転生とらぶる1   作:青竹(移住)

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0335話

「……何で俺はここにいるんだ?」

 

 思わず呟く。

 視界に広がるのは白い砂浜にコバルトブルーの海。そして雲一つ無い青い空。どこからどう見ても南国のリゾート地以外の何物でもない。

 少なくてもまだ5月の日本では有り得ない景色だ。

 チラリと俺の後ろでどことなく複雑な表情をしているあやかへと視線を向ける。

 ネギの弟子入り試験から1週間程。昨日の授業が終わった後にあやかに強制的に連れ出され、ふと気が付くとクラスの殆どと一緒に飛行機の中。そして飛行機で一泊して気が付くと南国リゾート地にいた訳だ。

 

「全く、ネギ先生とアクセル君の2人だけを誘うつもりでしたのに……」

 

 あやかがそう呟きながら隣にいる千鶴へと視線を向ける。

 

「クラスの皆に漏れたのが悪かったわね」

「千鶴さん、貴方が漏らしたんでしょう?」

「あらあら、どうかしら」

 

 そんな会話をしている間にも、クラスの皆が歓声を上げながら水着で海へと突撃していく。

 ……さすがに中学生と言っても、3-A所属だけあってなかなかに華やかだ。

 

「で、結局何で急にこんな事をする気になったんだ?」

 

 太陽の日差しに負け、パーカーを脱ぎながらあやかへと尋ねる。

 

「その、ネギ先生が最近元気が無さそうでしたので」

「あらあら、神楽坂さんとの仲を取り持って上げようとしたんでしょう?」

「千鶴さん! わ、私はそんな事少しも考えてはいません!」

 

 がーっとばかりに千鶴にそう言うが、頬がほんのりと赤く染まっているのを見ればその内心は大体予想出来た。そう言えば確かにここ暫くネギと神楽坂がまともに話しているのを見た記憶がない。友人思いのあやかとしてはネギと神楽坂の仲を取り持ちたかったのだろう。

 

「……ま、いいけどな。折角来たんだし楽しむとするか」

「アクセル君、ほら、一緒に遊ぼう!」

「そうそう。こんな所滅多に来られないんだから。思い切り遊ばないと損だよ」

 

 円と美砂が横から現れ、俺の手を引いて海へと突撃していく。

 

「ね、私達の水着姿どう?」

「欲情した?」

「ちょっ、美砂! あんたねぇ!」

 

 そんないつも通りの2人の様子に笑みを浮かべながら口を開く。

 

「ああ、2人ともよく似合っている」

「ほらほら、だってさ。円も嬉しそうな顔をしたら?」

「はぁ……まぁ、そういう事にしておいてあげるわ。それよりほら、海よ海。本当ならまだ数ヶ月は泳げないんだから堪能しないとね」

 

 そう言って海の水をこちらへと掛けてくる円。

 

「きゃっ、ちょっと! 何で私にまで掛けるのよ。このっ!」

 

 それに俺の近くにいた為に、美砂もまた水を被り仕返しとばかりに水を周囲へと撒く。

 確かに折角ここまで来たんだ。遊ばないと損だな。

 

「はぁっ!」

 

 気合い一閃。周囲の水を汲み上げて盛大に2人に掛けてやると髪から何からずぶ濡れになる円と美砂。

 

「ちょっ、この水の量は反則でしょ!」

「円、共同戦線よ!」

「分かった! 桜子、ヘルプ!」

「呼んだかにゃー?」

 

 と、近くを通りかかった椎名を味方に引き入れ1対3の容赦無き戦闘が始まったのだった。

 

 

 

 

 

「ごめっ、降参、降参するからやめてぇ!」

「にゃーっ! 白旗白旗!」

「アクセル君、大人げないわよ!」

 

 ……まぁ、そんな容赦なき戦闘も敵の無条件降伏により数分で完了したが。

 

「美砂、一応俺は10歳だ。大人げないのはそっちだと思うが」

「そっ、それは……」

 

 言い返そうとした美砂だったが、すぐ近くにいる椎名が目に入り悔しそうにこちらへと視線を向ける。

 

「まぁまぁ、2人共その辺で。ちょっと砂浜で休憩にしようよ」

「海の家とかあればいいんだけど、ここにはないんだよねー」

 

 円にそう諭され、椎名の暢気な雰囲気にあてられ、思わず美砂と顔を合わせて苦笑を浮かべながら砂浜へと向かうのだった。

 その後、砂浜でビーチバレーをしたり飲み物を飲んだりと寛いでいると鮫が出たとかなんとかいう騒ぎもあったが、実はそれが古菲と夏美の悪戯だと判明する。普通なら騒ぎになるのもお祭り騒ぎになるのが3-Aクオリティ。特に何事も無くお祭り騒ぎを楽しむのだった。

 そんな中、あやか、千鶴、夏美、朝倉の4人がどこか沈んだ顔をしてこちらへと向かって来るのが目に入る。

 

「どうしたんだ?」

 

 南国と言えばこれ! とばかりに用意されたトロピカルジュースを飲みながら尋ねてみると、あやかがポツリポツリと話し始める。

 どうやら先程の鮫騒ぎはネギと神楽坂を仲直りさせるために仕組まれたものだったらしいが、それが肝心の神楽坂に知られてしまい余計に意地になってしまったらしい。

 

「アクセル君、どうしましょう」

「そう言われてもな。そもそも何が原因でその2人は喧嘩してるんだ?」

「その、どうも……」

 

 チラっと夏美が千鶴と話しているのを確認してから口を開く。

 

「ネギ先生がアスナさんに対して魔法の件で何かを言ったらしいのです。アスナさんはそれが気に入らなかったみたいで」

 

 なるほど。ネギの性格を考えると魔法に関わるのは危険だから、これ以上関わらない方がいいとでも言ったか? ネギが弟子入りしてからは修行の邪魔になるからとエヴァの家に行くのを遠慮してたので、その辺の詳しい事情が今ひとつ分からない。

 ただまぁ……

 

「あの神楽坂の事なんだし、親友のあやかが直接言いに行けば意外とすんなり解決しそうな気がするがな」

「私が、ですか?」

「ああ。親友なんだろ?」

「あ、あ、あ、あり得ませんわ! アスナさんとは天敵同士なのですから!」

「えー? 私達から見れば似たもの同士に見えるけどね」

 

 俺の隣でサンオイルを腕に塗りながら美砂が呟く。

 

「か、柿崎さん! そんな根も葉もない出鱈目を言われるのは心外ですわ!」

「そう? じゃ、賭けようか。もし委員長がアスナに言っても聞かなかったら私の負け。その逆なら私の勝ち。どう?」

「……何を賭けるというんですの?」

 

 あやかのその言葉に、周囲を見回し……俺と目が合う。そしてニヤリとした笑みを口元に浮かべながらこちらへとすり寄ってくる。

 

「私が勝ったらアクセル君にサンオイルを塗って貰うって事でどう? もちろん全身にねっとりたっぷりと」

「……私が勝ったら?」

「そうねぇ……私がアクセル君にサンオイルを塗って上げるとか? こちらももちろんねっとりたっぷりとね」

「ちょっと、それだとどちらにしても柿崎さんの一人勝ちじゃないですか!」

 

 ムキーっとばかりに顔を赤くして抗議するあやか。そんな様子をしばらく楽しそうに眺めていた美砂だったが、その様子に十分満足したのか言葉を続ける。

 

「そだね。じゃあ私が勝ったら委員長には私の事を柿崎じゃなくて美砂って呼んで貰おうかな。ほら、秘密を抱えてる者同士いい加減名字じゃなくて名前で呼び合ってもいいでしょ」

「……はぁ、しょうがないですわね。分かった。分かりましたわ。私が言ってくればいいのでしょう?」

 

 溜息を1つ吐いてから、あやかが神楽坂の部屋の方へと向かう。その背を見ながらチラリと横へと視線を向けると、そこにはどこか照れた様子で仄かに頬を赤くした美砂の顔があった。

 

「……何?」

「いや、あやかにしろ、神楽坂にしろ、素直じゃないなーと思ってな」

「でしょ? 私があの2人と一緒のクラスになったのは中学校に入ってからだけど、ずっとあんな感じなのよ。端から見れば親友同士なのにね。全く、素直になれないったら」

「……素直になれないのは美砂もだけどな」

 

 周囲には聞こえず、美砂にだけ聞こえるような音量でボソッと呟く。

 

「はぁ!? 私は素直に決まってるじゃない。だからこーんな事も出来ちゃうし」

 

 照れ隠しの意味も込めているのだろう。水着のまま俺の背中へと抱きついてくる。

 ぐにゅり、と柔らかい感触を背中に感じるが、その途端椎名とビーチバレーをしていた円がこちらを見つけて大声を上げてくる。

 

「こらーっ、美砂。あんた何やってるのよ!」

「いいじゃん。ほら、夏の日差しは女を大胆にさせるのよん」

 

 そう言いながら更に密着度を上げてくる美砂。

 

「なにがよん、よ。いい加減離れなさーいっ!」

「きゃぁっ、アクセル君こわーい。あそこにいる妖怪クギミーが私を襲うのー。助けてー」

「だ・れ・が、妖怪クギミーだっ! 棒読みなのもいい加減にしなさい!」

 

 そう言いながら、ザッシュザッシュと砂浜を踏み越えてこちらへと向かって来る大魔神が1人。

 

「あはははは。あっちではネギ君争奪戦が起こりそうで、こっちではアクセル君争奪戦かぁ」

 

 カメラで写真を撮りながら朝倉がこちらへとやってくる。

 

「ネギ争奪戦ねぇ。朝倉はいいのか?」

「うーん、私はネギ君に保護して貰ってるとは言っても、あくまでも第3者的立場だから。ジャーナリストは片方の勢力に肩入れするようじゃ駄目なのさっ!」

「あ、朝倉朝倉。丁度良かった。折角なんだしアクセル君とのツーショット写真撮ってよ」

 

 どうやったのかは分からないが、大魔神クギミーを撃退した美砂が俺を抱き上げながらそう声を掛けて来た。

 ……ちなみに、大魔神クギミーは何故かその頬を真っ赤に染めて体育座りをしながら黄昏れていたりする。

 

「なによ、私だってそりゃアクセル君とイチャイチャしたいわよ。でもしょうがないじゃない。他の人の目があるんだからさ。それに大体美砂も美砂よ。告白したのは私が先なのに……」

 

 ……なにやらぶつぶつと呟いているが、俺の精神衛生上スルーする事にした。

 

「はい、アクセル君も柿崎も準備いい? 撮るよーっ!」

 

 そう言って朝倉がシャッターを押す瞬間、俺を抱き上げていた柿崎が素早く動き頬へとその唇を接触させてくる。同時にカシャッという音が。

 

「あー……まぁ、いいか。お幸せにね」

「みーーーさーーーーーっ!」

「ごめんごめん。ほら、円もアクセル君とのツーショット写真を撮って貰いなよ。ね?」

 

 がうがう、キャーキャーとやり取りをしていた円と美砂だったが、結局またもや美砂が円に勝ったらしい。と言うか、俺に拒否権はないのか。……いや、別に円と写真を撮るのがいやって訳じゃないんだけどな。

 

「アクセル君、ん」

 

 そう言い、手を差し出してくる円。その手を掴んだ俺は美砂の時とは違って立ったまま手を繋いでカメラの前に立つ。

 

「いい、撮るよーっ」

 

 そして再び感じる柔らかい感触。同時にカシャッというシャッターを切る音。

 チラリとそちらへ視線を向けると、そこには顔を赤く染めた円の姿があった。

 

「ほ、ほら。やっぱり夏の日差しは女を大胆にさせるのよ」

「円、それ私の言い訳と同じじゃん」

「うっ……」

「アクセル君、次は私と写真撮ろうよ」

 

 そう椎名に誘われ、今度は普通に写真を撮るのだった。……それを見ていた数人が我も我もとばかりに集まってきてしばらく写真を撮られまくる時間が続く。

 南国の島の束の間の休日はこうして過ぎていくのだった。

 

 

 

 

 

 ……ちなみに、翌日にはなんだかんだ言いつつもネギと神楽坂が仲直りしているのが確認され、あやかは美砂を名前で呼ぶ事になり、ついでとばかりにあやか、千鶴、円、美砂の4人はお互いを名前で呼ぶ事になったのだった。

 あ、ちなみに魔法に関係ない夏美や椎名……いや、桜子も以下同文。




名前:アクセル・アルマー
LV:38
PP:625
格闘:262
射撃:282
技量:272
防御:272
回避:302
命中:322
SP:462
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    ギアス(灰色)
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    鬼神化

撃墜数:376

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