転生とらぶる1   作:青竹(移住)

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0448話

 俺の言う事を信じられないとばかりに声を掛けてくるカガリ。そしてそれを窘めるウズミ。確かに政治の場で相手が喋っている内容を無条件で否定するというのは政治家を希望する者としてあるまじき事だが……まぁ、今回の件についてはこの世界の常識で考えればカガリの態度も分かるからしょうがないと言えばしょうがない。

 

「いや、カガリの言葉も分からないでもない。と言う訳で、論より証拠だ」

 

 昨日の『火よ灯れ』はSPを40近く消費したから、余り大きな魔法は見せられないが……まぁ、昨日と同じ『火よ灯れ』でいいか。

 そう判断し、右手の人差し指を立てて呪文を唱える。

 

『火よ灯れ』

 

 そして次の瞬間、俺の指先には文字通りに火が現れている。

 

「うわっ!」

「何っ!」

「手品……じゃ、ない?」

 

 それぞれカガリ、ウズミ、アスランの驚きの声だ。さすがに種も仕掛けもないまま唐突に人差し指に炎が現れれば驚くのも無理はないか。

 そう思いながらもステータスを表示し……

 

「何?」

 

 思わず口から声を出す。

 

「アクセル君? どうかしたのか?」

 

 俺の様子に気が付いたのか、我に返りそう声を掛けてくるウズミ。それに何でも無いと返しながらも再びステータスを表示する。そこに表示されているSPは確かに減ってはいるが、消費したSPは20程度。昨日の40という消費に比べれば約半分だ。

 これは……どうなっているんだ? あっちの世界――ネギと魔法使いが活躍したから取りあえずネギまの世界とでも呼ぶが――では何らかの魔法を使っても消費するSPは常に一定だった。それが『火よ灯れ』でホワイトスターでは40、SEED世界では20だと? ……まぁ、その辺は要検証か。今はとにかくこっちの話を続けないとな。

 

「いや、何でも無い。今見て貰ったように、俺は向こうの世界で魔法を習得してきた。……ちなみにこんなのも出来るぞ?」

 

 再び右手の人差し指を立てる。

 

「生命ノ宴」

 

 その言葉と共に右手の人差し指が白炎へと姿を変え、次の瞬間には白炎で出来た蝶へと変化して執務室の中を動き回る。言うまでも無く炎獣だ。

 声もなく執務室を飛び回っている炎の蝶へと魅入っている3人を見ながら、再びステータスへと視線を向ける。

 ……そこには先程からさらにSPが30程消費された数値が表示されていた。

 

「これが、魔法?」

 

 思わず、と言った様子で呟くカガリに小さく首を振る。

 

「最初の炎は魔法だが、その炎の蝶は魔法と言うよりは俺の種族としての能力だな」

「……種族?」

「まぁ、魔法世界で色々あってな。今の俺は人間じゃなくて混沌精霊って種族なんだよ。ほら」

 

 指をパチンッと鳴らし、俺の影から先端の尖っていない影槍を3本作り出す。その影槍を意図的にゆっくりと動かしてウズミ、カガリ、アスランの前まで移動させる。

 

「正直、素直には信じられんが……これ程のものを見せられると信じざるを得ないな」

「そ、そうですね。でも、魔法か。本当にそんな世界があるとは思わなかったよ」

 

 ウズミとカガリが呟きながら頷き、アスランは目の前に存在している影槍に唖然としながらもそっと手を伸ばして触っている。

 その様子に苦笑しつつも、再び指をパチンッとならして3本の影槍と蝶の炎獣を消す。

 

「さて、取りあえずこれで魔法については信じて貰えたと思うが……ここからは商売の話だ」

「……商売の話?」

「ああ。魔法の関係でちょっと必要な物があってな。それをオーブに売って貰いたい」

 

 その言葉に、カガリが首を傾げながらも口を開く。

 

「魔法なんて便利な代物があるのに、私達の世界から何か欲しい物があるのか?」

「俺の行った世界には確かに魔法が存在している。だが、勘違いして欲しくないのはその世界でも魔法というのは一般的な物では無いという事だ。あくまでも魔法は裏の世界での出来事であり、表向きは普通の西暦2000年前後の世界でしかない。科学力だけで考えればこの世界の足下にも及ばないな。宇宙に出るのも本当に一握りのエリートのみで、それにしたって月に数人送るのがやっとという有様だ」

 

 まぁ、科学力にしても超の影響か麻帆良では色々と大変な事になってはいるんだが、それは麻帆良という限られた地区だけの話だろう。

 

「ふむ、話を続けてくれ」

 

 ウズミに促され、話を続ける。

・向こうの世界には魔法世界という異界がある事。

・そしてその異界という独特な概念の説明。

・魔法世界の本体とも言うべき場所は火星であるという事。

・火星が死の星である為に魔力を産み出せず、それが原因で魔法世界の魔力が減少して魔法世界そのものが崩壊の危機にあるという事。

・その為に完全なる世界という組織が、その魔法世界を一度消去しようとしていた事。

・それを知り、成り行きではあるが完全なる世界と戦い撃破した事。

・魔法世界を存続させる為に火星をテラフォーミングしつつ、限界までの時間を伸ばす為に他の星から魔力を運搬するブルーマーズ計画を立案した事。

 

「まぁ、こんな具合だ」

「……なんともはやまぁ」

「アクセル、お前ほんの一ヶ月ちょっとでどれだけやらかしてるんだよ」

 

 溜息と共に吐き出されるその言葉に、小さく首を振る。

 

「こっちでは俺が姿を消してから1ヶ月弱だったかもしれないが、向こうの世界で過ごしたのは約9ヶ月程度になる。向こうの世界も現実世界と魔法世界じゃ時間の流れが違ってたけどな」

「……なるほど、アクセル君の話は分かった。いや、正確に理解はしてないがそれは後で詳しく聞くとして、そちらが希望する物というのはなんだね?」

「俺のテロの件でセイラン家の財力は全てが慰謝料として俺に……と言うか、シャドウミラーに支払われるという話を聞いたが、その資金を使ってイズモ級の宇宙戦艦を数隻建造して売って欲しい。ただしローエングリンやゴットフリートに関しては省略してその分ペイロードを大きく取ってくれ。武装については隕石やスペースデブリの類を破壊する為にイーゲルシュテルンとヘルダートを最低限に」

「……なるほど、そちらの世界で他の星へと向かう為の輸送艦代わりに使う訳か」

「ご明察」

 

 ウズミの言葉に頷くと、カガリがそこに待ったを掛けてくる。

 

「けど、イズモ級の速度じゃ他の星までなんて……」

「その点は問題無い、動力炉の部分や推進装置に関してはこちらで手を入れさせて貰うからな」

「了解した。その様子から見るとなるべく早く欲しいと考えていいのかな?」

「ああ。正式な契約書に関しては後日交わすとして、なるべく早くモルゲンレーテで製造に取り掛かって貰えると助かる」

「……良かろう。本来であればそのような無茶は通らないのだが、このオーブの最重要同盟国から直々の依頼とあってはな」

 

 そう告げるウズミに礼を言い、チラリと時計の方へと視線を向けると既に昼近くになっていた。

 ウズミもまたそれに気が付いたのだろう。笑みを浮かべて口を開く。

 

「どうだね、アクセル君。久しぶりにこのオーブに来たのだし、共に昼食でも」

「あー、俺としてもそうしたい所なんだが……」

「何か用事が?」

「ああ。午後からブルーマーズ計画の件で麻帆良……魔法の世界のゲートを設置した場所の責任者と会談をな」

 

 その言葉に、眉をピクリとさせるウズミ。

 

「ほう、もし良ければ私達からも何人か同道させて欲しいのだが」

 

 まぁ、そうなるよな。オーブは基本的には貿易立国であり、異世界との貿易がもし可能だとするのならSEED世界でのオーブの地位はより高まるだろうし。だが……

 

「悪いが、また後日場を設けさせて貰うから今日は遠慮してくれ」

「……了解した。こちらとしてもシャドウミラーの世話になってる以上は無理は言えないか。後日の約束を取り付けただけで納得させてもらおう」

 

 個人的にはホワイトスターを中継地点として利用させるだけでこっちにも利益が入ってくるんだから、異世界間の交易というのは推進したい所だが……不用意にオーバーテクノロジーを向こうの世界に流してそれを巡って混乱が起きても困るしな。

 まぁ、ストライクダガーを雪広財閥と那波重工に提供する予定の俺が言うべき事じゃないかもしれないが。

 

「では、この辺で失礼させて貰う。イズモ級の件についてはまた後日連絡があると思う」

「うむ。アクセル君が無事で戻って来てくれて何よりだ。……カガリ、アクセル君を下まで送って差し上げろ」

「はい、お父……いえ、ウズミ代表」

 

 そう言い、部屋を出てエレベーターへと乗り込む。

 

「にしてもお前、いなくなったらいなくなったでまた色々とコーネリアさんに迷惑とか掛けてるんじゃないだろうな?」

 

 ……あぁ、そう言えばカガリはコーネリアを尊敬して慕っていたな。

 

「今までよりは忙しくなるだろうが、コーネリア自身の負担はそれ程多くないと思う。恐らく一番負担が増えるのはエザリアだろうな」

「……エザリア?」

 

 一瞬、誰の事を言っているのか分からなかったのだろう。小首を傾げるカガリにアスランが口を開く。

 

「エザリア・ジュール。イザークの母親だよ」

「……あぁ、そう言えば何度かブルーコスモスの件でオーブに来てたのを見かけた覚えがあるな」

「基本的に魔法使い達や、向こうでの俺達シャドウミラーの窓口となる大企業との折衝や交渉に当たって貰うつもりだからな。実際の作業は量産型Wとかメギロートがメインになるだろうし」

 

 そう答えた所でエレベーターが1階へと到着してドアが開かれる。

 そこのエレベーターを出たその時。

 

「アクセルさん!」

 

 周囲には聞こえないようにしながらも、俺へと届く絶妙な声の大きさで呼びかけられた。

 どこか聞き覚えがあるその声のした方へと視線を向けると、そこには息を切らせた中年の男と中学生くらいの……それこそあやか達に比べてもまだ年下に見える少年とその妹らしき少女の姿があった。

 誰だ? 一瞬そう思ったが、その中年の男の顔を見てすぐに思い出す。そう、モルゲンレーテに勤めているコウ・アスカだ。そしてその側にいるのは本来であればDESTINYの主人公であった筈のシン・アスカとその妹のマユ・アスカか。

 

「久しぶりだな」

「え、ええ。アクセルさんが、行政府に姿を見せたと聞いて、急いで来ましたが……会えて良かった」

 

 息を乱しながらもそう告げてくるコウ・アスカ。

 

「さぁ、マユ」

「う、うん。……この前は、私を助けてくれてありがとうございました!」

 

 ペコリ、と頭を下げるマユ・アスカ。その隣ではシン・アスカとコウ・アスカもまた同様に頭を下げている。

 そこに至ってようやく思い出す。そう言えば、あのブルーコスモスのテロで転移フィールドに取り残されていたマユ・アスカを助けて俺は麻帆良に転移したんだったな。主観時間で言えば既に9ヶ月も前の事なのですっかり忘れていたというのが正直な所だが……

 

「ホワイトスターで起こったテロだしな。そこの主である俺が動くのは当然と言えば当然だ。それよりそっちも無事で何よりだ」

「アクセルさん、この度は本当にうちの娘を助けて頂いて……どうお礼を言ったらいいのやら」

「何、気にするな。それに、あの事件のおかげで得たものも多い。俺としてはシャドウミラーの仲間に心配は掛けたが、結果を見れば圧倒的にプラス収支だったよ」

 

 何しろあのテロがあったからブルーコスモスが壊滅し、ロゴスを監視下に収める事が出来たし、ある意味で俺自身の弱点でもあった生身での戦闘力も大幅に……それこそストライクダガー程度なら生身でも何とか出来る程度に増したし、魔法という存在を知り、俺自身が不老になり、同時に大量の魔力を必要とするものの装着者を不老に出来るというマジックアイテムや外での1時間が最大48時間になるダイオラマ魔法球、転移札といった各種マジックアイテムを手に入れられた訳だ。

 そして何よりも、俺を愛するという選択をしたあの掛け替えのない4人の従者達。

 

「……ですが、それでは私達の気持ちが」

「なら、そうだな……貸し1つにしておこう。いつか返せる時が来たら返してくれ」

「……はい。その時は是非」

 

 そう言い、最後にまた3人で頭を下げて行政府を出て行くアスカ一家だった。

 

「さて、次は麻帆良との打ち合わせか。……その前に昼食を食べておきたい所だが……この近くでお薦めの場所があったら教えて貰えるか?」

 

 後ろで唖然としているカガリと、苦笑をしているアスランへとそう声を掛ける。




アクセル・アルマー
LV:40
PP:120
格闘:270
射撃:290
技量:280
防御:280
回避:310
命中:330
SP:478
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    ギアス(灰色)
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    ???

撃墜数:411

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