転生とらぶる1   作:青竹(移住)

556 / 3408
0520話

「アクセルさんですか?」

 

 イスルギ重工のヘリポートに量産型Wの操縦していた戦闘ヘリが着地すると、恐らく前もって連絡がいっていたのだろう。すぐに30代程のきっちりとしたスーツを着込んだ男がそう声を掛けてくる。

 

「ああ。詳しい話は聞いてるか?」

「はい。占拠されたベトナムの工場を解放して貰えるとか。レイディバード2機は既に用意してありますが、機体の方はどちらに?」

「すぐに持ってこさせる。それよりもレイディバードの発進準備はどうなっている?」

「整備や機体のチェック、補給といったものが必要ですので大体1時間程必要です」

「そうか。ならレイディバードの方に案内してくれ」

「はい。その……そちらの方々も、ですよね?」

 

 恐る恐るといった様子で量産型Wへと視線を向ける男。

 ……まぁ、顔全体を機械で覆っているんだからそれも無理はないか。

 

「ああ。別に特に何がある訳でも無いから気にしなくてもいい。それよりもどこか休める場所はあるか? 俺以外のメンバーは休ませておきたい」

「あ、はい。えっと……ちょっと待ってて下さい。おい!」

 

 男が叫ぶと、数人の部下らしき男達がやってくる。

 この様子を見る限りだと、この男はそれなりにお偉いさんなんだろう。まぁ、社長であるミツコから直接指示が来たと考えればこの腰の低さも分からないではないが。

 

「それと、ミツ……いや、社長はいるのか?」

「いえ。今は伊豆基地の方に所用で……」

 

 伊豆基地ね。となるとケネス辺りと何かやり合ってるのか?

 

「俺はちょっとレイディバードの方に機体を搬入してくるから、お前達は休憩しててくれ」

「分かった。これから忙しくなりそうだし、英気を養うとするよ」

 

 ムウがそう言い、何やら怒っているイザークを引っ張ってイスルギ重工の社員に案内されて会社の中へと入っていく。

 

「何も無いと思うが、一応あいつらの護衛として付いていけ」

『了解』

 

 声を揃えた量産型Wがその後に続き……

 

「で、何で残っているんだ?」

 

 何故か俺の側に残っていたコーネリアへとそう尋ねる。

 

「特に理由はないが……アクセルと一緒にいたかっただけだ」

「そうか。コーネリアがそれでいいんなら好きにしろ。俺がお前を拒む事は有り得ないしな」

 

 迎えの男から嫉妬混じりの視線を受けつつ、エレベーターを使って1階へと降りる。

 ……まぁ、コーネリアは鋭い目つきをしていてキツめではあるが、間違い無く最高クラスの美人だ。そんな美人にああいう台詞を言われる俺を羨ましく思うのは無理もないだろう。

 

「では、こちらへ」

 

 そうして男に案内されてイスルギ重工に併設されている飛行場へと到着する。にしても、ヘリポートはともかく飛行場まで併設されているとか、さすが世界最大の兵器会社と言うべきか。

 

「……こうして見ると、私達の所とそう代わりはないのだな」

 

 正確には私達の世界と言いたいのだろうが、案内人の男がいる為に誤魔化しているのだろう。

 

「まぁ、この辺はな。宇宙への打ち上げ施設とかその辺があればもっと変わってくるんだろうが。……さすがにイスルギ重工とは言っても会社の敷地内に打ち上げ施設なんて作るのは難しいだろうし」

 

 男の案内に従い、そんな風に会話をしながら進んでいるとやがて滑走路の近くに待機している2機のレイディバードの姿が見えてくる。

 

「あの2機か?」

「はい。責任者を呼んできますのでちょっと待ってて下さい」

 

 こうして見ると、既に整備の類は終えており残っているのは補給と最終チェックくらいか。なら今のうちに……

 

「コーネリア、俺は空間倉庫から機体を出しておくから責任者とやらの相手を頼む」

「ん? それは構わんが……いきなり9機も機体が現れれば向こうも怪しむのではないか?」

「その可能性もあるが、社長と繋がっている俺達に対して不用意な真似はしないだろうよ。もしそんな事が発覚すれば間違い無く色々と酷い目に遭わされるだろうしな」

 

 何しろお仕置きで殺し屋を差し向けるような性格なのだ。しかもそれが自分達の上司であり最高責任者であるのなら、そんな人物を怒らせたいと思う者は少ないだろう。

 あるいは余程の天の邪鬼ならその可能性もあるかもしれないが、先程の様子を見る限りではあの男はごく普通の人間に見えたしな。

 

「そうか。なら構わんぞ。私はここで待っているとしよう」

 

 コーネリアの言葉を聞き、レイディバードの格納庫へと向かっていく。

 まず片方に量産型Wの使用する量産型ゲシュペンストMk-Ⅱ5機を空間倉庫から出し、もう片方にはエルアインスを3機にラピエサージュを1機。もちろんそれぞれの武装の類を出すのも忘れない。

 空間倉庫から出すだけなので特に手間暇が掛かった訳でも無く、コーネリアの場所に戻ると俺達を出迎えた男と、ここの責任者らしきツナギを着た男がいた。

 

「アクセルさん、どうしたんですか?」

 

 男の声に小さく肩を竦める。

 

「済まないがちょっと用事があってな。レイディバードに機体を積み込ませて貰ったぞ」

「……え? この短時間で、ですか? そもそも機体をどこから持ってきたんです?」

 

 混乱してるように尋ねてくる男に、笑みを浮かべて小さく首を振る。

 

「悪いがその件については秘密だ。お前達の社長も知っているとだけは言っておくがな。だから妙な詮索はしない方が身の為だぞ?」

 

 俺が何を言っているのか理解したのだろう。ビクリと身体を震わさせる男をそのままに、ツナギを着た男の方へと視線を向ける。

 

「それでレイディバードが出撃可能になるまでどのくらい掛かりそうだ?」

「あー、そうっすねぇ。20分……いや、30分くらいですか。機体に関してはもう運び入れたって事でいいんすよね?」

「ああ。そっちに関しては完了している」

「なら20分で。だからもうそろそろ乗り込んでも構いませんよ?」

「そうか。……おい、悪いがさっき別れた俺の部下達を呼んできてくれないか?」

「は、はい。すぐに!」

 

 余程俺とミツコとの繋がりが衝撃だったのか、小さく頷くと走って去って行く男。

 そこまで怯えなくてもいいと思うんだがな。まぁ、イスルギ重工がここまで発展してきたのはミツコの商才によるものである以上はしょうがないんだろう。

 そんな後ろ姿を見送り、ツナギの男に改めて声を掛ける。

 

「じゃあ、悪いが準備の方をよろしく頼む。早く済ませるよりも確実に済ませてくれ」

「分かったっす。イスルギ重工本社付きの整備士の実力を見せてやるっすよ」

 

 笑みを浮かべてそう宣言すると、小さく頭を下げてツナギの男も去って行く。

 それを見送った俺とコーネリアは早速レイディバードへと乗り込むのだった。

 

「さて、悪いがちょっとやる事があるんでな。暫くはこっちに集中させて貰うぞ」

「ああ。構わない」

 

 そう言いつつ機内の中にあった紙コップで何かを飲んでいるコーネリア。この香りから言って紅茶だろう。

 仮にもギアス世界の皇族が紙コップで飲むような紅茶を特に何も言わずに飲むのは軍人として育って来た故か、あるいはホワイトスターで俺と一緒に暮らし始めた為か。……絶対に後者だな。

 そんな風に考えつつ、空間倉庫から紙とペンを取り出す。

 そして上級修羅であるメイシスへと。そしてその恋人でもあるアルティスに対しての手紙を書こうとしてふとその動きを止める。

 

「……待てよ?」

「アクセル?」

「ああ、いや。何でも無い」

 

 不思議そうに尋ねてきたコーネリアに首を振り再び目の前の紙へと視線を向ける。

 そもそも修羅というのは修羅界で生きてきた者達だ。そんな相手にこっちの文字が読めるのか? そんな疑問が湧いてきたのだ。

 だがすぐにそれに対して首を振る。何しろ普通に言葉は通じているのだ。文字も同様と考えた方がいいだろう。それに最悪、フォルカが誘拐したコウタの妹のショウコがいるんだから何とかなると思う。

 さて、そうなると手紙に書く内容だが……まず、俺が修羅達の存在を把握している事、その中でもメイシスを通してその恋人であるアルティスへと手紙を送った事。そしてこちらに協力するのなら修羅の掟以外の、つまりは俺達の常識で動く事にはなるが1つの星を開拓する為に手を貸してくれればそこに居住する許可を与えられる事を書く。

 そして最後にはこの手紙を送った俺、アクセル・アルマーが所属する組織であるシャドウミラーには高い技術力があり、大抵の病は治療が可能であると匂わせる。

 これでアルティスが自分の病を治療する為にこちらと接触する可能性が増えるだろう。あるいは怪しむかもしれないが、それは直接接触した時に修羅の未来と自分の矜持のどちらを選ぶとでも尋ねれば問題は無い。

 軍師であるミザルやその部下であるアルコに気を付けるように書くべきかどうか迷ったが、確かミザルの修羅王になると言う野望は殆どの修羅に知れ渡っていた筈だから特に書く必要はないだろう。こちらが知ってる情報を過剰に与えて警戒心を高めすぎるのも問題だしな。アルコに関しては……暗殺を実行するのは暫く後だからこっちも今はいいか。とにかく、俺が修羅達の故郷となり得るネギま世界の火星を提供出来ると示すのが第一か。もっとも、その場合は火星のテラフォーミングが前提条件になるんだが。

 そして最後に、言うまでも無いがこの件はあくまでもメイシスとアルティス2人以外は漏らさないように、と。ああ、そうそう。こっちと連絡を付ける方法については……迂闊にこっちの通信コードを教える訳にもいかないな。もし何かのミスでデュミナスにその辺を知られると妙なウィルスとかを流される可能性がある。その辺の能力は無いと思うんだが、精神攻撃やら呪いっぽい攻撃をしてくるので完全に無視は出来ないんだよな。そうなると、こっちとの連絡手段はどこかの第3者を経由するのがいいんだろうが……まさかイスルギ重工って訳にはいかないだろう。ますますミツコに借りを作る事になってしまう。イスルギ重工にしても、基本的に修羅達のような世紀末的な奴が多いから商売にならないだろうし。

 かと言って、まさか修羅にこっちの世界のどこか特定の場所に言伝を頼むというのも……いや、今現在俺達がこの世界で頼れるのはイスルギ重工だけであるのは事実だ。そうなるとやっぱり連絡手段については決めないでおいた方が良さそうだな。いずれ修羅達との戦いで接触する時もあるだろうから、その時までに態度を決めておくなり検討しておくなりしてもらうとするか。

 そうなると、いつ実際に顔合わせを出来るか分からない以上はやはりアルコについてはともかく、暗殺には気を付けるように書いておいた方がいいだろうな。理由はこれまでの修羅としての生き方を捨てる以上は、それを厭う者から狙われる可能性があるという感じでいいか。

 実際にこれも嘘じゃない。もし俺との取引を受けて、これまでの暴れていればそれで良かった今までの修羅としての生き方を捨てなければならないという選択をした場合、当然多数の修羅に恨まれる事になるだろう。それを許容するのは修羅としての生き方に疑問を持っているフォルカと、戦いの動機がアルティスの為という恋人のメイシス。そしてメイシスに心酔して配下となっているシトリーを操る女修羅達だけの可能性が高い。

 あるいはフェルナンドもミザルに誑かされていなければそっちに組みするかもしれないが……その辺は状況次第か。

 取りあえず大まかに手紙を書き上げ、封筒に入れて封をする。

 そして一息吐いた時、丁度ムウとイザークの2人がレイディバードへと到着した。

 

「聞いてたよりも随分と出発が早いな」

「それだけイスルギ重工の整備員達は腕が良かったんだろう」

 

 ムウの言葉にそう返し、出撃するまでの時間を雑談して過ごすのだった。




アクセル・アルマー
LV:40
PP:300
格闘:270
射撃:290
技量:280
防御:280
回避:310
命中:330
SP:478
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    ギアス(灰色)
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    ???

撃墜数:447

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。