転生とらぶる1   作:青竹(移住)

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3202話

 セインズアイランドからの帰り道で襲ってきたオルクは、結局そのままこっちに降伏した。

 だが……相手はシーバルチャーではなくオルクだ。

 当然ながらそんな相手が降伏したからといって、そのまま素直に許すとは思えない。

 その辺は俺を雇ったバルチャーの船長達に任せたから、何とも言えないが。

 殺されたのか、あるいは人身売買で売られたのか。

 戦後であるX世界だけに、奴隷というのはないと思うが。

 漫画とかだと奴隷は鉱山の採掘とかに使われるものの、このX世界は戦後ではあっても機械の類はかなり残っている。

 人間に採掘をさせるよりは、機械を使って採掘した方がいいのは間違いない。

 外見が整っていれば、男女問わずに奴隷にするというのはあるだろうが、オルクをやってるような奴にそういう外見は期待出来ないだろう。

 そうなると……ああ、戦後だけにルール無用の闇格闘技大会とかそういうのに使うってのはあるかもしれないな。

 ともあれ、これがルマークのような真っ当なシーバルチャーなら、俺を雇った船長も部下として使うなり、賠償金とかを奪うなりですませたのだろうが、相手は海の無法者として名高いオルクだ。

 そうである以上、船長にとっても助ける意味はないだろう。

 いや、そもそもルマークのような真っ当なシーバルチャーなら、問答無用で襲い掛かって来たりとかはしないだろうけど。

 何かの理由でぶつかるといったような事があっても、まずは話し合いでどうにかしようとすると思う。

 とはいえ、それでもルマークもこの世界でシーバルチャーとして……それも腕利きのシーバルチャーとして名前が知られている存在だ。

 いざぶつかるといったような事があっても、簡単に退くといった真似はしないだろう。

 ともあれ、オルクが降伏した事によって俺を雇っていたバルチャーは結構な臨時収入があり、当然ながらその一件で大きな活躍をした俺は、追加報酬として結構な額を貰った。

 サン・アンジェロ市に戻って契約が終了すると、本気で俺に専属のMS乗りとして雇われないかと言われたが、それについては断る事にした。

 悪い相手ではないが、それでも今の状況を考えれば誰かに専属で雇われるのは危険だと、そう思ったのだ。

 向こうも俺が素直にその言葉を聞くとは思っていなかったのか、残念そうではあったがそれ以上強引に言われるという事はなかった。

 そうしてフリーのMS乗りになった俺は、それからも幾つかの仕事をこなし……

 

『逃げろ、逃げろ、逃げろ! 畜生、何だってこんな村にアクセルの野郎がいやがる!』

 

 ジェニスのパイロットが外部スピーカーを使ってそう叫びながら、逃げ出す。

 それを追うように、車やバイクに乗って攻め込んできた者達も撤退していく。

 この村を略奪しに来た者達だったが、そんな場所にまさか俺が護衛にいるとは思っていなかったのだろう。

 サン・アンジェロ市を拠点にして活動し始めてから、それなりの時間が経つ。

 そんな中で1度も依頼を失敗せずに全て成功させてきた俺は何だかんだと腕利きのMS乗りとして名前が知られるようになっていた。

 また、どこかのバルチャーの一味に所属している訳ではなく、フリーのMS乗りであるというのも俺に依頼が集まる理由なのだろう。

 当然の話だが、俺のようにフリーのMS乗りを1人雇うのと、バルチャーとして活動している集団を全員雇うのとでは、その料金が違ってくる。

 その点、俺はフリーのMS乗りで報酬は安い――あくまでもバルチャーの集団を雇うのに比べればだが――し、それでいながら腕は立つ。

 最近ではこうして名前も知られてきたので、俺が護衛としてここにいると知られると、今回のように即座に逃げ出す者も多かった。

 まぁ……逃げたからといって、それで俺から逃げられると思うのは間違いだが。

 空を飛び、必死に村から……正確には俺のオクト・エイプから逃げ出そうとするジェニスに追い付き、追い越す。

 そうしてジェニスの前に降り立つと、ビームライフルを数発撃ってジェニスの足元に命中させる。

 

「止まれ。これ以上抵抗するのなら、コックピットを撃ち抜く。死にたくなければ降伏しろ」

 

 外部スピーカーを使って告げる俺に、ジェニスのパイロットは慌てたように100mmマシンガンの銃口を下ろす。

 このままでは、俺に敵対する存在だと思われてしまうかもしれないと、そう思ったのだろう。

 それなりに賢い様子ではあるな。

 

『ま、待て。待ってくれ。……へへっ、その、何だ。あんたはアクセルだろ? 腕利きのフリーのMS乗りとして最近売り出し中の。そんな奴が、何であんな村の護衛をしてるのかは分からないが……な? 同じMS乗りとしてここは見逃してくれねえ?』

「戯れ言を。この状況で、何で俺がお前を見逃す必要がある?」

『な、何もただでとは言わねえよ! 何が欲しい? 金、食料、宝石、女……見逃してくれたら、何でもよりどりみどりだぜ?』

「黙れ。お前の言葉に従うような真似をすれば、それは俺を雇った村を裏切る事になる。それに……女はともかく、お前を殺してMSを奪えば金も宝石も食料も、幾らでも手に入る」

『ぐ……それは……』

 

 この時代、MSというのは非常に高価だ。

 ろくに身体を鍛えた事がないような奴でも、MSに乗れば圧倒的な力を得る事になるのだから。

 今回俺を雇った村でも、自衛用のMSがあればわざわざ俺を雇うといった真似をしなくても、自力でこいつらを撃退出来ただろう。

 ……もっとも、MSが圧倒的な力なのは間違いないが、それを操縦する技術は個人によって違う。

 もし俺を雇った村にMSがあっても、襲ってくるMS乗りやバルチャーに抵抗出来るだけの技量がない場合、下手に相手を怒らせるだけになり、結果として村の被害が大きくなってもおかしくはなかった。

 そういう意味では、MSの有無に関わらずこうして俺を雇ったというのは、最善の選択肢だったのだろう。

 

「分かったら、降伏……逃げられると思うのか?」

 

 ジェニスの足元にいた車が急いでこの場から離れようとしたのを確認すると、車のすぐ近くに胴体の50mmガトリング砲を撃ち込む。

 1秒かそこらではあったが、それでも車の近くに数発の弾丸を撃ち込むには十分だった。

 

「言っておくが、降伏するのはお前達もだ。車に乗って逃げるといったような真似をした場合、次は命中させるぞ」

 

 その言葉に、車に乗っている者達……それ以外にもバイクに乗っている者達はそれぞれ怯えの表情を浮かべる。

 車やバイクに乗っていても、50mmのガトリング砲が命中すれば助からないというのは、当然のように理解している。

 だからこそ、ここまで怯えの表情を浮かべているのだろう。

 それなら最初からジェニスとは別行動を取ればよかったのだが……しかし、敵にしてみれば何かあってもMSのジェニスがあれば対処出来ると判断したのだろう。

 そういうのを考えると自分達でジェニスと一緒に行動するというのを決めたのだから、その運命を共にするのは当然の事だろう。

 

「これが最後の忠告だ。降伏しろ。でなければ、次は命中させる」

 

 ビームサーベルを引き抜き、その切っ先をジェニスのコックピットに向ける。

 ビームライフルで攻撃した場合、ジェニスのコックピットだけではなく、胴体の後ろまで貫いてしまいかねない。

 そういう意味では、やはりビームサーベルで攻撃をするのが最善の選択なのだろう。

 そのまま数分……向こうのジェニスのパイロットは沈黙を保つ。

 だが、このままでは自分が死ぬと理解したのか、やがて口を開く。

 

『分かった、降伏する』

 

 やがてジェニスからそう外部スピーカーで返事がくる。

 

「よし、ならコックピットから降りろ。それとジェニスの周囲にいる車やバイクに乗ってる連中も全員降りろ。お前達の奥の手であるジェニスが降伏した以上、逃げられるとは思うなよ?」

 

 そう言いはするが、実際に車やバイクに乗っている連中が逃げられる方法はある。

 それはこの場にいる全員が一斉にそれぞれ別々の方向に逃げる事だ。

 50mmガトリングは胴体に内蔵されているので、狙う方向を正面にする必要がある。

 何だかんだと、そうなれば全員が一気に逃げるといったような真似をした場合、間違いなく相応の人数は逃がしてしまうだろう。

 だが……そうして逃げ出すよりも前に、間違いなく最初、もしくは次に狙われた者は死ぬ。

 自分がその死ぬかもしれない者になるというのを考えれば、とてもではないがそれに挑戦したいとは思わないだろう。

 何だかんだと、そこまで命懸けといった真似は出来ないのが、この連中らしい。

 結果として、この連中はもう逃げられないと判断して大人しく降伏し……村との契約によって、ジェニスや車、バイク、銃……とにかくこの連中が持っていた諸々は全て俺が貰う事になった。

 これだけなら村にとっても不満はあるだろう。

 自分達が襲われたのに、俺が全てを持っていくのだから。

 それを防ぐ為に、この連中から奪った分を差し引いて村から貰うのを俺の報酬とする。

 具体的には、バイク1台を買えるかどうかといった程度の値段。

 また、捕らえた盗賊連中の身柄は村に預ける事にする。

 村人達にしてみれば、この盗賊達を労働力として使うなり、あるいは何らかの方法で金に換えるなりといったことで俺に支払った分の料金を補填しようとするだろう。

 こうして、俺はまたフリーのMS乗りとしての依頼をこなしたのだった。

 

 

 

 

 

 村での仕事を終えてから、数日。

 入手したジェニスや車、バイクの類はいつものようにメンテ親父に預け、俺は宿でゆっくりとしていた。

 フリーのMS乗りというのは、当然ながらそう毎日のように仕事があったりしない。

 俺はこの前襲われた村のように、比較的安値で仕事を請け負っているし、襲ってきたバルチャーやMS乗りの装備を自分の物にする代わりに、依頼料を安くしたりもしている。

 そういう意味では俺は他のフリーのMS乗りよりも仕事を受けやすい。

 ……おかげで時々喧嘩を売られたりするが。

 ちなみにフリーのMS乗りではなく、バルチャーとなると話は違ってくる。

 バルチャーの場合はMS1機とかではなく集団で雇う事になる為、どうしても値段がフリーのMS乗りを雇う時よりも高くなるので商売する相手がそもそも違うのだ。

 とはいえ、そんな俺でも仕事は続く訳ではなく、結果としてこうして暇をしている時間もあった。

 X世界に来て大体3ヶ月。

 それなりに地盤とも呼ぶべきものが出来たので、そろそろゲートを設置したいのだが……問題はどこにゲートを設置するか何だよな。

 そもそも村や街がかなり少ないだけに、その近くとなると目立つ。

 あるいはセインズアイランドならそれなりにしっかりとしてるし、そっちにゲートを設置するか?

 とはいえ、島である以上はゲートを設置しても使いにくい場面もありそうなんだよな。

 これが例えばSEED世界のオーブみたいに、しっかりと国として存在しているのなら、色々とやりようはあるんだが。

 それに……俺がフリーのMS乗りという立場のせいかもしれないが、セインズアイランドで行動した時は一種の閉鎖性のようなものがあったのが気になる。

 戦後世界であることを考えれば、ある意味で当然なのかもしれないが。

 その辺を考えると、取引先としてはいいのかもしれないが、一蓮托生となるのは出来れば避けたい。

 そうなると、いっそ村や街は抜きにしてシャドウミラーはシャドウミラーとして勢力を築くか?

 その場合は、別に村や街に拘る必要はない。

 とはいえ、まさかその辺の荒野にゲートを設置するのもな。

 そうなると、連邦軍の基地か?

 小さい基地でも、立地がいいとか設備がまだ生きているとか、そういう場所があればいいんだが。

 そんな風に考えていると、不意に扉がノックされる。

 

「誰だ?」

「お休みのところ、申し訳ありません。実はアクセル様に用件があるとお客様がお見えなのですが……」

 

 扉の向こうから聞こえてきたのは、俺が泊まっているホテルの従業員の声だった。

 けど、俺に? 仕事の依頼か?

 何にしろ、会いに来たというのなら会ってもいい。

 ……少し前にこうして会いに来た奴が俺を殺そうとした事があった。

 俺が他のフリーのMS乗りの仕事を奪っているというのが理由だったが……当然ながらこの世界において気や魔力の類はないので、俺をどうにか出来る筈もない。

 あるいはニュータイプがいるって話だったから、そういう連中ならどうにか出来るかもしれないが。

 そんな風に思いながら、部屋を出て1階に向かう。

 するとそこには、見るからにバルチャーと思しき厳つい顔の男がいた。

 初めて見る顔だが、その雰囲気で何となく分かる。

 

「俺がアクセルだ。俺に用件って話だったが?」

「はい。実は大きな儲け話があります。それに腕利きのMS乗りであるアクセルさんの協力を得たいと思いまして、ボスから命令されてお迎えにきました」

 

 そう男は言う。

 どうやら、その言葉通り大きな仕事があるらしかった。




アクセル・アルマー
LV:44
PP:1850
格闘:309
射撃:329
技量:319
防御:319
回避:349
命中:369
SP:1995
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.11
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1738

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