「見えてきたわ。あそこがモニクが情報屋から入手した基地ね」
ミナトがテンザン級を操縦しつつ、映像モニタに表示された基地を見てそう告げる。
規模としては、小規模と言ってもいいだろう。
俺達の本拠地であるゲートを設置した基地やロッソと一緒に探索した基地と比べると、その基地は明らかに小さい。
そうである以上、収穫そのものはそこまで期待は出来ないと思う。
まぁ、今回の探索は利益を目的にしたものではない。
あくまでも俺達がバルチャーとして活動する上でのノウハウを得る為のものだ。
……本来ならそういうノウハウを得る時は、実際にバルチャーとして行動している者達と一緒に探索をするのが最善だ。
しかし、今は俺達だけである以上は……フリーのMS乗りとして活動してきた俺がノウハウを教える必要があるという事か。
「じゃあ、アクセルも含めてMSパイロットは出撃の準備をしてちょうだい。……何人かは、周囲を警戒するようにした方がいいのよね」
「ああ。マリューの言う通りにした方がいい。テンザン級に攻撃をする真似をする奴がいるかどうかは微妙だが、それでも絶対にないとは言い切れないしな」
連邦軍が開発した陸上戦艦の中でも最大級のテンザン級。
そのテンザン級は当然のように多数のMSを搭載出来る。
つまり、所有するMSの数から大きな戦力を有しているという事になるのだ。
そんな状況でこっちに襲撃してくるバルチャーはいないと思う。
いないと思うが、バルチャーの中にはMSの強さに酔って自分ならどうとでもなると考えている者が多いのも事実。
そのような者達にしてみれば、相手がテンザン級でも自分達ならどうにかなると考えてもおかしくはない。
勿論、実際にそのような真似をしてきたら、それは自殺行為でしかないのだが。
それが分かるような奴は、こっちに攻撃をしてくる事はないだろう。
「オクト・エイプがいると知れば、攻撃を躊躇するかもしれないしな」
ドートレスやジェニスといったMSを使うのが一般的な中で、それらのMSよりも高性能なオクト・エイプを俺達が使っていると知れば、MSの性能に酔ってる奴が相手でも、MSの性能差でこっちに勝てないと判断して攻撃をしてこない可能性が高かった。
勿論、それはあくまでもそういう可能性であって、中にはそれでも攻撃をしてくる奴がいる可能性は否定出来ないが。
あるいはロッキー級を複数有しているからこそ、数で勝ってると考えて攻撃をしてくる可能性は否定出来ない。
「もしこっちの戦力を甘く見て襲ってきた相手がいたら、間違いなく最悪の結果になると思うけどな」
「そうね」
マリューは俺の言葉に躊躇も疑問もなく、即座に同意する。
この艦が有しているMS戦力は、この世界の戦力として考えれば破格だ。
MSも最高性能の量産機と呼ばれているオクト・エイプを、更に性能が上がった状態で使っているし、MSパイロットもUC世界の腕利き揃い。
その辺の敵が何かを勘違いして襲ってきても、それこそ即座に倒されるといった未来しか存在しない。
マリューもそれが分かっているからこそ、俺の言葉にあっさりと頷いたのだろう。
また、MSの性能だけではなく、テンザン級の操舵がミナトに任されているというのも大きい。
ミナトの操舵技術があれば、それこそテンザン級でバレルロールをしてもおかしくはないと思う。……いや、やっぱり陸上船艦でバレルロールはおかしいか?
とはいえ、それでも何とかしてしまいかねないと思うだけの技量がミナトにあるのも、間違いのない事実なのだ。
「まぁ、正直なところそこまで心配することはないと思うけどな。結局あの程度の小規模な基地なんだし。とにかく、俺はMSで待機してるから」
そう言い、俺はブリッジから格納庫に向かう。
途中でマッシュと遭遇したのだが……
「珍しいな。オルテガ……はともかく、ガイアは一緒じゃないのか?」
「俺達は別にいつも一緒という訳じゃないんだがな」
そう言うマッシュだったが、黒い三連星という異名を考えると、やはり俺の目から見てマッシュ達は常に一緒にいるように思える。
あー……いや、でも一緒にいるのはガイアとマッシュか。
オルテガはマリオンと付き合うようになってから、2人と別行動をするようになったらしいし。
そういう意味では、ガイアとマッシュが別行動をしていてもおかしくはないのか。
「そうかもしれないけど、一緒というイメージが強いしな。……オルテガはともかく」
「ああ、オルテガはな」
マッシュも俺の言いたい事が分かったのか、困ったように笑う。
オルテガは基本的に乱暴者というか……ガキ大将といったような表現が似合う奴だが、仲間になった奴に対しては結構優しかったりする。
時折、その優しさが暴走したりするのが難点だが。
とにかくそんな感じで、ああいう性格ではあったが結構好かれていたりする。
「オルテガにとって、今が一番幸せなのかもしれないな」
「マリオンという恋人がいるしな。……けど、正直なところオルテガとマリオンがくっつくというのは、予想外だった」
「それは否定しねえよ」
マッシュが俺の言葉に同意する。
普通に考えれば、オルテガとマリオンというのは美女と野獣……いや、マリオンの年齢的に美少女と野獣?
とにかくそんな感じなのは間違いない。
だというのに、そんな2人がくっついてるんだから不思議としか言いようがない。
「ルナ・ジオン軍の中には、オルテガがマリオンに強引に迫って付き合うことになった……って話もあるんだけどな」
「あのカップルを見ていれば、普通ならそういう風に認識してもおかしくはないよな」
「ああ。けど、実際にはオルテガがマリオンに押し切られて付き合う事になったんだよ」
「それは聞いている。けど、マリオンがなぁ……」
俺もマリオンの事はそこまで詳しく知ってる訳ではないのだが、それでも外見や性格からして内気というか、大人しいというか……そんなイメージを持っていた。
だが実際にはオルテガの件を見れば分かるように、肉食系だったらしい。
いや、肉食系というのは少し言いすぎか?
ただ、恋愛関係に積極的だったのは間違いない。
……モニク達もそうだが、UC世界の女って実は結構恋愛関係に積極的だよな。
シーマ、モニク、クスコ、クリスの4人に一斉に告白された俺にしてみれば、それは別に悲しむような事じゃないんだが。
ともあれ、走りながら会話をしているとやがて格納庫に到着する。
そこでは既に殆どの者達がMSに搭乗していた。
俺とマッシュの間で話題になっていたマリオンとオルテガの2人は、まだMSに乗り込まず恋人同士の時間を楽しんでいるようだったが。
馬鹿ップル……いや、それを言えば俺にもカウンターで突き刺さってきそうなので、わざわざそれを口にする必要はないか。
そんな風に考えつつ、ヴァサーゴに向かう。
「問題はないと思うが、一応聞いておく。ヴァサーゴに何か異常はあったか?」
「いえ、問題ありません」
量産型Wがそう言ってくる。
そうだろうな。
これがベルフェゴールなら、機体制御や武器制御をフラッシュシステムで行っているので、何か異常がある可能性はあった。
何しろ基本的にフラッシュシステムはX世界のニュータイプしか使えないのに、念動力や魔力といった力で無理矢理動かしていたのだから。
その影響で、フラッシュシステムは将来的に俺が普通に使えるようになっていたかもしれなかったのだが、それは同時にフラッシュシステム本来の能力ではなく、設計当初とは全く違う使い方をしていたのと同じだ。
つまり、将来的には俺がフラッシュシステムを使えるようになるかもしれないが、同時にフラッシュシステムが暴走するといった可能性もあったのだ。
そういう意味では場合によってはフラッシュシステムが暴走するかもしれないので、ヴァサーゴを使うのがこの場合は正解なのだから。
「ヒートワイヤーの方も問題はないな?」
ベルフェゴールから唯一移植した武器、ヒートワイヤー。
ヴァサーゴの手首の部分を改造し、そこから放てるようにした武器だ。
色々と使い勝手のいい武器なので、これは是非とも移植したかった。
キッドの暴走……暴走? まぁ、そんな感じで移植には成功した。
とはいえ、今のところは問題がないものの、この先も何か問題がないかと言われれば、それは分からない。
そうである以上、多少注意しておいた方がいいのは間違いなかった。
「はい。FCSの方にも何も問題はないとシステムが判断しています」
「分かった。なら、この件はそこまで気にする必要はないか」
そう考え、ヴァサーゴのコックピットに入る。
機体を起動させ、何も問題がないかどうかとチェックし……
「問題なし、と。……マリュー、基地の到着はまだか?」
『もう少しで到着するわ。今のところ基地の周辺には誰もいないから、すぐに襲撃されるといったことはないと思うわ』
どうやら問題がないらしいと判断する。
あの情報屋……もしかしたら結構律儀な奴だったのかもしれないな。
向こうにしてみれば、俺達がこの基地に向かったという情報を売ってもいい訳だ。
俺達は強力な戦力を有しているが、それは俺達を倒せばその戦力を入手出来るという事を意味してもいる。
一番可能性が高いのは、自分達だけでは俺達に勝てないと判断して、他の勢力と手を組んで襲ってくる事だな。
そうなれば面倒なのは間違いないが、その分だけ敵から奪えるMSや陸上戦艦、それ以外の諸々として報酬は大きい。
ぶっちゃけ、バルチャーとして活動するよりも盗賊とかをやっているバルチャーを襲って稼いだ方が得ではないかと思えるくらいに。
勿論、そのような真似をする以上は悪徳バルチャーでないといけない。
間違って正統派のバルチャー……それこそフリーデンやロッソ達のようなバルチャーを襲ってしまえば、俺達の評判はがた落ちになるのだから。
『こっちに残るのは、取りあえずクリスとクスコで十分よ。後はアクセルと一緒に基地の探索に向かってちょうだい』
『了解』
『分かったわ』
マリューの指示に、クリスとクスコはそれぞれ不満を言わずに納得する。
『ただ、今回の探索はあくまでもバルチャーとしての訓練だから、ある程度時間が経ったら他の人と交代して貰うから、そのつもりでいてね』
これは当然の話だろう。
クリスとクスコが護衛専門になるというのなら、それでもいい。
だが、そのような事を望んでいないのは明らかだ。
であれば、クリスとクスコにもしっかりとバルチャーとしての訓練をして貰う必要があった。
そうして役割を決めると、早速MSで出撃する。
これでジェニスやドートレスを使っているのなら、地上を歩いて移動する必要がある。
だが、ヴァサーゴとオクト・エイプは双方共に空を飛んで移動出来た。
テンザン級は移動し続けていたので、目的の基地は大分近付いていたものの、それでもまだそれなりに距離がある。
そんな訳で、クリスとクスコはテンザン級の護衛に残して、それ以外は全員で基地に向かう。
「一応言っておくが、基地には自動迎撃装置の類が設置されている場所もある。……まぁ、あの基地はかなり小さめだし、そういうのはないと思うけど。それでも一応気を付けてくれ」
自動迎撃装置を設置するのは、それこそゲートを設置したような重要な場所ではないとおかしい。
ロッソと一緒に探索した、半分地下基地状態だった基地にもそういう自動迎撃装置はなかったのだ。
そうである以上、あの程度の基地に自動迎撃装置が設置されている可能性はかなり低い。
そして実際、基地に近付いても自動迎撃装置によって攻撃されるようなことはなかった。
「よし、これなら問題ないな。全員、着地するぞ」
そう指示をして基地の中に着地する。
『それで、アクセル。MSに乗ったまま来たけど、どうするんだ? 何かを探すとなると、MSに乗ったままでは無理だろう?』
ガイアからの通信を聞き、頷く。
「そうだな。MSから降りた状態でないと調べる事出来ない場所があるのも事実だが、その前に倉庫とかを調べる必要がある。そっちはMSでないと難しいんだよ」
電気が通っていれば、自動で開けるといった真似も出来るだろう。
だが、15年以上も放っておかれたこの基地は、当然ながら電気の類は流れてないだろうし……もし流れていれば、それはそれで面倒な事になる。
だからこそ格納庫のシャッターとかはMSで開ける必要があるのだ。
それにぶっちゃけた話、俺達が見つけるのはこの場所にあるMSとかで十分だし。
このくらいの小さい基地となると、当然だがそこまでお宝の類がある訳でもないだろう。
実はこう見えて、地下に繋がっている通路があって、その地下には何らかの重要なMSとかお宝とかそういうのが隠されている……って可能性も、絶対にない訳ではない。
しかし、そういうのを期待するのは間違っているのも事実。
「取りあえず格納庫に移動するぞ」
そう言い、俺はヴァサーゴを格納庫のある方に向かわせるのだった。
アクセル・アルマー
LV:44
PP:1910
格闘:309
射撃:329
技量:319
防御:319
回避:349
命中:369
SP:1995
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1750