 

 その横を通り抜け様にヒュドラに内臓されているグレートグランドマスターキーを通して魔法を放つ。

 

「っっっ!?」

 

 突然現れた炎の塊に顔面付近を焼かれ、声にならない悲鳴を上げるイェッツトレジセイア。その様子を見ながらツイン・ドライブを噴射して距離を取り、イェッツトレジセイアの様子を確認する。……よし、グレートグランドマスターキーも正常に機能しているな。魔法を使った消費SPも、ネギま世界よりは多いが、ホワイトスターで使ったように数十倍の消費とかではない。精々2~3倍程度だ。

 出来ればもっと攻撃力の強い『奈落の業火』や『燃える天空』辺りを使いたかったが、黒い炎なんて目立つものを使う訳にもいかないし、広域破壊魔法なんてもってのほかだ。それ等に比べると『紅き焔』は火炎放射器の類と誤認しやすいから使用しやすい。

 

「……ん? ちぃっ! クライ・ウルブズ、その場から一旦退け!」

 

 イェッツトレジセイアの様子を確認した次の瞬間、殆ど反射的に叫ぶ。

 そしてその叫びを聞いたアルベロ、ヒューゴは即座にイェッツトレジセイアから距離を取る。そこまでは良かった。だが。

 

「なんだって俺がシャドウミラーなんかの指示に……」

 

 不満気に呟きながらフォリアもまた距離を取ろうとして……

 

「フォリア!」

 

 ヒューゴの叫びがオープンチャンネルで聞こえてくる。だがその声は既に遅い。イェッツトレジセイアの身体から、まるで分裂するようにして幾つもの分体が姿を現す。一見するとアインストの骨や草。即ちアインストクノッヘンやアインストグリートそのままの存在だ。いや、グリートの方はアインストの時と比べて鎧が増えてるか? アインストのイェッツトバーション。イェッツトクノッヘンとイェッツトグリートだ。

 くそっ、やっぱりフォリアは他の2人よりも判断力が低いか。俺的には放っておきたい所だが、この場で戦力が必要以上に減るのは困る。咄嗟にヒュドラに装備されてるT.T.ランチャーを放とうとしたその時。

 

 斬っ!

 

 上空から落下してきたその機体が、フォリアの量産型ゲシュペンストMk-Ⅱへと襲い掛かろうとしていたイェッツトクノッヘンをその身体を構成している骨ごと一太刀で切り裂く。

 ニーズヘッグがPS装甲を展開する前と同じような赤い色がメインの機体色。そして両肩には鬼の面を模したかのようなバインダーらしきものがついている。その手に持っているのは日本刀に見える武器。そんな機体を俺は知っていた。

 

「ペルゼイン・リヒカイト」

「あらあら。妙な声に惹かれて来て見れば。お久しぶりですわね。どこかキョウスケと似た雰囲気を持った人」

「……アクセル・アルマーだ」

「そうそう。そんな名前でした。それで貴方は何故ここに?」

「お前と似たようなものだろうよ」

 

 手に持っていたアダマンハルパーでイェッツトレジセイアの方を指す。

 

「俺の機体がT-LINKシステムで奴を感じ取ったんでな。……お前のお仲間だろう? 説得出来ないの……か!」

 

 千に一つ、万に一つの可能性に賭けて尋ねつつ、ヒュドラ6基から伸びていたビームサーベルを再びビーム砲として発射。襲い掛かってきたイェッツトレジセイアの触手とガロイカを撃破する。

 

「それが、どうやら私の声が聞こえなくなっているようですのよ」

 

 どこか悲しそうな口調で告げるアルフィミィ。

 やはりイェッツト化しているせいか。

 

「ならお前のお仲間のATXチームはどうした?」

「キョウスケ達なら修羅とかいう方達の相手が忙しいらしくて」

 

 戦力的にも結局は原作通りか。

 

「ええいっ、いい加減にしつこい奴。お前は黙って時流エンジンをあたい達に差し出せばいいんだよ!」

 

 その声と共に数十のビームがニーズヘッグへと向かって飛んでくる。

 どうやらテュガティールの補機であるパテールと同時に放っているビームらしいが、そもそも時流エンジンを欲しいのに手足を狙わずに適当にビームをバラ撒くってのはどうなんだろうな。実際俺が回避しているビームはかなりの数がイェッツトクノッヘンとイェッツトグリート、そしてガロイカへと命中している。いや、これはこれで利用しやすいか。

 

「ファントムッ!」

 

 俺の念動力に従い、前方2基のヒュドラから16機のファントムが射出される。そしてそのファントムはニーズヘッグの周囲を覆うようにして展開し……次の瞬間テュガティールから放たれたビームがファントムに命中。反射して近くにいたガロイカへと着弾する。

 

「なっ! ビームを反射しただと!?」

 

 ヒューゴの声を聞きつつも、次々に放たれるビームを手当たり次第に反射していき……

 

「きーっ! あんまりセコイ真似をすんじゃないよっ!」

 

 ティスの苛立ち混じりの声が周囲へと響き渡るのだった。

 さすがに自分の攻撃が俺に利用されているというのは理解したのか、ビームの雨が止む。

 だが、当然そんな声を聞く必要も無い俺は、それらを無視してファントムを展開したままヒュドラから18門のビーム砲を発射。次々にファントムがそれらを反射させて周囲の敵へと着弾させて敵を一掃する。

 そのままニーズヘッグを左側のヒュドラ3枚のスラスターを使い急激に方向転換。イェッツトレジセイアの方へと向き直る。

 

「でかいのが行くぞ、巻き込まれるなよ!」

 

 イェッツトレジセイアの近くでイェッツトグリートとイェッツトクノッヘンと乱戦を繰り広げているクライ・ウルブズへと通信を送り、返事を聞く暇もなく右後方のヒュドラを展開。その中に組み込まれているメガ・バスターキャノンの砲口をイェッツトレジセイアへと向ける。

 

「っ!? ウルフ8、ウルフ9、一旦距離を取るぞ!」

 

 ニーズヘッグがどれ程の攻撃を放とうとしているのかが分かったのだろう。アルベロがHiビームカッターで目の前にいるイェッツトクノッヘンを斬り裂くとスラスターを全開にして距離を取る。それに続く2機をモニタで確認し、トリガーを引く。

 

「メガ・バスターキャノン、発射!」

 

 その声と共に放たれた巨大なビームは青白い輝きを放ちながらイェッツトレジセイアへと命中し……100mを越える大きさのうち、おおよそ3割程を消滅させる。

 

「すげぇ……」

 

 フォリアの驚愕するような声がオープンチャンネルに流れ。

 

「あらあら、まぁまぁ、ですの」

 

 アルフィミィの唖然とした声が聞こえて来る。

 だが……次の瞬間にはイェッツトレジセイアは消滅した端から再生していく。

 

「ちぃっ、敵が大きすぎる。メガ・バスターキャノンでも1撃だけじゃ破壊しきれないか!」

「いえ、そんな事はありませんよ」

 

 唐突に声が響き、かなりの速度で新たな機体が戦場に侵入してくる。

 黒に近い藍色の装甲色であり、重装甲そのものを表現したような機体を俺は知っていた。即ち……

 

「グランゾン」




アクセル・アルマー
LV:40
PP:360
格闘:270
射撃:290
技量:280
防御:280
回避:310
命中:330
SP:478
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    ギアス(灰色)
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    ???

撃墜数:459

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