転生とらぶる1   作:青竹(移住)

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0412話

 ナギ・スプリングフィールド杯に参加していたカゲタロウの相方がラカンであるというのを知ったネギと小太郎、そしてその仲間達はラカンの下へと走っていった。それを見送っていた俺へとあやかが声を掛けてくる。

 

「アクセル君、よろしいんですの?」

「何がだ?」

「ですから、ネギ先生達を追わなくても……」

「あー。まぁ、そうだな。行ってみるか」

 

 そう言いつつも、ラカンがサプライズとしてその姿を現してナギ・スプリングフィールド杯に参加するという行為に酷く納得している俺がいたりする。

 それ程ラカンと親しい訳ではないが、何度か会話しただけでも愉快犯、あるいは快楽主義とでも取れるような印象を受けているのだ。ちょっとネギを驚かせてやるか、という理由で飛び入り参加をしてもそうおかしくはないだろう。

 あのカゲタロウとかいう奴はネギの腕を切断した前科があって、それで自分がもっと強くなりたいと判断してラカンに弟子入りをしたらしいから、そこからここまで全部仕込んでいた可能性もあるかもしれないが。

 

「俺はネギ達の後を追うけど、そっちはどうする?」

 

 ラカンが出て来て唖然としているトレジャーハンターのクレイグ達へと声を掛ける。

 

「……あ、ごめん。クレイグはこの調子だから先に行っちゃっていいわよ。私達は私達で戻るから」

 

 そんなクレイグの側にいた女――確かアイシャとか言ったか――がそう言い、クレイグを引っ張っていくのを見送った俺とあやかと千鶴の3人はネギの後を追う事にした。

 だが……

 

「ん? 何だ?」

 

 闘技場のエントランス周辺に大量の人が集まっており、進むに進めない状況になっている。

 

「何があったのでしょう?」

「あらあら、何だか楽しそうね」

 

 千鶴とあやかもまた、首を傾げる。

 だが、耳を澄ませば何が目的でこんな人混みが出来ているのかがすぐに分かった。

 

「どうやら本戦のトーナメント表が張り出されたようだな」

「あら、早いですわね」

 

 感心したように頷くあやかをそのままに、混沌精霊としての力を使って空中へと浮かび上がってトーナメント表を覗き込む。

 トーナメント表には当然俺の名前、ラカンとカゲタロウペアの名前。そしてネギと小太郎――正確にはナギと小次郎――ペアの名前もあった。

 だが、ここで驚くべき所は俺とラカン達がネギとは反対のブロックにいるという事だろう。つまり、俺が優勝するには最低でもラカン達とネギ達の両方を倒さないといけない訳だ。

 地上へと降りてあやかと千鶴の2人へとその事を告げると、何故かあやかに苦笑を浮かべられる。

 

「どうした?」

「いえ、いつもいつもアクセル君は大変だと思いまして。何しろ麻帆良祭の時に開かれた武道会でもアクセル君はネギ先生のお父様のお仲間であるアルビレオさんとかいう方と戦う事になってましたもの」

「そう言えば確かにあの時もアクセル君はアルビレオさんとかいう方と戦ってたわね。……何が何だか分からない間に終わってしまったけど」

 

 ……そう言えばそうだな。麻帆良祭の武道会から大凡4ヶ月。あの時はアルビレオと正面からまともに戦う力は無かったから精神コマンドの直撃というある種の裏技を使ったが、今回は紅き翼として活躍した相手と正面から戦ういい機会であるとも考えられる……か。

 

「とにかく、ネギ達の後を追うとしようか」

「そうですわね。今日は大河内さん達を解放するという重要事項もありますし」

 

 あやかと共に頷いて、ラカンの部屋へと向かう。

 さすがに紅き翼のメンバーで有名な為か、俺達のような選手控え室じゃなくて専用の個室が用意されてるらしい。

 ……あ、でもナギ信者ならぬ紅き翼の熱狂的なファンがいる事を思えばそれ程無理はないのか?

 そう思いつつ扉を開ける。その瞬間、ラカンの声が聞こえてきた。

 

「ご託はいらねぇ。戦ろうぜ、ネギ」

 

 そして同時に吹き付ける威圧感ともいえるような存在感。

 ……なるほど。これが紅き翼のジャック・ラカンか。

 その威圧感に思わず固まってしまったあやかと千鶴をそのままに、開けたドアをノックして注目を集める。

 

「『戦ろうぜ、ネギ』もいいが、ネギと戦うのならトーナメント的にまず俺を倒してからになるな」

「へぇ、なるほど。もうトーナメント表が出たのか。どんな具合だ?」

「俺とラカンは同ブロック。ネギは反対側のブロックだな。順調に進めば準決勝で俺とラカンが。決勝で俺とネギが戦う事になる」

「おいおい、俺とカゲちゃん相手に1人で勝つ気なのかよ」

 

 カゲちゃん、と言われたカゲタロウはラカンの後ろでワインか何かの酒の入ったコップを持っていた。

 

「勝てるかどうかは分からないが、それなりにいい勝負は出来ると思うぞ」

「ほう、大した自信だな」

 

 カゲタロウがそう言いながらこちらへとその仮面の嵌った顔を向ける。

 同時に俺へと放たれる1本の影槍。それを認識した瞬間、俺もまた混沌精霊の力を使い瞬時に影槍を作りだしてカゲタロウの影槍を絡め取り、ラカンの影に干渉して影槍を射出。カゲタロウの仮面へと突きつけた。

 

「なるほど、ただの自意識過剰な訳では無いらしい。この影槍にしても影精がよく練り込まれている。ここまで1人で勝ち残ってきたと言うのも伊達ではないな」

「全く、操影術というのは相当マイナーな魔法だと聞いてたんだがな。この短期間で俺以外に2人もいるとは思わなかったよ」

 

 その言葉に好奇心を刺激されたのか、ピクリと肩を動かすカゲタロウ。

 

「ほう、私やお前の他にも操影術の使い手が?」

「ああ。……まぁ、この魔法世界じゃなくて現実世界でだがな」

「現実世界? あぁ、旧世界か」

 

 俺の脳裏に浮かんだのは、麻帆良の操影術の使い手であるグッドマンだった。

 だが、今の影槍を使ったやり取りで十分に理解出来た。この男は間違い無く操影術の使い手としてはグッドマンよりも上だろう。

 まだその底は知れないが、あるいは混沌精霊の俺に匹敵するかもしれない操影術の腕前。

 

「おいおい、アクセルもカゲちゃんもその辺にしておけよ。どうせそのうち戦う事になるんだから、実際にやり合うのはそれまで取っておこうぜ」

 

 ニヤリと笑いながらそう告げるラカンに、カゲタロウも同様の意見なのかあっさりと影槍を消し去る。

 

「……これって実は助かったんやないか? 俺とネギが勝てそうにない2組がぶつかるって事はこっちにも勝利の芽が……」

「出て来たらいいな?」

 

 小声で呟いている小太郎へとそう話し掛けてやる。

 

「うわぁっ! べ、別に俺は変な事を考えてる訳やない!」

「まぁ、俺が勝つにしろ、俺が勝つにしろ、俺が勝つにしろ、そして結局俺が勝つにしろ最終的には決勝で戦う事にはなるんだから淡い期待はしない方がいいと思うがな」

「どれだけアクセルが勝つ事に決まってるねん!」

 

 珍しく小太郎に突っ込みを入れられた俺は、苦笑しつつもラカンへと視線を向ける。

 

「魔法世界の英雄、紅き翼のジャック・ラカン。お前の力がどれ程のものなのか、準決勝で当たるのを楽しみにしているぞ。無いとは思うが、余りに手応えがないようなら……喰らうぞ?」

 

 ゾワリとした殺気を噴出させ、自分でも分かる程に獰猛な笑みを口へと浮かべながら宣言する。

 横にいるネギや小太郎が固まり、カゲタロウも咄嗟に数歩後ろへと下がる。

 だが、さすがと言うべきだろう。ラカンはむしろ心地よい風でも感じているかのように平然と俺の殺気を受け流す。

 

「なかなかいい殺気だ。壁を越えた者の力、俺こそ楽しみにしているぞ」

 

 ニヤリとした笑みを浮かべながら、そう返すラカンの言葉を最後に俺達は部屋から退出するのだった。

 ちなみに固まっていたネギと小太郎は影槍を使って運び出した。

 

 

 

 

 

「……ねぇ、小太郎君。僕達あんな化け物に勝てるのかな?」

「しっかりせぇっ! やる前から諦めてどないすんねん! そもそも俺等は決勝だけを考えればいいんだからまだマシなんやで」

「でも、あのアクセル君とラカンさんだよ? どっちが来ても、どうやっても勝ち目が見えないんだけど……」

「正直な所、俺も同じや。けど、だからこそ残り少ない時間をどうやって使うかを考えるべきやろ」

 

 悲壮感を浮かべて話している2人。それを眺めていたが、やがて結論が出たようなので声を掛ける。

 

「で、もういいのか?」

「ひぃっ! そう言えばアクセル君がいるのをすっかり忘れてた!」

「いや、運んでおいて貰ってそれはないだろう。……まぁ、ラカンの件ですっかり忘れ去っていたようだが取りあえずそのラカンの事は置いといてだ。そろそろ大河内達の解放をしに行かないか? 100万ドラクマも貯まったんだし」

 

 ラカンのトーナメント出場が余程の驚きだったのか、最初は何を言われているのか全く分からないというような顔をしていたネギ達だったが、すぐに俺の言葉を理解したのかその顔に笑顔を浮かべる。

 

「そうだよ! これであの3人を解放出来るんだ!」

「そうやな。俺としたことがすっかり忘れてたわ」

「あらあら、恩人の夏美ちゃんを忘れるなんて……」

 

 いつの間にか小太郎の後ろに回り込んでいた千鶴が、どこから出したのかその手に長ネギを手に持ちながらがっしりと小太郎の肩を掴んでいる。

 

「うっ、千鶴ねーちゃん……その、手に持ってる長ネギは何に使うんや?」

「さて何に使うのでしょうか。ヒントは風邪と民間療法」

「ひぃっ、堪忍、堪忍や! 長ネギはもう嫌やぁっ!」

 

 悲鳴を上げつつ走り去る小太郎だったが、それを見送る千鶴の顔にはいつものような笑顔があるだけだった。

 恐らく実際にはそれ程気にしてはいなかったのだろう。

 ……と言うか、もう嫌だって事は……いや、この辺は考えるのを止めておいた方がいいな。俺の精神的な平穏の為にも。

 

「まぁ、小太郎に関しては後回しにするとして……」

「えぇっ、アクセル君。それはちょっと酷くない!?」

 

 というネギの声すらも無視して俺達はそのままネギの所属する拳闘士団の宿へと出向くのだった。

 

 

 

 

 

「あぁ!? 何だって? もう一度言ってみろ」

 

 ネギが100万ドラクマ貯まったので大河内達を解放して欲しいと言うと、トサカとかネギに呼びかけられていた奴がネギを睨みつける。

 ちなみに、現在のネギは年齢詐称薬でナギへと変装をしている。

 

「ですから、100万ドラクマ貯まったと言ってるんです」

「どこからそんな金を手に入れてきたんだ? お前達がそんな金を持っていないのは先刻承知だ。と言うか、その金を手に入れる為に大会に出てたんだろうが」

 

 このままでは埒が明かない、か。

 ネギを退かせるようにして俺が前へと出る。

 

「あぁん? 誰だお前は」

「ん? 俺を知らないのか? ……あぁ、そう言えば」

 

 そこまで言って、ようやくいつものローブを身に纏っているのを思い出す。

 トサカと呼ばれた男の前でそのローブを脱ぎ去り。

 

「これで俺が誰か分かるか?」

「……ア、アクセル・アルマー!?」

 

 一瞬、唖然とした表情をしつつもそう口に出す。

 

「正解だ。で、その100万ドラクマは俺がナギ達に渡した金な訳だ。……文句は無いな?」

 

 実際、100万ドラクマを稼いだ元手は俺の金なので嘘は言ってない。

 

「あ、ああ。けど何であんたがナギに金を?」

「それをお前に言う必要があるのか?」

 

 尻尾でバチンッと床を叩いて目の前に立つ男へと視線を向ける。

 

「そ、それは別にないけど……」

「なら文句は無いな? さっさと3人を連れてきて奴隷から解放しろ」

「……分かったよ」

 

 何が気に食わないのか、ネギを一度鋭く睨みつけてから建物の中へと戻っていく男。

 それを見送り、男の態度に苛ついていたあやか達を宥めながら大河内達が戻って来るのを待っていると……

 

「ちづ姉!?」

 

 やがて建物の中から、夏美、大河内、和泉の3人が姿を現す。

 そして奴隷の解放が出来るという者を先程の男が連れてきて、無事奴隷契約は解除されたのだった。




名前:アクセル・アルマー
LV:39
PP:15
格闘:266
射撃:286
技量:276
防御:276
回避:306
命中:326
SP:470
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    ギアス(灰色)
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊

撃墜数:392

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