転生とらぶる1   作:青竹(移住)

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0309話

 アーティファクトのお披露目と検証が終わった翌日、俺は再びエヴァの別荘にいた。ただし、今回は俺、あやか、千鶴、エヴァ、茶々丸、チャチャゼロといったメンバーだけで、ネギ達はいない。そしてこの前庭にいるのは俺とエヴァのみで、あやかはチャチャゼロと軽い実戦形式の修行を。千鶴は茶々丸と共に魔法やアーティファクトを使いこなす練習をしている。

 そして俺は……

 

「よし、大体の方法は分かったな。ではやってみろ」

 

 エヴァの言葉に頷き、精神を集中する。これから使う魔法は最近覚えたばかりの魔法でまだ完全に使いこなせているとは言えないレベルだ。だが、俺が使える魔法の中では現在一番威力の高い魔法であり、当然それだけ闇の魔法としての効果も高くなる。

 

『アリアンロッド 来たれ深淵の闇、燃え盛る大剣、闇と影と憎悪と破壊、復讐の大焔。我を焼け、彼を焼け、そはただ焼き尽くす者……奈落の業火!』

 

 その呪文を唱え終わるのと同時に、漆黒の炎が俺の手元へと現れる。その黒い炎は、俺が闇の魔法を覚えた時に巻物の中で戦った人造精霊が使ったものに良く似ている。

 その炎を右手で握り……

 

『固定! 掌握!』

 

 その呪文と共に握り潰す。同時に、奈落の業火と俺の霊体が融合し……

 

『術式兵装、獄炎煉我!』

 

 そして闇の呪文特有の術式兵装が完了する。その黒い炎はまるで俺が纏っているかのようにゆらりと俺の身体の周囲を漂っている。現在俺が使える最強の炎の魔法である『奈落の業火』を闇の魔法で取り込んだ姿。それが今の俺だ。

 

「ふむ、さすがアクセルというべきか。この短時間でこの魔法を取り込む事が出来るようになったのはさすがだな」

「ああ、確かに炎の魔法を取り込んだだけあって攻撃力、防御力は相当なものがある。だが……」

 

 地面を蹴り、移動するがその速度は術式兵装をしていない時と大して変わらないレベルだ。

 

「どうやら攻撃力と防御力特化、といった感じだな」

「確かに速度はそれ程でもないが、その闇の炎はちょっと面白い特性を持っているようだぞ」

「……何?」

「ほれ、その状態で私の手を軽く殴ってみろ」

 

 そう言って、軽く手を差し出すエヴァ。不思議に思いつつも、その手の平目掛けて軽く拳を突き出す。すると……

 

「何?」

 

 殴ったエヴァの手から闇の炎を通して魔力を吸収したのだ。

 

「分かったか? その術式兵装はこと魔法使い相手には絶大な威力を発揮するだろう」

 

 確かに接触されると魔力を奪われるとなると普通の魔法使いにとっては迂闊に近接戦闘を挑む事は出来無いだろう。……まぁ、もっとも魔法使いが近接戦闘を挑むというのもそれ程機会が無いだろうが。そうなると、どうやってこの状態のまま魔法使い相手に接近するかという問題が出て来る。

 ……いや、待て。もしかして。

 ふと思いつき、一旦エヴァから距離を取る。

 

『戦いの歌!』

 

 身体強化魔法の『戦いの歌』を発動……しない?

 

「あぁ、闇の魔法を使っている時に同時並列的に他の魔法を使うというのはかなり難易度が高い。まだまだ魔法について触れたばかりのアクセルでは難しいぞ」

 

 なるほど。万能かと思った闇の魔法だが当然欠点もある、か。闇の魔法と『戦いの歌』を同時に使えるのなら獄炎煉我の機動性の低さを補えると思ったのだが。

 

「……いや、待て」

 

 確かに獄炎煉我の状態では『戦いの歌』のようにこちらの世界の魔法は使えない。だが、俺が使えるのは魔法だけではない。この世界に来て瞬動、虚空瞬動といった技術も習得したし。何より……

 

「加速」

 

 精神コマンドの加速を使い、地面を蹴る! 次の瞬間、俺の姿は既に先程の位置から10m程離れた場所に移動していた。

 

「よし、闇の魔法と普通の魔法を同時に使う事は出来無いが、精神コマンドとの併用は可能だな」

「お前の規格外さは知ってはいたが、こうして見ると改めて実感させられるな」

 

 エヴァがどこか呆れた様子で俺を眺めながら口を開く。

 

「ま、異世界人の特典とでも思っておいてくれ」

 

 少なくても、獄炎煉我状態の機動性の低さに関しては精神コマンドや瞬動といった技術で補える事が判明した。なら、攻撃力と防御力の高いこの状態を闇の魔法を使う場合の基本的な状態にするというのもありだろう。

 そう思ったその時だった。身体の中でドクンッ、とまるで何かが胎動するかのような違和感を覚えたのは。

 ……何だ?

 

「どうした?」

 

 そんな俺の様子に何かを感じたエヴァが尋ねてくるが、次の瞬間には既にその違和感は消え去り何でも無い状態に戻っていた。

 術式兵装で獄炎煉我を使った影響か? そんな風にも思ったが、違和感はほんの一瞬で消え去った為に特に気にする必要も無いと判断する。

 

「いや、何でも無い」

「そうか。なら、その状態に慣れる為にも私と模擬戦をしてもらおうか」

 

 好戦的な笑みを浮かべるエヴァに思わず苦笑を浮かべる。俺の為の模擬戦とは言っているが、実は自分以外の闇の魔法の使い手と戦ってみたいと考えているのが丸わかりだ。

 だが、それが俺のためになるのも事実。この状態を標準の状態として活動出来るようになればここからさらにもう何段階かのパワーアップが可能になるかもしれない。……ドラゴンボールの悟空が超サイヤ人の状態を標準としたように。

 

「血はいるか?」

「いや、以前貰った血に魔法で手を加えたものがあってな。いい機会だからその効果を試させてもらおう」

 

 そう言いながら懐から取り出したのは小さな瓶に入った赤黒い液体だった。瓶自体は本当に小さいもので、3cm程度の大きさだろう。その中で液体が揺れているのが分かる。俺の血に手を加えたという話だが、何と言うか、その赤黒い色は不気味極まりない。だが、エヴァはそんな俺の気持ちは関係ないとばかりに一口で瓶の中身を飲み干す。

 

「……大丈夫か? と言うか、俺の血は例えエヴァでも数滴で限界になるレベルの魔力が込められているとの話だったが、そんなに飲んでも大丈夫なのか?」

「心配するな。この薬に使った血液はお前の血は1滴程度だ。ここまで量が多くなったのは、味を調えるのと強烈すぎる効果を希釈した為だよ」

 

 話している間も、魔力が回復してきているのだろう。その小さな身体から溢れる魔力が目に見えて増えているように感じられる。

 

「では、行くぞ」

 

 無詠唱で氷の矢を50本程作り出し、それをこちらへと射出してくるエヴァ。こちらへと急激に迫ってくるそれらを見ながら、瞬動を使い地を蹴る。

 

「はぁっ!」

 

 氷の矢とすれ違い様に、何本か掴み取る。すると次の瞬間には俺から吹き出している黒い炎によって氷の矢は溶け消える。

 

「ほう、私の氷の矢を掴み取るとはな。ならこれでどうだ? 『氷神の戦槌』」

 

 無詠唱で使われたその魔法は、俺も以前見たものだ。チラリと上空へと視線を向けると、そこでは巨大な氷の塊がこちらへと落ちてくる所だった。

 

「っ!?」

 

 咄嗟に念動力を発動。その落ちてくる氷の塊を空中で静止させるとそのまま念動力をコントロールしてエヴァの方へと投げつけた。

 だが、エヴァはそれを空を飛ぶ事で難なく回避する。投げつけられた氷の塊は、前庭に敷かれている石畳を破壊しながら砕け散った。

 

「くくっ、その状態では念動力の強さも多少だが上がっているようだな。どうやら固体の攻撃相手にはそれなりに対応可能、と。なら次だ」

 

 こちらを観察するような言葉の後に再び魔法を使おうとするエヴァだが、そうそう好きにはやらせないっ!

 

「加速」

 

 精神コマンドの加速と瞬動を発動。黒い炎を纏ったままエヴァの懐まで瞬時に移動する。

 

「はぁっ!」

 

 敵の魔力を吸収するという獄炎煉我の特性を活かし、右手の平でエヴァの顔へと掌打を繰り出す! それをいつの間にか持っていた鉄扇で防いだエヴァだったが、俺に触れられると魔力を奪われるので対処としては上手い形だろう。だが、その掌打は所詮目眩ましでしかない。

 そのまま腰を抜かすような感じで重力に任せて瞬時にしゃがみ込み、その足を刈るように蹴りを放つ! だが……

 

「甘いわ、戯けが」

 

 その言葉と共に、俺の身体はいつの間にか空中へと打ち上げられていた。

 何だ、投げられたのか!?

 空中で身を捻り、虚空瞬動を使い空を蹴って再びエヴァへと接近する。

 

「ふっ!」

 

 まず狙ったのは再び顔面。そこへ先程と全く同じ威力とタイミングで右の掌打を繰り出す。

 それを鉄扇で防ぐまでの流れまでも同じだ。だが、そこからの流れは違った。左手をエヴァの細首へと目掛けて差し出したのだ。

 そしてその瞬間、俺は見た。差し出された左手を顔を軽くずらすことで回避したエヴァが手首を軽く摘んだのを。……正確には、俺に見えて理解したのはそこまでだった。何しろ、どこをどうしたのかは分からないが、次の瞬間には再び俺の身体は宙へと浮いていたのだから。

 

「合気道、か?」

「まぁな。正確には合気鉄扇術という。以前どこぞの爺に教えて貰った技だが、ここ15年程はこの麻帆良に封じられていたからな。暇つぶしには丁度良かった」

 

 ……純粋な近接戦闘では勝ち目はない、か。

 俺が幾ら身体能力に優れており、インファイトのスキルを持っているといっても、向こうは吸血鬼としての長い時間を修練に当ててきたのだ。純粋に練度そのものが俺とは違う。身体能力自体は魔力を大分取り戻しているとはいえ、俺の方が上だろう。しかし技術の差が圧倒的なのだ。

 だが、それなら身体能力でその技術の差を覆してみせる!

 

「加速」

 

 再び精神コマンドの加速を使い、エヴァへと襲い掛かっていった。




名前:アクセル・アルマー
LV:38
PP:625
格闘:262
射撃:282
技量:272
防御:272
回避:302
命中:322
SP:462
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    ギアス(灰色)
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    ???

撃墜数:376

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