転生とらぶる1   作:青竹(移住)

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0455話

「アクセルさん?」

 

 ネギと話をしていると、そう声を掛けられる。声のした方へと振り向くと、そこにいたのは髪を三つ編みにしており眼鏡を掛けたおでこの広い人物だった。また、麻帆良の制服の上から白衣を着ている。

 そう、茶々丸の開発者の1人でもある葉加瀬聡美だ。

 俺がエヴァの別荘にいるのが意外だったのか、その眼鏡の中の目を丸くしてこちらを見ている。

 

「葉加瀬、待ってたぞ」

「え? 私をですか?」

「ああ。ちょっと相談とかがあってな。あー……少し場所を変えるか」

 

 一応大まかな話はネギにしたが、細かい所まで話すとネギの方でこっちに首を突っ込んでくるかもしれないしな。今は魔力タンクの開発に専念して貰いたい。

 

「えっと……ネギ君、いいですか?」

「あ、はい。こっちはこっちで色々と考えて開発を進めてますので構いませんよ」

 

 ネギの許可を得て、少し離れた所に移動する俺と葉加瀬。

 

「……で、相談ってなんでしょう?」

「さて、何と言うべきか……そうだな、この前の完全なる世界の戦闘とかは見てたか?」

「え? ええ。一応は。……あの虫型のロボットとか人型機動兵器はアクセルさんの組織のものなんですよね。茶々丸やエヴァさんに聞きました。……もしかして、私にその技術を教授してくれると言うんですか!」

 

 先程までの大人しさはどこへやら。予想外に食いつきがいいな。

 俺の方がかなり身長が高いというのに、得体の知れないプレッシャーに押し負けそうな迫力だ。

 食い付いてきている葉加瀬を落ち着かせてから説明を開始する。

 

「ちょっと近いな。実はあの時に俺が乗ってた機体は既に俺の反応速度に付いてこれない状態でな。数回も戦闘をこなすとオーバーホールをしないといけない程に関節部分が消耗するんだ。で、俺がこの世界に転移する前から新型機の開発を進めていたんだが……」

 

 空間倉庫からグレートグランドマスターキーを取り出す。

 

「折角こういう良い物を手に入れたからな。どうせならこれを新型機に組み込んでみようと思った訳だ」

「……それが、グレートグランドマスターキー……」

 

 科学の使徒である葉加瀬に取っては、まさに魔法の象徴。正反対にある存在。俺が手に持つ巨大な鍵へと複雑な視線を向けている。

 

「だが俺達の組織は今までずっと科学一辺倒でやって来ただけに、魔法についての知識を持ってるのは俺しかいない。……その俺にしても、魔法の知識とは言ってもあくまでも実践的な物に限られるしな。で、そこで思いついたのが科学と魔法のハイブリットである茶々丸の制作者の1人である葉加瀬だった訳だ」

「……でも、グレートグランドマスターキーを組み込むと言っても……どんな機能になるんですか?」

 

 葉加瀬のその質問に笑みを浮かべる。

 実はこのグレートグランドマスターキーをネギから預かって以降、暇を見つけては少しずつ調べていたのだ。魔法世界でならまさに神とでも呼べる程の効果を発揮する代物だ。魔法世界以外でも、何らかの効果があるのではないかと。で、調べた結果が……

 

「ちょっと迂遠になるが、葉加瀬が知ってる以外にも他の世界があって俺はその他の世界……いわゆる平行世界から来た。これは知ってるな?」

「え? ええ。茶々丸やエヴァさん、超さんから聞いてます」

「なら話は早い。一昨日、昨日、今日と俺はあっちの世界で魔法を使おうとして気が付いたんだが、この世界以外だと魔力を大量に……しかも不規則に消費するんだよ。例えば初心者用の魔法である『火よ灯れ』を使うのに『燃える天空』を使う時以上の魔力を消費する事もある訳だ。……運が良ければそこまで消費しないにしろな。だが、このグレートグランドマスターキーを魔法発動体として使えば違う。当然この世界で魔法を使う時以上の魔力は消費するが、それでも一定範囲内に収まっているというのが分かってな」

 

 俺の話を聞いていた葉加瀬は頷きながら目を好奇心で爛々と輝かせる。

 

「つまり、アクセルさんはこのグレートグランドマスターキーを新型の機体で魔法を使う為の魔法発動体として使いたい、という訳ですね」

「そうなる。その辺の調整を頼みたい。それと、技術班に対しての魔法と科学の融合についての講師とかだな。その分、技術班からは葉加瀬に対して科学の方で色々と教えたりすると思うが……どうだ?」

 

 そう尋ねた俺の言葉に対する反応は非常に早かった。それこそコンマ数秒すら考え込まずに頷く。

 

「はい、もちろん引き受けます。是非とも私にやらせて下さい!」

「そうか。こっちとしても助かる。暇が出来たらホワイトスターの方に来てくれ。ゲートは知ってるな?」

「ええ。女子寮の近くにある丘に出来た奴ですよね。今は丘の周囲を板とかで覆ってますけど……入っても大丈夫なんですか?」

 

 言葉だけを聞けば不安そうなんだが、その目には明らかに好奇心が満ちている。

 そんな葉加瀬の様子に、どことなくホワイトスターにいる技術班の面々を思い出しながら頷く。

 

「ゲートに関しては俺から言っておくから明日以降は問題無く通れる筈だ。じゃあ、そういう事でよろしく頼むな」

「はい! 是非お任せ下さい!」

 

 葉加瀬にしては珍しいくらいに笑顔を浮かべながらネギの下へと向かうのを見送り、俺もまたやるべき事をやるべく空間倉庫から時の指輪を取り出す。

 何しろ魔力で時の指輪を起動してあるのは1つだけであり、レモンの意向によってコーネリア、マリューにも同時に渡して欲しいというのがあったのだ。今は全員が色々と忙しいから急かされていないが、なるべく早い内にいつでも渡せるようにしておいた方がいいだろう。

 で、魔力を込めるという時点でホワイトスターやSEED世界でやるのは無理、麻帆良は学園結界があるからこれもまた無理。自然と麻帆良の外か、エヴァの別荘が候補に挙がった訳だが……まぁ、今回は葉加瀬の問題もあったのでここでやる事になった訳だ。

 

「ふぅ……」

 

 時の指輪を持ち、意識を集中して魔力を右手へと集め……時の指輪へと送り込む!

 轟っ!

 俺の身体から大量の魔力が溢れ出し、周囲に魔力の奔流による嵐のようなものを紡ぎ出す。

 

「ア、ア、ア、ア、アクセル君!? 一体なにやってるの!」

 

 魔力に驚いたネギがこちらへと向かって来るのがチラリと見えたが、俺はそれを気にせずにひたすら魔力を時の指輪へと注ぎ込んでいく。

 俺の、人外染みた魔力。即ちSPがあって初めて可能な時の指輪の起動。それを為すべくただひたすらに魔力を込めていき……ステータスのSPが残り1桁になったその時。俺の手に握られていた時の指輪が眩く光り、周囲を青い光で照らし出す。

 

「……よし、これで1つ目が完了だな。2つ目は……魔力が回復するまで暫く待つか」

「暫く待つか……じゃないよ! 何!? あんな馬鹿魔力を出して一体何をしたのさ!」

 

 頬を引き攣らせているネギに、持っていた時の指輪を見せる。

 

「ちょっとこのマジックアイテムをな」

「……このマジックアイテムは?」

「魔法世界で手に入れた奴で、時の指輪という。まぁ、簡単に言うと嵌めた者を不老にするマジックアイテムだな。あくまでも不老であって不老不死じゃないのがポイントだ」

「不老って……アクセル君はもう混沌精霊になってて半ば不老不死に近いのに、何でわざわざ?」

 

 引き攣らせていた頬を元に戻し、不思議そうに尋ねてくるネギがそう尋ねてくる。

 

「何、俺が使う訳じゃないからな。ネギは俺の記憶を追体験したから分かってると思うが、俺がリュケイオスで平行世界に転移するとその世界とホワイトスターでは時差が生じる訳だ。平行世界で1月過ごした結果、ホワイトスターでは1日とか……あるいはその逆もな」

 

 前者がSEED世界やこのネギま世界であり、後者がコードギアスの世界だ。

 

「なら可能性としては平行世界で1日過ごしたのに、ホワイトスターでは30年過ごしていたとかにもなりかねない。それどころか、100年という可能性もあるかもしれない。そんな風に恋人達と死に別れるのは御免だからな。元々俺がネギと一緒に魔法世界へと旅だった最大の理由がこの手のマジックアイテムだった訳だ」

 

「そうなんだ……うん、変に責めるような事を言ってごめん」

「別に気にする必要は無いさ。いきなり自分の近くであのレベルの魔力が集中すれば、何が起きたか気になるのは当然だ。それを前もって言っておかなかった俺のミスでもあるしな」

「でもあんなに魔力が集中して……集中? あぁっ!? そうか! 魔力が集中すればする程霧散するのに時間は掛かる。つまりはより凝縮させて保存させる事が出来れば運搬途中で消費する魔力の量も少なく……ありがとう、アクセル君。おかげで何とかなるかも! 葉加瀬さん! ちょっと来て下さい。相談したい事があります!」

 

 ペコリと素早く一礼し、そのまま葉加瀬がいる方へと走っていくネギ。

 その姿を見送り、俺は魔力が回復するのを待って残り1つの時の指輪を起動させるのだった。

 

 

 

 

 

「アクセル君!」

 

 エヴァの別荘を出て、ゲートでホワイトスターに戻るべく女子寮の方へと向かっていると、唐突にそう声を掛けられる。

 振り向くと、そこにいたのは円、美砂、桜子の3人。

 

「いつも通りと言えばいつも通りだが、最近だと逆に珍しい組み合わせだな」

「にゃはははは。円も美砂も魔法少女になってたからね」

 

 笑みを浮かべながら円と美砂の2人へと視線を向ける桜子。

 

「ちょっ、桜子。魔法少女はやめてってば」

「まぁまぁ。円も落ち着きなよ。魔法少女もそれなりに需要があるんだから」

「無いわよ! ……いや、リアル魔法使いがいるんだからあると言えばあるのかも」

「そうそう。円も美砂もリアル魔法使いなんだしね」

「……実は桜子、魔法について秘密にされてて怒ってたりする?」

「別に怒ってなんかないよー。ただ、クラスでも私と鳴滝ズだけが知らなかったとかぜーんぜん気にしてないしー」

 

 そうは言いつつも、口を尖らせているその表情は全身で言ってる事と態度が逆であると主張してるんだが……

 

「ほら、だから今日はそのお詫びにカラオケに付き合って上げるって言ってるじゃない」

「クレープも付けて欲しいなー」

「分かったわよ。ゴーヤでいいのね?」

 

 こうして桜子と話している円を見ると……

 

「父親と娘……」

「プッ、ア、アクセル君。それ的確すぎ!」

 

 思わず漏らしたその呟きを聞いた美砂が吹き出しながらバンバンと俺の背中を叩いてくる。

 

「ちょっと、アクセル君! 美砂も!」

 

 がーっとばかりに怒鳴ってきた円に軽く謝り、改めて桜子の方へと視線を向ける。

 

「この姿の俺を見て、よくアクセルだと認識したな」

「うーん……何となく?」

 

 いや、何となくで正体を見破るとか……これも豪運の為せる技か?

 

「それよりもさ、円と美砂が奢ってくれるって言ってるしアクセル君も一緒にカラオケに行かない?」

「あー、悪い。俺は俺で色々と忙しくてな。どこまで聞いてるかは知らないが、ちょっとした一大プロジェクトに関わってるんだ」

「あ、聞いてる聞いてる。火星をリフォームするって奴でしょ?」

「……リフォームしてどうするの。テラフォーミングよ、テラフォーミング」

 

 疲れた顔で突っ込む円。

 

「ふーん、そうなんだ。じゃあしょうがないけど……あ、そう言えばアクセル君この2人に告られたって本当? しかも受け入れたとか何とか!」

「ちょっと、桜子! 大声でそういう事を言わない!」

「まぁ、そうだな。18歳になってもこの2人の気持ちが変わってなければ受け入れるとは言った」

「アクセル君も……まともに桜子の相手なんかしなくてもいいから……」

 

 疲れたように呟く円に苦笑を浮かべつつ、束の間の逢瀬を楽しむ俺だった。




アクセル・アルマー
LV:40
PP:120
格闘:270
射撃:290
技量:280
防御:280
回避:310
命中:330
SP:478
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    ギアス(灰色)
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    ???

撃墜数:411

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