転生とらぶる1   作:青竹(移住)

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0440話

 急速に近付いていく俺とフェイトの間合い。まず最初に放たれたのはフェイトの拳だ。無造作に振りかぶったように見えつつも、その拳には十分すぎる量の魔力が込められている。本来なら混沌精霊の俺は物理攻撃を無効化する能力を持っているのだが、さすがに魔力や気を込められた攻撃は無効化する事は出来ない。だが。

 

「その程度の対応をしていないとでも思っていたのか?」

 

 メキャァッ! とフェイトの拳が俺の展開している魔法障壁へと激突し、まるで自動車が猛スピードでコンクリートへとぶつかったような音が周囲へと響き渡る。

 しかし……

 

「そっちこそ、僕が最大の敵である君に対して何の準備もしていなかったと思うのかい?」

 

 拳を魔法障壁と接触したまま呟き……何をしたのかは分からないが、次の瞬間にはガラスが割れるような音が周囲へと響き渡って魔法障壁が破壊される。そして俺の顔面目掛けて振り下ろされる拳。

 

「ちぃっ!」

 

 咄嗟に瞬動を使ってフェイトの拳を掻い潜り、すれ違い様に顎の先端を狙って拳を振るうが顔を僅かに動かして回避される。

 そのままフェイトの背後を通り過ぎて跳躍、虚空瞬動を使って逆落としの如く頭上から攻撃を仕掛ける。

 だが振り下ろした拳の一撃は予定調和の如く受け流され、そのままの流れでカウンター気味に放たれる肘の一撃。

 しかし肘が見えた瞬間に羽をバサリと羽ばたかせて一瞬だけ空中に浮かび、そのまま縦に回転し……

 

「ぐぅっ!」

 

 竜尾の一撃をまともに顔面に食らったフェイトはそのまま10m程吹き飛ばされる。

 

「……そうだった、その状態の君には尻尾があったんだったね。すっかり忘れてたよ」

「どうした、何事もソツのないお前にしては珍しいミスじゃないか」

 

 尻尾による一撃を与えたとしても、それは所詮意表を付いた一撃であり致命的なダメージには成り得ない。出来て精々牽制の一撃といった所だろう。

 現にフェイトも特に深いダメージを受けているようには見えなかった。

 

「なら、次は僕の番と行こうか。『千刃黒耀剣』」

 

 そう呟くのと同時に、フェイトの背後に現れる数十本の黒い剣。剣とは言っても本来であれば握って使う柄の部分は無く、純粋に刀身だけで作られている剣だ。その数十本の剣が、フェイトの手が振り下ろされるのと同時に全てが俺へと向かってその牙を剥ける。

 

「ちぃっ、生命ノ宴!」

 

 同時に俺も左腕を白炎と変化させ、虫……否。虫では小さくあの剣には負けるだろう。鳥の炎獣を数十羽作りだして解き放つ。

 

『GYAAAAAAA!』

 

 炎獣特有の鳴き声を上げながら俺へと向かって来る黒い剣へとぶつかっていく鳥達。周囲一帯へと散らばり、まさに四方八方、全方向から俺を突き刺そうと向かって来る黒剣へとぶつかり、その身を斬り裂かれながらも剣その物を燃やし尽くしていく。

 

『万象貫く黒杭の円環』

 

 微かに聞こえてきたその声。数十本の剣を放ったばかりのフェイトの背後には、先程の剣は小手調べだったと言わんばかりに数百本もの黒の杭がその姿を現していた。

 

「さて、これはどうかな? ジャック・ラカンはこれを凌いで見せたが……」

 

 再び振り下ろされるフェイトの腕。同時にその数百本の黒い杭は先程以上の密度で俺へと襲い掛かって来る。

 

「スライムッ!」

 

 それを見た瞬間、これに対抗出来る手段はこれしかないと殆ど反射的に叫ぶ俺。空間倉庫の穴から黒い杭に負けない程の数百本のスライムの触手が現れ、一瞬で俺へと向かって来ていた黒い杭全てを斬り裂いていく。その様はまさに銀閃とでも呼ぶべき一撃であり、フェイトが放った黒い杭のほぼ全てを斬り裂く。

 

「……何? おかしいな、この杭に刺されたら石化する筈なんだが……」

 

 フェイトの視線の先にあるのは、邪魔をするスライムから先に片付けるとばかりに触手へと突き刺さっている黒い杭の姿だった。だが、フェイトの言う通りなら本来は突き刺さった標的を石化させる効果を持つ杭が、スライムへと突き刺さっても特に何の効果も発揮せずにそのまま吸収されていく。

 

「言っただろう? 俺は別世界の住人だと。このスライムに関してもお前の常識で計れるとは思わない事だ……な!」

 

 脳裏に浮かんだ空間倉庫からサブマシンガンを2挺取り出して両腕に持つ。そして碌に狙いを付けもせずにトリガーを引く。

 ガガガガガガガガガ! という音が周囲に鳴り響き、同時にガンファイトの効果と300近い射撃能力のおかげでその弾丸の殆ど全ては外れる事無くフェイトへと向かっている。だが……

 

「こんな豆鉄砲が僕に効果あるとでも?」

 

 高密度多重魔法障壁がフェイトの眼前へと展開され、弾丸の全てを防ぎきる。

 そもそも精神コマンドの直撃を使った訳でもないのだから、効果が無いのは織り込み済みだ。そしてこれはあくまでも牽制でしかない!

 フェイトの影へと干渉し、先程の黒い杭の礼代わりに100本程の影槍を作り出す。

 

『地を裂く爆流』

 

 それに対処する為にフェイトが使った魔法は、地面からマグマを噴出させ、そのマグマにより影槍を焼き尽くすというものだった。

 そもそもこの儀式場のどこからマグマが沸いたのか。それが魔法だと言われても……

 

「出鱈目な!」

 

 サブマシンガンを空間倉庫へと収納しながら思わず吐き捨てる。

 

「出鱈目とか君に言われたくないけどね。『石の槍』」

 

 それはそうだと自分でも思わず納得してしまいそうになりながら、放たれた石の槍が俺へと向かって来るのを混沌精霊としての力を使って炎を作りだし、俺へと目掛けて飛んでくる石の槍を燃やし尽くす。

 

「加速」

 

 石の槍が燃え尽きるのを見ながら、精神コマンドの加速を使用。瞬動と同時使用してフェイトの懐へと潜りこむ。

 

『紫炎の捕らえ手!』

 

 こちらもまた混沌精霊の能力の1つである焔ノ宴の能力である無詠唱による呪文行使を使用し、一瞬でフェイトを炎で出来た円柱へと閉じ込める。

 当然、この程度の魔法ではフェイトなら数秒も使わずに破れるだろうが……その数秒が在れば十分だ!

 

『槍の火蜥蜴50柱!』

 

 槍を持ったサラマンダーが50匹姿を現し、四方八方からその槍を構えて炎の円柱へと突き進む。その後ろ姿を見送りながら、俺は再度魔法を行使するべく口を開く。

 

『奈落の業火!』

 

 現れたのは闇そのものでもあるかのような漆黒の炎。その黒い炎が、まるで絡みつくようにフェイトを捕らえている円柱を侵食していく。

 ……どうした? この程度で終わるのか? そう思った直後、円柱の中から呪文を唱える声が聞こえ……

 

『石の息吹』

 

 その魔法が発動された瞬間、背筋がゾクリとして咄嗟にフェイトから大きく距離を取る。

 その選択肢が正解だったというのはすぐに分かった。フェイトを中心にして吹き上がった石化の煙は周囲数十m四方を瞬く間に満たしたのだ。もしあそこにいれば俺もまた石化させられていただろう。

 空間倉庫から手榴弾を5個程取り出して次々に放り投げ、混沌精霊としての力で次々に炎を放って石化の煙に手榴弾が接触する前に爆破していく。

 炎により強制的に爆発させられた手榴弾の爆風により吹き飛んでいく石化の煙。それを見ながら再び右手をフェイトの方へと向ける。

 

「生命ノ宴」

 

 先程と同様の生命ノ宴。ただし、今回作り出す炎獣は鳥や虫といった小さな物では無く巨大な、体長10mはあろうかという竜だ。

 

「行け」

「GYAAAAAAAAAAAAAAAAA!」

 

 その巨体に似合った雄叫びを上げ、羽を羽ばたかせて石化の煙が手榴弾の爆風により吹き飛ばされたその場所へと突っ込んでいく。

 同時にその様子を見ながら、影精をこれでもかとばかりに練り込んだ巨大な影槍を作りあげ……来たっ!

 さすがにあの炎獣は一瞬でどうにか出来るものではないと判断したのだろう。まだ石化の煙が充満している場所を突き破るようにしてフェイトがその姿を現す。

 

「直撃」

 

 精神コマンドの直撃を使用し、通常の影槍50本分の影精を練り込んで圧縮した1本の影槍。それがまさに空気を斬り裂くようにしてフェイトへと迫る。

 

「っ!?」

 

 咄嗟に多重魔法障壁を展開するフェイトだったが、俺の放った影槍は精神コマンドの直撃の効果でその魔法障壁を次々と突破してフェイトへと迫る。

 だが、フェイトはまるでそれを理解していたかのように影槍が命中するギリギリで身体を素早く引いて半身にし、影槍の直撃を避けた。

 とは言っても、さすがに無傷という訳では無く腹の表面に綺麗に斬り裂かれたような傷がついている。

 やはり人間では無いせいだろう。特に血を流す様子も無くその傷口へと軽く触れながら俺の方へと視線を向けてくるフェイト。

 

「君が魔法障壁の類を無効化する能力を持っているというのは今まで幾度となく痛い目に遭ってるから、当然予想くらいはしていたさ」

「ふんっ、見せすぎた……か」

「僕もこれが初めて食らっていたとしたらどうにも出来なかっただろうけどね。それにしても、君のその力はなんなのかな? まるで黄昏の姫巫女が持っている魔法無効化能力の如く僕の魔法障壁を無効化する。その関係もあって、一時は君がオスティア王家の血を引く者なんじゃないかと疑いもしたんだが……」

 

 俺がオスティア王家の血を? ……まぁ、確かに魔法障壁を無効化=魔法無効化能力と連想したのならその発想もおかしくはないが……

 

「そもそもオスティア王家の血を受け継ぐというのならネギがいるだろうに」

「彼も確かにオスティア王家の血を受け継ぐ者であるのは間違い無い。ただ、残念ながら魔法無効化能力の方は受け継げなかったみたいだけどね」

「……さて、休憩もそろそろ終了して第2ラウンドと行こうか」

 

 ジワリ、と魔力を高めながら上空高くまで昇っていた竜の炎獣へと指示を送る。

 

「GYAAAAAAA!」

 

 雄叫びを上げながら、フェイトの頭上から真下へと牙を剥きつつ降下してくる竜。だが、フェイトは特に慌てた様子も無くその竜へと視線を向ける。

 

『石化の邪眼』

 

 そして目から放たれた光線が炎獣へと命中し……次の瞬間には竜の石像へと変化していた。同時に自分目掛けて落下してきたその石像を砕き、その破片を俺の方へと吹き飛ばして目眩ましにする。

 それに対して俺は手を大きく振るい空中へと炎を幾筋も出現させてはその破片を燃やし尽くす。

 だが、次の瞬間にはその炎さえも俺へと接近を隠す為の目眩ましとして使ったフェイトの接近を許してしまう。

 足下を刈るようにして放たれた蹴りを瞬動を利用して回避。同時にフェイトの真上で虚空瞬動を利用して先程の竜の炎獣のように奇襲を仕掛ける。

 

「はぁっ!」

 

 頭頂部を狙って放たれた拳。それを額で受け止め、オーバーヘッドキックのようにくるりと一回転しながら放たれたフェイトの蹴りが俺の鳩尾を抉った。

 

「ぐぅっ!」

 

 上下逆さまの状態で吹き飛ばされるが、痛みを堪えて羽を羽ばたかせて何とか態勢を整えて地面へ着地する事に成功する。

 

「フ、フフフ、ハハハハハハハハハハ!」

 

 そして着地した途端に聞こえて来るその声。誰の笑い声かと思えば当然それはフェイトの口から出されているものだった。

 

「何が面白い? 俺に一発与えるなんてのは以前にも何度か経験がある筈だが?」

 

 鳩尾を押さえながら魔力によりそのダメージを回復しながら尋ねると、唐突に笑いを収めてそれでも隠せないとばかりに笑みを浮かべるフェイト。

 無表情がデフォのフェイトにしては酷く珍しい。それも嘲笑や冷笑、苦笑の類ではなく、本当に面白くて堪らないとばかりに浮かべている笑みだ。

 

「ようやく……ようやく分かったんだ。これが、これこそが恐らくジャック・ラカンが言っていた楽しむということなんだろう。そう、僕は今間違い無く楽しんで君と戦っている。あぁ、これこそが喜び、歓喜というものか!」

 

 誰に聞かせるでもなく、まさに感情のままに叫んだフェイト。

 それに答えようとして……ふとその背後にあるものに気が付く。

 あれは、何だ? 空に逆さまになって大地が……まるで墓守人の宮殿がぐるりと回転したかのような……いや、違う!? 俺の視線の先にある物。それはこの世界に俺が転移してきてから幾度となく見た存在だ。即ち……

 

「世界樹!?」

 

 という事はあそこに広がっている光景は……

 

「麻帆良、だと?」




名前:アクセル・アルマー
LV:39
PP:20
格闘:266
射撃:286
技量:276
防御:276
回避:306
命中:326
SP:470
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    ギアス(灰色)
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊

撃墜数:393

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