転生とらぶる1   作:青竹(移住)

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0486話

 現在の俺のSPは350程度。オルレアン研究所の廊下からコンピュータのある部屋への転移については近距離だった影響もあって殆どSPの消費はせずに済み、消費したSPに関してもデータのコピー中に大幅に回復出来ていた。その為、地下5階までの転移に関してはほぼ問題無く出来たのだ。そして……

 

「ここまでこっちの予想通りに動いてくれるとは、な」

 

 現在俺がいるのは、オルレアン研究所の地下5階にあるハンガーの中でも整備用大型機械の影になっている場所だ。幸い機械と機械の間にある空間である為に、ハンガー内を警護している30人近い警備兵達から見つかるような事は無い。

 ここに警備兵を集めたのは、恐らく俺の目的がここにある各種新型機であると見抜いたからなのだろう。あるいは、ハッキングプログラムで疑似的にだが他のコンピュータとネットワークを切断していたコンピュータにどうやってか接続して、操作ログの類を読み取ったのかもしれない。

 まぁ、どのみち魔法の存在を知らない以上はこんな場所に潜んでいる俺を見つけるような真似は出来ないだろうが。

 向こうからは俺が見つけられない。そして俺からはスライムを通して周囲の動きをほぼ完全に掴んでいる。状況的には俺が圧倒的に有利なのだが……かと言って、このままここで無駄に時間を費やしてしまえば、このハンガーにある機体を一旦外へと運び出すか、あるいは他のハンガーへと移動させる可能性もある。そうなると色々と二度手間になって面倒な事になるだろう。

 

「なら行くしかない、か」

 

 呟き、再度SPの値を確認してから再び影のゲートを展開。目星をつけていたコンテナの中へと影を繋げて移動する。

 目に入ってきたのは、間違い無くヒュッケバイン系列の機体で間違い無い。これは最初から当たりを引いたか? そう思ってコンテナの中にある機体をしっかりと確認していくが――暗闇に関してはバイザーの暗視装置や混沌精霊の力で問題無い――思わず溜息を吐く。

 俺が目の前にある機体は、確かにヒュッケバインだ。それは間違い無い。だが、俺の目的であるヒュッケバインMk-Ⅲではなく、ブラックホールエンジンを積んでいる初代のヒュッケバインだった。

 正直に言えば、この機体も非常に欲しい。ここでこのヒュッケバインを入手してしまえば、わざわざマオ社に潜入する必要もないのだから。だが……

 

「無理、だよなぁ」

 

 この機体。初代ヒュッケバインはヒリュウ改やハガネに集まる戦力の中でも最高峰の性能を持つ機体だ。部隊の性質上、各種最新鋭機が集まるヒリュウ改やハガネの中でそれなのだから、初代ヒュッケバインの高性能さが分かるだろう。

 ……つまり、この機体を俺が入手してしまうとヒリュウ改やハガネの戦力が著しく落ちてしまうのだ。

 これが俺の元々の目当てであるヒュッケバインMk-Ⅲならまだいい。リョウトが使っている機体と合わせて2機あるので、最終的に戦力はある程度ダウンするだろうが、それでもまだ挽回可能な戦力なのだ。だが、オンリーワンと言ってもいい初代のヒュッケバインは……

 

「諦めるしかない、か」

 

 呟き、溜息を吐きながら何気なく周囲を見回し……ソレに気が付く。

 まるでヒュッケバインに使われるように並べられているその存在。最初はてっきりヒュッケバイン最強の武器であるブラックホール・キャノンかとも思ったのだが、砲身の長さが……そして武器自体の大きさがブラックホール・キャノンよりも1回り、いや2回りは小さい。となるとこれは……っ!? そうか。確かヒュッケバインやヒュッケバインMk-Ⅲと一緒にヒリュウ改やハガネに追加される戦力のグラビトン・ランチャーか。

 換装武器の中でも最も高性能、高威力な武器。武器の地形適応もオールSとOG外伝の中では破格の性能だ。ヒュッケバインは持っていくのを諦めるしかないが……

 

「これは頂いていくか」

 

 呟き、グラビトン・ランチャーへと手を触れて空間倉庫へと収納する。

 

「さて、次だ」

 

 再び影のゲートを展開し、今いるコンテナの隣にあるコンテナへと移動し……

 

「よりによってこれか」

 

 目の前にある機体に思わず苦笑を浮かべる。

 何しろその機体は色々な意味で趣味的な機体であり、某国の王女が乗る機体と対になる機体。即ち、フェアリオン・タイプS。20m前後のPTやAMが多い中で、15m弱しかない機体だ。

 さすがにこれは持って行く訳にはいかないだろう。ラトゥーニが乗る機体としてはこれ以上がない程のスペックを誇るし、合体攻撃も強力だ。ヒリュウ改やハガネの部隊でも上位に位置する性能なのだから。

 それに……

 

「これを持って帰っても、誰が乗るのかという問題があるしな」

 

 どう見ても趣味に走ったとしか思えないその外見。性能だけで考えれば全く問題が無いのだが、この機体に好んで乗りたがる奴がいるとも思えない。

 ……いっそイザークに乗せてみるか?

 ふとそんな悪戯心が心に浮かぶが、色々と酷い目に遭いそうなので取りあえず止めておく。

 

「……次だ、次」

 

 再び影のゲートを展開。隣にあるコンテナに移動し……

 

「ようやく、か」

 

 そのコンテナの中にある機体へと視線を向けて安堵の息を吐く。ヒュッケバイン特有の、どことなくガンダムを思わせるその顔付きに、背中の部分に装備されているマルチトレースミサイルが収納されている2つのマルチコンテナ。その特徴的なシルエットは俺の探し求めていたヒュッケバインMk-Ⅲで間違い無い。研究室で情報を引き出した機体データによると、現状で既にプラズマジェネレーターからトロニウム・エンジンへと変わっているらしい。と言うか、OGsの時には既に変わっていたのだろう。

 ようやく入手した、この世界に来た最大の目的の1つ。その脚の部分へと触れながら呟く。

 

「収納」

 

 次の瞬間には、コンテナの中にあった筈のヒュッケバインMk-Ⅲは空間倉庫の中へと消え、コンテナの中には何も無くなっていた。初代ヒュッケバインの時のように換装武器の類があるでもなし、もうここには用は無いな。

 そう思った瞬間だった。俺の乗っているコンテナが突然動き出したのは。

 ……もしかして俺がこの中にいると知られたのか? 影のゲートで転移して移動している以上はそんな心配はいらない筈なんだが。

 念の為にスライムの触手を出して、例の如く数mm程度まで細めた上でコンテナの端を溶かして表へと出す。

 

「おい、ここにあるコンテナを全部運び出すって……何でまた急に?」

「お前今この研究所で何が起きてるのか知らないのか!?」

「ああ。ここ数日程ここにある機体達のメンテで大忙しだったからな」

 

 その声と共に、コンテナをコンコンと叩く音が聞こえてくる。

 

「それがようやく完了して、一休みしようとした所でこの騒ぎだ。……何があった?」

「俺も話を聞いただけだが、何でもこの研究所に侵入者がいるらしい。それも相当腕の立つのが」

「……マジか」

「ああ。何しろ映像とかを引っ繰り返してもどこにも侵入者が映っていないってんだから、相当の腕利きなんだろうよ」

 

 どうやら俺がこのコンテナの中にいるのを特定されたという訳でもないらしいな。

 安堵しつつスライムを空間倉庫へと収納。

 このままここにいて、泥沼の如く俺の件が知られるのも困るのでさっさとお暇するとしようかね。

 脳裏にステータスを表示するとSPの現在値は250。……ちょっと数値的に不安があるが、このままここにいる訳にも行かないしな。

 そのまま影のゲートを展開し、その中へと身を沈めていく。

 

 

 

 

 

「……ふぅ」

 

 影の中から現実の世界へと戻って安堵の息を吐く。現在俺がいるのは、オルレアン研究所から数百m程離れた場所だ。本来であればもっと研究所から離れた所に出たかったのだが……

 

「ギリギリだった、な」

 

 脳裏に表示されたSPの値は15。つまりはこの距離が影のゲートで転移出来る限界距離だったのだ。いや、残り15もSPがあればもう少しは距離を稼げたかもしれないが、以前魔法世界でSPを0になるまで魔法を使った時に気絶した事を思い出したので念には念を入れた形だ。

 オルレアン研究所の方へと視線を向けると至る所に明かりが点けられており、同時に警備員達が活発に動き回っているのが分かる。恐らく研究所内に侵入した人物、つまりは俺を捜しているのだろうが……

 

「ご苦労さんっと」

 

 呟き、その場から離れていく。

 さすがにこの距離で何らかの乗り物を使おうとすればオルレアン研究所の警備員達に知られるだろうしな。

 そのまま数km程離れると、空間倉庫の中からASRSの装備されているソルプレッサを取りだし、ブロワへと戻るのだった。

 

 

 

 

 

「戻ったぞ」

 

 ブロワで俺達が泊まっているホテルの、ムラタの部屋へと顔を出してそう告げる。

 

「……そうか、早かったな」

「早いか?」

「それはそうだろう。今日オルレアン研究所に忍び込むと決めて、その日のうちに忍び込んで無事目的を達して戻って来たのだからな」

「まぁ、確かにそう考えれば早いのか。とにかくここでの目的は達したから明日には俺達の本拠地に戻るぞ。そのつもりでいろ」

「承知した。……俺よりも腕が上だという剣士との死合を楽しみにしている」

 

 獰猛な笑みを浮かべつつそう告げるムラタだが……無明に乗ってるならまだしも、生身の状態で神鳴流とやり合って勝てるとは思えないんだがな。まぁ、それに関しては実際に経験して貰うのが一番だろう。

 

「それで、欲しがっていた機体はどうしたのだ? 無明やミロンガを預けてある場所に置いてきたのか?」

「いや、機体の運搬についてはこっちで手を打ってある。……そうだな、明日になったら自然と分かるさ」

 

 ちなみに今のムラタの言葉でも出て来たように、無明とミロンガに関してはこのブロワにあるイスルギ重工の傘下に入っている企業の倉庫に預けてある。最初に俺達がその倉庫に到着した時にはバルトール事件を受けてミロンガを知っていたのだろう整備員達が半ばパニックになっていたが……それもミツコを通してのやり取りで何とか落ち着いた。

 

「そう言う訳で、明日の朝は早めにここを出る。……今更だが、無明にはASRSが搭載されているんだよな?」

「うむ。俺としてはあまり好みではなかったのだが、ロレンツォにどうしてもと言われて仕方なく……な」

 

 どこか不満そうに呟くムラタ。

 まぁ、DC残党としては隠密行動を行う上で必須になるASRSを取り付けないという選択肢は無かったのだろう。例えそれがムラタの本意に沿わなくても。

 それを理解したからこそ、ムラタも渋々それを受け入れたと言った所か。

 

「さて、じゃあそろそろ寝るぞ。明日は色々と忙しくなるからな」

「うむ。俺としても楽しみだ」

 

 軽く挨拶をして、自分の部屋へと戻るのだった。

 ちなみにミツコに連絡を取ろうとしたが、バルトール事件で忙しいのか連絡が取れなかった。その為に目標達成したという簡潔なメールだけをプライベート用のアドレスへと送っておいた。

 

 

 

 

 

 翌日。俺の姿は空の上にあった。ただし乗っているのはミロンガではなくASRSを装備しているソルプレッサだが。何しろミロンガにはASRSが装備されていないので、ゲートの場所を嗅ぎつけられる可能性があるのだ。例えその可能性が万が一、億が一であったとしても、念には念を入れておくべきだろう。

 ミロンガをどうした? とは当然聞かれたが、それに関してはヒュッケバインMk-Ⅲと一緒に別口で移動させると言っておいた。……一応、嘘は吐いてないよな。実際に俺の空間倉庫という別口でゲートに移動中なんだし。

 そしてそのまま空を飛び、数時間程度で日本の人気がかなり少ない山中へと到着する。

 

「……アクセル、ここがお前達の本拠地だと言うのか?」

 

 不思議そうに尋ねてくるムラタの言葉を誤魔化し……やがて、見覚えのある倉庫へと到着。地上へと着地する。

 最初にソルプレッサはともかく無明を見つけた量産型W達が物陰に隠れて銃を構えていたが、ソルプレッサから降り立った俺を見つけて前へと出て来る。

 

「っ!? 俺が、隠れている者達に気が付かなかった……だと?」

 

 物陰から出てきた10人近い量産型Wに愕然とした声を上げるムラタ。

 確かに以前の、インスペクター事件辺りの量産型Wならムラタも隠れているのに気が付けただろう。だが、今の量産型Wはあの頃に比べて格段の技術的な進歩を遂げているのだ。これまでの世界で俺が……否、シャドウミラーが入手してきた技術によって、今の量産型Wはそれこそ一流と超一流を分け隔てている壁を破りつつある。その為にムラタと言えども気が付かなかったのだろう。

 そんなムラタに、倉庫の扉を開けながら笑みを浮かべて振り返る。

 

「ようこそ。シャドウミラーの本拠地、ホワイトスターへと繋がるゲートへ」




アクセル・アルマー
LV:40
PP:125
格闘:270
射撃:290
技量:280
防御:280
回避:310
命中:330
SP:478
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    ギアス(灰色)
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    ???

撃墜数:412

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