転生とらぶる1   作:青竹(移住)

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0403話

「ね、アクセル君。あれって……」

 

 空を飛んで雷の方へと向かっていた俺と円だったが、その雷はすでに止んでおり嫌な予感を覚えた俺達はかなりの速度で目標地点へと向かっていた。

 そんな時、俺の隣を飛んでいた円が示した方向へと目をやり……

 

「やっぱりこういう事だったか」

 

 そこにはあからさまに怪しい4人の人影と宮崎の姿があった。

 頭が禿げている男に、爬虫類っぽい顔をした人物、全身をコートで包んでいる人物に、骨で出来た身体を持った存在だ。……特に最後のなんかリッチの所にいたスケルトンの仲間じゃないか? とも一瞬思ったが。とにかくあの4人がこの騒ぎの元凶であるのは間違い無いだろう。宮崎を捕らえてるっぽい様子だし。

 

「じゃ、行くか」

 

 呟き、そいつらの前に向かおうとして……

 

「ちょっと、アクセル君。その姿のままで行っちゃ駄目でしょ。元の子供の姿にならないと」

「っと、そうだったな」

 

 円の言葉に頷き、イメージを強めて全身を炎で覆って麻帆良にいた時のような10歳程の姿へと変化する。

 

「よし、これで……あ」

 

 さぁ、行くぞと思ったその時。いつの間にか宮崎を捕らえている男達の側には1人の人物が現れていた。遠目に見てもそれが誰なのかはすぐに分かった。ネギだ。

 円もそれに気が付いたのだろう。苦笑を浮かべてこっちを見てくる。

 

「ちょっと遅かったみたいね」

「らしいな。ま、宮崎を助けるのなら確かに俺達よりもネギの方が相応しい配役だろうさ」

 

 そんな事を話している間にも、現れたネギがその場にいた4人の人物を瞬く間に殴りつけて吹き飛ばす。

 っていうか、おい。アレは……

 俺と同じ事に円も気が付いたのだろう。唖然とした表情でそのスキルの名前を呟く。

 

「闇の魔法」

 

 そう、俺がエヴァから習得したまさに禁忌と言っても過言ではないその技術を何故か久しぶりにあったネギは身につけていたのだ。

 どうやって闇の魔法を身につけた? と考えたがすぐに納得した。確かエヴァ自身が闇の魔法を習得する為の巻物を騙し取られたとか何とか言ってた気がする。それも俺が使ったようなプロトタイプの物ではなく、完成品の方を。

 だが、それにしても。

 

「マギステル・マギを目指すネギが、よく闇の魔法なんかに手を出したな」

「いや、そもそもネギ君はエヴァちゃんの弟子で、ある意味私達の兄弟子だから」

「……そう言えばそうか。エヴァに弟子入りしている以上は麻帆良で増殖していたような正義バカにはならないだろうしな」

「いや、それは……っていうか、折角ここまで来たんだしネギ君に合流した方が良くない?」

「確かにな。と言うか、神楽坂達は俺をしっかりと見つけてるぞ」

「え? マジ?」

「ああ」

 

 少し前から向けられている視線。最初はまた敵かとも思ったんだが、視線の先を辿っていった所、見事に唖然とした表情で俺と円を見ている神楽坂の視線とぶつかった。

 元々肉体的には一般人離れしたような所があったが、混沌精霊と化した俺と同レベルの視力を持つってどれだけ人間離れしてるんだよ、と。

 

「あ、ちなみに雷を受けていたのは桜咲と長瀬の2人だったようだな。それを神楽坂がお得意の魔法無効化能力で掻き消した、と」

「へぇ……って、その2人は大丈夫なの!?」

「伊達に烏族とのハーフだったり忍者だったりしないから……ん? あれはちょっとやばいかもな」

 

 視線の先では、全身をコートのような物で包んでいる人物が操っているのだろう巨大なミミズのようなものが数匹程地中から姿を現していた。

 

「さて、挨拶代わりにちょっと行ってくる。円は宮崎の所で護衛でもしててくれ。今のお前ならあの賞金稼ぎ達1人程度なら何とかなるだろうしな」

「うん、分かった。……アクセル君、その……気をつけてね」

「ああ」

 

 円に短く返し、浮遊術を使ってミミズモドキの上空まで移動し……

 

「はぁっ!」

 

 地面を削るようにしてネギへと襲い掛かろうとしていたミミズモドキを、影を使って束縛する。同時に、そのままミミズモドキを束縛している影の力を強めていき……

 

「ギュオオオオオオオン!」

 

 ミミズモドキは、悲鳴を上げながら意識を失ったのかそのまま地面へと倒れこむ。

 仕留めてしまっても良かったんだが、これだけのでかい生き物を殺すとなるとかなり悲惨な事になるのが明白だったので気絶に留めたのだ。……主にミミズモドキの粘液とか体液とかに塗れるのは御免だしな。

 そんな俺の横で、恐らく何らかの術式兵装の効果だろう雷を身に纏ったネギが爬虫類っぽい顔の亜人へと向かっていく。それを見ながら俺は魔族の方へと1歩進み出る。

 

「……まさか、君まで来るとは思わなかったよ。150万ドラクマの賞金首」

「まぁ、確かにな。旅路が予定通りに行っていればそっちの目論見通りにはなっただろうな」

「全く、色々と想定外な事が起きるよ……ねっ!」

 

 左右から生えている3本ずつの手。合計6本の手で連続して拳を叩き込んでくる魔族。

 さすが賞金稼ぎと言うべきなのだろう。魔族の拳には全て魔力が込められており混沌精霊となった俺の身体にもダメージを与えられる威力を持っていた。……魔法障壁を突破出来れば、だが。

 

「な!?」

 

 ガガガガガガ! という音が周囲に響き渡る。魔族の男の拳による連打が全て俺の周囲に展開している魔法障壁に阻まれた音だ。魔族にしても、自分の攻撃全てが防がれるとは予想もしていなかったのだろう。唖然とした顔でこちらを見ている。

 

「……行くぞ」

 

 魔族の男の影へと干渉し、そのまま影槍……というよりも、先端を尖らせていないので影棍とでも呼ぶべきもので空中へと打ち上げた。

 虚空瞬動を使ってその後を追うように内側へと入り込み、先程の礼だとばかりにこちらも連続して拳を叩き付ける。

 何しろ身体全体が骨で出来ているような相手なのでいつもとは勝手が違うが、それも殴り続けているうちに慣れてくる。

 

「このままやられっぱなしには!」

 

 魔族の男がそう言いつつせめてもの反撃だとばかりに拳を振り上げるが、その一撃を放つ前に懐へと潜りこんで喉の骨を右手で握りしめ……

 

「眠れ」

 

 その一言と共に、虚空瞬動に落下速度をプラスして勢いのままに大地へと叩き付ける!

 

「ガッ!?」

 

 地面に叩き付けられたその衝撃で、魔族の男はそのまま気を失うのだった。

 それを確認してから爬虫類風の亜人を倒し、周囲を警戒しているネギの方へと近付いていく。

 

「ぐっ!」

 

 俺へと視線を向けたネギは、何やら呻きながら闇の魔法を解除する。

 ……いや、解除すると言うよりは解除されたという方が正確か?

 その様子から見るに、ネギは闇の魔法を習得してから日が浅いのだろう。まだまだ闇の魔法を使いこなすというよりは、闇の魔法に使われているといった様子だ。

 ネギへと近付きながら、チラリと死んだ振り……いや、この場合は気絶した振りをしている禿の男に目をやるが、宮崎の側にいた円と桜咲があからさまに警戒しているようなので問題はないだろう。

 

「アクセル君……無事で良かった」

「ああ、そっちもな。……それよりも、さっきのは」

「あ、うん。アクセル君と同じ闇の魔法。ラカンさんっていう父さんの知り合いが闇の魔法を習得する為の巻物を持っていて、それを使わせて貰ったんだ」

「一応言っておくが、エヴァが編み出しただけあってこの技は色々とやばい面もあるってのを理解してるか?」

「……うん」

「まぁ、いい。時間が出来たらその辺もきちんと教えてやるよ。それよりもほら、お姫様を迎えにいってやれ」

 

 宮崎の方に向かい、その背を叩いてやる。

 一瞬だけ俺の方を見たネギだったが、すぐに宮崎の方にへと近寄っていく。

 その宮崎も先程の戦闘の影響で破れたのか、円がどこかから出したバスタオルをその上半身に身につけていた。

 久しぶりにネギに会ったのが余程嬉しかったのだろう。顔を真っ赤に染めながら宮崎と話しているネギを見つつ、空間倉庫からパクティオーカードを取り出して額に当てる。

 

『念話』

 

『あやか、千鶴、美砂、聞こえるか』

『はい、聞こえますわ。念話を送ってくるという事は一段落したのでしょうか?』

『ああ、こっちの予想は的中していた。賞金稼ぎらしい奴等が宮崎を囮にして仕掛けた罠に桜咲、長瀬の2人が引っ掛かったらしい。それがあの雷で、それを神楽坂が魔法無効化能力を使って防いだって所か。で、その賞金稼ぎを相手に戦っていたネギとも合流した』

『ネギ先生ですか……元気そうでしたか? その、それとついでにアスナさんも』

『あらあら、あやかったら親友が心配ならそう言えばいいのに』

『ちょっ、千鶴さん!?』

 

 そんな風に念話で会話をしていると、宮崎との話も一段落したのだろう。ネギがこちらへと向かって来るのが見えた。

 

『宮崎とネギの感動の再会も終わったようだな。ネギ達も足がないと困るだろうからこっちに合流してくれ』

『分かりました。リュボースさんにそう伝えますのでもう少々お待ち下さい』

 

 そこで念話を終了し、こっちに近寄ってくるネギへと声を掛ける。

 ちなみに円は宮崎や桜咲、長瀬達と再会を喜んで仲良く話していた。

 

「さて、改めてだ。何とか合流出来たんだが……」

「うん、ようやくだね。あれから1ヶ月半。魔法世界の広さを思えば早いくらいだってのは分かるんだけど」

「まぁな。ナギ・スプリングフィールド杯のインタビューでお互いの居場所が分かったってのが大きかったな」

「そうだね。ただ、アクセル君の方は皆と合流出来てるみたいだけど……僕の方は古老師と夕映さんがまだ」

 

 無念そうな溜息を吐くネギの頭を軽く叩く。

 

「安心しろ。古菲についてはキズクモからこのオスティアに来るまでの間に拾ってきたからな。あやか達と一緒にもう少ししたら飛行魚でここに来る筈だ」

「え!? 本当!?」

「ああ。キズクモからの移動中にちょっとトラブった時に偶然な」

「……トラブル? そう言えばオスティア祭が始まるのは明日からなのに、随分と到着が遅れたみたいだけど……そのトラブルが原因で?」

「まぁな。その件に関しても後で時間が出来てから話すよ。……それで、あの4人は?」

 

 宮崎達の側にいた見覚えのない4人。剣を背負った男と、いかにもな色男。まるでエルフのような長い耳をした女に、どこか円に似ているような格好良いと表現すべき雰囲気を持っている女へと視線を向ける。

 

「あ、はい。あの人達はトレジャーハンターでのどかさんを保護してくれてた人達です」

 

 そんな声が聞こえたのだろう。その4人の中でもリーダー格だと思われる剣を背負った男がこちらへと近付いてくる。

 

「そっちの坊主が嬢ちゃんのナイト様ってのは分かったが、そっちは?」

「ネギの……そうだな、知人と言うべきか、友人と言うべきか。まぁ、そんな感じの関係だな」

「へぇ。にしても2人共坊主の割には強いよな。どんな技なんだ?」

「あれは……」

 

 ネギが何かを言おうとしたその時、遠くから急速に怒声が近付いてくる。

 

「コラーーーーーッ、ネギーーーーーッ、あんたあれってアクセルと同じ……あれ、クギミー!?」

「クギミー言うなっ!」

「この突っ込み、やっぱりクギミーじゃん。あんたも無事だったんだね。TVでやってたアクセルとネギのやり取りだと意味不明だったから心配したんだよ」

「だからクギミーって……ちょっ、アスナ!?」

 

 がばっとばかりに円へと抱きつく神楽坂。

 

「で、いいんちょとかも一緒なの?」

「え? あ、うん。っていうか、さっきも言ったけど、なんであんなに分かりやすい暗号……暗号? まぁ、それが分からなかったのよ」

 

 既にネギが闇の魔法を使った事は忘れ去ったのか、円の言葉に不満そうに口を尖らせる。

 

「しょうがないじゃない、刹那さんも分からなかったんだから」

 

 神楽坂のその言葉に、思わず宮崎の側にいる桜咲へと視線を向ける。

 

「……」

 

 俺と目が合った瞬間、無言で顔を背ける桜咲。

 

「流石バカレッドとバカレンジャー予備軍だな」

「ちょっ、アクセルさん!?」

 

 俺の言葉に抗議の声を上げた桜咲だったが、飛行魚が見えたのか会話はそこで止まる。

 見えた飛行魚は俺がここまで乗ってきた物と、そしてもう1隻。まるで金魚のように見える飛行魚も存在していた。




名前:アクセル・アルマー
LV:39
PP:15
格闘:266
射撃:286
技量:276
防御:276
回避:306
命中:326
SP:470
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    ギアス(灰色)
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊

撃墜数:392

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