転生とらぶる1   作:青竹(移住)

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番外編017話 0318.5話

『唇争奪! 修学旅行でネギ先生&アクセル君とラブラブキッス大作戦』

 

 そのゲーム名を聞いた釘宮は、思わず朝倉へと突っ込みを入れたくなった。

 だが、それを押さえたのが親友の柿崎美砂。何故? と尋ねたら人のいない場所に引っ張っていかれてとんでもない答えが返ってきた。

 

「だってほら、そろそろ円もアクセル君に告白した方がいいでしょ? 本屋ちゃんもネギ君に告白したんだし」

「ちょっ、美砂。だから私は別に……」

 

 いつものようにそう言い募ろうとした釘宮だったが、自分の肩を親友の手に掴まれて言葉を詰まらせる。

 

「あのね、円。本当にそれでいいの? 円はアスナ達と本屋ちゃんが告白する場面を見ていたんでしょう?」

「それは、そうだけど……」

「いい加減に自分の心に素直になりなさいよ。本屋ちゃんに出来たのがあんたに出来ないなんて、親友の私が言わせないわよ? それでもどうしても嫌だって言うんなら……私がアクセル君貰っちゃおうかなー。何も知らない少年にお姉さんがあーんな事やこーんな事を教え込んで、というのもありかもしれないわね」

「ちょっ、美砂!?」

「だ・か・ら。そういうのが嫌ならきちんと自分でアクセル君を捕まえておきなさい。何、今は年下って言っても5年後、10年後なら違和感無いわよ」

 

 それだけ言って、朝倉達の方へと移動する柿崎。釘宮はその後ろ姿を見送りながら苦い笑みを浮かべる。

 そう、確かに自分がアクセル・アルマーという少年に惹かれているというのは事実だ。初めは悪質なナンパ男から助けて貰って興味本位で近付いた。その後は色々と行動を共にするようになって次第次第に彼に惹かれていった。子供なのにまるで大人のような口調、スポーツ万能、成績優秀。まぁ、品行方正とはいかないが。本当に、いつの間にか自分は彼に恋をしていたのだ。クラスでの人気はどちらかと言えば同じ年頃のネギ・スプリングフィールドの方が上だろう。確かに彼の愛らしさに何も感じないかといったら嘘になる。だが、しかし……

 

「……そっか。やっぱり私、アクセル君が好きなんだ」

 

 誰にも聞こえないように小さく呟く。すると、その呟いた言葉がストンと胸の中に落ちてきて自分自身の言葉に納得する。そう、釘宮円はアクセル・アルマーに恋をしているのだ、と。

 脳裏に浮かぶのは昼間に見た宮崎のどかの告白シーン。クラスでも内気で有名な彼女ですら勇気を振り絞って告白したのだ。それなら自分だって負けていられない、と。自分の本来の好みは年上で少し馬鹿っぽいタイプなのだが……好みと恋する相手というのはやはり違うという事だろうか。

 

「それに、自分の気持ちを自覚したのに誤魔化すなんて格好悪い真似はしたくないしね」

 

 こうして釘宮円は己の恋心を自覚し、ゲームに乗じて想いを伝える事を決意する。

 親友のおかげで、アクセル・アルマーに最も近い存在である雪広あやか、那波千鶴の2人を押さえて自分達がそのゲームの参加者になれたと知るのは少し先の話。

 ……そして、その親友すらも実は自らの想い人に惹かれ始めていると気が付くのはさらにもう少し先の話。

 こうして、釘宮円は自らが気が付かないうちに常識の通用しない魔法という存在に深く関わる事になる。その想いが、自分の人生すらも本来の歴史と大きく異なる道行きとなったのにすら気が付かずに。


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