転生とらぶる1   作:青竹(移住)

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0413話

 大河内達が奴隷から解放された翌日、俺はあやか達と一緒に早乙女の飛行魚であるグレートパル様号にいた。

 尚、船にいるのは俺と俺のパーティの面々、そして茶々丸と昨日奴隷から解放された大河内達のみだ。俺以外は全員が年齢詐称薬を使っていない元の姿になっている。

 ……いや、俺のこの異形化状態も混沌精霊の形態の1つではあるから元の姿と言えなくもないんだが。

 何故この飛行魚の中にいるのかと言えば、単純に仮死状態の調がこの船にいるからだ。いつフェイト一味が奪還しにくるか分からないので、誰かが守らなきゃいけないんだが……ネギ達はなにやら知人から修行を付けて貰うとか言って俺達に留守を押しつけて魔法球の中に入ってしまった。おまけにいつの間にか合流していた明石と佐々木も一緒に。

 ちなみに、ネギ達が使っているのは例のエヴァも持っている外での1時間が内部では24時間になるというタイプのものだ。一応、俺の持ってる48時間の奴を貸そうかとも言ったんだが、なにしろ内部が小屋1つで修行に適さないという結果になったのだった。

  で、やる事もないので空間倉庫から出した漫画とかを読んでいたんだが……

 

「ちょっといいかな、委員長」

「ちづ姉お邪魔するね」

 

 そう声を掛けながら部屋へと入ってきたのは昨日奴隷から解放されたばかりの大河内と夏美の2人だ。どこか恐る恐るといった様子で部屋へと入ってくる。

 

「あら、皆さんお揃いでどうしましたの?」

「……ちょっとはっきりしておきたくて」

 

 そう呟いた大河内達は真っ直ぐに俺の下へと向かって来る。

 

「その……変な事を聞くようだけど、アクセル君……なんだよね?」

 

 3人を代表して聞いてくる大河内に、小さく頷く。

 

「ネギの所にいたんなら、年齢詐称薬を知ってるだろ? ……それと似たようなものだ」

 

 正確には混沌精霊の力なのだが、さすがに魔法とは殆ど無関係のこの2人にそれを言っても混乱させるだけだと思うので取りあえず年齢詐称薬を使ってる事にする。

 

「やっぱり……でも、何で? ネギ君達は人間の大人になったのに、アクセル君はその、羽とか角とか……」

「そういう特殊な技術を持ってると思ってくれればいい」

「……そうなんだ」

 

 どこか納得出来なさそうな顔をしていた大河内だったが、やがて意を決したように口を開く。

 

「その、実はね。亜子にネギ君がナギさんだって教えないで欲しいんだ。亜子はナギさんの事を……」

 

 そこまで言われれば、さすがに恋愛に鈍い俺にもピンとくる。

 恐らく和泉はナギに惚れているのだと。

 

「また、厄介な状況に……ネギはその辺の事は?」

「気が付いてないと思う」

「……俺が黙っておくのはいい。けど、遅かれ早かれ和泉がネギとナギの関係に気が付くのは避けられないぞ?」

「うん、その辺は覚悟してる。でも、出来るだけその時を延ばしたいんだ。……友達としてはしっかりと教えた方がいいと思ってるんだけど」

 

 はぁ、と溜息を吐く大河内。

 そんな大河内の隣では、千鶴が夏美へと声を掛けている。

 

「夏美ちゃんは何でここにいるの?」

「え? ちづ姉、どういう事?」

「だってほら。ネギ君達は魔法球の中で修行中でしょ?」

「うん、そうらしいね。……ちづ姉も魔法球とか知ってるんだ」

「それは当然よ。何しろ私はアクセル君の従者で見習い魔法使いなんだし」

 

 夏美の言葉にニコニコと微笑みながら返す。

 自分の親友、あるいは妹分の夏美が奴隷という身分から解放されて嬉しいのだろう。

 

「へー。ちづ姉がねぇ……で、ネギ君が魔法球に入ってるけどどうしたの?」

「だから、何で夏美ちゃんも一緒に行かないのかなって思って。ほら、だってネギ君と一緒に小太郎君も魔法球の中に入ってるんでしょう?」

「ちょっ、小太郎君がいたらどうして私も一緒にいないといけないの!?」

「そこはそれ、女の直感かしら?」

「ぶー。そんな的外れな直感なんかどうでもいいよ」

 

 こんな風に、ナギ・スプリングフィールド杯の本戦が始まるまでは魔法世界に来て初めてと言ってもいいゆっくりとした時間を過ごす。

 まぁ、当然ネギ達だけが強くなるというのはちょっと悔しいので俺もそれなりに魔法球での訓練はしたが、それは混沌精霊としての力を使いこなすのが主な目的だったり、あるいはグリを召喚して連携を磨く為の訓練だったりした。

 そして瞬く間に穏やかな時間は流れ、いよいよ本戦が始まる。

 

 

 

 

 

『アクセル選手、猫系獣人族であるねこみ選手、ねこゆき選手相手に圧勝! まさに開始数秒で勝負が付きました!』

 

 こうして1回戦を突破し。

 

『本戦2回戦、マルクス選手とフェンゲルス選手。両者共速度に自信のある選手で、そのコンビネーションで一時アクセル選手を相手に優勢にたったように見えましたが、召喚されたグリフィンドラゴンのカマイタチブレスにアクセル選手得意の炎を組み合わせ、まさにファイヤートルネードとも言える攻撃を放ちその2人を一蹴です!』

 

 同じく2回戦を突破し。

 そして10月6日。いよいよナギ・スプリングフィールド杯の準決勝。俺とラカンの戦いが始まる。

 一応、この1回戦、2回戦共に大河内達を解放した際の残りの金を俺へと賭けてその額を57万ドラクマまで増やしてはいるのだが、さすがにここまで勝ち上がってくると俺のオッズも相当低くなってきている。……まぁ、今日の相手はラカンという事もあり3倍程になってはいるが。

 当然トレジャーハンター4人組に頼んで57万ドラクマを俺自身に賭けて儲ける準備は万端だ。

 ……負ける可能性も無いとは言えないが、どのみちこの賭け金自体一種の泡銭だしな。

 当然、ネギと小太郎のコンビもまた危なげなく反対のブロックを勝ち上がってきている。

 ……にしても、本当にこれが魔法世界中の注目を集めている大会なのか? 妙に参加者のレベルが低いように感じる。

 少なくても、キズクモの決勝で戦ったシルとラナより強い相手には未だ出会っていない。いや、ラカンとかナギが出ているから注目を集めるのは当然なのかも知れないが。

 

「アクセルさん。いよいよですね」

 

 闘技場への扉の前で俺を待っているのは当然リュボースだ。

 その顔には珍しくどこか心配そうな表情を浮かべている。

 

「……まさか、あの紅き翼のジャック・ラカンが参加するとは思ってもいませんでした。相手が相手ですので、最悪もしここで負けたとしても契約は無事完了したと見なさせて貰いますので安心して下さい」

「なんだ、妙に弱気だな」

「相手があのジャック・ラカンですので」

「一応、俺は負けるつもりで戦いに挑む訳じゃないんだがな。自分自身に賭けてるんだし」

「私としても、当然アクセルさんが勝ってくれるのに越したことはありません。何しろ、今も言いましたが相手はあのジャック・ラカンなのですから。ここで勝ってくれれば、キズクモの名は魔法世界中へと轟くでしょう。私としてもそれは大歓迎ですし」

 

 何だ、最初から諦めてるのかとばかり思っていたらそうでもないのか。

 俺の意外そうな表情を見たのだろう。いつもの無表情で口を開く。

 

「何ですか? もしかして私が最初から諦めているとでも思ったのですか? 幾ら相手がジャック・ラカンとは言っても、それで諦めるようなら最初から貴方と取引をしようなどとは思いません。ただ、もしここで負けたとしてもこれまでの戦いで既に十分こちらの利益になっているので気にしなくてもいいと言いたかっただけです」

「そうか、なら俺も精々英雄と呼ばれる相手との戦いを楽しむとしよう」

「ええ、是非そうして下さい。そしてその実力を、キズクモの代表としての実力を魔法世界中へと見せつけてください」

 

 リュボースが微かに笑い、俺もそれに軽く手を振って闘技場へと進み出る。

 

『北より登場するのは、既にお馴染みのアクセル・アルマー選手! その実力はタッグ戦であるナギ・スプリングフィールド杯をソロで勝ち抜いて来た事が証明しています。また、その外見と並外れた実力から大魔王との異名も浸透している拳闘界の注目株! 魔法世界の英雄、ジャック・ラカン選手にどこまで対抗出来るのかが見物です』

 

 そのアナウンスを聞きながら闘技場の真ん中で相手が出て来るのを待ち受ける。

 

『そして南より登場するのはこれも同じく本戦1回戦まではソロで勝ち残ってきたカゲタロウ選手です。カゲタロウ選手はアクセル選手と同様に操影術の使い手でもありますので魔法世界でも珍しい操影術同士の戦いが期待されます。……そして、その隣を進むのは言わずと知れた魔法世界の英雄、最強の傭兵剣士。紅き翼のジャック・ラカン選手です! 本戦1回戦を突破したカゲタロウ選手のパートナーとして突如その姿を現しました。正直、ラカン選手が出場した時点でもう優勝は決まったんじゃね? と思うのはきっと私だけでは無い筈です』

 

 ……おい、解説があからさまに盛り下がるような発言をするなよ。

 まぁ、観客席はラカンの戦闘が見られるというだけで大盛り上がりだが。

 

「良く来たな」

 

 ラカンが俺を見て掛けて来た声を、ニヤリと笑みを浮かべて受け止める。

 

「何、折角魔法世界の英雄と戦える機会なんだ。それを見逃すのは惜しくてな」

「……本当に1人でやるのか?」

 

 ラカンの隣にいるカゲタロウの声に頷く。

 

「ああ。……とは言っても、さすがにお前達2人を相手にこのままじゃやりにくいからな。召喚魔法は使わせて貰おう」

「あのグリフィンドラゴンの突然変異か。なるほど、確かにあれ程の魔獣を従えているというのなら相手にとって不足はない、か」

 

 お互いに小さく頷き、試合開始の合図を待つ。

 

『ではナギ・スプリングフィールド杯準決勝……始め!』

 

 解説が試合開始を宣言すると同時に、後方へと跳躍して相手との距離を取る。

 だが、不思議な事にラカンとカゲタロウはこちらへと攻撃を仕掛けるどころか身動きすらしていなかった。

 

「……何のつもりだ?」

「気にするな。お前が召喚魔法を使う間は待ってやるよ。お互い、その方が気が楽だろう?」

 

 一瞬舐められている、とも思ったが実際にラカンが言っているのは事実でもある。ならその言葉に甘えさせて貰うのがベストだろう。

 

『我と盟約を結びし者よ、契約に従いその姿を現せ!』

 

 呪文が完成するのと同時に、俺の後方へと巨大な魔法陣が描かれる。そしてそこから鷲の上半身と竜の下半身を持つグリフィンドラゴンのグリが姿を現した。

 

「グギャアアアアアアアアアッ!」

 

 己の存在を誇示するかのような声で高く吠えながら1対ずつ背から生えている翼と羽を羽ばたかせながら俺の隣へと着地する。

 同時に、獲物を見るかのような目でラカンとカゲタロウを見下ろすグリ。

 

「グリ、お前の相手はあっちの仮面を付けてる方だ。筋肉は俺が相手をする」

「グギャアアッ!」

 

 グリが吠え、そのままカゲタロウに向かって突進していく。

 それを見送った俺はラカンへと向き直る。

 

「行くぞ、まずは小手調べだ」

 

 ラカンがそう言い捨て、無造作に拳を振るう。

 振るわれた拳から放たれる拳圧。本来であれば通常攻撃は無効化する俺の身体だが、その拳圧には当然の如く気が含まれている。故に。その瞬間、俺もまた混沌精霊としての力を発揮する。

 炎を操る力を使い、拳圧その物を燃やし尽くしたのだ。

 

「へぇ、さすがにやるな。だが、続くか?」

 

 感心したように呟き、次々に放たれる拳圧。その数は優に数十を超えている。

 

「数が多いな。なら」

 

 円が純炎の涙を使う時のように空中で大きく手を振るう。すると次の瞬間には俺の周囲へと幾重もの炎が走り、炎による多重構造ともいえる防壁が完成する。

 防壁へと衝突し次々に消えていく拳圧。稀に突破してくるものもあるが、それとて次の防壁と接触しては消滅していく。

 

「なるほど、炎を使うというのは便利なものだな。なら少しずつ本気を出していくぜ。はあぁぁっ!」

 

 これまでの無造作に振るった一撃ではなく、十分に気を込めた拳による一撃。右ストレートとして放たれたその一撃は、俺の炎の防壁を尽く無効化して俺へと迫る。

 ……威力としてはネギの雷の暴風クラスか。

 その一撃を視界に入れた瞬間、手を大きく下から上へと持ち上げる。同時に俺の影から100以上もの影槍が解き放たれ、ラカンの一撃へと襲い掛かって切り刻む。

 

「……物理攻撃ではないのに、よくもまぁ。芸が達者だな」

「お前程でもないさ」

 

 こうしてウォーミングアップ代わりの前哨戦は終了し、いよいよ戦いは激しさを増していく。




名前:アクセル・アルマー
LV:39
PP:15
格闘:266
射撃:286
技量:276
防御:276
回避:306
命中:326
SP:470
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    ギアス(灰色)
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊

撃墜数:392

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