フリーデンの進行方向……それも結構な至近距離に命中した、クロービーム砲。
フリーデンもさすがにそのような状況になれば、湖に進むのを止めるしかなかった。
『アクセルさん、一体何を!?』
フリーデンと繋がっている映像モニタで、サラが激高した様子で叫ぶ。
「ジャミルも言っていただろう。これは罠だって。それに……ん?」
言葉の途中で、ふと映像モニタにとある光景が映った。
そこには、こちらに向かってやって来る2機のMSの姿があったのだ。
それだけなら特に何も問題はなかっただろう。
あるいはザコットの応援としてやって来たのかもしれないと考えたかもしれないが。
しかし、そうではないのは近付いて来たMSの姿を見れば明らかだ。
それは、GXとアシュタロン。
そんな2機のガンダムが、戦闘をしながらこちらに近付いて来たのだ。
何で戦闘をしながら?
そんな疑問を抱くも、考えてみればそうおかしな話でもないか。
メンテ親父から2機のガンダムが飛び立ったといった話を聞いてはいたが、別に一緒に飛び立ったといったような話は聞いていないのだから。
それはつまり、ガロードとオルバは敵対しているという事を意味していた。
いやまぁ、考えてみれば当然の話ではあるんだが。
ガロードがティファに惚れているのは、フリーデンに乗っている者なら……いや、乗っていなくても、少しガロードに関わった者なら誰でも知っている。
そしてオルバは、アルタネイティブ社の一件でティファを連れ去った男だ。
つまりガロードにとってオルバは決して許せる相手ではないという事を意味している。
それでも万が一という可能性はあったかもしれないが。
もしガロードが本気でフリーデンを捨てた場合、万が一……億が一にも、本気でオルバと組んだという可能性は否定出来なかった。
とはいえ、この様子を見るとそこまで気にする必要はないのだろうが。
『アクセル?』
会話の途中でいきなり黙り込んだからだろう。
フリーデンの通信から、ジャミルの訝しげな声が聞こえてくる。
「どうやらガロードが戻ってきたみたいだぞ」
『……そうか』
複雑そうな内心を隠したように、ジャミルが呟く。
「ただし、ガロード1人じゃない。アルタネイティブ社の時にフリーデンに忍び込んでいたオルバが操るアシュタロンと戦いながらこっちに近付いてきている」
今度のその言葉には、話を聞いていた全員が衝撃を受けたらしい。
アルタネイティブ社の一件に続いて再びオルバがやって来たというのは、色々と衝撃的だったのだろう。
「ともあれ、俺達が援軍に来てガロードも戻ってきた。そうである以上、正面からでも襲ってきた連中を撃破するだけの戦力は揃った筈だ。罠がある可能性が高い湖に行く必要はなくなったと思うが?」
そう告げると、映像モニタに表示されているサラは不承不承といった様子で頷く。
取りあえずジャミルの言葉もあって納得はしたものの、完全に俺の言葉に納得したといった訳ではないらしい。
生真面目であるが故に、自分のミスを認めたくない……のか?
いやまぁ、そういうのは結構いるけど、俺が知ってる限りだとサラはそういう性格じゃないんだが。
そんな風に思いつつ、テンザン級がいる座標をフリーデンに送る。
「その座標に行け。そこにはテンザン級が待機してるから、戦力的にも問題はないだろ」
『キャプテン?』
『今はアクセルの指示に従え。その方がいい』
『了解しました』
そうして話が纏まったところで、視線を森の方に向ける。
そこでは、ザコットの有するMS隊が結構な被害を受けていたが、それでも全滅といった訳ではない。
森の中というのを利用し、生えている木々を盾にして戦っているのだ。
その練度はそれなりに高い。
ちょっとX世界のMSパイロットの技量を甘く見すぎていたな。
ああして見ると、しっかりと訓練をしているのが見て取れる。
それでもこっちが圧倒的に押してるのは間違いないが。
「じゃあ、俺はガロードに変わってアシュタロンの相手をしてくる」
『……いいのか?』
ジャミルにしてみれば、俺がそこまでやるとは思っていなかったのだろう。
驚きの色を強くして、そう言ってくる。
「ああ。問題ない。……いや、寧ろ是非とも俺にやらせて欲しいとすら思う」
俺には、アシュタロンと戦う理由がある。
……とはいえ、それは別にティファの一件で恨んでいるとか、そんな理由ではない。
単純に、あのアシュタロンを出来れば確保したいと、そう思っているのだ。
ヴァサーゴもそうだが、あのアシュタロンもベルフェゴールの後継機の1つだ。
このX世界において入手出来る、未知のMS。
そうである以上、それを入手しないという選択肢はそこにはない。
もしアシュタロンを入手したら、それに乗るのはシーマ辺りになるか?
勿論データを取った後だが。
ガイア達黒い三連星は、ジェットストリームアタックを使う関係上、3人全員が同じ機体の方がいい。
クスコとマリオンはニュータイプである以上、フラッシュシステムによって何らかの悪影響が出ないとも限らない。
そうなると、残るのはシーマ、モニク、クリスの3人。
この3人で純粋に操縦技術が一番高いのは、シーマだ。
そしてシーマはMS隊の指揮もしているのを考えると、アシュタロンに乗るのはやはりシーマが一番いいだろう。
勿論、それはあくまでも予想というか理想なんだが。
場合によっては、全く違う誰かがアシュタロンに乗る可能性も否定は出来ない。
それに……その辺りについて考えるにしても、まずはアシュタロンを入手してからの話だ。
そういう意味でも、俺がアシュタロンの相手をするのは自然な事だろう。
そもそも、向こうがヴァサーゴに気が付けば、ガロードのGXを放っておいてこっちに攻撃をしてくるとも限らない。
そういう意味では、別にフリーデンに俺が引き受けるといった風に言わなくてもいいんだが……まぁ、フリーデンに恩を売っておく方がいいのは悪い話ではない。
『頼む』
言葉短く、そうジャミルが言ってくる。
その言葉に気にするなと言葉を返し、通信を切る。
「シーマ、地上の方は任せた。俺はアシュタロンを相手にする」
『分かったよ。アクセルなら心配いらないと思うけど、気を付けるんだね』
そうしてシーマと言葉を交わすと、GXとアシュタロンが戦っている場所に向かう。
「ガロード、聞こえているな? ガロード」
『アクセル!? 何でここに!?』
ガロードの方はアシュタロンとの戦いでこっちに気が付いていなかったのだろう。
アシュタロンのアトミックシザーズから放たれるビーム砲を回避しながら、通信を送ってくる。
……と、不意にアシュタロンがGXに対する攻撃を止める。
アシュタロンは今までGXに向かって攻撃をしていたのが何かの間違いだったとでも言いたげに、俺の……ヴァサーゴの方を見ていた。
どうやら俺の予想は間違っていなかったらしい。
「何で俺達よりも前にサン・アンジェロ市を出たガロードが、俺達よりも後でここに到着したのかは分からないが……ともあれ、アシュタロンは俺が引き受けるから、お前は先に行け」
『お、おう。……っていうか、アクセルもサン・アンジェロ市にいたのかよ!?』
反応が遅い。
というか、サン・アンジェロ市は俺がフリーのMS乗りとして活動していた時に拠点としていた場所だ。
伝手もそれなりにあるし、情報屋から情報を買うにしても、その相手がどれだけの実力を持つ情報屋なのかを知っておいた方が、こっちも安心して情報を買える。
実際、その情報のおかげでこうしてここに到着出来た訳だし。
フリーデンが敵の罠のある湖に向かうのを止める事が出来たのも、情報屋の情報が正確だった証だろう。
「その辺の話はこの戦いが終わってからしてやるから、お前はとっとと行け」
『わ、分かった!』
そう言うと、ガロードの乗るGXはフリーデンのある方に向かう。
さて……取りあえずガロードの方はこれでいいとして、問題はこのアシュタロンだな。
俺がガロードと話している間は、全く動く様子がなかったが。
GXがいなくなったのを確認すると、俺はヴァサーゴをアシュタロンに近づけていく。
しかしヴァサーゴが近付いても、アシュタロンは反応する様子はない。
まさかこっちに敵対する意思はないのか?
そんな風に思った瞬間、不意にアシュタロンが動く。
今までその場から動かなかったのが嘘のように、スラスターを全開にして一気にヴァサーゴに近付いてきたのだ。
間合いが縮まると、アトミックシザーズがヴァサーゴに向かって振るわれる。
「っと」
相手の行動が驚きではあったものの、ヴァサーゴのスラスターを使ってアトミックシザーズの一撃を回避する。
アトミックシザーズの先端が開いているのは、ヴァサーゴを撃破しようと考えているのではなく、鹵獲しようとしているのだろう。
『貴様ぁっ! 兄さんのMSを!』
オープンチャンネルで叫ぶオルバ。
どうやら……というか予想通りではあったが、俺がヴァサーゴに乗ってるのが許せなかったらしい。
オルバにしてみれば、ヴァサーゴはシャギアの機体であるという認識なのだろう。
それに俺が乗ってるのが、絶対に許せなかった。
だからこそ、シャギアはアトミックシザーズでヴァサーゴを鹵獲しようとしているらしい。
だからといって、こっちが素直にそれに従う理由はないが。
アトミックシザーズを端的に表現するのなら巨大なハサミだ。
ストライククローはヴァサーゴの腕部に外部パーツを使う事によってベルフェゴールの時よりも小型化したものの、アトミックシザーズの場合は寧ろ腕とは別に用意された事もあってか、ベルフェゴールの時よりも巨大になっている。
ストライククローにクロービーム砲があるのと同様に、アトミックシザーズにもビーム砲が内蔵されている点はストライククローとの共通点と言ってもいいか。
ともあれ、巨大なアトミックシザーズはつまりそれだけ動きが大振りになるし、ストライククローと比べると速度も鈍い。
つまり、ヴァサーゴを使っている俺にしてみれば回避するのは難しくない。
「悪いが、このヴァサーゴはもう俺のMSとして調整済みだ。改修もされてるしな」
半ば挑発の意味も込めて、オルバに対しオープンチャンネルでそう告げる。
すると、その言葉がよほど気にくわなかったのだろう。
今度は捕らえるのではなく、叩き潰すといった様子でアトミックシザーズの一撃を放ってくる。
その攻撃を回避し、ストライククローの一撃をアトミックシザーズに放つ。
攻撃を回避されたところで、アトミックシザーズに一撃を食らったアシュタロンはバランスを崩す。
その隙を逃さず、ヒートワイヤーの一撃を放つ。
放たれた一撃は、アトミックシザーズに……正確にはアトミックシザーズの細身になっている部分に絡みつく。
『なっ!?』
アトミックシザーズの動きが鈍ったのに気が付いたのか、驚きの声を上げるオルバ。
シャギアが使っていたヴァサーゴには本来ない武装だというのも関係し、完全に意表を突かれた形だろう。
ましてや、ヒートワイヤーはかなり細い。
映像モニタでは確認するのが難しいくらいには。
オルバは自分が何をされたのか全く理解出来ず……更に、ヒートワイヤーというのはヒートと名がついているように、ただのワイヤーでない。
斬、と。
アトミックシザーズの細い部分が切断され、先端が地上に落下していく。
あ、けどしまったな。アトミックシザーズを切断してしまった以上、アシュタロンを完全な状態で確保出来なくなってしまった。
『貴様ぁっ!』
残るもう1つのアトミックシザーズをこちらに向かって振るってきたアシュタロン。
その一撃を回避しながらビームサーベルを引き抜き、コックピットを一突きにしようとした瞬間……
「何?」
一体何を思ったのか、アシュタロンはMA形態に変形すると、即座に戦場から離脱していく。
その速度は、さすがMA形態と言うべきかヴァサーゴが移動するよりも明らかに上だ。
アトミックシザーズを片方切断されたという事は、当然ながら機体のバランスとかにも影響してくる筈なんだが……それでもあの速度を出せるというのは、素直に凄いと思う。
けど、何でだ?
この戦場を離脱する直前まで、オルバは明らかに俺との戦闘を続ける様子だった。
あの状況でいきなり逃げ出すというのは、ちょっと理解出来ない。
というか、これはアシュタロンを逃がした形になったのか?
……出来れば確保したかったんだが。
あ、でもこうして逃げたという事は、また次に出て来た時は切断されたアトミックシザーズは修理されている筈だ。
そう考えれば、こうして逃がしたのは間違っていなかったのかもしれないな。
取りあえず切断したアトミックシザーズは回収しておくとしよう。
何に使えるのか分からないし、最悪の場合はキブツに突っ込めば色々な原材料になるだろうし。
そんな風に思いながら、地上を見ると……そこでは、火炎放射器を装備していない、青系統のジェニスと戦っているGXが見えた。
あのジェニス……他のジェニスとは装備が違うが、技量も違うな。
そんな風に思いつつ、クロービーム砲をGXと戦っている青いジェニスに向けるのだった。
アクセル・アルマー
LV:44
PP:1910
格闘:309
射撃:329
技量:319
防御:319
回避:349
命中:369
SP:1995
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1750