転生とらぶる1   作:青竹(移住)

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3267話

 映像モニタの向こうから聞こえてきた、MSがスノーボードに乗ってやって来ているという言葉。

 その言葉に驚いたものの、すぐに指示を出す。

 

「MS全機、出撃だ! 俺もすぐに出る! ジャミル!」

『分かっている! こっちもMSを出す!』

 

 映像モニタの向こうでジャミルがそう言い……あ、ジャミルから少し離れた場所にティファがいる。

 そのティファの右肩には、以前俺が生み出した炎獣のリスがいる。

 しかし、そのティファは映像モニタ越しにではあるが俺と視線が合うと顔を隠して視線を逸らす。

 うん、この前の件がかなり影響しているのは間違いない。

 今はそんな事を考えている暇はないか。

 そんな風に考えつつ、格納庫に向かうのだった。

 

 

 

 

 

『アクセル、MSがスノーボードに乗ってるって話だったが、それは本当なのか?』

 

 格納庫にあるヴァサーゴに乗り込むと同時に、ガイアから戸惑ったような通信が入る。

 黒い三連星を率いているガイアにしても、まさかMSがスノーボードに乗るとか、そういう事があるとは思っていなかったのだろう。

 

「不思議に思うだろうが、スノーボードが一種のSFSだと考えれば、そんなにおかしな話じゃないと思うが?」

 

 ジオン軍は1年戦争の時にドダイにMSを乗せるといった真似をしている。

 聞いた話では、ルッグンにザクがぶら下がって移動するといった真似もしていた。

 また、連邦軍の方でもバストライナーとかが開発されていた。

 だとすれば、X世界のMSであってもSFSがあってもおかしくはない。

 

『ああ、なるほど。SFSか。……けど、スノーボードだぜ?』

「別にSFSがスノーボードでもいいと思うけどな。……空を飛ぶSFSよりも操作性は難しそうだが」

 

 空を飛ぶというのも難しいのは間違いないが、スノーボード型のSFSとなるとそれはそれで大変そうだ。

 もしかして、SFSじゃなくて本当にMSが巨大なスノーボードに乗ってるだけとか、そういう事はないよな?

 そんな風に考えている間に、俺が出撃する番となる。

 

「アクセル・アルマー、ガンダムヴァサーゴ、出るぞ!」

 

 その言葉と共に、一気に前に出る。

 テンザン級には電磁カタパルト……いや、普通のカタパルトの類もないので、出撃する時はどうしてもそれなりに時間が掛かる。

 フォートセバーンの一件が終わったら、一度基地に戻ってホワイトスターに行って、改修するのはありかもしれないな。

 動力炉を今よりも強力にし、電磁カタパルトを備えさせ、ビーム砲を設置する。

 そうなればテンザン級はまさに動く要塞といった感じになってもおかしくはない。

 勿論、そうなると目立ってしまい、他のバルチャー達から注目されてしまう。

 しかし、今のこの状況を思えば、いっそ目立ってしまった方が手っ取り早い。

 空中に浮かんで遠くの方……雪山を見ると、確かに何機かのMSがスノーボードに乗ってこっちにやって来る光景がヴァサーゴの映像モニタに表示される。

 ……うわ、SFSだとガイアに言っておいてなんだが、多分あれはSFSじゃないんじゃないか?

 見た感じ、本当にただのスノーボード……いや、斜面だけじゃなくて平面も普通に移動しているのを見ると、何らかの推進システムはあるのか?

 普通のSFSではなく、簡易的なSFSといった感じだろう。

 

『アクセル、どうするんだい?』

 

 シーマのオクト・エイプがヴァサーゴの隣に来て、そう尋ねる。

 オクト・エイプの手にはビームライフルがあり、いざとなれば即座に攻撃出来る準備が整っているのは間違いなかった。

 

「取りあえずこっちからの攻撃はなしだ。向こうに先に手を出させるといった形にしたい」

 

 もしあのMSが盗賊のバルチャーであった場合、こっちから攻撃した方がいいのは間違いない。

 だが、フォートセバーンからやって来たMS隊であった場合、こっちから攻撃するのは後々の事を考えると少し不味いのも事実。

 

『ふーん。……でも、本音は新型のMSが欲しいからだろう?』

「それは否定しない」

 

 シーマの追及の言葉に、そう返す。

 実際、スノーボードに乗っているMSはジェニスでもセプテムでもオクト・エイプでもないMSだ。

 フォートセバーンの周辺で使われているという事やスノーボードに乗っているのを考えると、寒冷地用のMSとかだと思う。

 そうである以上、X世界における未知のMSは出来るだけ入手しておきたい俺としては、これを見逃す訳にはいかない。

 これでこっちに向かって攻撃してこない……本当にフォートセバーンからの迎えだったりした場合は……まぁ、その時はその時。

 フォートセバーンとの間で取引をした時、その代金としてあの未知のMSを貰えばいいだけだ。

 

『アクセル、フリーデンからMSが出て来たけど……エアマスターとレオパルドだけよ? GXがいないわ』

 

 不思議そうなクリスの言葉に映像モニタで確認してみると、確かにそこにはエアマスターとレオパルドしかいない。

 エアマスターはMA形態……というか、戦闘機形態? にはならず、MSの状態のままだ。

 レオパルドの方は、雪の中で若干機動力は落ちているものの、そこまで極端に遅くなっている訳ではない。

 GXは……どうしたんだ?

 もしかして、Gコンをなくしたとか?

 そう言えば以前の基地の探索でマリオンがGコンを入手していたが……いや、それは今考える必要はないか。

 幸いな事に、GXはすぐに出撃してきた。

 何らかのトラブルがあったのは間違いないのだろうが、こうして戦場に出て来た以上は問題ないのだろう。

 

「ウィッツ、ロアビィ、ガロード、聞こえているな? 一応……本当に一応だが、あのMS隊はフォートセバーン所属の可能性がある。こっちを迎えに来たという可能性があるから、こっちからは攻撃をするな」

『冗談でしょ。見なよ、向こうさんはやる気だぜ?』

 

 ロアビィが不満そうな様子でそう言ってくる。

 実際、敵のMSはビームライフルと思しき武器の銃口をしっかりとこっちに向けていた。

 この状況を考えると、俺達に対して即座に攻撃してくるといった真似をしてもおかしくはない。

 

「それでもだ。ニュータイプの問題もある。ここでこっちから攻撃をするような事になれば、フォートセバーンとの交渉でこっちが不利になる可能性も高い」

 

 そう言いながらも、交渉するような事になるかどうかは、正直微妙だというのが正直なところだ。

 この状況でこうしてこっちに向かって来ている以上、向こうも迂闊に攻撃をするような真似はしない。

 そう思っていたのだが、次の瞬間その考えは外れる。

 敵のMSが纏めてこっちに向けて銃口を向け……そしてトリガーを引いたのだ。

 放たれたのは、ビームライフル……ではなく、ビームマシンガンか。

 ビームのペレット弾が次々とこっちに向かってきた。

 敵の数はそこまで多くはないと思う。

 雪山に隠れている可能性も高いし、スノーボードで機動力も高いのが厄介な相手だ。

 地上にいるフリーデン組と、空中にいる俺達。

 その両方に向かって、一気に攻撃をしてきたのだ。

 

「この数を敵に回すって、正気か!?」

 

 こうも考えなしに攻撃してくるという事は、もしかして敵はフォートセバーンのMS隊かと思っていたんだが、実は盗賊のバルチャーの方だったのか?

 そんな疑問を抱きつつ、敵の攻撃を回避し……

 

「向こうから攻撃をしてきたのを確認した。全機攻撃開始! ……出来ればMSは確保したいから、攻撃するのならコックピットを狙うか、あるいは敵を降伏させてくれ」

『はいはい、アクセルの言いたいことは分かったから』

 

 シーマがそんな風に言ってくる。

 そんな会話がしている間にも、敵の攻撃は続けられている。

 続けられていたのだが……

 

「何だ?」

 

 敵の攻撃を回避しながら敵との間合いを詰めようとしていたのだが、不意に地上に雪煙が起きる。

 それもビームマシンガンが着弾した事による雪煙ではない。

 何が起きた?

 敵に向かって突っ込もうとしたものの、その行動を一旦止める。

 それから地上の様子を確認すると、周囲に巻き上がった雪煙に向かって敵MS隊が突撃する。

 ちっ、一体何をやっている。

 そう思い、敵に向かうのではなく地上に向かう。

 何があったのかを考えるが、恐らくガロードが何かドジったのだろうと思えた。

 ウィッツとロアビィは、フリーのMS乗りとしてガンダムに乗っていた。

 勿論こういう雪の中で戦った経験はそんなに多くないだろうが、それでもそれなりに戦い方が分かる筈なのは間違いない。

 しかし……そう、それでも今の状況は色々と不味いだろう。

 多分、本当に多分だが、ガロードがスラスターを全開にした事によって、周囲に積もっていた新雪が思い切り吹き上げられたんだと思う。

 そうでもないと、いきなりこんな状況になったりはしない。

 

「ウィッツ、ロアビィ、ガロード、一旦フリーデンの側まで下がれ! 敵が雪煙の中に突っ込んでいるぞ! ……っと、そこだ!」

 

 スノーボードで移動している以上、当然だがすぐに停まったりは出来ない。

 技量があれば、雪煙の中をずっと移動してそこから出て来るといった真似が出来るのかもしれないが……生憎と、敵MS隊のパイロットにそんな技術はなかったらしい。

 あるいは1人や2人はそんな技術を持っているのかもしれないが、雪煙の中に突っ込んだMSは複数だ。

 その中に技量の低い者がいれば、雪煙の中で仲間同士ぶつかってしまうだろう。

 個人的にはそうなった方が色々と楽なんだが……とにかく雪煙の中から出て来た敵に向かってクロービーム砲を放つ。

 その一撃は狙い通りスノーボードに命中し、敵のMSはつんのめって雪の中に突っ込む。

 そのまま敵に向かってストライククローを解除し、ビームサーベルを手に間合いを詰める。

 ビームサーベルを持つヴァサーゴの姿に、敵MSはどうにかこっちに対応しようとするものの、スノーボードから吹き飛んだ事によってビームマシンガンは既にその手はない。

 向こうもそれについては理解しているのだろう。

 ビームサーベルを引き抜こうとするが……

 

「遅い」

 

 相手は必死になってビームサーベルを使おうとするものの、その前に俺の放ったビームサーベルは敵MSのコックピットを貫く。

 戦いの最後の方なら、降伏させるという手段もありだろう。

 だが今の状況において、そのような真似をする余裕はない。

 ここで降伏させても、戦いの中でパイロットは逃げるだろうし、MSも奪うなり、破壊するなりといったような真似をしかねない。

 ……こうしてコックピットを潰すといった真似をしても、戦闘の中で破壊されるといったような真似をされる可能性は十分にあったが。

 コックピットから出て空間倉庫に収納してもいいのだが、今はそんな場合ではない。

 次の敵を探して周囲を……より正確には巻き上がった新雪を見る。

 すると、また雪煙の中から数機のMSが出て来るが、そのMSはヴァサーゴがいる場所ではなく、他の場所に向かう。

 その瞬間、雪煙の中からGXが飛び出してくる……って、おい。ちょっとそれは駄目だろ。

 エアマスターやレオパルドと一緒に行動してるのなら、仲間のフォローも期待出来るだろう。

 しかし、エアマスターもレオパルドも雪煙の中から出る様子はない。

 そして案の定、突出したGXを敵のMS隊が集中攻撃し始める。

 GXも反撃はするのだが、雪に足を取られているせいか、その動きは決して素早くない。

 それに対して、スノーボードに乗っている敵MS隊の動きはかなり速い。

 ……それどころか、周囲の崖をスノーボードで登ってそのままジャンプし、空中でGXを狙うといったような行動まで行っているのだ。

 かなり慣れてるな。

 ともあれ、GXの方はそのままにしておく訳にもいかない。

 

『アクセル、GXはこっちに任せなさい!』

 

 モニクの声が響くと、クリスと一緒にGXを狙っていた敵MS隊にビームライフルで攻撃する。

 モニクの攻撃は敵のコックピットを貫き、クリスの攻撃はスノーボードを破壊してMSをその勢いのまま吹き飛ばす。

 そうして敵の攻撃が一段落したところで、エアマスターとレオパルドがGXの側まで到着する。

 ガロードの様子が少し心配だったが、この様子なら問題ない。

 そう思った時、映像モニタに反応があった。

 未登録のMS反応。

 それが真っ直ぐこちらに向かって飛んできている。

 新たな敵か?

 というか、この速度だとスノーボードではなく、空を飛んでるな。

 

『アクセル、新しい敵が来たぞ、どうする?』

 

 ガイアからの通信に、迎撃しろと言おうとした瞬間……

 

『アクセル、敵はニュータイプよ!』

 

 クスコの通信が入ってくる。

 ニュータイプ……それはつまり、ティファが感じていた相手で間違いないだろう。

 やっぱり敵に回ったか。

 ニュータイプであっても、素直に話し合いでこっちの仲間になるとは思っていなかった。

 そしてクスコからの通信があった次の瞬間、こっちに近付いて来たMSの動きが明らかに変化した。

 変化したというか……明確に戸惑っているかのような、そんな感じ。

 それに疑問を覚えつつも、地上にいるMSとの戦闘を見つつ、ニュータイプの出方を窺うのだった。




アクセル・アルマー
LV:44
PP:1915
格闘:309
射撃:329
技量:319
防御:319
回避:349
命中:369
SP:1995
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.11
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1751

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