転生とらぶる1   作:青竹(移住)

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3226話

 アルタネイティブ社への襲撃は、月が出る時刻に始まるという事になった。

 フリーデンにあるGXのサテライトキャノンは、月からのスーパーマイクロウェーブを受けて始めて使える武器だけに、その判断は当然だろう。

 とはいえ、月がないと使い物にならない武器はどうかと思ったのだが……ジャミルが言うには、戦争の時は宇宙には幾つもの衛星が存在し、その衛星を経由してスーパーマイクロウェーブをGXに放つ事も出来たらしい。

 つまり、月がなくても衛星があれば問題なくサテライトキャノンを使えたらしいが、生憎とその衛星は戦争で全て消滅してしまったらしく、今となっては月が出ている時しかサテライトキャノンは使えないという話だ。

 

「なるほどね。でも……シャドウミラーの機体の場合、自力で莫大なエネルギーを生み出す事が出来るし、月が……というか、スーパーマイクロウェーブを発生させる装置がないと使えないとなると、ちょっと使いにくいわね」

 

 テンザン級のブリッジで、俺がGXについて聞いた話をするとマリューがそう告げる。

 今はこうしてテンザン級の艦長をやっているマリューだが、シャドウミラーでは技術班の所属だ。

 そんなマリューだけに、スーパーマイクロウェーブの技術は興味深いものの、実戦で使うとなると使いにくいと判断するのは当然だろう。

 

「そのスーパーマイクロウェーブを発射する施設が戦艦とかに搭載出来るくらいに小さいなら、まだ使い道はあるんだろうけどな」

 

 そうなれば、シャドウにサテライトキャノン……あるいはその改良型の武器を装備させ、大規模な戦いでは先制の一撃として多数のシャドウがサテライトキャノンを発射するといった真似も出来るだろう。

 ただし、ニーズヘッグには向かない装備なのは間違いないが。

 基本的に、ニーズヘッグは……というか、それを操縦する俺は単独で動く。

 そうである以上、サテライトキャノンの類はあっても使い道がない。

 何より、ニーズヘッグには強力な兵器がかなり搭載されているし。

 それを思えば、サテライトキャノンのシステムや砲身を搭載しても邪魔にしかならない可能性が高い。

 あるいはそのエネルギーをサテライトキャノンではなく、機体制御に回すといったようなことが出来れば、それなりに使い道はあるのかもしれないが。

 

「聞いたところによると、サテライトキャノンはともかく、そのシステムの方は少し興味深いわね。一度登録すれば、ずっとシステムの方で登録した機体を把握しておくんでしょう?」

「そうらしい。……一気に10機、20機といったサテライトキャノンを発射する機体があったら、どうなるのかちょっと興味深いけどな」

 

 敵にしてみれば、かなり脅威なのは間違いないだろう。

 どんなに腕の立つパイロットであっても……それこそアムロやシャアといったエースであっても、その実力が発揮されるよりも前に巨大なビームで消滅させられればどうにもならないのだから。

 ……まぁ、アムロやシャアの場合なら、そんな攻撃が来るとニュータイプの力で察知して、サテライトキャノンが放たれるよりも前に回避してもおかしくはないのだが。

 

「他には何か興味深い技術はなかったの?」

「今のところはないな。ただ、聞いた話によるとガンダムは他にもまだ何種類もあるらしいから、そっちで新しい技術を入手出来る可能性があるかもしれないけど」

 

 具体的にどういうガンダムがあるのかは分からない。

 しかし、ガンダム……連邦軍の秘密兵器や決戦兵器と呼ばれているだけの機体である以上、それはかなり興味深いのは間違いない。

 

「それと……やっぱりフラッシュシステムだろうな」

「フラッシュシステムね」

 

 俺の言葉を繰り返すようにマリューが呟く。

 ジャミルから聞いた話によると、フラッシュシステムは万能のシステムのようにも思える。

 最初はベルフェゴールのように機体制御にしか使えないシステムだと思っていた。

 ……実際それは間違っていないし、ベルフェゴールではそのように使われている。

 しかし、GXにおいてはサテライトキャノンを使う為の登録に使われている。

 正直なところ、何故ベルフェゴールも同じようにしてくれなかったのかと、そんな風に思う。

 そんな俺の様子を見て、マリューは何か気が付く事があったのか口を開く。

 

「多分、ベルフェゴールにフラッシュシステムが使われているのは、機体制御がそれだけ難しいからだと思うわ」

「それは……まぁ、そう言われると納得するしかないのも事実だけど」

 

 ベルフェゴールはストライククローにアトミックシザーズ、それ以外にも胸部のソニックスマッシュ砲や、ヒートワイヤーといった特殊な武器が多い。

 それ以外にも普通のビームサーベルも持っている。

 それらを普通の……同じ連邦軍系のドートレスと同じような操縦方法で使いこなすのは難しいと判断したのだろう。

 そういう意味では、フラッシュシステムが採用されていてもおかしくはない。

 

「でしょう? だから……」

 

 そうしてマリューが何かを言おうとしたその瞬間、不意に爆発音が聞こえてくる。

 

「何があった!? このテンザン級が攻撃されたのか!?」

 

 ブリッジにいる量産型Wに素早く尋ねる。

 ここに集まっているのは、ロッソを始めとして信頼出来る相手だ。

 いや、グリーツやローザ、ジャミルのように今日初めて会った相手もいる。

 だが、ロッソが信じられる相手であると認識しているのなら、こっちに攻撃をしてくるといったような事はないだろう。

 ただし、それはあくまでも上の命令もなしに攻撃をしてくることはないという意味だ。

 ここに集まっているのは、俺も含めてバルチャーだ。

 そうである以上、それぞれの部下の中には気の荒い奴もいるだろう。

 そのような者達同士が揉めて、MSを持ち出して暴れているといった可能性も否定は出来ない。

 ……いや、否定は出来ないというよりも、寧ろ納得出来てしまうだろう。

 そうした騒動による爆発音なのか。それとももっと別の理由からなのか。

 正直なところその辺りは分からない。

 分からないからこそ、量産型Wに聞いたのだが……

 

「いえ、どうやら未知のMSがフリーデンに攻撃した模様」

「未知のMS?」

 

 ここには全部で5隻の陸上戦艦が集まっている。

 その中の2隻は、俺とグリーツのテンザン級だ。

 テンザン級は陸上戦艦の中でも巨大で、その分性能も高い。

 レーダー範囲も他の陸上戦艦よりも上だろう。

 そんな2隻のテンザン級のレーダーに気が付かれず、MSがフリーデンのいる場所まで接近してくる?

 いやまぁ、ミラージュコロイドやASRSのようなシステムがあれば、あるいはそんな真似も出来るかもしれない。

 だが、俺が集めた情報の限りではこのX世界にそのようなシステムを持ったMSはない筈だった。

 俺も連邦軍や宇宙革命軍の情報の全てを知ってる訳ではないので、これが絶対とは言わないが。

 

「映像モニタに出ます」

 

 量産型Wのその言葉に、視線を映像モニタに向ける。

 するとそこに表示されたのは……

 

「ガンダム?」

 

 そのMSを見て、そう呟く。

 実際、そのMSは間違いなくガンダムだった。

 腕とは別に肩からアトミックシザーズと思しき巨大なハサミが出ているのを見れば、それがベルフェゴールと何らかの関係があるのは間違いない。

 普通に考えれば、ベルフェゴールの系列機の1つだろう。

 ベルフェゴールとあの未知のガンダムのどちらが新型なのかは分からないが。

 何しろ、ベルフェゴールは膝にアトミックシザーズがあり、両肩にはストライククローがあるのに対し、映像モニタに表示されているガンダムは両肩にアトミックシザーズがあるのだ。

 普通に考えれば、向こうの方がベルフェゴールよりも前の機種と考えてもいいだろう。

 そうなると、あのガンダムのパイロットもバルチャーで、俺みたいにどこかの基地を見つけてそこで入手したのか?

 

「ベッド……よね?」

 

 マリューが映像モニタを見て、そう呟く。

 アトミックシザーズによってフリーデンの一部が破壊され、そこからガンダムはベッドを取り出した。

 ベッドには女……というよりも少女という方が正しいのか?

 とにかく眠っているのは間違いなかった。

 そしてそれを見れば、何となく事情の予想が出来る。

 ジャミルが行うアルタネイティブ社の襲撃は、怪我……病気? とにかく治療が必要な者がいるという事だ。

 そしてあのガンダムがフリーデンを襲って奪ったのは、ベッドで眠っている……もしくは意識がない少女。

 そう考えれば、あのガンダムのパイロットはアルタネイティブ社の者と考えた方がいい。

 いや、でもアルタネイティブ社があの少女を奪う必要があるのか?

 アルタネイティブ社にとって、あの少女が必要な人材というのなら、話は別だが。

 

「ともあれ、これは完全に予想外の展開だな。そしてこんな状況になった以上、何が起きるのか分からない。それぞれMSで出撃準備だな」

「そうね。アクセルもお願い」

 

 マリューとそう言葉を交わし、俺はテンザン級の格納庫に向かう。

 途中でガイアとマッシュの2人と遭遇する。

 

「おう、アクセル。この警報は一体何だ?」

 

 ガイアが走りながら聞いてくる。

 ちなみにガイアとマッシュの2人だけで、オルテガがいないのは……恐らくはマリオンとイチャついているのだろう。

 

「フリーデンがガンダムに襲われた。で、病人と思しき相手を連れ去った」

「それは……」

 

 俺の口から出たのは予想外だったらしく、ガイアは驚きの表情を浮かべる。

 そんなガイアの横でマッシュが口を開く。

 

「何故フリーデンが襲われるまで気が付かなかったんだ? 周囲の索敵はしていた筈だろう?」

「ああ、それは俺も不思議に思う。もしかしたら、光学迷彩とかそういう能力を持つ敵なのかもしれないな」

「面倒な」

 

 一言だけ呟くマッシュだったが、実際にそれが面倒なのは間違いない。

 ベルフェゴールのレーダーで敵を捕捉出来ればいいんだが……フラッシュシステムのせいで万全の状態ではない今は難しいだろうな。

 とはいえ、疑問もある。

 あのガンダムはアトミックシザーズを使っていた。

 だとすれば、多分あの機体もベルフェゴールの系譜であり、つまりはフラッシュシステムを搭載されており、それによって機体制御を行っている可能性が高い。

 つまり、あのガンダムに乗っているのはニュータイプの可能性が高い、のか?

 その辺りは実際にあのガンダムを確保してから確認すればいいだけか。

 

「光学迷彩だろうとなんだろうと、攻撃は命中すれば撃破出来るさね。……もっとも、今の話しを聞いた限りでは、そう簡単に撃墜するような真似は出来ないみたいだけど」

 

 シーマを始めとした他の面々も、俺とやがて合流してくる。

 当然ながらマリオンとオルテガの2人も合流してきたが……服装が少し乱れている件については、突っ込まない方がいいんだろう。

 何を……いや、ナニをしていたのかもまた同様に聞かない方がいいらしい。

 自由時間に何をしていても、それはその者達の自由なのだから。

 そうして全員が格納庫に到着すると、コックピットに乗り込んでいく。

 量産型Wはメカニックとしても十分な力量を持っているので、テンザン級に搭載されているMSは全く問題なく万全の状態で戦いに参加出来る。

 

『前方にMS隊を捕捉しました。……ガンダムタイプ1、ドートレス20です』

 

 格納庫の中にはブリッジからの通信が流れる。

 量産型Wがオペレーターをやっているのだが、どうせならこういう時は女の声の方が雰囲気が出ると思うのにな。

 とはいえ、今はそれよりも敵の情報か。

 向こうにいるのは、ガンダムが1機とドートレス20機か。

 ここで改めてガンダムタイプと口にしたという事は、フリーデンを襲ったのとはまた別のガンダムタイプという事になる。

 ……ガンダムタイプの大安売りだな。

 このX世界において、本当に一体どのくらいのガンダムがある事やら。

 実はこれで宇宙革命軍側にもガンダムがあったりしたらちょっと面白いが……今はそれよりもっと別の事を考えるべきか。

 

「ドートレスが20機か。これはさすがにちょっと驚いたな。向こうにしてみれば、ここにそれだけの戦力があると考えた訳か」

 

 コックピットに乗り込みながらそう告げると、映像モニタに表示されたクスコが首を横に振る。

 

『こっちのMSの数は総合すれば向こう以上よ? そう考えると、数が少ないんじゃない?』

 

 クスコのその言葉に、そうかもしれないなと思う。

 とはいえ、向こうはそれでどうにかなると思ったからこそ、これだけの戦力を出してきたのだ。

 あるいはこっちにガンダムが2機いるのを知らなかったのか。

 ともあれ、このタイミングでの襲撃となると恐らくアルタネイティブ社の戦力。

 サテライトキャノンを使われるよりも前に、こっちを叩いておきたかったという事か。

 そう判断すると、俺は機体を動かす。

 

「アクセル・アルマー、ガンダムベルフェゴール……出る!」

 

 そうして出撃した瞬間……敵から巨大なビームが放たれ、フリーデンにダメージを与えたのだった。




アクセル・アルマー
LV:44
PP:1910
格闘:309
射撃:329
技量:319
防御:319
回避:349
命中:369
SP:1995
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.11
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1750

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