転生とらぶる1   作:青竹(移住)

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0345話

 敵に対する処遇に関しての言い合いで神楽坂が部屋を飛び出していったかと思うと、その後をネギ、近衛、桜咲、宮崎、綾瀬が追っていった。ネギパーティの殆どがいなくなり……ん?

 ふと、ネギの師匠の1人でもあり、現在のネギパーティの中でもトップクラスの実力を持つはずの古菲の姿が残っているのに気が付く。

 他にもネギパーティという訳ではないが、ネギの保護下にある筈の朝倉の姿もある。他は小太郎、エヴァ、茶々丸、そして俺とあやか達4人だな。……チャチャゼロに関してはまだお仕置き中らしい。

 

「古菲、お前はネギ達を追わなくてもいいのか?」

「……正直、私としてはネギ坊主もアクセル坊主もどちらも正しいと思うアル。だから今はここに残ってアクセル坊主達の話を聞く事にするアルよ」

「朝倉は?」

「うーん、私としてはどっちもどっちなんだよね。敵は殺しても問題無しっていうアクセル君の意見にしても、敵でもなんでも絶対に殺しちゃ駄目っていうネギ君やアスナの意見も。ケースバイケースと言うか、その中間っていうか」

「……小太郎、お前は?」

「いや、俺は別にネギの仲間って訳やないし……」

 

 その割にはヘルマンとの戦いに関して随分とネギの肩を持っていたようだが。

 

「アクセル君、エヴァンジェリンさん、それで小太郎君の処遇はどうなるのかしら?」

 

 こちらの話が一段落したと判断したのか、千鶴がそう尋ねてくる。

 

「どう、と言われてもな。関西呪術協会から脱走してきたんだろう? ならじじぃに突き出すしかないんじゃないか?」

「そんな殺生な」

「ですが、エヴァンジェリンさん。この子はネギ先生と一緒にあのヘルマンという方と戦ったのです。その点は考慮されてしかるべきだと思います」

「あやかねーちゃん」

「ふむ、まぁ、確かにそうだな」

 

 あやかの言葉に何かを考え込むエヴァ。やがてニヤリとした笑みを口元に浮かべながら小太郎の方へと視線を向ける。

 

「おい、犬っころ。貴様、これからは那波千鶴と一緒に暮らせ。そうすればじじぃに対して口を利いてやろう」

「……千鶴ねーちゃんと? いや、それは構わんけど。何でや?」

「構わない、という事は承諾したと見てもいいんだな?」

「まぁ、西に連れ戻されなくてもいいって言うんなら俺はかまへんけど」

「男に二言はないな?」

「しつこいな。それでいいって言うてるやんか!」

 

 こういうのを悪魔の契約とでも言うんだろうか。そもそも小太郎は俺に対して苦手意識を持っていた筈だろうに、一緒に暮らしても大丈夫なのか?

 

「あーあ。あの子自分で死刑執行書に判を押しちゃったね」

 

 苦笑を浮かべながら美砂が呟く。

 その様子を見ながら、既に最後の1個となったサンドイッチを口へと運び入れる。

 

「だそうだ。アクセル、こいつの面倒をちゃんと見ろよ」

「……え?」

「まぁ、そいつが構わないというのなら俺は問題無いが……お前、俺が苦手なんじゃなかったのか?」

「え? 何でや? 俺は千鶴ねーちゃんと暮らすというのは納得したけどそこの大魔王と暮らすなんて一言も言ってへんで?」

「ぷぷっ、大魔王だって。まぁ、アクセル君の事をよく知らないとそういう意見も出て来るか」

「ちょっと、美砂。余り笑っちゃ……ご、ごめっ、駄目。だ、大魔王……」

 

 美砂と円が笑いを堪えている。チラリと他の面々を見ると、殆どが同じように笑いを堪えている様子だった。

 そんな状況の中、俺は溜息を吐いてから口を開く。

 

「小太郎、あやかと千鶴の部屋で部屋からはみ出しているベッドがあっただろう?」

「ん? あぁ、そう言えば……って、まさか!?」

 

 自分で答えてようやくその結論に至ったのか、小太郎はあからさまに衝撃を受けた様子を見せる。そしてそこにトドメの一撃とも言えるエヴァからの一言。

 

「男に二言はない、だったよな?」

「……ええいっ、しゃーない! ならそれでええわい!」

 

 半ばヤケとでも言うべき表情でそう叫ぶ小太郎だった。

 

「そうなると、さすがにリフォームを考えないといけませんわね」

「そうねぇ。その辺はあやかの好きにしてちょうだい」

「ええ、任せて下さいな」

 

 と、いう事に決まったらしい。

 

「さて、ではアクセル。そろそろお前の新しい能力の調査に入ろうか」

「確かにな」

 

 異形化自体は気を失う前に一応変身に成功しているのだが、何せあの時はそのまま気を失っているので能力自体の確認はしていない。この先何があるのか分からないんだから、能力の確認は出来る時にしておくべきだろう。

 

「うむ。ではいつもの場所に行くぞ」

 

 そう言い、エヴァが部屋を出ると俺達も後を追うのだった。

 ちなみにこのまま自分達だけであそこに残っていてもしょうがないという事で、小太郎や朝倉、古菲も俺達と行動を共にするらしい。

 

 

 

 

 

 既に何度となく来た城の前庭。最近では円や美砂もここで魔法の修行をしていたりするし、あやかや千鶴は言うまでもない。

 

「さて、ではあの姿になってみろ」

 

 念の為にエヴァ達から少し距離を取り、深く深呼吸をして口を開く。

 

「異形化」

 

 そう口に出した途端、俺の鳩尾の辺りに熱い塊が現れそれが全身へと流れていく。そして次の瞬間にはメキメキと音を立てながら側頭部から2本の漆黒の角が。おでこからは1本の深紅の角が伸びる。ここまでは鬼神化と同じなのだが、ここからが違った。後頭部からも角が伸び、側頭部の左右から伸びている角の下を通り前方へと突き出すようにしてそれぞれの角が伸びる。こちらの角もまた、側頭部から伸びている漆黒の角と同じような色をしていた。同時に背中には巨大な羽が形成される。この羽に関しては後頭部から伸びた新たな角と違い、背中から直接生えているのではなく、一種の魔力で形成されているらしい。チラリと確認するとこちらも色は黒……というよりは角とおそろいの漆黒だ。ただし、羽と言っても桜咲に生えている鳥のような翼ではなく、どちらかと言えばコウモリのような羽となっている。……まぁ、悪魔であるヘルマンを吸収して得たスキルなんだから、当然と言えば当然だが。

 試しに羽を動かしてみると、バサッっと羽ばたく事には成功する。

 

「……ざっとこんな感じだな」

「あー、これを見るとその子、小太郎君だっけ? 魔王って言ってもおかしくないよね」

 

 苦笑を浮かべながらそう告げる円。他の面々も同じような感じで、まさに異形と化した俺に対して恐れの一片すらもないというのはちょっと意外だ。

 

「怖くないか?」

「何が? だってアクセル君でしょ?」

 

 俺の問いに美砂はあっさりとそう答える。他の3人も同感だとばかりに頷いていた。

 エヴァはと言えば、何しろ自分自身が真祖の吸血鬼だから怖がる理由は無いし、茶々丸もエヴァのパートナーとして同様だ。

 

「くくっ、異形化か。まさに悪魔と鬼神を吸収したのに相応しい姿だな。……その様子を見る限りではお前ならもしかして闇の魔法による暴走も意外とあっさり乗り越えてみせるのかもな」

「はい。どんな姿になってもアクセルさんはアクセルさんですので」

「おおっ、ちょっと格好いいやん」

 

 小太郎は何故か興奮して羨ましそうにこちらへと視線を送っていた。古菲はポカンとしており、朝倉はどこか引きつった様子で見ている。

 

「で、どんな能力か分かるか?」

 

 エヴァの言葉に自分の変化した身体を色々と動かして確認する。

 

「……そうだな。まず、羽があるという事で空を飛ぶのは可能だろう」

 

 バサァッと背中の羽を羽ばたかせる。その反動で空中へ数秒であるが浮かび上がるが……

 

「っと!」

 

 そのままバランスを崩して地面へと着地する。

 

「どうやら空を飛ぶのはある程度練習しないと無理みたいだな」

「ふむ、そんなものか。まぁ、アクセルならそれ程の苦もなく空を飛ぶのに慣れるだろう。他には何かあるか?」

「そうだな、恐らくこれがメインだろうが」

 

 足下にある影に意識を集中し、ずるりとその影へと身を沈める。そのまま影を通って移動してエヴァの影から姿を現す。

 

「……ほう。影のゲートか」

 

 足下から俺が現れたにも関わらず、特に驚いた様子もなく納得するエヴァ。

 それに対して茶々丸以外の面々は驚愕に動きを止めていた。

 その様子に苦笑を浮かべながらエヴァの言葉を肯定する。

 

「ああ。正確に言えばあのヘルマンとかいう悪魔の力で操影術のスキルが底上げされたような形だな。それなりに魔力を消費するが影のゲートを使えるようになった。……異形化をしている時限定だがな。それとヘルマン特有のものだろうが、石化させる光線のようなものが口から出せるらしい」

 

 身体能力自体は鬼神化と同じで、上昇率は微々たる物だ。とは言え、羽により自由に空を飛べるようになったと考えるとメリット的にはかなり大きいだろう。

 

「まぁ、影のゲートを使えるようになって飛行も可能。尚且つ石化光線か。それ以上を求めるのは強欲だろう」

 

 エヴァの言葉に確かに、と頷きその後は成り行きでそれぞれが訓練をする事となる。

 あやかと千鶴はそれぞれが得意とする魔法の修行を。円と美砂は以前あやか達が使っていたような初心者用の杖を使って火よ灯れの呪文を。

 ちなみに小太郎は何やらネギと話があるとかで先程出て行ったネギ達を探しに。古菲と朝倉も同様にその後を追っていった。

 エヴァは優雅にワインを飲み、茶々丸はそのツマミにと料理をしている。

 そして俺は上手く空を飛べない状況を何とかすべく必死に羽を動かしていた。

 

「うおっ!?」

 

 だが、さすがに今まで無かった羽という器官を上手く使うというのはなかなかに難しく、数cm浮くのがやっとだ。そして浮いたとしても数秒、良くても数十秒といった所で地面へと落ちる。

 

「……何か根本的に間違っているのか?」

 

 ヘルマンとの戦い……では、空を飛ぶまでもなく速攻で仕留めたので参考にならないな。だが、ネギの記憶で見た、村を襲撃していた悪魔達は特に苦労する様子も無く空を飛んでいたのをこの目で見ている。

 

「そうなると、俺が何かを勘違いしているとしか思えないんだが……」

 

 脳裏にあの村の襲撃映像を鮮明に思い描く。

 あの村を襲った悪魔の中には俺よりも大きい身体をしていながら、尚且つ俺より小さい羽を持っていた者もかなりいた筈だ。

 だとすると普通に浮力とかで飛んでいる訳ではない、のか?

 ……待て。そもそも悪魔である以上はまさか物理法則で浮かんでいる訳でも無いはずだ。となると、何だ? それ以外……っ!? 魔力、か?

 物は試しとばかりに、背中の羽へと魔力を流しながら羽ばたいてみる。すると次の瞬間には俺の身体は地上から5m程上の位置にあった。

 空中でのコントロールに関しても、殆ど思い通りに自由自在に可能になっている。

 その状態のまま、空中でターン、上下へと激しく移動と好きなように身体を動かせるのを確認し、地上へと降り立つ。

 そこで待っていたのは感心したような笑みを浮かべるエヴァだった。

 

「思ったよりも早く飛行を身につけたな」

「ああ。固定概念と言うか、何と言うか。鳥のように物理法則に沿って飛行しようとしていたのが原因だったな」

「そういうものか。……なら最後だ。石化光線とかいうのを試してみるとしよう。茶々丸」

「はい、マスター」

 

 エヴァの言葉に、茶々丸が案山子のようなものを用意する。

 

「……何で案山子がこんな所にある?」

「知らん。倉庫にあったらしい。アレならどうなっても構わないから、石化光線とやらを使って見ろ」

 

 エヴァの言葉に頷き、念の為に周囲の者達から少し離れて貰い喉の辺りに魔力を集中させる。ヘルマンを吸収した影響なのか、石化光線に関しては使い方を本能的に理解していたのだ。……その割に飛行に関してはアレだったんだが。

 喉に魔力が集まったのを確認し、大きく息を吸い……魔力と共に吐き出す!

 次の瞬間、俺の口から直径30cm程の光線が放たれて案山子へと命中。瞬時に案山子を石の人形へと変化させる。

 

「……これはまた、随分と強力な石化光線だな」

 

 珍しく唖然としたようなエヴァの声が周囲へと響いていた。




名前:アクセル・アルマー
LV:39
PP:655
格闘:266
射撃:286
技量:276
防御:276
回避:306
命中:326
SP:470
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    ギアス(灰色)
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    異形化

撃墜数:380

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